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「Splatoon」のサントラ「Splatune」レビュー

「シオカラ節」の歌詞、イカ世界的ライナーノーツが要チェック!

10月21日 発売

価格:3,456円(税込)

「Splatune」ケースを開けたところ
DISK2を取り出そうとすると、寝ているガールを見ることができる
「Splatoon」の世界では、流行に敏感な若者が主役。ファッションやミュージックなど、ゲーム内の至るところでトレンドを感じることができる

 任天堂のWii U「Splatoon(スプラトゥーン)」のサウンドトラックCD「Splatoon ORIGINAL SOUNDTRACK -Splatune-」が、KADOKAWAより10月21日についに発売された。価格は3,456円(税込)。

 「Splatoon」のゲームとしての魅力は過去レビュー記事でたっぷりお伝えしているが、「イカがインクで戦い合う」というこの独特の世界の構築には、イカたちのファッションやアートワーク、そして今回のサントラに収められているような音楽が非常に大きな役割を果たしている。

 「Splatoon」世界の描き方として興味深いのは、ステージやブキのデザインやファッション、音楽が個別に存在しているわけではなく、「イカの世界の若者たちが触れている文化」というコンセプトのもとで一体になって制作されている点にある。

 例えば補助能力を決める衣装「ギア」には性能面だけでなく、架空のファッションブランド名が表示され、いくつもあるブランドによってデザインや性能に一定の傾向が見られるようになっている。こうした要素はゲーム内では表立っては説明されないが、裏設定が数多く積み重ねられることで、プレーヤーが「Splatoon」の世界に入り込みやすい設計だ。

 そして音楽面では、「Splatoon」内に複数の音楽ユニット/グループが存在しており、彼らの音楽がイカたちに届けられている、という設定が盛り込まれている。アイドル2人組としてすっかり定着した「シオカラーズ」をはじめとして、テーマ曲「Splattack!」など演奏する4人組バンド「Squid Squad」、8月のアップデートより登場したピアノサウンドが特徴の3人組「Hightide Era」やイソギンジャク女子が所属する「ABXY」、さらにはタコによる「OCTOTOOL」なる謎のグループも存在しており、イカヒットチャートは常に賑わいを見せている。

【【Splatoon】Squid Squad「Ink or Sink」】
【【Splatoon】Hightide Era「Hooked」】
【【Splatoon】ABXY「Friend List」】
【【Splatoon】シオカラーズ「ハイカラシンカ」】
【【Splatoon】OCTOTOOL「Tacozones Rendezvous」】
いくつかの楽曲はYoutubeにて試聴が可能。グループが異なれば、楽曲の方向性ももちろん変わる

CDに付属する4種類の着せ替えジャケット

 バトル時にかかる曲が中心になっているだけあり、曲調は大体がアップテンポでありアゲアゲ。ギターサウンドをバリバリ効かせるなど、これまでの任天堂サウンドとはまた異なった方向性となっているのが面白く、イカたちが唄う独特の言語など人間界と似ているようでまったく異なる耳触りは多くのプレーヤーたちにとって印象深く残っているのではないだろうか。

 すっかり前置きが長くなってしまったが、「Splatoon ORIGINAL SOUNDTRACK -Splatune-」ではこれらのサウンドが一挙に聴けることとなる。ゲーム内ではamiibo「イカ」のチャレンジクリア特典である「イカラジオ」によって個別に聴けることは聴けたのだが、amiibo「イカ」は希少だし、トラック名も不明だしで、今回の音源化を待ち望んでいた方は多かったことと思う。

 さて「Splatoon ORIGINAL SOUNDTRACK -Splatune-」を購入してみての感想だが、当然楽曲をより気軽に聴けるようになったのは嬉しいのだが、想像以上の収穫はCDに付属するブックレットだった。

 このブックレット、面白いのはシオカラーズが唄う楽曲「シオカラ節」、「ハイカラシンカ」、「キミ色に染めて」の歌詞(日本語ひらがな表記)が掲載されており、そしてイカ世界のライターが書いたらしいライナーノーツが記載されていることにある。

 シオカラーズの楽曲は、歌詞が「や うぇに まれぃ みれきゃらひれ じゅり ゆ みれけらそん」(シオカラ節)といった感じで、エフェクトもかかって聞き取れるような聞き取れないような歌声になっているため、「シオカラーズと同じように口ずさみたい、できることなら暗記したい!」というヘビーなシオカラーズファンにとっては「何を言っているか」が長らくの疑問ではあった。

 そこへ来て、まさか公式からひらがな表記の歌詞が公開されるとは思っていなかった(しかも3曲も)ので、これは非常に嬉しい。ちなみにCDを開封してまず最初にやったことは、歌詞カードを見ながら「シオカラ節」を聴くことだった。

【Splatoon(スプラトゥーン) フェス映像 シオカラ節Ver.】
過去に公開された映像より。「シオカラ節」の公式歌詞公開は個人的にとても嬉しい

 またライナーノーツは、シオカラーズ、Squid Squad、OCTOTOOLについての解説が書かれている。内容は見てのお楽しみだが、イカ世界のことを全然知らない私達にとってもヒットチャートの背景が知れる名文ばかりで、資料としても貴重だ。ライターネームまで徹底しているので、細かい部分まで目を通しておきたい。

 さらに収録曲で注目しておきたいのは、インクに飛び込む音やブキの発射音などが聴けるSE集。みんな大好き「マンメンミ!」こと「ガール」の悦び音声も入っているほか、約1分にわたる「インクを往く」は誰得なのかわからない感じが良い。さらに、収録曲には「シオカラ節」の原曲「元祖正調塩辛節」もある。波音とざわめき声をバックにした民謡調の仕上がりで、シオカラーズの出身地「シオカラ地方」に思いを馳せることができる1曲だ。

 というわけで、いち「Splatoon」ファンとしては満足度が高く、筆者はブックレットを手に取りつつ、購入時より2枚組の全楽曲を全曲リピートで再生し続けている。購入を迷っているならば、ぜひこの機会に手に入れることをオススメしたい。

(安田俊亮)