ワーナー、ゲームパブリッシング事業正式参入プレス発表会を開催
PS3「レゴ ハリー・ポッター 第1章-4章」。「フィアー3」など、2011年度に4タイトルを投入
ワーナー エンターテイメント ジャパン株式会社(ワーナー・ホーム・ビデオ&デジタル・ディストリビューション)は、2月10日、東京・六本木のグランドハイアット東京にて、「ゲーム パブリッシング事業正式参入プレス発表会」を開催した。
発表会では、米ワーナー・ブラザーズ ホームエンタテインメントグループの日本法人であるワーナー エンターテイメント ジャパンが2011年よりゲームパブリッシング事業に本格参入することが発表され、第1弾タイトル「レゴ ハリー・ポッター 第1章-4章」を4月21日に発売することを皮切りに、「フィアー3(仮題)」、「ロード・オブ・ザ・リング ウォー・イン・ザ・ノース(仮題)」、「バットマン アーカム・シティ(仮題)」の計4タイトルを2011年度中に発売することが明らかになった。
■ ゲームパブリッシング事業正式参入。夢は日本発タイトルの世界展開
ワーナー・ホーム・ビデオ&デジタル・ディストリビューションアジアパシフィックのエグゼクティブバイスプレジデントのマーク ガレトン氏 |
ワーナーブラザース インタラクティブ エンターテイメント インターナショナルシニアバイスプレジテントのオリビエ ウルフ氏 |
ワーナー・ホーム・ビデオ ジャパン ジェネラルマネージャーの福田太一氏 |
発表会はプレス関係者や流通関係者を中心に200名以上が招かれたゲームの発表会としては大規模なものだった。最初にワーナー・ホーム・ビデオ&デジタル・ディストリビューションアジアパシフィックのエグゼクティブバイスプレジデントのマーク ガレトン氏と、ワーナーブラザース インタラクティブ エンターテイメント インターナショナルシニアバイスプレジテントのオリビエ ウルフ氏から、ワーナーブラザース全体のゲーム事業への取り組みや、ビジネス展開が語られた。
ワーナーブラザースは映画、TVドラマ制作において世界最大のメーカーである。1923年の設立以来、北米の映画、TVドラマ市場を牽引し続け、売り上げでも北米でNo.1の座を維持し続けている。昨今では、デジタル配信、デジタルコミックや、iPhoneのアプリケーションなども手掛けている。日本市場にも北米タイトルの配給や、DVDの販売、また、日本のタイトルの海外配信など、古くから強い繋がりを持っているという。
このワーナーブラザースグループがゲーム産業に本腰を入れはじめたのが2004年から。「FEAR」等を開発する、米Monolith、「LEGO」シリーズを開発する英TT Games等の買収を進め、さらに2009年6月には大手ゲームパブリッシャーであった米Midway、そして「The Lord of the Rings Online」を運営するオンラインゲームメーカー米turbineなどを次々と買収し、ゲームパブリッシャーとして急速に成長してきた。北米のみならず、ヨーロッパ、カナダ、オーストラリア、ブラジルと多くの国でパブリッシャーとして参入し、そして2011年に日本市場への参入を果たすこととなった。
ワーナーブラザースグループの強みは買収した会社による優秀なコンテンツと、映画のタイトルからのゲーム展開だ。ワーナーグループ各社が緊密に協力することで、コンテンツを制作し、デジタル配信などユーザーのニーズに合わせた形でソフトを提供、マルチフォーマットで主力ブランドを育成していく。マーケティングも映画、テレビ、ゲーム、オンラインなど多彩な方向からの展開が可能だ。
ワーナーブラザースグループの活動概要を受け、ワーナー・ホーム・ビデオ ジャパン ジェネラルマネージャーの福田太一氏は日本市場での取り組みを語った。福田氏は様々な調査から、近年の日本で海外ゲームを親しむユーザーが増加しているというデータを得て、その上での日本市場にアピールするための戦略を練っていったという。
ワーナーならではの方法として、劇場での宣伝や、DVD/BD販売との連動が可能だ。第1弾である「レゴ ハリー・ポッター 第1章-4章」では、映画最新作である「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」のDVD/BD発売に合わせて展開、さらにBDを同梱したパッケージを販売するなど、映画ファンにゲームをアピールする。「フィアー3(仮題)」では、恐怖映画のキャンペーンに連動した形での販売を考えている。映画やTVシリーズを販売し続けてきたワーナー・ホーム・ビデオの経験を結びつけ、ゲーム販売も展開していく。
