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「League of Legends」の頂上決戦「LJL 2015 Season1 Final」レポート

プロ化を果たしたあのチームが驚異の3タテで優勝!次は世界大会「IWCI」へ

会場の様子

  3月29日、「League of Legend(LoL)」の国内トップチームが集まるリーグ戦「LEAGUE OF LEGENDS JAPAN LEAGUE 2015(LJL 2015)」の第1シーズン決勝戦「LJL 2015 Season1 Final」が、ベルサール秋葉原の特設会場で開催された。

 「LJL 2015」は株式会社SANKOが主催する「LoL」の国内トップリーグ。選りすぐりの6チームが12週間にわたって総当り戦を行ない、勝ち点上位2チームがプレーオフで直接対決してシーズン王者を決めるというレギュレーションだ。

 1月24日に開幕(関連記事:http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20150126_685385.html)した第1シーズンでは、2014年の年間王者“DetonatioN Focus Me”と、その元サテライトチーム“DetonatioN Rabbit Five”が勝ち点上位1位2位を獲得。その2チームが、シーズン1の優勝および4月下旬にトルコで開催される国際大会「International Wild Card Invitational(IWCI)」への出場権獲得を巡り、この会場で直接対決した。

 ちなみに「IWCI」はRiot Gamesによる「LoL」の公式な大会のひとつで、5月に米国で開催される本大会「Mid-Season Invitational」への出場権をかけ、大規模リーグを持たない各エリアのチャンピオンが競い合うというもの。これには日本、トルコ、ブラジル、オセアニア各国、ラテンアメリカ各国、CIS各国、東南アジア各国からの代表チームが参加する。アメリカ、ヨーロッパ、韓国、台湾といった「LoL」強豪エリアは本大会へ直接出場できる権利を持っているため出場しない。つまり「IWCI」は、サッカーのワールドカップ予選でいうところの大陸間プレーオフの概念に近い国際大会だ。

 直接の本大会出場はまだできないとはいえ、勝利さえすればそこに至れるという切符を日本のチームが手にするのは初のできごと。それだけに今回開催された「LJL 2015 Season 1 Final」は、日本の「LoL」界が世界に羽ばたくためのきっかけを作る、記念碑的な意味合いを持つ大会となった。

DetonatioN Focus Me
DetonatioN Rabbit Five

3タテで圧倒!日本唯一のプロチーム“DetonatioN Focus Me”の強さ

大入りとなった会場。後方では立ち見の大混雑
完全に仕切られた選手ブース。国際大会の基準を満たすレベルの設備だ
優勝チームは国際大会への出場権を獲得

 この日、ベルサール秋葉原の会場には数百人のファンが来場。大入りの盛況の中、“DetonatioN Focus Me(以下Focus Me)”と“DetonatioN Rabbit Five(以下Rabbit Five)”による直接対決が開催された。ルールはBO5。5ラウンド中、3ラウンドを先取したチームが勝利するというレギュレーションだ。

 「LoL」は1試合に30分から1時間ほどもかかるゲームなので、もし5ラウンドをフルで戦ったならば、ほとんど半日がかりの長丁場になる。また、「LoL」はとても知識が求められるゲームだ。例えば、各チームメンバーがプレイ時に選択するキャラクター(チャンピオン)は全体で100種類以上もあり、それぞれに固有のスキルや、セオリーとなる戦術、最適なアイテムの構成が異なってくる。そういったチャンピオンが各チーム5名、どのように連携し戦うかといったゲームの流れも多種多様だ。このため、試合の中で行なわる各選手の駆け引きや判断の意図を把握するためには、見る側にもかなりのプレイ経験が求められる。

 それほど観戦側に多くの負担を強いるe-Sportsとしての「LoL」だが、その奥深い魅力は、3~400人は収容できるであろう本会場を足の踏み場もないほどの満員にする力を持っていた。Twitchおよびニコニコ生放送で行なわれたライブストリーミングもそれぞれ延べ40,000人あまりが視聴するという盛況で、日本の「LoL」ファン層の広がりを印象づけている。

 それだけに、この大会が大手6社によるスポンサーシップを得、また、トップチームのひとつであるFocus Meが正式にプロ化(プレーヤーに対し、チームから給料が支払われる)を果たしたというのも頷ける話だ。世界的に盛り上がる「LoL」プロリーグの波が、ここ日本でも大きなうねりを生み出そうとしているというわけだ。

 そういった注目度の高さに加えて、このプレーオフには世界大会への切符「IWCI」への出場権もかかっている。勝てば、日本で初めての「代表チーム」として各国のトップチームと同じ土俵に上がることができるのだ。背景に様々なものを孕んだ大舞台の中で、出場2チームは真剣な面持ちで試合へと臨んでいった。

3ラウンド先取、長丁場の試合に臨む選手たち
多くのメーカーのスポンサーが付いた。写真はマウスコンピューターとIntel Club Extreme
チャンピオンのピック。もう駆け引きが始まっている
序盤から積極的にドラゴンを狩るFocus Me
ラウンド1の終盤ではRabbit Fiveが集団戦でドラゴンを横取りするも、成功したのはこれ1回だけ
バフを大量に溜め、敵陣を圧倒するFocus Me

 ラウンドの開始にさきだち、各プレーヤーがチャンピオンの選択(ピック)を行なう時点でどよめきや歓声が上がるというのも来場者のレベルの高さを表していて面白いが、試合のほうも一瞬も目を離せないほどのハイレベルな戦いとなった。

