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アートディレクター吉田明彦氏が語る“斜め45度から見た世界”へのこだわり

吉田氏がもっともこだわる「キャラデザ」。ここにも斜め45度のこだわりが!

吉田氏がもっともこだわる「キャラデザ」。ここにも斜め45度のこだわりが!

ヒーラーのイメージイラスト
ヒーラーの3Dモデル

 そして最後に紹介されたのは吉田氏の魅力の源泉と言っても過言ではないキャラクターのレンダリングについて語った「量産とクオリティ双方を優先させた開発体制」。ここではヒーラーのキャラクターモデルがボツイラストも含めて公開され、1枚のイラストが、美しいプリレンダーカットに仕上がるまでが解説された。

 「リトル ノア」のキャラクターデザインについては「苦労していない」と即答し、意外にもプリレンダーを使うゲームは今回が初めてだったことから、プリレンダーならではの造形も入れてみたいと思い、色気を出したという。具体的には、通常時は、マントの中に隠れている手を、バトルモーションや走るときだけ出すというもの。この処理はリアルタイムレンダリングだと禁じ手だというが、プリレンダリングだといいでしょということで、嫌がられつつもやって貰ったという。まさにこのこだわりが吉田流である。

 ちなみに今回公開されたヒーラーのキャラクターモデルは、上段の2つのみが採用され、ほかは代案のひとつのため不採用だという。皆葉氏が不採用のひとつを見ながら「コウモリ耳は絶対回復してくれなさそう」と突っ込むと、「自分の中では回復キャラじゃないつもりと切り返し、谷本氏が「吉田さんお得意の猫耳とフード……」と言いかけると、「猫耳じゃない。たぶんネズミかな(笑)」と切り返し、独自のこだわりを見せつけた。

 プリレンダーモデルについては、ライティングと素体についてのこだわりを語った。ライティングについては、どのキャラクターでも同じようなライティング効果、立体感が得られるように汎用のライトセットを作ったという。キャラクターについては、可愛い女の子キャラクターが多数登場するため、まずはベースとなるキャラクターを裸体の状態で素体データを作成し、同じ素体をコピーして使いながら、目のテクスチャや髪型を変えたりすることでバリエーションを生み出していくという。これによりキャラクターコンテンツを効率よく量産できるようだ。谷本氏によればこのアプローチはCygamesとしても非常に参考になっているという。

斜め45度からの見た目にこだわるために鼻の影の出方を5パターン作成
斜め45度からの見た目にこだわるために、キャラクターのフードを下げ、顔を後ろにそらしている

 キャラクターモデルについてもまた、“斜め45度からの見た目”へのこだわりに満ちていた。1つは、吉田氏が完成したキャラクターモデルを、斜め45度の視点から見た際の“鼻の影の出方”が気に入らず、5パターン作り、微調整を繰り返したという。

 スライドには微妙に鼻のデザインが異なる5人のヒーラーのキャラクターが斜め45度の角度から表示されていたが、少し距離があるためか、どれが採用データかわからなくなり、「どれが採用だっけ? 今考えるとどれでも良かった。怒らないでね(笑)」と、自分自身違いがわからないことを正直に告白し笑いを誘っていた。

 もう1つのこだわりはアニメーションパターン。斜め45度の視点から見ても、キャラクターの全景が良く映るように、頭を覆うフードを下げ、顔を後ろにそらしているのだという。これを普通の視点で見ると、変な格好のおかしなモーションになっているというが、これが斜め45度の世界では可愛く見えるのだという。

 今回のセミナーでは、吉田氏の“斜め45度の世界”に対する数々のこだわりが語られた。こだわりが詰まった「リトル ノア」は、2月12日のサービスインが予定されている。そのこだわりを体感すべく、ぜひ一度試してみてはいかがだろうか?

【現在開発中のタイトル】
セミナーの最後に現在開発中のタイトルの映像が公開された。1タイトルは、現在先行登録中の「ペーパーダッシュワールド」。もうひとつは縦持ちスタイルでプレイするアクションRPG。そのほかにも開発しているタイトルがあるという

【LINE ペーパーダッシュワールド Promotion movie】

(中村聖司)