セガ、PSP「シャイニング・ハーツ」発売記念抽選会を開催

秋葉原には澤田氏、菊田氏も来場!


12月16日 開催

会場:クラブセガ秋葉原 新館



女性主人公3人のうちの1人、エアリィのコスプレをした店員さん。手に持っているのはTonyさんのサイン入り色紙

 株式会社セガは、12月16日に発売したPSP「シャイニング・ハーツ」を対象店舗で購入したユーザー向けに発売記念抽選会をクラブセガ秋葉原 新館の店頭および大阪のジョーシン ディスクピア日本橋 テレビゲーム館1F PlayStationコンセプトショップにて開催した。

 本イベントでは、キャラクターデザインのTony氏の直筆イラスト色紙や、キャストのサイン色紙などの「シャイニング・ハーツ」のオリジナルグッズが抽選でプレゼントされた。ほかにも、 Tony氏サイン入り超高画質イラストパネルや販促用ポスター、タペストリーやモバイルフォンカバー&クリアファイルなどが当たるとあって、10時からスタートした抽選会は、秋葉原で13時過ぎには900人を超える来場者が抽選に参加したそうだ。


プレゼントも豪華なものが数多くあったこともあってか、取材に訪れた秋葉原では、午前中から抽選待ちの長蛇の列ができていた。昼休みはこの写真よりさらに長い列になっていたという


■ 澤田プロデューサーと菊田裕樹氏にミニインタビュー

 今回のイベントにて、セガの澤田 剛プロデューサーと、楽曲を手がけた菊田裕樹氏が来場。少しお話を伺うことができた(文中敬称略)。

● 発売日を迎えられてのご感想は?

澤田 3年ぐらい時間をかけて作ったゲームなので、ボリュームがあるんですけれども、皆さんに遊んでほしいですね。今回、RPGとしての面白さだけではなくて、スローライフ(生活)の部分、特にパンにこだわって作ったので……すごい深いこだわりなので、その部分をやりこんでもらえたらなと思います。

菊田 今回、コンシューマーRPGを担当するのは10年ぶりで久しぶりということもあるのですが、内容がファンタジーでもあり、癒し系でもある、すごくやさしい世界なんですよ。それを表現するのに、僕が持っている個性とか、雰囲気は非常によく合うな、ということがありますね。今回作った70曲ぐらいの楽曲のなかで、とても多くがかわいい、やさしいイメージの曲なので、僕の持っている個性の部分でそういった部分が好きな方には楽しんでもらえるようになっていると思います。

澤田 RPGとしてのかっこいい部分だとか激しい部分は今までどおりの菊田さんの部分ですけれども、スローライフのほのぼのした部分の曲を今回はたくさん作ってもらったんですよ。ほのぼの曲がいつもより多いという。

● お2人の好きなパンはなんですか?

澤田 今回のパンへのこだわりは、スタッフにパンの図鑑を配って開発してもらっているぐらいなんですよ。パンっておしゃれ系があったり、街のパン屋で売っているものがあったり……私は「カンパーニュ」が好きだったりするんですけれども、やっぱりそれではわかんないだろうということで、町のパン屋にあるものが多くなったかな……。比率的には「メロンパン」のような庶民的なものを増やしたので、結果的にはよかったのかな。

菊田 僕は「クロワッサン」が好きですね。本当においしい「クロワッサン」が。それと、「あんパン」ですね。餡はツブあんじゃないとやだ!(笑)。この2つがパンの王様じゃないですか?

澤田 「あんパン」も入っているし、「クロワッサン」も入っているし、「カンパーニュ」も入っているのがこのゲームのポイントかな。いろんな知識が……。

菊田 このゲームを遊ぶと「パン博士」になれる?

澤田 そうです。

● 本作では、Tonyさんの描かれたキャラクターも魅力的な要素の1つだと思いますが、お気に入りのキャラクターは?

澤田 作っていく中では、全部のキャラクターが自分の息子や娘のようなものなので、あんまり差はつけられないかなということはあるんですけれども。Tonyさんが今回1番気に入っているのは3人の女性主人公キャラクターの中の1人、「アミル」なんですけれども、実はこのキャラクターが今回の世界観、魔法のパン屋というデザイン的な象徴になっています。あのキャラクターから作っていったので、世界観がどんどん広がっていった形なので。ヨーロッパの村娘みたいな雰囲気を出しているキャラクターなので、Tonyさん的にもすごく思い入れがあったみたいです。1番露出度も少ないんですけれどもね。いつもはあんまりやらないタイプのデザインだと思うので。私が思っているよりも気に入っているようです。予約特典のディスクに、菊田さんとTonyさん直筆のコメントをもらっているんですけれども、Tonyさんのコメントは「1番のお気に入りは『アミル』です」って書いてあるんですよ。

菊田 僕は、ゲームの内容とは離れちゃうかもしれないんですけれども、かっこいいキャラクターが好きなので、海賊の「ミストラル」ですね。デザインがすごく突き抜けてる感じがして。かっこよくてかわいい。世界のあり方みたいなものがすごくわかりやすい。

澤田 RPGの敵の象徴のような感じで、「ほのぼの」と対極的な感じで出していますね。

● 開発に3年かけられたとのことですが、苦労したところはありますか?