 やはり、勝負の華形となるのはADC(Attack Damage Carry:集団戦での火力担当プレーヤー)だ。ADCを担ったFocus MeのYutapongo選手、Rabbit FiveのZerost選手はともに頻発する集団戦で複数キルを取る活躍や、一見不利に見える状況からどんでん返しを起こすといった立ち回りを見せ、試合を通じて多くの見どころを作っていた。

 しかし、全体を通して上回っていたのはFocus Meのほうだ。マップ中の視界を獲得するためのワードの配置・管理や、チーム全体へのバフを得るドラゴン、バロンといったレアNPC狩りへつながるジャングルの管理と言った点で、Focus Meは常時上手を取る。特に差がついたのはドラゴンのキル数だ。

 第2ラウンドではFocus Meがドラゴンの5キルを達成。ドラゴンは倒すごとに様々なバフが得られるのだが、5キル目ではそれまでに得たバフの効果がすべて倍増するという決定的な効果がある。方やRabbit Fiveのほうは敵方のドラゴン狩りに合わせて奇襲を行ないほぼ全滅に追いやるなど集団戦での強さを見せたが、バフによりジワジワと開いていく戦力差は覆せず。この面では、Focus Meでジャングルを担当していたAstarore選手の働きが黒子として決定的な効果を果たしていたといえるかもしれない。

 終盤までチャンピオンキル数が拮抗していても、ジャングル管理の差はラウンドの終わりに近づくほど重くのしかかってくる。最も接戦となった第1ラウンドで見えたその傾向は、第2ラウンドでさらに顕著になった。ボトムレーンを中心に発生した駆け引きでも優位に立ったFocus Meは圧巻のドラゴン5キルを達成。強烈なバフを得て一気にRabbit Fiveを押し潰すという、危なげのない横綱相撲で勝利を果たしている。

 安定感のあったFocus Meに対し、Rabbit Fiveは連携の細かいミスが痛手となった。1対1の戦いで遅れを取ることはなかったものの、集団戦の撤退・追撃のタイミングでうっかり陣形が間延びしたり、きっかけとなる初撃を外してしまったりといった、ほんの少しの違いが積み重なった。それが第2、第3ラウンドでは圧倒的なチャンピオンキルの差とドラゴンキルの差となって現われた格好だ。

 こうしてFocus Meは3ラウンド連続で勝利。ストレートで「LJL 2015 Season 1 Final」の優勝を勝ち取り、「IWCI」への出場権を獲得した。この安定感は、各プレーヤーの才能もさることながら、正式にプロ化が決まった頃から続けているゲーミングハウスでの集中練習、および世界各国のプロチームとの練習試合の経験などによるものだだろう。負ける要素がひとつもないという差を見せつけての勝利だ。

ボトムレーンの掛け合いをうまくいなしつつ、タイミング良くドラゴンを取りに行くことで序盤から試合をリード
いちど火力差が生まれ始めると、最後のひと押しは非常にスピーディ。ラウンド3は30分での決着となった

国際大会「IWCI」に向けて、DetonatioN Focus Meは優勝を誓う!

優勝のトロフィーを掲げるFocus MeのCeros選手
感極まって少し涙ぐみながらコメントを発したDetonatioN代表の梅崎氏
4月下旬に開催される「IWCI」で、世界大会の頂点を目指すDetonatioN Focus Me

 優勝を果たしたDetonatioN Focus Meには優勝賞金20万円のほか、優勝トロフィーと「IWCI」への出場権が授与された。優勝の喜びに湧くFocus Meメンバーは試合後、この日の戦いの感想と国際大会への抱負を述べている。

 チームアナリスト KazuXD選手:「最高に嬉しいですね。IWCIでも、1勝ではなくて優勝を目指します」。

 ADC Yutapon選手(MVP獲得):「やりきった感がありますね。疲れました。次は世界なので、勝つためにはまず練習をシなければいけないなと思います。がんばりますので応援よろしくお願いします」。

 Mid Ceros選手:「倒したり倒されたり、楽しいレーニングでしたね。これから世界に羽ばたくFocus Meをよろしくお願いします」。

 Jungle Astarore選手:「3試合目は本当に楽しかったですね。やりたいことが全部できました。これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします」。

 Top BonziN選手:「今日も耐えて耐えて、耐えまくるゲームでした。でも兄貴分の面目を保ててよかったと思います。これから世界で頑張っていきますので、引き続き応援をよろしくお願いします」。

 チームマネージャー LGraN(DetonatioN代表 梅崎伸幸氏):「ゲーミングハウスができて、プロゲーマーとしての活動を初めて、私自身も、選手たち自身にも相当なプレッシャーがあったと思うんですよ。シーズン途中には負ける試合もあったりとか、その中でどうやったら勝てるのかということをずっと悩み続けて。でも今日は3-0という素晴らしい結果を出せて、本当に良かったと思っています。Rabbit Fiveについては、シーズン開始時には正直、最下位を争うチームになるかなと思っていたんですけれども、本当にこの決勝の舞台にまで上がってくるとは思っていませんでいた。選手のみんなには感謝してもしきれないと思っています。ありがとうございます」。

 また、DetonatioNを率いるチームマネージャーLGraNこと梅崎氏は、世界大会に向けてのコメントを求められ、「Focus Meは海外のプロチームを中心にずっと練習をしています。何回も勝ったりもしているので、IWCIでは必ず優勝して、Mid-Season Invitationalにも出場したいと思っていますので、皆様応援よろしくお願いします」と、会場のファン、ライブストリーミングの視聴者にむけて国際大会での活躍を誓った。

 国際大会が明けての5月28日には「LJL 2015 Season 2」も開幕する。「LoL」ファンの皆さんは是非、日本唯一のプロチームにして公式大会の日本代表にもなった“DetonatioN Focus Me”の活躍に注目していこう。

(佐藤カフジ)