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日本HP、新ブランド「OMEN」でゲーミングノートPC市場に初参入

激戦区の“薄型ハイエンドゲーミングノート”に業界最薄&精密デザインで殴り込み

【HP OMEN 15-5000】

12月17日発売



価格:199,800円(税別)より

 日本ヒューレット・パッカードは12月17日、ゲーミングノートPCの新ブランド「OMEN(オーメン)」を正式発表し、その第1弾となる「HP OMEN 15-5000」の発売を開始した。取り扱いは日本HPのオンラインショップ「HP Directplus」限定で、価格は199,800円。

「HP OMEN 15-5000」
業界最薄となる15.5mm(最薄部、ゴム含まず)を実現
他のHP製品と同様にかなり大きめのスライドパッドが採用されている。別売のゲーミングマウスの使用が推奨されている

 個人向け、法人向けを問わずあらゆる分野にリーチできる豊富なラインナップを擁する日本HPだが、これまで唯一進出していなかった分野がゲーミングPCとなる。デスクトップ向けの最上位ブランド「ENVY」シリーズにゲーミングモデルが存在するが、ゲームに特化した機能を備えているわけではなく、ゲーミングPCとしては今回の「OMEN(オーメン)」が初参入となる。

 ただ、ゲーミングPCの遺伝子そのものは、米HPによるVoodooPCの買収、北米展開で培われており、「OMEN(前兆、良い兆候)」というブランド名は、新しい世代のゲーミングPCに対するHPとしてのコミットメントという想いが込められているという。ちなみに2008年に「HP Voodoo Omen」と名付けられたゲーミングPCが米国で発売されている。

 今回発表されたモデルは「HP OMEN 15-5000」のみで、BTOにも対応せず、スペックもメモリ以外は決め打ちとなる。この理由について日本HPでは「CPUやGPUのスペックを変えてしまうと本モデルのウリである放熱、排気等の設計が変わってしまうため、あえて固定にした」と説明している。本モデルの状況を見て、BTOへの対応や、多様な液晶サイズへの対応などを検討していくという。

 基本スペックについては、まずモニターは、15.6インチのIPSパネルを採用したフルHD(1,920×1,080ドット)液晶となる。ゲーミングノートとしては珍しい、タッチパネルに対応したグレア液晶で、ブラウザゲームなどちょっとしたゲームはタッチパネルで楽しむこともできるが、映り込みが苦手なゲームファンには注意が必要だ。

 CPUはIntel Core i7-4710HQプロセッサー、GPUはNVIDIA GeForce GTX 860M、メモリは8GBオンボードもしくは16GBオンボードから選択できる。ストレージは256GB SSDで、ディスクドライブは付かない。ちなみにGPUに現在主流のGeForce GTX 900Mシリーズを採用しなかった理由について、ドライバーの安定性と、放熱処理を前提とした薄型シャーシを実現するためだという。「HP OMEN 15-5000」シリーズの基本スペックは以下の通り。

HP OMEN 15-5005TX

・CPU:Core i7-4710HQプロセッサー
・メインメモリ:8GB(1600MHz、DDR3L、SDRAM)
・グラフィックス:GeForce GTX 860M
・ストレージ:256GB SSD
・光学ドライブ:なし
・OS:Windows 8.1 Update(64ビット)
・価格:199,800円(税別)

HP OMEN 15-5005TX

・CPU:Core i7-4710HQプロセッサー
・メインメモリ:16GB(1600MHz、DDR3L、SDRAM)
・グラフィックス:GeForce GTX 860M
・ストレージ:256GB SSD
・光学ドライブ:なし
・OS:Windows 8.1 Update(64ビット)
・価格:224,800円(税別)

【こだわった本体デザイン】
「HP OMEN 15-5000」は単に薄いだけでなくデザインにもこだわっている。トライアングルドットのテクスチャ・パターンを採用した表面のほか、焼けたマフラーのような塗装が施されたヒンジの下には、真っ赤にライトアップされる排気口が設けられている

ベンチマーク結果は、今年登場したGeForce GTX 900Mシリーズには及ばないものの、PCゲームをプレイするには十分なスペックを備えている
サーマルテストは、かなり優秀な結果

