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最新「Project Morpheus」で「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project」など体験

銃撃戦も、怪獣も、ホラーの主役も、夢みた世界も……!

7月21日開催

 ソニー・コンピュータエンタテインメントは、プレイステーション 4用VRシステム「Project Morpheus」のメディア向け体験会を開催した。この体験会は、E3 2015に行っていない人に体験してもらいたいという意味合いがあり、日本で速報記事担当をしていた筆者を含め、数人が体験させて頂いた。

 それぞれ10分程度の短時間ではあったが、5つの技術デモをプレイさせて頂いたので、その感想をお伝えしよう。

「The London Heist - Getaway」(SCE)

バイクに向かって撃ちまくり!

 犯罪者たちの世界にVRで加わるという“現実の中の非現実”を体験できる、その一体感が凄いと、早くも評判の高い「The London Heist - Getaway」。

 今回プレイさせて頂いたのは、高速道路でのカーチェイス&銃撃戦のシーンだ。運転している相棒となにやら会話しているところから始まるのだが、そのやり取りがものすごく自然。その存在感と生々しさたるや、「Summer Lesson」とはまた異なるフォトリアル系であり、“良い勝負”といった印象がある。

 ハイウェイを流しながら会話している場面は、まるで映画の1シーンのよう。だが、彼が話しかけている相手はプレーヤーこと自分自身だ。これまで幾度も使われてきた言い回しとは異なる次元で“映画の中の登場人物になりきったよう”。つい、映画の主人公気分で相棒の言葉に返事をしてしまう。

 操作はPlayStation Moveモーションコントローラを両手に持つ。それによってゲーム内でも両手を自由に動かし、何かを持ったり、銃を撃ったりを可能にしている。

 ちなみに車内には、缶ジュースが転がっているのでそれを取って飲む仕草をしたり、ポイッと捨ててみたり。助手席のダッシュボードを開けば中には銃のマガジンがたっぷりと入っていたり。さらに走行中の車のドアを開けて身を乗り出してみる……なんてことまでできる。

 細かな作り込みに感心していると、そこにバイクや車に乗った敵がこちらに発砲してきた! おいおいマジかよ! なんて思っていると、相棒がダッシュボードの上に銃を滑らし、それをキャッチ! すぐさま反撃!!

おそらく助手席から左のバイクか車へと銃撃しているところ

 実は筆者、このデモをプレイするのは初めてだし、プレイ前に操作や目的などの説明を全く聞かなかった。それでも、目の前に起きている出来事を理解し、銃を自然と手に取って撃てた。全て映画やゲームで学んだ作法ではあるが、「こういうシチュエーションが起きたらこう動く」というのを、そのまま身振り手振りでやれば、それで正解の操作になる。本当の意味で直感的なゲームだ。

 弾が尽きたらそこら中に転がっているマガジンを“掴み”、“グリップに近づけて交換”するのも大きなターニングポイントだ。今まで数多くのシュータータイトルでゲーム的なリロードをおそらく何千回もしてきたと思うが、筆者はこの日、身振り手振りとはいえ“初めて本当のリロードをした”!

 というわけで、「The London Heist - Getaway」は、日常では味わえないリアルをVRで体験するという方向に、非常に優れたデモだった。ゲーム性も豊かで、これまで続いてきた“ガンシューティング”、“FPS/TPS”のネクストステージになるかも……とすら思えた。

【スクリーンショット】

「The PlayRoom VR(Monster Escape)」(SCE)

左画面が「Project Morpheus」を装着して怪獣役をやっているプレーヤー視点、右画面は怪獣にモノを投げているプレーヤーだ。怪獣役の弊誌編集担当が、頭を振って避けまくっている

 PS4にプリインストールされている「プレイルーム」がVRにもやってくる! 今回プレイしたのは「The PlayRoom VR(Monster Escape)」という、「Project Morpheus」を装着している人が「大きな怪獣」役に、テレビ画面で遊ぶ人は「その怪獣から逃げたり、物を投げて撃退するヒーロー」役になるという、最大5人でプレイ可能なパーティーゲームだ。

 怪獣役の人は常に“怪獣の視点”となり、後ろを向けば自分の尻尾も見える。ビルより高い怪獣視点から見える世界は、まるでミニチュアの世界のようで、それもかわいい&面白い。プレイ中は「頭の動き」をPlayStation Cameraに検知させ、頭突きでヘリコプターを撃墜したり、ビルを壊しまくったりと大暴れ!