さらに、「日本発のゲームコンテンツ展開が我々の夢である」と福田氏は語った。この夢を実現するための最初の取り組みが「SUPERNATURAL THE ANIMATION」の展開だ。この作品の原作の「SUPERNATURAL」は現在6シーズンまで制作されている実写TVシリーズで、超常現象に立ち向かう兄弟の活躍が描かれる。この「SUPERNATURAL THE ANIMATION」は現在、日本のアニメ制作会社マッドハウスによりアニメ版が制作されている。
ワーナー エンターテイメント ジャパンでは「SUPERNATURAL」のアニメ版の展開に加え、本作のソーシャルゲームを展開、さらにコミックや関連書籍、そしてコンソールゲームの展開を目指しているという。1つのブランドをマルチで展開し、ハリウッドのコンテンツを日本で販売するだけでなく、ノウハウを活かした上で、日本で開発を行ない、日本発のゲームを作り、世界に展開することが夢であると福田氏は語った。
また、この他にも米ワーナーが展開しているタイトルだけでなく、海外タイトルを日本市場に展開していく。さらに、日本で制作されたタイトルを世界に発信するといった活動も視野に入れ、今後事業を展開していくという。
各社を買収し、ゲームパブリッシャーとして認知されてきたワーナーブラザースグループ。日本市場は海外タイトルの魅力的な市場になりつつあるという分析の元、日本市場参入が決定した | ||
これまでの映像ソフト販売のノウハウを活かして日本市場へ。さらに日本発のコンテンツの世界展開を目指す |
■ 「レゴ ハリー・ポッター」は最新映画のDVD/BDに発売に合わせて発売。大幅値引きの同梱版も
ワーナー・ホーム・ビデオ&デジタル・ディストリビューション ローカルコンテンツ&ビジネスディベロップメント シニアマネージャーの山口貴也氏 |
ローカルコンテンツ&ビジネスディベロップメント ゲームディベロップメントマネージャーの岩田真治氏 |
発表会の後半では、「レゴ ハリー・ポッター 第1章-4章」、「フィアー3(仮題)」、「ロード・オブ・ザ・リング ウォー・イン・ザ・ノース(仮題)」、「バットマン アーカム・シティ(仮題)」の4つのタイトルの具体的な販売計画や、取り組みが語られた。
アクションアドベンチャー「レゴ ハリー・ポッター 第1章-4章」はプレイステーション 3向けに4月21日に発売される予定だ。原作である「ハリーポッター」シリーズは7章で完結するが、本作は1章から4章までの物語を題材としている。北米では2010年6月に発売されているが、日本では1年近く遅れ、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」のDVD/BD発売に合わせて発売される。
「レゴ ハリー・ポッター 第1章-4章」はTT Gamesの「レゴ スター・ウォーズ」と同じように、映画の名場面をレゴで巧みに再現したアクションアドベンチャー。オンライン、オフライン共に最大2人でプレイが可能だ。原作のシチュエーションをゲームとして新鮮な気持ちで挑戦し、ハリー、ロン、ハーマイオニーの大冒険を追体験できる。ホグワーツ城、ダイアゴン横丁、禁じられた森などがどう再現されているか、映画ファンには特に楽しめる作品だ。
プロモーションでは、DVD/BDの販促用のチラシや、ケースの端に小さく、折り返しのような形でゲームの広告を入れる。また、予約用のチラシを商品内に封入するという。PS3「レゴ ハリー・ポッター 第1章-4章」の単体価格は6,800円を予定し、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1」Blu-rayを同梱した特別パックを8,800円で販売する。さらに、「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」の劇場公開とも連動する予定だ。これまでに例のない映画原作ゲームのアピールを行なっていくとのこと。
