カプコン、「脳涼! SAVE THE ZOMBIE DAY」イベントに協賛
稲船氏「屍病汚染」と「デッドライジング2」をおおいに語る


7月17日 開催


「屍病汚染 DEAD RISING」より。監督の稲船敬二氏(上画像・左)、出演者の吉田大輝さん(同・中央)と西島未智さん(同・右)

 株式会社カプコンは、9月30日発売予定のゾンビパラダイスアクション「デッドライジング2」と、日活株式会社が7月24日に公開予定の劇場作品「ゾンビランド」のコラボレーションイベント「脳涼! SAVE THE ZOMBIE DAY」を7月17日に都内で開催した。

 「脳涼! SAVE THE ZOMBIE DAY」は、1985年~2005年まで開催された「東京国際ファンタスティック映画祭」を1日限定で復活させたイベント。司会進行を担当する日活プログラムディレクターの大場渉太氏によれば「今日見ていただく『ゾンビランド』。なかなか日本で公開できないんじゃないかと思われていたが、うちが公開できるようサルベージしまして。だったらもう、この期に応じて。ゾンビの神様、ジョージ・A・ロメロの『サバイバル・オブ・ザ・デッド』、今日公開のフランスゾンビ『ザ・ホード -死霊の大群-』、『バイオハザード4』、『死霊の盆踊り』を買い付けた江戸木(純)さんの『コリン』、それぞれ公開になるし。これは、稀な年だと。じゃぁ、ゾンビ守っちゃおうか! ということで、日活と『ザ・ホード』配給元のショーゲートが韓国に飛んでキャンペーンを行なった一環で、このイベントにたどり着いた」と説明。会場には、抽選で選ばれた約160名の熱心なファンが来場。ロビーに設置された特殊メイクコーナー(協力:日活芸術学院)にて“ゾンビペイント”を施してもらうなど、1日限定のイベントをおおいに楽しんでいた。

 本イベントにはカプコンが協賛しており、「デッドライジング2」プロデューサーの稲船敬二氏も登場。稲船氏は、本作プロモーションの一環で、第1回監督作品「屍病汚染 DEAD RISING」を撮影。「大好きですね。もうゾンビ映画があればそれでいいくらい。大好きだからゾンビゲームを作っちゃった! ゾンビ映画ファンが喜ぶゾンビゲームを作りたかった」という稲船氏。大場氏から、前作は北米版と日本版で残虐表現に違いがあった点を指摘されると、稲船氏は「今回は全世界共通です! すべて(首や手などが)飛びます! どこでも飛びます!」と力強くコメント。

 「屍病汚染 DEAD RISING」について、稲船氏は「作りたかった! 本当に映画を撮りたかったというのはワガママでありましたけど。『デッドライジング2』をいかにみんなにわかってもらうか、というのがあって。長らくお待たせしていたこともあって、その前に『デッドライジング2』の味のある、そういう部分が入った映画を見てもらうことで、より気持ちを盛り上げてゲームに入ってもらおうと。そういう意味合いをこめて作りました」と説明。映画館向けではなく販促的な意味が強かったといい「ゲームを買っていただく人に丁度いい感じの出来具合になってると思います。ゾンビが好きな人にわかってもらう映画にしたかったんで、誰かにお任せしてキレイな映像を撮るのではなく、俺がやる! と。『デッドライジング』は俺が作ったんだ、と。俺しかわからないというつもりで、『デッドライジング』の味を入れてみました」という。

 劇場で公開されるのは、本イベントが最初で最後。以後はインターネットとXbox LIVEによる配信、さらには後述のDVDしかない。インターネットとXbox LIVEは分割配信のうえ、諸事情から多数のカットシーンがあるという。「(イベント上映版は)ディレクターズカット版といっていい。ぼくの想いがすべて入ったもの。こういう形で観られるのは、ここにきてるゾンビの人たちだけじゃないかな。ゾンビで良かった! と(会場笑)。たぶん、テレビ東京でやってた『ゾンビ』とロメロ版くらい違いがある」という。「世の中には色々なゾンビがあるんですけど、ぼくがどうしてもこだわりたかったのは、怖いのはゾンビじゃない、人間なんだ! と。ロメロがずっと作ってきたゾンビの思想を受け継いでやりたかった、というのがある。ゾンビよりも醜い人間を描きたかったのと、そのなかで人間がいかに正常を保っていきていくか、そういう人たちだけが生き残れるんじゃないか、ということを描きたかったというのがあります」とコメント。

