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【年末特別企画】プレイせずには年が越せないぜ! オススメ洋ゲー10選

今年の流行は強いヒロイン! トレンドを感じさせた春・夏の2本

今年の流行は強いヒロイン! トレンドを感じさせた春・夏の2本

人間が生きるとはどういうことか? プレーヤーの心をえぐる「The Last of Us」

エリーの成長は本作の大きな見所だ

「The Last of Us」

メーカー:ソニー・コンピュータエンタテインメント
プラットフォーム:PS3
6月20日発売
価格:5,980円
CEROレーティング:Z(18歳以上のみ対象)

 「The Last of Us」は謎の寄生菌によって崩壊してしまった人間社会を描く。菌に感染した人間は凶暴化して他人を襲い、最終的には脳全体が菌に冒され胞子を放出するだけの存在になってしまう。この菌に対しての対抗措置がなく、人類は追い詰められている。

 主人公はかつてパンデミックで娘を亡くしたジョエルと、菌に対して抵抗力を持つ少女エリー。エリーは人類の希望となるのか? ジョエルはエリーを連れ、彼女を待っている研究所に送り届けるため旅をする。彼らの行く手を阻むのは感染者よりも“人間”であるところが面白い。社会が崩壊した世界では、旅人は迷い込んだ獲物でしかない。ジョエル達は人間と戦いながら、旅を続けていく。

 展開するストーリーはダークで、プレーヤーはジョエルとエリーを生き残らせることに必死になっていく。プレイを続けていくと、恐ろしいはずの感染者はまるで自然の障害のように感じられ、人間の生き残ろうとする姿の方が恐ろしいと感じてくるのが面白い。

 本作は展開、結末において、とても“ワガママ”な作品だと感じた。筆者は個人的に、「ひょっとしたら、ゲームは他の娯楽以上に『こうであるべき』という縛りがきついんじゃないか」と思うことがある。万人が共感できるストーリーテリングや、希望を持たせた結末など、大きなプロジェクトであるほどユーザーを満足させるために“配慮”している部分があるのではないか? しかし「The Last of Us」は違う。展開、結末も含めて、開発者のエゴと主張が強く出た作品だと感じた。こういった大作ゲームがあっても良いと思う。

【The Last of Us】
過酷な戦いが2人を待っている。生きようという人間同士の戦いも少なくない

精神的、物理的に“閉じ込められた少女”を解放する「バイオショック インフィニット」

自らの運命に立ち向かっていくエリザベス

「バイオショック インフィニット」

メーカー:テイクツー・インタラクティブ・ジャパン
プラットフォーム:PS3/Xbox 360
4月25日 発売
価格:各7,770円
CEROレーティング:D(17歳以上対象)

 閉じ込められており、外の世界に出たいと夢見る少女を助ける。物語の王道とも言えるストーリーが、ダークにほろ苦く展開するのが「バイオショック インフィニット」だ。ヒロイン・エリザベスを閉じ込めるために街の支配者は多くの兵を差し向ける。エリザベスは、自分が逃げるために多くの犠牲を必要とすることにショックを受け、さらに自分を助けに来たはずの主人公ブッカーが、仕事のために彼女をだましていたことに失望する。

 それでも彼女は自由を選択する。エリザベスはブッカーに守られるだけの存在ではなく、パートナーとして強く成長していく。本作に加え、「The Last of Us」や「BEYOND: Two Souls」と今年は魅力的で強いヒロインの作品が多かったと感じた。本作におけるエリザベスの描写は特に注目して欲しいところだ。レビューも参照して欲しい。

 また、「バイオショック インフィニット」はストーリーが進んでいくと“多次元宇宙もの”としての様相を濃くしていく。エリザベスはわずかに異なる世界をのぞき込むことができ、さらにそこにブッカーをつれて移動できる。ほんのちょっと異なるように見える世界を渡り歩くうち、“現実”が揺らぎ混沌が増していく。その中で自由と幸せを求め、2人は進んでいくのである。

 11月に配信されたDLC「べリアル・アット・シー EPISODE1」はこの多次元宇宙の設定を活かし、ブッカーとエリザベスの配役そのものが本編とは異なっている。エリザベスはたばこをくゆらす謎めいた女性であり、ブッカーはシリーズ第1作である「バイオショック」の海底都市「ラプチャー」の住人なのであるのである。シリーズのファンにはニヤリとさせられる要素が多く、ファン必見のDLCとなっている。

【バイオショック インフィニット】
空中都市というコンセプトも面白い。DLCでは海底都市ラプチャーも登場する

(勝田哲也)