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VRなのに笑い声が絶えない!? PSVR「Social VR Demo」体験レポート
VRによる楽しいソーシャル空間。これはまさにVR時代の「PlayStation Home」だ!
(2016/3/18 15:59)
PlayStation VRの発表会後に行なわれた試遊会で一風変わったエリアがあった。「Social VR Demo」と名付けられたテックデモを体験できるエリアで、男女を問わず笑い声や奇声が飛び交い常に賑わっていた。たまに声を挙げる人がいるというレベルではなく、基本的に全員がそうで、会場隅で原稿を書いていてもうるさいと感じられるほどの盛り上がりだった。実際にプレイしてみると、筆者もついつい笑い声を上げてしまい、このDemoの凄さを思い知らされた。本稿では「Social VR Demo」から受けたSCEが目指すVRの未来像についてお伝えしたい。
「Social VR Demo」は、PSVRの可能性の一端を示すテックデモとして公開されたもので、開発はSCEWWSが担当しており、あくまでテックデモなため、タイトルはまだない。4人1組でプレイし、試遊エリアでは、3人がそれぞれ別々の方向を向いてプレイしていたが、実際には別室にいるガイド役のプレーヤーを含めた4人プレイのゲームで、ガイド役の案内に従って行動していくことになる。
「Social VR Demo」はその名の通り、極めてソーシャル要素の高いゲームで、ガイド役に名前を聞かれ、PSVRのマイクで答える。2本のPS Moveが両手の役割を担い、PS Moveを動かしてハイタッチで挨拶する。
マイクを通じてそのままボイスでコミュニケーションしてもいいが、特定のアクションをすることでエモーションを表現でき、それがまた楽しい。PS Moveをそのまま前に付きだして左右両方のトリガーを引くと、親指を上に突き立てる、いわゆるFacebookの“いいね”となり、それと同時に顔が笑顔に変わる。逆にPS Moveのボールを下にしてトリガーで、親指を下に付き下げるブーイング状態になり、顔もしかめっ面になる。トリガー+ボタンで手がげんこつに代わり、怒り顔となる。このシンプルなエモーションを使ってあれこれコミュニケーションを楽しむのがおもしろいのだ。
ゲームの世界は、子供用の積み木のような四角と丸と三角で構成されたシンプルなグラフィックスとなっており、キャラクターは任天堂のMiiのようなシンプルな装いのデザインで、エモーションに関連する白い両手だけがやけに目立つように描写されている。
全員が揃い、自己紹介が終了すると、ガイド役のボイスによる案内に従い、ボールが置いてある遊び場や卓球場、楽器のあるエリア、雪のエリア、ダンスホールなど、様々な場所に移動し、それぞれのインタラクションを楽しむことができた。移動はPS Move表面のボタンを使い、メインボタンで全身、その左右にあるボタンで、左右へ向きを変える。ややまどろっこしいが、キー操作でキャラクターをダイレクトに移動できるようにしてしまうとVR酔いが発生してしまうため、これは致し方ないところだと思う。
各エリアで行なえるインタラクションは、ボールを持って投げる、ボールを打ち返す、楽器を弾く、雪玉を相手にぶつける、両手を激しく動かして踊るなど、シンプルな内容ばかりだが、共に同じ楽器を引いたり、卓球をしたり、引き合戦をしたりなど相互のインタラクションが楽しさを倍加させる。エモーションによる顔の変化や、大げさに描かれた手の動きで、シンプルなアクションでも自然と笑いが起こる。
かつてSCEはPhil Harrison氏がSCEWWSのプレジデント時代に、PlayStation Homeというサービスを立ち上げた。それはPS3ユーザーが自分のアバターでバーチャル世界に入り、他のユーザーとコミュニケーションを取りながらチャットやゲームを楽しむというものだ。GDCで発表され、SCEが放つPSの新世代のコミュニティサービスとして注目を集めたが、旗振り役のHarrison氏が退社し、サードパーティーの協力もなかなか得られなかったことからサービスは終了してしまった。
「Social VR Demo」をプレイしていて感じたのは、今こそ「PlayStation Home」をPSVRで蘇らせるべきではないかということだ。かつてのようにリアルなアバターである必要はなく、まさにこの愉快なアバターで必要十分だと思う。自分自身が感じた楽しさや、他のユーザーの笑い声は“本物”だと思う。「Social VR Demo」はぜひ新時代の「PlayStation Home」として活かして欲しいと強く願う次第だ。