 さらに続けて「あと、映画という視点でみてないです。ゲームなのか、映画なのか、どっち? っていう視点で作っています。映画要素よりも、どちらかというとゲーム要素が一杯入った映画だと思ってください。FPS的な撮り方をしていますし、凄くいったりきたりするシーンがある。ぶちぶち飛びますが、それもゲームのロード時間だと思ってみてもらえると面白かったりとか。あと、やたら説明くさかったりもします。これも『バイオハザード』とかをやってもらったらわかるんですけど、(ドアなどが)閉まっていると、いちいち『鍵がかかっている』とかいわれるんです。わかるよ、そんなもの!(笑) 『裏から鍵がかかっているようだ』って、いかにも裏に回れ、みたいな。そういうセリフが一杯あります(会場笑)。これは、いかにもゲームなんだ! という作り方で撮ったつもりです。単純に1,800円出して観にいく映画と比べずにですね。ちょっと言い訳くさいですけど『いいのかな』と。得した気分で観られると思います」と説明した。

 試写会の終了直後、稲船氏の口から完全版DVDの発売が明らかにされた。セル版は11月4日発売予定で、価格は3,990円。本編約83分、特典映像として稲船氏のインタビューやメイキング映像約55分が収録される予定。ジャケットイラストは、「映画秘宝」アートディレクターで知られる高橋ヨシキ氏の描き下ろし。DVD購入者には、映画で実際に使用された武装車椅子とアイテム(プロテクター)が抽選で計2名にプレゼントされる。


大場渉太氏稲船敬二氏吉田大輝さん西島未智さん

【屍病汚染 DEAD RISING】
メインビジュアルポスター



ロビーに設置されていた「デッドライジング2:CASE 0」試遊台。本イベントが初のプレイアブル出展

 「デッドライジング2」スペシャルステージでは、会場にも試遊台が置かれていた「デッドライジング2:CASE 0」プロモーションビデオの上映とデモプレイが行なわれた。「デッドライジング2:CASE 0」は、Xbox 360限定で配信されるダウンロードコンテンツ。「デッドライジング2」が始まる3年前、ラスベガスでアウトブレイクが発生。主人公たちが見舞われる悲劇を描くという。なぜXbox LIVEだけかという点については「Xbox 360で始まった『デッドライジング』ですから。特別感もつけてですね、やってもらいたい」と稲船氏は説明する。

 「『デッドライジング2:CASE 0』」では、なぜ『デッドライジング2』で主人公が酷い目にあっているのか、ある程度わかっていただける」という稲船氏。アウトブレイクから逃れ、郊外のガススタンドにたどり着いた主人公。ゾンビに噛まれた娘は感染しており、抑制薬「Zombrex」を12時間ごとに注射するしかない。嫌々ながら注射をがまんする娘。だが、給油中の隙に車を誰かに盗まれてしまい、さらに悪いことに周囲からゾンビたちが襲い掛かってくる。車ごと「Zombrex」を盗まれた主人公は、12時間以内にここから脱出しなければならない、といったストーリーになっているようだ。

 作業台でコンボ武器を作成し、ゾンビを倒していくシーンでは、来場者から大爆笑が沸き起こる。ストーリーの本筋は娘のために「Zombrex」を探さなければならないのだが、それはそれ、これはこれ。釘バットでゾンビの頭にめり込ませたり、スパナで首をふっとばしたり、巨大なハンマーで倒れたゾンビに打ち付けバラバラにしたり、ダーツを命中させたり、ボウリングの玉で転倒させたり、多彩なアクションが披露されるたびに会場がドッと盛り上がる。ビールをたくさん飲ませてわざと嘔吐させたシーンでは「これを利用してゾンビを転ばせることができます。あとは服を着替えたり……」など、本作ならではのテクニックが披露され、それがまた大爆笑を誘う。

 「いいですよね、やっぱり。みんなゾンビ大好きな人だから、笑ってくれてるじゃないですか。これ実際『デッドライジング』を作ったとき、会社で披露したら、誰も笑わないですよ。悲惨な顔をして見るんです。で『こんなゲームは売れない』って言われたんですよね。なぜ笑ってくれないんだ? っていう。この面白さがわからないのか?」と、稲船氏は当時のエピソードを披露。「『デッドライジング2:CASE 0』」の配信日はまだ決まっていないが、「デッドライジング2」が発売される9月30日より1カ月程度前にはリリースしたいとしている。プレイは基本無料。「今やったところまではタダ。話を続けていこうとすると課金してください、という話にな。娘にZombrexを打ちたければ課金することになるんですけど(会場笑)、ほったらかすんであれば、ゾンビとたわむれてください。娘なんかどうでもいい、俺さえ楽しければいいんだという場合は、タダで遊べます」という稲船氏。予定価格は500円程度という。

