ゲームポット、WIN「ファンタジーアース ゼロ」

新戦争ルール、レベルキャップ開放など2011年の構想を発表


12月17日 発表



 株式会社ゲームポットは、Windows用オンラインアクションRPG「ファンタジーアース ゼロ(FEZ)」の今後の展開についてのプレスカンファレンスを開催した。

 「ファンタジーアース ゼロ」では、12月20日に新召喚獣「チャリオット」が実装される。今回のカンファレンスでは、その「チャリオット」に関する話題のほか、2011年のアップデート構想についても発表された。

 出席したのは、ゲームポットで「FEZ」チーム長を務める劔俊彦氏、株式会社フェニックスソフト 開発部部長の野口健太郎氏、株式会社スクウェア・エニックス 第二オンライン企画運営部 アシスタントプロデューサーの李潤玉氏。




■ 移動に注目した新召喚獣「チャリオット」

「チャリオット」イメージイラスト

 まず新召喚獣「チャリオット」について。「チャリオット」の能力については特設サイトで説明されているとおり、最大5名の歩兵を乗せて速く移動できるという、今までにない能力を持っている。また自軍の拠点付近での運用を主とした攻撃スキルや、20個という比較的少量のクリスタルで召喚できる点も特徴。既に2回の公開テストが行なわれており、ユーザー間でも運用方法についての議論がなされている。

 野口氏は「チャリオット」について、開発の狙いを説明。「50対50で戦うことが楽しいゲームにおいて、召喚獣は要素として重要な存在。味方を援護するものや逆転要素になるものなど、色々な案は出た。その上で、ゲームの中で楽しい要素になるのは何かと考え、移動に注目した」という。

 移動に注目した理由については、「ゲームの遊び方はお客様によって異なるが、移動は全員が関わっていて、しかもかかる時間が長い。移動しながらマップを見て戦略を練るのが好きな方もいらっしゃるが、早く戦場に着ける、僻地(拠点から離れた場所)のクリスタルを効率よく運用するといった部分で有効な使い方を考えた。戦略・戦術の幅を見直すというところも含めて、新しい戦争デザインを考えていただくきっかけになれば」と述べた。




■ 2011年のアップデート第1弾は戦争のバリエーション追加

フェニックスソフトで開発部部長を務める野口健太郎氏。戦争の面白さや目的を再確認できるような新要素を考えているようだ

 続いては、2011年のアップデート構想に関する話題。まず戦争のバリエーション増加を考えているという。野口氏は「『FEZ』は基本的に戦争が楽しいゲーム。であれば『FEZ』に触れる全ての人に、もう1度その楽しさを思い出していただきたい。戦争に新しいルールを追加したり、これまで楽しんできた戦争に要素をプラスアルファしたい」とコンセプトを述べた。

 具体的には、少人数での短期決戦や、単純な勝ち負け以外の新たな勝利条件の追加、初心者プレーヤー同士の戦いに一定割合のベテランが参加して支援するものなどを考えているという。これについて劔氏は、「今ある戦争のルールが大きく変わるわけではない。初心者同士の戦場や、今とは異なる勝利条件の戦場など、今までなかった条件や状況を提供できるシステムを企画・検討している」という。

 また李氏は「防衛側がいかに防衛するかといったルールなど、場所や状況によって異なるバリエーションを入れてみてもいいのではないかと思う」と述べた。異なる場所や状況としては、市街地戦や要塞戦を考えているそうで、「首都のデザインを変えた当時、首都のようなマップでも戦争をできるようにするため変えたと聞いているので、入れていかないと意味がない」とも語った。

 実装時期は2011年春移行の予定。まずいくつかのパターンを実装し、その様子を見ながら段階的に実装していく予定だという。

 他にも、戦争のモチベーションを保つためのご褒美として、オフィシャル装備の追加を予定しているという。過去のデザインコンテストで人気の高かったものを中心に開発が進められており、2011年1月か2月には実装予定としている。李氏は「第1回デザインコンテストで好評だったものの、当時はシステム的に実装が難しく断念したものもある。今は一体型装備もあるので、それを踏まえて考えたい」と語っている。




■ ついにレベルキャップ開放! 新たなスキルシステムも実装か?

スクウェア・エニックス 第二オンライン企画運営部 アシスタントプロデューサーの李潤玉氏。レベルキャップ開放後のプレイモチベーションになる要素を、多方面で検討しているという

 続いてのアップデート構想は、レベルキャップの開放。「FEZ」はサービス開始当初からレベルキャップ40で固定されていたが、これを見直して新たな要素を追加しようというものだ。

 これについて野口氏は、「レベル40で頭打ちになっている方も多いと思うので、そこのモチベーションを確保したい。しかし仮に50にするとしたら、経験値テーブルやスキルポイントなど、色々なものを見直さなくてはいけない」とし、予定してはいるものの慎重に検討する必要があるという姿勢を示した。

 レベルキャップの開放に合わせて、スキルシステムの見直しも考えているという。レベル41以降で使用できるスキルの実装や、レベル40までで取れるスキルの限界数の調整なども検討されており、「レベル40までとは違う新たなレベルデザインを盛り込む」としている。ただしこの点について野口氏は、「『FEZ』のいいところは、ユニットの強さを競うところではないこと。そこをこのタイミングでいじろうとは考えていない」と明言している。