 一方、テレビ画面側のプレーヤーは怪獣が撃墜したヘリコプターなど降ってくるものを避けつつ逃げていき、追い込まれたところでヒーローに変身! 怪力でそこらのピアノやドラム缶、アーケード筐体などを怪獣に投げつける! 怪獣役は、ボクサーの如く頭を左右に振って避けていく。

 怪獣役の人は「Project Morpheus」ならではの「360度の3D世界&怪獣視点の体験」が楽しめるし、テレビ画面で遊ぶ側もコミカルにワイワイと楽しめる。こういう組み合わせも可能なんだ、アイデア次第でいろんな遊びができるんだ、ということを上手く示しているデモだ。

【スクリーンショット】
左がヒーロー側の視点。ヒーロー側は普通のディスプレイを眺めて、DUALSHOCK 4でヒーローを操作する。モンスターを見上げながら逃げたり攻撃したりこれまでのゲームに近い操作となる。右がモンスター視点。「Project Morpheus」を装着し、常にヒーロー達を見下ろした1人称視点となっている。1人称視点なので、後ろを見ると自分のしっぽが見える

「KITCHEN」(カプコン)

「KITCHEN」プレイ中のGAME Watch編集担当。上の写真は、おそらく背後に何か気配を感じたのだろう。下の写真はビクッとした瞬間! だが、これぐらいのリアクションはむしろ普通で、会場には悲鳴が響くときも!

 こちらはカプコンによるホラーテイストの技術デモ。プロデューサーは「バイオハザードリベレーションズ」シリーズの川田将央氏。川田氏といえば、ユニバーサルスタジオジャパンでの「バイオハザード」アトラクションのプロデュースなども携わってきただけに、そこで得た体験する恐怖の演出経験というのも、「KITCHEN」には活かされているかもしれない。

 なお、「KITCHEN」は恐怖が魅力なだけにネタバレしてしまうと、それが半減してしまう。それだけに内容はお伝えできないのだが、プレイした人の反応は、基本的に肩がすくみっぱなしになり、危険を避けようと身をよじり、人によっては「うわぁ!」とか、「やだやだ、もう嫌だー!」という絶叫まで!

 「自分自身がホラーの主人公であり、目線であり。それを体験すると、どんな恐怖になるのか?」が味わえた。肌感覚に錯覚を起こさせるような迫力と恐怖が待っている。この技術デモから、どんなゲームに繋がっていくのか……? 楽しみになる。

「SEGA feat. HATSUNE MIKU Project: VR Tech DEMO」(セガゲームス)

PlayStation Moveをサイリウムとして振る編集担当。あくまでライブ空間をVRで作ったらしたらどうなるかの実験的な意味合いが強く、この技術デモには操作や仕掛けはあまりないのだが、新しい体験型音ゲーの方向が感じられる

 ライブ会場のアリーナ最前列で初音ミクが歌って踊る姿を楽しめる技術デモ。2次元の世界をその身で楽しめる、まさに夢の体験だ。プレーヤーは片手に持ったPlayStation Moveモーションコントローラをサイリウムに見立てて振り、アリーナ最前列でのライブ体験が楽しめる。

 セガゲームスの「初音ミク」と言えば、その動きの豊かさや滑らかさにこだわりがあるタイトルだが、このVR技術デモではそこに“360度の世界と、3Dでの初音ミクの存在感”が加わってくる。元気いっぱいに踊り歌う初音ミクが目の前ドアップに迫ってきたり、自分と目が合ってなんだか照れたり。

 リズム良くサイリウムを振っているとPlayStation Moveが振動し、空に向かって光のエフェクトが放たれたりと、VR空間ならではの“現実にはできない演出”がてんこもり。存在感のあるステキドリーム空間が楽しめる。

【スクリーンショット】

「Summer Lesson E3 2015 Demo」(バンダイナムコエンターテインメント)

「Summer Lesson」初体験だった弊誌担当。アリソンが目の前に迫ってきたときなど緊張の様子が感じられた。だが、その様子こそ3Dモデリングのキャラクターに距離感や存在感を感じている証だ

 E3 2015バージョンとなり、旅行中のアメリカ人ミュージシャン「アリソン」と、日本語を教える先生としてコミュケーションを楽しめるようになった、最新の「Summer Lesson E3 2015 Demo」。

 こちらについては佐藤カフジ氏の連載「佐藤カフジのVR GAMING TODAY!」でタイミング良く、詳しく取り上げられているので、こちらでの詳しい説明は不要だろう。

 最初の「日本のキャラクターバージョン」もプレイした筆者としては、海の目の前というシチュエーション、日本家屋の軒先という光景、アリソン自身のモデリング、夏の強い陽射し、伸びる影……などなど、いずれも以前のバージョンとは異なるリアリティと存在感を発しているのが実感できた。閉鎖空間ではなく外の景色を広く見せていたりと、以前のバージョンではあえてやらなかった方面への実験が行なわれている。

 個人的に凄みを感じたのは彼女の「肌の質感」だ。ぐいっと顔を寄せて腕や顔をできるかぎりアップで見てみたりもしたが、きめ細やかで透明感も感じられる。得てしてこういうものは近くに寄ればアラが見えるものだが、「Summer Lesson E3 2015 Demo」においてはむしろ逆。かなりリアルな生の肌感を伝えてくる。そうしたところもあって前回よりもドキッとした場面も。着実に進化を遂げているという印象だった。これがどんな作品へと繋がっていくのか? やはり、期待せずにはいられない。

【スクリーンショット】

(山村智美)