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NVIDIA、最新Maxwellコア搭載の最新GPU「GeForce GTX 960」を発表

DirectX 12対応、OC耐性も良好な普及価格帯のハイパフォーマンスGPU

1月22日出荷開始



市場想定価格:30,000円前後

 NVIDIAは1月22日、新GPU「GeForce GTX 960」を正式発表した。搭載ビデオカードは各ベンダーより本日から順次発売される。価格は30,000円前後。

各社より発売予定のGTX 960搭載ビデオカード例。オーバークロックモデルもある
PCゲーマーに最も使われているミドルクラスの製品となる

 GeForce GTX 960は昨年9月に販売が開始されたハイエンドモデルGeForce GTX 970/980の普及版という位置づけで、最新のMaxwellコア「GM206」を搭載。前世代のKeplerコアを搭載したGeForce GTX 660/760に比べるとほぼ2倍の電力効率を達成しており、低消費電力で高いパフォーマンスを発揮するミドルクラスのGPUとなる。

 発表会にて説明を行なったNVIDIAのJustin Walker氏によれば、先行して発売されたGeForce GTX 970/980搭載ビデオカードは昨年のうちに世界で100万個以上を売り上げ、高価なハイエンドGPUとしては空前の成功を収めたという。今回発表されたGTX 960はその特徴を受け継ぎ、コストパフォーマンスの高さから、ゲーミングPC用としては今なおナンバーワンのシェアを誇るというGeForce GTX 460/560/660/760からの置き換えを狙ったものだ。

 基本機能としてはDSR(Dynamic Super Resolution)やMFAA(Multi-Frame Anti Ailiasing)、DirectX 12対応などなどGeForce GTX 900シリーズとしての最新機能を網羅。搭載ビデオカードはGTX 660/760と同様の価格帯(3万円前後)で販売される見込みだ。

高いOC耐性に加え、ファンレスでMOBA系ゲームが60fps駆動

GTX 960のブロックダイアグラム
GTX 960の基本スペック
「FarCry 4」でのデモの様子

 GeForce GTX 960は、先行発売されたGeForce GTX 970/980に搭載された第2世代Maxwellコア「GM 204」のマイナーチェンジ版となる「GM206」を搭載し、TDPは120W、CUDAコア数は1,024個。プロセスルールはGM 204と同じ28nm。GeForce GTX 980と比べるとCUDAコア数とメモリバス(128bit)が半分となっているが、コア周波数が若干ながら上がっており、消費電力が少ないぶんオーバークロック耐性も高い。

 発表会で披露されたデモでは、最新のPCゲーム「FarCry 4」でのパフォーマンス比較が行なわれた。解像度は1080p、グラフィックスオプションをVERY HIGH~ULTRAの最高品質に設定した上で、アンチエイリアスとオーバークロックを調整した際のフレームレートは以下のとおり。

・MSAA×4 オーバークロックなし:39FPS
・MFAA×2 オーバークロックなし:47FPS
・MFAA×2 オーバークロックあり:54FPS

 この際、オーバークロックはコアクロックで+120MHz、メモリクロックで+600MHzという大幅な調整を加えており、GTX 960のオーバークロック耐性の高さを伺わせる。フレームレートとしてはGTX 900シリーズ独自のMFAAを使用することで映像品質を下げることなく2割以上の向上を見せており、オーバークロックと組み合わせることで「FarCry 4」を最高品質で60fps近くまで引き上げられることが確認できた。

ビデオカード付属ツールでオーバークロック幅を調整
個体差はあるものの、コア1,500Mhzまでのオーバークロックが可能という
負荷の低いMOBA系ゲームでは極端に低消費電力で駆動できる
フルパワーを使えばDSRによる擬似4K駆動も可能

 また、負荷の低いMOBA(Multiplayer Online Battle Arena)系のゲーム(「League of Legends」や「DotA2」など)では、高いパフォーマンスを出しながら、なおかつ消費電力を抑えることで静音化も可能だ。発表会ではこれも実際にデモが行なわれた。