澤田 1つはとにかくボリュームが多くて、入れすぎて大変だったかなと。デバッグもそうだし、一通り確認するのに、チェッカーの人でも1週間はかかるというボリュームだったりするので。あとは、RPGらしい部分もちゃんとありつつ、シナリオもあるんだけど、自由度の高いスローライフという部分の融合、特にシナリオ的なつじつまあわせが結構大変でしたね。シナリオが発生するタイミングをいろんなところで発生しても違和感がないフラグとフローチャートの調整がすごく大変でした。

 この段階でしか発生しないシナリオで、次の段階へ進むと発生しない、いわゆる「取り残し」みたいなものが出るような気持ちの悪い設計にはしたくなかったので、エンディング後の世界を遊んでも、そのキャラクターのサブシナリオを1から遊んでも違和感がないようにしたのが大変でしたね。そうすると、サブシナリオがいつ発生してもおかしくないように調整するのが大変でした。RPGは全部最後にくみ上げるという開発スタイルなので、組んでみて遊んでみると「あれ?」というところが結構出てきて。その調整で死んでましたね。

 メディアさんにはメインシナリオのクリアに30時間って言ってるんですけど、実際はそれじゃ終わらないんですよね。「小麦が生えてても採らない!」という強い意志がないと……人間、小麦が生えていたら絶対採っちゃうじゃないですか。そうやってポンポン小麦を抜いていると、時間が経っているという……。初プレイでも50時間ぐらいはクリアにかかってしまうし、どれがサブシナリオでどれがメインシナリオだかよくわからない設計にわざとしているので、大変ですね。ボリュームはやりすぎましたかね。

● 菊田さんは開発中、そんな状況を伺っていたと思うんですが……?

菊田 聞くんじゃなくて、ちょいちょい音信普通になるんですよ(一同笑)。Twitterではつぶやいているんですけれども(笑)。「大変なんだろうなー」とおもんばかる感じで。

● 今回、菊田さんに楽曲をお願いすることになった経緯は?

澤田 もともと、Tonyさんと菊田さんが親交があって、今回はぜひお願いしたいということで。RPGなんで、菊田さんに「こうしてください」といったオーダーはなかったかなと思いますが、曲リストを見てもらったら、ほのぼのした曲のオーダーが多かったかなと思われたかなと。その中で菊田さんらしいファンタジックな曲を作っていただければよかったので、曲の内容に関してはそんなにやり取りしていない感じですね。世界観に関して「ガチな、まっすぐなファンタジー」という。

菊田 ゲームの世界観がぴったりだっということはありますね。基本的な用途の説明があっただけで。基本的にTonyさんの絵がまずあるので、僕はTonyさんの絵になじんでいるし、その絵に曲をつけるということはイメージが沸きやすいので。

澤田 菊田さんの曲がいい感じにはまっていると思いますよ。

菊田 ファンタジーという世界の中で、一方ではドカンドカン戦っているんだけれど、別の島では……みたいな感じがありますよね。平和な感じの。

澤田 平和があるからいいんですよ。平和があるから、敵が出てきたときのメリハリがあるんで。

菊田 確かにね。RPGを作っていても、日常があって、非日常がくるから「すごい!」って思うんですけれども、なかなか日常って描けないんですよね。「シャイニング・ハーツ」には日常があって、毎日パンを配るっていう。

澤田 序盤は展開がゆっくり目なので……。最終的には、この序盤の日常があるからこそ、後半にいろいろあるシリアスな面が生きてくるはずなんですよ。平和な時間をプレーヤーさんに感じてもらってから、ゲームの村が自分自身の村というか、思い入れがちゃんと行き届いたときに敵が現われるということで、シンクロ感があって感情移入できるかなという。

菊田 そういう意味ではこのゲーム、「パンゲー」という風に変に思うかもしれないけれども、考えてみると、RPGというものが求めている日常から非日常へ行ってしまうということの中で、普通作れない形でそれを実現していると思います。

澤田 パンは世界の共通語みたいな形になっていますからね。

菊田 パンを食べている毎日というものがあって、それが「えー」っていることになっちゃう、というすごさは、こういうゲームじゃないと描けないなと思いますね。

● 最後にメッセージをお願いします。

澤田 とにかく、ゲームを遊んでもらって、クリアするころにはみんなが幸せになってもらえるようなゲームを作ったつもりなので、特に今年1年終わって、疲れた心を癒すにはぴったりな癒し系ゲームなので、冬休みはこのゲームで遊んでもらいたいなと思います。
菊田 言いたいこと全部言われちゃった(笑)。昔、僕がかかわったゲームを遊んでくれたファン人たちも、このゲームの音楽を聞いてもらってもまったく変わっていないというか、僕が表現するもの、表現されたもの、純粋なもの、かわいいもの、美しいものというのはこのゲームでもちゃんとあるので、がっかりしないということは保障します。ぜひプレイしてください。お願いします。


(C)SEGA

(2010年 12月 16日)

[Reported by 佐伯憲司]