 このほか「デッドライジング2」などゾンビに関するスペシャルコンテンツを配信する新サイト「TAPE IT OR DIE.jp」を7月8日から開設中。「コンボ武器は、ガムテープを使って無理やり早く作る。そのガムテープを使ってやる、使えた人は生き残るけど、使えない人は死んじゃうよ、ってことをベースにしたサイト。映画もここでダウンロード配信されますので、ぜひチェックしてください」と説明。稲船氏は「長らく、3年以上待たせて、みなさんにやっとお届けできることになった。ゾンビファンのために作ったゾンビゲーム。ある種のゾンビブームの火付けになったんじゃないかってことも自負している。ぜひ楽しんでもらえたらと思いますし、ぼく自身も大好きなゲームのひとつ。どんどんゾンビファンを増殖させ、感染を広げていって欲しいな。このゲームで感染して、興味のない人まで感染させていって“SAVE THE ZOMBIE”と。(大場氏「次、何年後かには、東京国際フォーラムAを! そこでやりますか! 5,000人で!」に対して)そのとき、ぼくは第2弾を持っていきます! よろしくお願いします」とコメントした。

 PS3/Xbox 360用「デッドライジング2」は9月30日の発売を予定しており、価格は7,990円。CEROレーティングはZ(18歳以上のみ対象)。

【デッドライジング2:CASE 0】


【TAPE IT OR DIE.jp】


【トーキョー・ゾンビ・コレクション】
第2部ではゾンビ・ファッション・ショーこと「トーキョー・ゾンビ・コレクション」が行われた。ゲスト審査員の稲船氏、いとうせいこうさん、鈴木亜美さんの点数、さらには参加者の拍手で優勝者を決定。参加者4人は、それぞれ気合の入った特殊メイクとパフォーマンスで会場を大いに盛り上げた



いとうせいこうさん鈴木亜美さん





■ 稲船氏ミニインタビュー

 試写会終了後、稲船氏とゲストの鈴木亜美さんによる囲みインタビューが行なわれた。ここでは稲船氏とゲームに関する部分のみ抜粋してお届けする。

聞き手:「屍病汚染 DEAD RISING」で稲船さんがゾンビボイスをやられたということですが、どれくらい?

稲船氏: まぁ、ちょっとだけ。ほとんど加工してるんで、どれがやったかわからないんじゃないですか?(ご自身の出演について) 本当はヒッチコックみたいに出ようと思っていたんですけど、撮影期間が短すぎてですね、それをやっていたら遅れちゃうんじゃないの? って。言えなくなりましたね「俺、出る!」って。

聞き手: エンドロール終了後、オーバータイムモードとしてゲームとクロスオーバーさせるようなシーンが長く続きました。そこは「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」をイメージした?

稲船氏: そうですね。「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」は本当に衝撃的な終わり方。当然、意識はしました。凄く好きな作品なので……。ホラー映画でもなんでもそうですけど「助かった!」で終わっちゃうと、つまらないじゃないですか。「助かった!」で終わっていいのは普通の映画であって、やっぱりホラー映画は救われないっていうか。ぼくは常に必要なんだろうなーと思ってですね。だから「キャプテン・スーパーマーケット(死霊のはらわた3)」は(終わり方が)2バージョンあったじゃないですか。救われるのと、救われないバージョン。救われるバージョンを見て「ダメだ!」と思いましたね。やっぱりバカな感じがいいなぁ、って。

聞き手: 「デッドライジング2:CASE 0」から「デッドライジング2」本編への持込要素はありますか?

稲船氏: あります。レベルが上がりますので、そのレベルを引き継げる。最初から快適にプレイできます。

聞き手: 「デッドライジング2:CASE 0」は無料配信後に課金とのことでしたが、ボリューム的にどれくらい遊べるんでしょうか?

稲船氏: ケースを追っていって、最後倒すまでいって……初めてやって普通にいくと、早い人でも3時間以上かかるんじゃないですか? 普通にやると4~5時間遊べる。ワンコインで。4~5時間も遊べちゃう、お得!(一同笑)。

聞き手: 前作ではレベルが上がるごとに主人公が色々な技を覚えました。カプコンならではの「ダブルラリアット」とか、そういった遊び要素を含めた技はありますか?

稲船氏: 色々な技が(あります)。基本的に前作を踏襲してやってますので、前作の技に近い形で飛び蹴り、バックドロップ……フランク同様に遊べる。今回はCO-OPプレイもありますので、技を駆使してもらうと合体技のように扱えるんじゃないですか。

聞き手: 今回、首が外れるとか「デッドライジング」では(日本語版では)できなかった過激な表現がたくさん入っている。首が外れる以外に、ほかになにか例を教えてもらえますか?