 MOBA系の代表格「League of Legends」を60fpsで動作させた際、GPUの消費電力はおよそ30Wで済む。しかもこの消費電力ではGPUの発熱も抑えられ、ビデオカード備え付けの“ファンが完全に停止した状態”でゲームが続けられていた。CPUファンも静音化できれば騒音ゼロの環境でMOBA系ゲームがプレイできるというわけで、NVIDIAとしてはこのGeForce GTX 960を「Perfect for MOBA Gaming(MOBAに最適なGPU)」と位置づけている。

「LoL」では激しいバトルシーンでも負荷はほとんどかからないようだ
デモ中のPC。ビデオカードのファンは全く動いていなかった
GTX 900シリーズ独自のアンチエイリアス技術であるMFAAはこれま使用可能なゲームが限られていたが、今後はドライバのアップデートでほぼすべてのゲームで使用できるようになるという

G-Syncモニタも更に登場。「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」バンドルキャンペーンも

機能上の主な特徴はGTX 970/980と同等
DirectX 12にも対応可能
ACER「XB 270HU」。G-Sync対応でIPS×144Hzというハイエンドなモニター
ASUS「ROG PG27AQ」。G-Sync対応のIPSパネルで4K解像度を実現

 非常に高い電力効率とオーバークロック耐性によるパフォーマンスを両立させているGeForce GTX 960は、機能的にもハイエンドのGeForce GTX 970/980と同様にDirectX 12対応の準備が整っており、今後発売される最新ゲームに幅広く対応可能なGPUとなる。

 またGeForce GTX 600シリーズ以降(Kepler以降)に対応しているNVIDIA独自の可変リフレッシュレート機能「G-Sync」も当然利用できる。対応モニターもさらに拡充されていく見込みで、今後数カ月のうちにはAcer、ASUSから相次いでIPSパネル搭載のG-Syncモニターが発売される予定だ。

 このうちAcerのモニターはIPSパネルで144Hzの高リフレッシュレートを実現しており、解像度も1440p(2,560×1,440ドット)と今いちばん使いやすい解像度を確保。対するASUSは、1440pよりもさらに高解像度の4K IPSパネル(3,840×2,160ドット)を搭載するモデルとなり、G-Sync対応モニターとしては最高の解像度を持つ製品となる。高解像度環境で常時60fpsの確保が難しいケースにおいて、G-Syncによる可変リフレッシュレートが動画の滑らかさを確保する上で大きな役割を果たしそうだ。

 GeForce GTX 960を搭載したビデオカードは本日より順次発売されていくが、NVIDIAでは最新のGeFroce GTXシリーズ全体を対象としたバンドルキャンペーンを本日より実施する。

 「メタルギア、GeForceでPCに帰還バンドルキャンペーン」と銘打ったこのキャンペーンは、1月22日23時より6月30日までの期間、GeForce GTX 760以上のGPU製品でキャンペーン対応の表示があるパッケージを購入すると「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」のSteam用コードを入手できるというものだ。

 「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」のPC版はNVIDIAの技術協力を受け、GeForce GTXシリーズで最適な動作を得られる作品だ(関連記事)。なお、「PCに帰還」というのは、「METAL GEAR」シリーズの初代作がMSXのゲームであったことに由来する。

 1080pの最高画質で各種ゲームを楽しめ、擬似4Kによるさらなる高画質や最新のG-Sync対応モニターの利点を活かせるGeForce GTX 960。3万円前後という価格で入手できることもあり、今後しばらくはゲーミングPCにおけるメインストリームのGPUになりそうだ。

GTX 960搭載ビデオカードの発売に合わせ、「METAL GEAR SOLID V: GROUND ZEROES」のPC版がゲットできるキャンペーンを実施
各ベンダーから発売予定のビデオカード製品の一部
ACERのG-Sync対応1440p×144Hzモニターがデモされていた。視野角が広く動きも滑らかだ

(佐藤カフジ)