2011年初夏に発売予定のPS3/Xbox 360用FPS「フィアー3(仮題)」は、FPSに超常的な恐怖の演出を加えたFPSシリーズの最新作。凄まじい反射神経で周囲がスローになる能力を持つポイントマンと、強力な念力が使えるパクストン・フェッテルの2人の主人公が登場し、それぞれの能力を活かして敵と戦う。引き込まれる演出や、ストーリーも健在。オンラインでの対戦も熱い。
「フィアー3(仮題)」では3月に公開される「ザ・ライト(エクソシストの真実)」、6月公開の「レッド・ライティング・フッド」といったホラー映画の劇場公開に合わせてのプロモーションが予定されている。このほか、いくつものホラー映画のBD/DVD作品との連動も予定されている。
PS3/Xbox 360用アクションRPG「ロード・オブ・ザ・リング ウォー・イン・ザ・ノース(仮題)」はオンライン、オフライン共に最大3人での協力プレイができるアクションRPGだ。映画、原作ファンにはおなじみのキャラクターだけでなく、新しい土地、新しい仲間が登場するという。様々な武器、キャラクターのカスタマイズ、特殊能力といった成長要素にも期待だ。
「ロード・オブ・ザ・リング ウォー・イン・ザ・ノース(仮題)」は「ロード・オブ・ザ・リング」劇場3部作のデジタルディストリビューションや、2012年公開予定の「The Hobbit」などでの長期的なプロモーションを予定している。
PS3/Xbox 360用アクションゲーム「バットマン アーカム・シティ(仮題)」は、高い評価を得た「バットマン アーカム・アサイラム」の世界観を引き継ぐ続編だ。今度は街全体という広大な場所が舞台となるという。バットマンは無敵のスーパーヒーローではなく、銃で撃たれたら倒れてしまう。闇に紛れ、鍛え上げた肉体と秘密兵器を駆使して敵を追いつめていくという、原作の魅力を再現した戦いの要素が、本作でどうパワーアップしているか注目したい作品だ。
「バットマン アーカム・シティ(仮題)」では、9月公開の「グリーン・ランタン」、2012年公開予定の「ダークナイト ライゼズ(仮題)」、そしてBD/DVD関連作品への連動が予定されている。
なお、「レゴ ハリー・ポッター 第1章-4章」は北米よりかなり遅れての発売となるが、「フィアー3(仮題)」以降のタイトルは北米とほぼ同じ時期での発売を目指しているとのことだ。ゲーム事業へ本腰を入れるワーナーブラザースの動きを受け、日本でも本格的な展開が開始されることになった。映画配給会社の“本気”のプロモーションが、日本のユーザーにどう響くのか、興味の惹かれるところだ。
2011年度に4本のタイトルを発売予定。映画のDVD/BDとも連動していく | ||
各タイトルとも、関連ジャンルと連動した映像ソフトでのアピールを行なう |
【レゴ ハリー・ポッター 第1章-4章】 | ||
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PS3版を4月21日に発売予定。価格は6,800円。原作映画の名場面をレゴで再現する | ||
会場には試遊台が。道ばたの花や建物等までもがレゴで表現されているのが楽しい |
【フィアー3(仮題)】 | ||
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PS3/Xbox 360版を初夏に発売予定。価格未定。人気ホラーFPSの最新作。2人のキャラクターを操作し、恐怖へと立ち向かう。 |
【ロード・オブ・ザ・リング ウォー・イン・ザ・ノース(仮題)】 | ||
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PS3/Xbox 360版を初秋に発売予定。価格未定。「指輪物語」を原作に、新しい景色や、ストーリー、キャラクターなども登場。オンライン、オフライン共に最大3人でプレイ可能だという |
【バットマン アーカム・シティ(仮題)」】 | ||
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PS3/Xbox 360版を秋に発売予定。価格未定。「バットマン アーカム・アサイラム」の世界観を引き継ぐ続編。より広大な地域を舞台に、全く新しいストーリーが展開する |
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(2011年 2月 10日)