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【新春特別企画】ワールドカップイヤーに遊ぶサッカーゲームは!?

「FIFA 14」VS「ウイニングイレブン 2014」徹底検証!

「FIFA」か?
「ウイイレ」か?

 明けて2014年、サッカーファン待望のワールドカップイヤーが到来!4年に1度のサッカーの祭典をゲーマー的に楽しむなら、やはりサッカーゲーム無しには始まらない。

 かくいう筆者も、サッカーゲームデビューを果たしたのは2006年のドイツワールドカップがキッカケだった。テレビ越しに伝わる熱戦、激戦の雰囲気にほだされて、手にしたのはPS2「ワールドサッカー ウイニングイレブン 10」。

 そして発見するサッカーの面白さ。11人と11人の選手たちが描き出すピッチ模様はまさに無限。将棋や囲碁のような戦略性と、一瞬のテクニックで違いを作るアクションゲームとしての側面が同時に存在するという、ゲームとしての懐の深さにも魅了された。翌年には「FIFA 08」にも手を染め、以来、サッカーゲームは筆者にとってライフワークに近いホビーとなっている。

 昨年、我らが日本代表は、危なげなく最終予選突破を決め、チーム作りにおいていろいろと議論はあるもののブラジルワールドカップでは良い結果が期待されている。リアルサッカーを応援しつつ、ゲームでも疑似体験できればさらに楽しめること間違いなしだ。

 では、サッカーゲーム未体験のゲーマーがデビューを果たすにふさわしいタイトルは何だろうか? そこで本稿では最新作で大幅な進化を遂げた2つのサッカーゲーム「FIFA 14 ワールドクラスサッカー(以下「FIFA 14」」と「ワールドサッカー ウイニングイレブン 2014(以下「ウイイレ 2014」)」を徹底検証。世界のサッカーシーンを再現する2つのビッグタイトルから、あなたにピッタリのチョイスを見つけて欲しい。

検証その1:ゲーム性、サッカー的な面白さ

【FIFA 14】

GOOD!
・機敏なインタラクション
・スムーズでリアルな選手の動き
・賢いAI
・シュートの爽快感

BAD!
・DFが堅く攻撃が詰まりやすい
・AIのキープ力が高く、ときにイライラさせられる
・空中戦の対応

【ウイニングイレブン 2014】

GOOD!
・鋭く速いパスワーク
・特殊操作で様々な技が存在
・個人技での打開が痛快
・コンビネーションをエディットできる

BAD!
・入力に対する全般的なリアクションの遅さ
・操作が難しすぎる
・シュートがなかなか枠に飛ばない

「FIFA 14」は運動力学的なシミュレートで説得力のある動きを実現
ワンボタンで放てる強烈なシュートが「FIFA 14」の醍醐味!まさに痛快

 まずはゲーム性について考察したい。「FIFA 14」は、選手の動き1歩単位で物理的・運動生理学的にシミュレートする“プレシジョン・ムーブメント”を搭載。これにより選手の動きは現実同様の慣性を持つようになり、驚くほどリアルで、説得力のある挙動が実現した。

 その上で「FIFA 14」が優れているのは、いついかなる時もプレーヤーの入力を反映できるというインタラクションの良さだ。アニメーションの繋ぎ目のようなものは認識不能で、まさに1歩単位でペースチェンジをし、左右の揺さぶりを入れることができる。相手やボールの位置、姿勢や勢いといったコンテキストによって同じ操作でも様々なモーションが展開し、それゆえに操作系は前作よりもシンプルにまとまった。ほぼ左スティック1本だけで様々なドリブルをし、様々なパスやシュートを繰り出すことができるのだ。

 AIも前作より相当に強化されていて、サポートの動き、裏への抜け出し、スペースのカバーリングが特に良い。ディフェンス面では豊富なアニメーションパターンに支えられていることもありDFひとりのカバー範囲は見た目以上に広く、抜いたり、崩したりするためにはしっかりと重心を崩させるような駆け引きが必要だ。それだけに強引なプレイはほぼ失敗するので、慣れるまではとてもストレスが溜まるハメになるのが難点。コツを掴めばドリブルやパスを自在に使いこなし、ディフェンスを完璧に破壊して、弾丸の如き強烈なシュートをズドン!と痛快なプレイができる。

「FIFA 14」のカメラオプションは非常に豊富。かなり引いた視点でもプレイでき、ピッチ全体の状況が掴みやすい
状況に応じて適切な体や足のさばきをしてくれる「FIFA 14」のモーション。複雑な操作なしに様々なピッチ模様を描ける
「ウイイレ 2014」では、フィニッシュの局面でいかに正確な入力ができるかが勝負を分ける

 かたやシリーズ最新作としてより大きな改革を図った「ウイイレ2014」。新エンジン「FOX ENGINE」を採用するという大冒険は、発売が例年より1カ月以上遅れるという結末をもたらしてしまったが、そのおかげでゲーム内容はリアル寄りを目指す方向へ大きく舵を切った。

 アニメーションの滑らかさや、重心位置によって次のアクションの成否に影響するシステムは、まさに一皮向けた完成度。これに加わわるのが「ウイイレ」らしい、弾丸のような鋭いパスによるコンビネーションプレイだ。基本のショートパスが本当に速く、カットが難しいため、簡単に大きな展開を創りだすことができる。

 ただ気になるのはリアクションの遅さ。例えばパスは、ボタンを押してからワンテンポ遅れてアニメーションが開始される感じで、ダイレクトパスでの素早い展開や、直接合わせるシュート等のアクションが不発に終わる事が多い。これが本作における最大のストレス要因であり、「FIFA 14」に比べると操作感が“硬い”印象を残す。

 ディフェンスは「FIFA」に比べるとかなり緩めで、パスコースは見つけやすく、DFに寄せられても体を当てながらの特殊操作によるブロッキングや、細かいドリブルを活用することで比較的簡単に打開が可能である。スペースへのカバーリングも遅めなため1本のキラーパスでGKとの1対1に持ち込むこともわりと頻繁にできる。右スティックを使ったボールテクニックも多種多彩に用意され、使いこなせればフィニッシュの局面までは簡単に行けるゲーム性だ。

 その反面難しいのがシュートだ。普通にシュートボタンだけで撃つ場合びっくりするほど枠内に飛ばないのだが、その代わり導入された新シュート操作によってゴール枠の上下左右の細かい撃ち分けができる。ただ、この操作は非直感的で、使いこなすのは相当に難しい。その他にもトラップやドリブルの局面で様々な特殊操作があるのだが、全体的に操作方法が複雑になりすぎたきらいがあり、相当のゲーマーでなければ本作本来のパフォーマンスを引き出すことが難しそうだ。

 そのぶん、フィジカル任せの強引な打開でも成功率は高く、テンポよく試合が展開するゲーム性だ。「FIFA 14」に比べると攻撃面で一定の形を創りだすことはたやすい。ピッチを広く使い、ワンツーを多用した素早い攻撃に醍醐味がある作品といえるだろう。

「ウイイレ 2014」では速い展開を使ってシュートレンジに持ち込むのは難しくないが、決めるのは簡単ではない。時間をかけて良い形をお膳立てするのも手のひとつ

(佐藤カフジ)