 「HP OMEN 15-5000」は、現在のゲーミングノートPCの主流である“薄型ハイエンド”を追求したゲーミングノートとなる。この分野はMSIやRazerなどゲーミングノートPCをメインで扱っているメーカーが主戦場としている分野で、この近年急成長を遂げつつある分野に業界大手のHPが殴り込みを掛ける構図となる。

 「HP OMEN 15-5000」がこだわったのは「ルックス」と「排熱設計」、そして「ゲーム機能」となる。

 まずルックスについては、完全新設計のシャーシを採用。レーシングカーからインスピレーションを得たという微細なサンドブラスト仕上げとアルマイト処理を施し、スタイリッシュで美しいデザインを実現している。また、接続デバイスが邪魔にならないようにポート類はすべて背面に集約されている点も美しさに一役買っている。

 ルックス面での最大の特徴は薄さにある。15.6インチとしては業界最薄となる15.5mm(最薄部、ゴム足含まず)を実現。ただし、フラットなデザインではなく、ゴム足が思ったほど厚く、さらに手前から奥にかけて緩やかに厚くなる独特のデザインとなっているため、薄いは薄いものの数字ほどの薄さは感じないというのが正直な所だ。

 次に排熱設計については、エアフローにこだわっている。底面から吸気して背面から排気する設計になっており、これを実現するためにゴム足を厚くしており、背面からの排気が底面に逆流しない設計になっている。底面にある排気口は、微少な三角形の穴が無数に開いている「トライアングル・ホール」をシャーシ底面に採用し、この微小の穴を通じて吸気する設計となっており、非常にスマートだ。冷却モジュールは、デュアルファンと、3本の銅製ヒートパイプ。こうした工夫により、ゲームプレイ時においても、常に安定したシステム性能と表面が熱くならない快適な環境で楽しめるようになっている。

 ゲーム機能については、業界の先人を倣った形で、キーボードイルミネーションやプログラマブルキー、マクロ機能などを備えつつ、オリジナル機能として、排気口が赤く輝く演出や、両サイドのスピーカーはサウンドに合わせて輝く演出も可能など、見た目にこだわった機能を追加している。

 特別感を演出するため、専用の化粧箱とクリーニングクロスも標準装備。価格は、大胆な値付けで驚かせる日本HPとしてはかなり思い切った設定の199,800円(税別)より。これまでハイエンドノートの位置づけだったプレミアムブランド「ENVY」が99,800円であることを考えるとかなり高い設定となっているが、PCゲーマーがどのような反応を示すのか注目されるところだ。

【こだわった冷却機構】
薄型ボディにハイスペックを詰め込んだ設計になっているため、高熱にならないように様々な工夫が凝らされている

【HP ENVY Phoenix 810-480jp/CT】
デスクトップでは、ハイエンドブランド「HP ENVY」の最上位モデルでゲーミングPCとして売り出している「HP ENVY Phoenix」がスペックアップしている。CPUはCore i7-4790K、GPUはGeForce GTX 980、ストレージは512GBが新たに選択可能になっている

HP ENVY Phoenix 810-480jp/CT(新モデル)

・CPU:Core i7-4790/i7-4790Kプロセッサー
・チップセット:Intel Z97
・メインメモリ:8GB/16GB/32GB(1600MHz、DDR3L、SDRAM)
・グラフィックス:GeForce GTX 760/770/980
・ストレージ:HDD 1TB/2TB/3TB、SSD 128/256/512GB
・光学ドライブ:DVDスーパマルチ/ブルーレイROM/ブルーレイディスク
・OS:Windows 8.1 Update(64ビット)
・価格:149,800円より(税別)

HP ENVY Phoenix 810-380jp/CT(既存モデル)

・CPU:Core i7-4790/i7-4770Kプロセッサー
・チップセット:Intel Z87
・メインメモリ:8GB/16GB/32GB(1600MHz、DDR3L、SDRAM)
・グラフィックス:GeForce GTX 760/770
・ストレージ:HDD 1TB/2TB/3TB、SSD 128/256、1TB HDD+16GB SSDキャッシュ
・光学ドライブ:DVDスーパマルチ/ブルーレイROM/ブルーレイディスク
・OS:Windows 8.1 Update(64ビット)
・価格:129,800円より(税別)

(中村聖司)