ニュース

【特別企画】担当者が想いを込めて語る「クトゥルフの呼び声フラックス」の魅力

「クトゥルフ」にこだわり、社内一丸となって進めたローカライズ

「クトゥルフ」にこだわり、社内一丸となって進めたローカライズ

自分の領土を拡大していくアメリカのカードゲーム「ドミニオン」
カードの絵柄を見てキーワードを考えていくというフランスの「ディクシット」

――「クトゥルフの呼び声フラックス」は単語1つとってもかなり特殊な、原作を深く知らなくてはわかりにくい作品ですが、ローカライズはどのように進めたのでしょうか。

北島氏: うちの部署にかなり「クトゥルフ」を好きな人間がいて、彼の貢献は大きいです。単語などは会議というか、私を含めて知識を持ったスタッフのその場での話し合いてで意見をぶつけ合って決めています。「クトゥルフの呼び声フラックス」のローカライズは社内でやっていますが、外注で翻訳する場合も社内でチェックします。

 弊社のボードゲーム、カードゲームの幅は他社さんより広いと思いますが、それでもスタッフがカバーできるところが強みだと思っています。シンプルなカードゲームの「ドブル」を手がけたかと思うと、第一次大戦のシミュレーション「ブルーマックス」もやったりします。色々な引き出しが試される仕事です。

 輸入ゲーム事業のスタッフそのものは2人ですが、ゲーム事業全体では営業を含め20人以上のスタッフがいます。「クトゥルフの呼び声フラックス」に関しては営業のスタッフが中心になったりしています。ゲームのポリシーなどに関してはこちらでハンドリングしますが、単に知識という所は、社内一丸、「知ってる人に聞こう」という感じですね。

――北島さんは海外の面白い作品を日本で紹介するというお仕事ですが、昨今の海外カードゲーム、ボードゲームの状況はどうなっているでしょうか?

北島氏: ヨーロッパ、アメリカの市場が大きいですね。日本はそれに比べると小さい。以前はゲームといえばドイツでしたが、アメリカ、フランスのゲームが伸びています。トレーディングカードゲームは日本が元気ですね。

 ドイツのゲームは1つのパッケージで完結してしまう。いらない部分をそぎ落とし、ゲーム性に特化するところがあります。とてもかっちりした印象の作品が多いです。アメリカは「ドミニオン」など世界観やフレーバーが魅力的な作品が多く製作されています。「クトゥルフの呼び声フラックス」も世界観というところでの魅力が大きい。初心者にも魅力的で、アメリカの流行がドイツに影響を及ぼしているところがあります。

 フランスでは「ディクシット」というゲームがあります。カードに絵が描いてあって、親が「青春」といった“お題”を出し、青春をイメージできるカードを伏せたまま出す。他のプレーヤーも自分が思う青春を連想させるカードを出し、誰が出したかわからないようにシャッフルしてからオープンし、親の出したカードを当てるというゲームです。フランスのゲームはこのように、ルールがあまり厳密ではなく、言葉とカードを組み合わせた、ふわっとした感じのゲームが多いです。

 最近はスペインやロシアのゲームも出始めていますが、やはり市場はアメリカが1番で、次いでヨーロッパです。アジアなどはまだまだです。ホビージャパンは海外の人気の高いゲームの中からも厳選して日本に紹介しています。

 最近の流れですと自分の正体を隠しつつ勝利条件を充実させていく「人狼」系のゲームが流行です。後は短い時間でプレイでき、すぐ勝ち負けがはっきりするようなゲームの人気が高まりつつあります。こういった流れはボードゲーム、カードゲームのクリエイターに影響を及ぼしています。

――ボードゲーム、カードゲームはとても楽しいゲームが多いですが、日本での広がり、という部分では長らく伸び悩んでいる印象もあります。ホビージャパンではこうしたゲームをどのようにユーザーにアピールしていくつもりでしょうか?

北島氏: やっぱりボードゲーム、カードゲームそしてTRPGも「接触感染」なんですよ。外から見ていると、なにをやっているかわからない。そのためにはゲームに触れてもらうしかない。最近ではプレーヤーのブログや動画も人気で、ファンはその面白さを伝えるべく活動しています。ニコニコ動画でゲームのリプレイもやっています。ホビージャパンでも動画を配信していたりしています。

 実はここ最近の「クトゥルフの呼び声」に注目が集まってるのも動画での人気が後押ししてくれているところがあるんです。やはり、口コミはゲームの人気を支えてくれていますね。その流れは強いと感じています。「クトゥルフの呼び声」に限らず、定期的に盛り上がるコンテンツがある。今回の盛り上がりはチャンスだととらえています。

――最後に読者に向けてのメッセージをお願いします。

北島氏: 「クトゥルフの呼び声」シリーズファンを自認しているなら、遊んでみてください。他の人にうんちくを語れますので、これは間違いなく楽しいです。「このアイテムの元ネタはこういう話なんだよ」という感じで、楽しんでください。

(勝田哲也)