稲船氏: そうですねぇ。首や腕が飛ぶとかだけじゃなく、刃物を持ったら、振り下ろしたところから切れますから。真ん中であれば真ん中、端っこであれば先っちょだけとか。そのあたりも、普通はプログラム的になかなかできないんですが。あらかじめ真っぷたつとか、横から切れるとか用意して当たり判定を見てやるんですけど、完全にそれ(当たったカ所)を見てやってますんで、色々な切り方ができる。あと、掃除機とか芝刈り機とか使うと、ゾンビの頭からつま先まで全部ミンチにできたりとか。のこぎりのついた掃除機を作ると、切り刻みながら吸い取れます(一同笑)

 花火とかもありますから……とにかく、ゾンビファンが痛快だと思うものは全部入れたつもりです。カナダで作ってるんで、ぼくらが出せるアイデア以上のものを出します。さすが欧米人は違うな! と。ぼくら以上にゾンビなれしてるところがあってですね。凄い彼らのアイデアは面白い。しょっちゅう、向こうから「こんなんどうだいイナフネ!?」っていわれたら「凄い、それやろう!」と。だいぶ助けられました。

聞き手: PS3「デッドライジング2」北米版では、「屍病汚染 DEAD RISING」ブルーレイのメイキング24分がつきますよね。Xbox 360版はDVDで24分。日本版では見られないんでしょうか?

稲船氏: 日本版は……ない……かな? 配信は、いまのところ考えてないんですけど。メイキングに関しては、密着でずっと撮ってたんで、24分どころか何時間も面白い映像があるんで、編集したらかなり面白くなる。好評であれば、色々な声があれば、配信とか色々な形でお見せしたいなぁと思います。

聞き手: 海外でもゾンビゲームばかり作っているメーカーがいくつかあります。たとえば「LEFT 4 DEAD」とか。稲船さんが一目置くようなメーカーはありますか?

稲船氏: 「LEFT 4 DEAD」よくできてますよ。よくできてて、あれ走らないと面白くないですね。シューターは走らせないと絶対に面白くならないとぼくは思ってて。だから「バイオハザード4」からゾンビは走りますよね。要は、銃で戦うと、完全に銃が勝っちゃうんですね。弾があればあるほど。それに負けないようにするには、ゾンビを走らせるしかない。「LEFT 4 DEAD」は、その部分がキッチリしてる。その場合「ゾンビが人間を狩る、襲う」なんですね。でも「デッドライジング」は人間がゾンビを襲うゲームにしてるんですね。ゾンビに襲われてない。工作室で武器を作って「よし、この武器を試してみよう!」って、ゾンビがたくさんいるところを探しにいって「よし、こい!」ってやるのね(笑)。映画でもやってましたけど「待たせたな、ゾンビ野郎!」の部分ですよね(一同笑)。それが「デッドライジング」なんです。実は、そういうゲームはどこにもないです。「デッドライジング」のライバル関係にあるゲームはまったくなくて、どこも真似できてない。「デッドライジング」目線で見たときには、一目置くゾンビゲームはない。でも、ゾンビゲームで見たときには、雰囲気とか考えると「LEFT 4 DEAD」は作れてますよね。

聞き手: CO-OPモードはチャックが4人出てくる形になるんですか?

稲船氏: そうですね。今回チャックでプレイしてて、どうしても倒せないというときに友だちを呼び出せば……チャックが出てきますけど、みんな違う洋服でプレイするから、同じにならないと思うんですよね。(顔は? ときかれて)顔も一緒です。同じ顔が嫌なら、サングラスかけたり。みんなしますよ、実際やっていくと。(みんなと一緒は)みんな嫌なんで。

聞き手: ゲロなんですけど「ストリートファイター 2」以来じゃないですか? カプコンさんで、こんなにゲロを出すなんて。ゲロ好きですよね?

稲船氏: カプコンはねぇ、さきがけてますよね! 「ストリートファイター 2」でゲロ出して、またゲロやるか! みたいな。ゲロとゴキブリは得意ですね(一同笑)。カプコンは結構ゴキブリを出します(笑)。

聞き手: まだ出ていない(発表されていない)コンボ武器でお気に入りはありますか?

稲船氏: 本当に使えないやつとかもあるんですよ。「なんだそりゃ?」みたいなやつもあるんですけど。それ、面白いんですよ。コンボカードを集めて「よっしゃ、コレ作ろう!」と思って作ったら「ナニ!?」っていうやつがあったりとか。あと、意外と格好よく使えるのは、鉄パイプと花火の組み合わせ。どう考えても鉄パイプは格好よくないし。これ絶対に殴るだけだろと思うじゃないですか。花火も、まぁ爆薬として使えるけど、そんなに格好よくないなぁと。組み合わせると、やたら格好いい。ランボーみたいになれますから(一同笑)。花火、結構使えますから。花火を見つけたら、必ずとっておいてください。

聞き手: お忙しいところ、ありがとうございました。




(C)CAPCOM CO., LTD. 2010 ALL RIGHTS RESERVED.
※画面写真はすべて開発中のものです。

(2010年 7月 19日)

[Reported by 豊臣孝和]