 このほかには、レベル41以降の装備品や、“レベル50になると誰かに会える”といった特別なコンテンツ、一定のレベルを達成すると、「ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン」の当時のルールで遊べるサーバーの入場権が得られるといった特典など、さまざまな方面で検討されている。ちなみにユーザー間でよく耳にするヴィネル島の浴場については、フィールドの制作はもちろん、混浴でキャラクターモデルも変化するといった仕組みも、ヴィネル島の実装前から完成しているという。こういった要素を特典として利用できるようにする案もあるそうだ。

 こちらの実装時期は、「戦争のバリエーションを追加した後、夏休み前には実装したい」としている。また現在のゲームバランスに影響する事案なので、公開テストも行なう予定だという。




■ 新ワールドを設置し、少人数ワールドに統合

ゲームポットで「FEZ」チーム長を務める「GMダディ」こと劔俊彦氏。ワールド間の人数差問題に、新たな施策で臨むという

 次に、運営側であるゲームポットの施策について発表された。取り組みとして発表されたのは、ワールドごとの人数差の問題。これについては、2010年に新規向けキャンペーンや、特定ワールドのキャラクター作成に特典を与える施策などを行なっているが、劔氏は「現在、3倍以上の人数差がでているが、最終的にあまり効果が見られなかった」とし、他の施策を打つことにしたという。

 まず1つは、ワールド移住サービス。極端に人数が多いワールドから、人数が少ないワールドへのキャラクターの移住を受けつける。ワールドごとの人数を均一化させるための施策なので、少ない方から多い方への移動は考えていないという。ワールド移住サービスは以前も行なわれたが、その際は人数が多すぎたワールドから負荷分散のために移住してもらうことを目的としたもので、今回の施策とは方法は同じながら目的が異なるとしている。こちらはなるべく早急に実施したいという。

 しかし劔氏は、「これだけでは3倍以上の差は埋まらない」と述べた上で、次の手として、新しいワールドを設置するという施策を明らかにした。新ワールドは既存ワールドからの移住は行なわれず、新規プレーヤーのみを募る。そしてワールド開設から2カ月後に、人数の少ないワールドと統合される。統合を前提とした新ワールドというわけだ。

 この施策の狙いについて劔氏は、「過去のキャンペーンで新しいワールドに来ていただいても、そこに定着していただけなかったのは、ワールドごとに強固なコミュニティがあるから。これから始めるという方がそのコミュニティに溶け込むのは難しい。新ワールドで全員が同じ環境でゲームを始め、そこでコミュニティを作った上でワールドを統合することで、人数の少ないワールドを一気に盛り上げたい」と述べた。

 新ワールドについては、統合先のワールドのプレーヤーと極端なレベル差がつかないよう、経験値やリングを増やすなどのキャンペーンが打たれる。また、過去に限定販売していたアイテムを一時期だけそのワールドで売るなど、新ワールドでプレイするメリットなど与えていくという。

 新ワールドによる施策は、ワールド移住サービスの後で行なわれる予定。




 最後に3氏から、プレーヤーへのメッセージが送られた。

劔氏: ゲームポットは2010年、お客様に安心してプレイしていただけるよう、また新規のお客様がスムーズにゲームに入っていただけることを目指して運営してきました。2010年はGMコールなどの土台ができましたので、今度は戦争が少ないワールドで「FEZ」の醍醐味が味わうのが難しいという部分に手を入れていきたいと思います。なるべく、どのワールドも活気があるゲームを目指して、2011年上半期は取り組んでいきます。あと、実は2010年末にオフラインイベントをやりたかったのですが、諸々の都合でできなかったので、延期してしまいましたが2011年にやろうと企画していますので、皆様がご参加いただけることを願っております。そういったオフラインイベントに参加したいと思っていただけるようなサービスにしていきたいと思います。

野口氏: 「FEZ」というコンテンツの魅力は戦争の楽しさだと思いますが、そこをより拡張し、戦争に入りにくい、入り方がわからないという方も巻き込んで盛り上げていきたいと思います。今日発表したものは、かなりアイデアがたまってきているので、ぜひ期待していただきたいと思います。新しい建築物が長い間ないよねとか、召喚獣は今回入れて終わりなのかとか、職業はまだ増えるのかとか、時期が来たら発表させていただきますので楽しみにお待ちください。

李氏: 「ファンタジーアース ザ リング オブ ドミニオン」から数えると、もう5年も経ちました。累計会員登録数も100万人の大台に乗りそうなので、お客様に喜んでいただける何かを大きくやっていきたいと思います。ゲームポット様にはGMコールやゲーム内の改善などで土台を作り上げてもらいましたし、フェニックスソフト様には、ゲームをもう少し遊びやすくしてもらうようなところを見ていただいています。2011年も両社の協力を得ながら、「FEZ」のサービスが長続きするように全力で取り組んでいきます。


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(2010年 12月 17日)

[Reported by 石田賀津男]