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インディーゲーム開発者の集い「Indie Stream Fes 2015」が開催

AWARD授賞やライトニングトークなど熱気あふれる一夜のパーティ

9月19日 開催

会場:グラン・サウスオーシャンズ 海浜幕張

今年はUnreal Engine提供の樽酒で鏡開き
「INDIE STREAM AWARD」の発表と授賞が行なわれた

 東京ゲームショウ2015の開催3日目となる9月19日、インディーゲームクリエイターが集うイベント「Indie Stream Fes 2015」がグラン・サウスオーシャンズ 海浜幕張にて開催された。

 このイベントは、国内外のインディーゲームクリエイターや、インディーゲームのパブリッシャー、ミドルウェア開発会社など、インディーゲームに関係する人々の交流を目的に開催されたもの。ステージも用意され、イベントのスポンサー企業によるトークイベントや、来場したクリエイターによるライトニングトークなども行なわれた。

 中でも目玉イベントとなるのが、インディーゲームを対象としたアワード「INDIE STREAM AWARD」。選考委員をクリエイター、プラットフォーマー、パブリッシャー、メディアと幅広いメンバーが務め、応募されたインディーゲームの中から優れた作品を表彰した。

 最優秀賞となる「Best of INDIE STREAM」には、暴力的リズムゲーム「Thumper」が選ばれた。本作を開発したDROOLは、「Rock Band」などの音楽ゲームを手掛けてきたBrian Gibson氏とMarc Flury氏により結成された。プレイステーション 4とSteamにて2016年に発売予定。なお本作は「Best of TECHNICAL ARTS」および「Best of SOUND」も受賞しており、3冠を達成している。

【THUMPER Rhythm Violence Teaser】

 「Best of ART」および「Best of GAME DESIGN」は、iOS用アラームプレイングゲーム「dreeps」が受賞。開発したのは日本のインディーデベロッパー、夜間飛行。アラームをセットして遊ぶという斬新なコンセプトで、1月の発売以降、多くのゲームメディアなどでも取り上げられた。ドット絵で描かれたビジュアルも独特な世界観を表現しており、高い評価を受けている。

【dreeps - Alarm Playing Game: Release Trailer】

 「Best of NARRATIVE」賞は、韓国のSomi氏が開発した「RESTNOM」。フィールドにあるパーツを反転させるなどして組み替え、ルートを作って進むというアクションパズルゲームになっている。今回は、ゾンビウイルスに冒された娘を助けるために父が奮闘するというストーリー面と、その表現方法という点において高く評価された。

【RETSNOM Official Trailer】

 スポンサーのステージでは、日本マイクロソフトがID@XBOXについて登壇。先日発売されたワンオアエイトの「EARTH WARS」を例にしながら、参加費用無料で承認後に2台の開発機を提供すること、Unity Pro for Xbox Oneのライセンス、品質テスト、アップデート等も無料、1度の承認でワールドワイドに配信できること、Windows 10もサポートすることなどをアピールした。

 Unreal Engineのステージには、「Bloodstained: Ritual of the Night」を開発する五十嵐孝司氏とインティ・クリエイツの會津卓也氏が招かれた。Unreal Engine 4のメリットとして、利用者が多いことから来る情報量の豊富さや、モックアップ(試作版)を素早く作れることなどを挙げていた。

【スクリーンショット】
ID@XBOXの紹介には、ワンオアエイトの黒木崇氏が招かれた
Unreal Engineのステージには五十嵐孝司氏がムチを持って登壇

 ライトニングトークでは、様々なインディーゲーム開発者が持ち時間2分で登壇し、自らが制作したゲームやアイデアをアピール。日本マイクロソフトやSCEJA、その他パブリッシャーの関係者も参加するイベントだけに、各方面に売り込みを図る姿も見られた。

 記事としてステージをお伝えするとこういった内容になるのだが、「Indie Stream Fes」の価値は、ステージ以外のところにある。個人ないし少人数で開発されるインディーゲームは、その気になれば誰とも繋がりを持つことなく最初から最後まで作り上げることも可能だ。特に今の時代、PCやスマートフォンでの配信プラットフォームはいくらでもあり、それこそ家から出ることすらなくともソフトの販売まで行なえる。

 しかしゲーム開発においては、他のクリエイターの存在は大いに刺激になる。特にインディーゲームデベロッパーとしてさらなる高みを目指そうという人にとっては、同じ目標に向かおうとする戦友と出会えることは、自らを発奮させるインパクトを得られるだろうし、孤独なゲーム開発における清涼剤にもなるだろう。

 今回の会場は昨年よりもやや狭くなったが、来場者同士の距離が近くなったせいか、コミュニケーションはより活性化したように見えた。自分が作ったゲームをお互いに見せ合い、話をして、新たなアイデアを浮かばせるという場面も見られた。記事で伝えるのは難しいが、来場者から発せられる熱量が異常なほどに高く、取材に来た筆者も「開発者側の輪に混ざりたい、ゲーム作ってみようかな」と思ってしまうような空気がある。

 インディーゲームクリエイターが、全国、全世界から集まるイベントというのは決して多くない。東京ゲームショウという世界最大規模のゲームイベントに合わせて開催するからこそ成立する裏番組的イベントと言えなくはないが、ぜひ多くの開発者やメディアに知って欲しいイベントだ。来年の開催も予告されたので、興味を持った方はぜひインディーゲームコミュニティ「Indie Stream」にご参加いただきたい。

多数のプレゼンやライトニングトークが行なわれたが、最も重要なのは会場での開発者同士のコミュニケーション。他では味わえない熱気あふれるイベントだった

(石田賀津男)