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「大航海時代V」を発表。シリーズ最新ナンバーはブラウザで!

竹田プロデューサーのミニインタビューも強攻してみた!

12月18日 開催

会場:コーエーテクモゲームス本社

 12月18日、コーエーテクモゲームスは、同社において新作ブラウザゲーム発表会を行ない、そのタイトルを「大航海時代V」であると明らかにした。発表と同時に事前登録サイトもオープンし、受け付けを開始した。「大航海時代」は、1990年に第1作が発売された航海シミュレーションゲームで、これまでにナンバリングタイトルとしては4作品が発売されており、オンラインゲームとしてWindows/プレイステーション 3用「大航海時代 Online」が運営されている。

 ナンバリングタイトルとして約15年ぶりとなる本作が、ブラウザゲームとして登場することになる。

 ゲーム紹介に先立ち、同社専務取締役・小林伸太郎氏が登壇し、「コーエーテクモゲームスは、『信長の野望』や『三国志』、『無双』シリーズなど、たくさんのシリーズ作品がある。「大航海時代」は15年ぶりとなるシリーズ最新作。PCさえあれば、クライアントを購入しなくても誰でも手軽に遊んでいただける」と、本作はゲーム市場の変化を意識してブラウザゲームとしてリリースすることにしたと説明。

 また、最初のサービスは同社が運営するサイト「myGAMECITY」でのサービスとなるが、今後ネイティブアプリ化など幅広いプラットフォームで展開していくことを明らかにした。その後、本作のプロデューサー・竹田智一氏が登壇し、本作のゲーム紹介を行なった。

専務取締役・小林伸太郎氏
プロデューサー・竹田智一氏

シリーズの基本はそのままに、プレーヤーの数だけ世界が変わる新要素を採用

 本作は従来作品と同様に、3つの要素から成り立っている。シリーズファンならお馴染みの「交易」、「探検」、「海戦」だ。

 「交易」は港や地域によって生産された商品を、他の港で売却することによって利益を得るもの。今回の発表会では、イメージ映像が流されるにとどまったが、特産品の設定はもちろんあるようなので、ロンドンで羊毛を購入し、アントワープで売却後、砂糖を購入。そして、ボルドーで売却し、ワインを購入してアントワープへ……といったシリーズプレーヤーならではの交易ルートも生かすことができそうだ。

 また、投資することによって都市を発展させ新たな交易品が登場するといった点も従来作を踏襲している。となると、投資によって重ガレオン船といった船舶が建造できる港が登場する……といった部分も引き継がれているのではないかと予想するところだ。

過去作品の発売年とともに、15年ぶりとなる本作を発表
シリーズファンお馴染みの要素はもちろん健在!
交易イメージ
投資によって新たな交易品の売買が可能

メイン画面
交易の1コマ。交易途中に積み荷を捨てたりなどハプニングも起こるようだ。おや? 航海士にハイレディンが?

 「探検」は世界に散らばる遺跡や宝物を探しあてるというもの。従来作品までは、ヒントや実際に存在する場所へ赴き投錨し、探索することで発見、という流れだったが、本作ではまず「拠点」を探すことが第1歩となるようだ。発見した「拠点」をベースとして周囲を調査し、「遺跡」を探すことができる。さらに、遺跡発見後は「発掘」することで珍しいアイテムや宝物を入手できるようだ。ちなみに、「発掘」は決められた回数のうち、任意の場所を指定することによって当たり外れがあるミニゲームのような形になっている。

 また、「探検」で入手したアイテムをスペインやポルトガル、イングランドといった国王に献上することで、名声を得ることができ、爵位なども授与されるとのこと。

探検の1コマ。こちらは航海士にコロンブスとの表記が! 宝物はミニゲーム形式で入手できるようだ

発見物を報告することで、名声を得ることができ、爵位をもらえるとのこと

海戦イメージ

 「海戦」はやはり本シリーズの華であろう。今回の発表会で公開された映像では、クエストとして海賊討伐を受け、撃退するまでの流れが映し出された。プレーヤーは最大5隻からなる船団に航海士を配属させ、戦術を設定することで戦闘へと移るようだ。従来作のようにアクティブに船団を操作することができるのか確認はできなかったが、リアルタイムで描かれる戦闘シーン中に指示を出し戦術を変更させることは可能なようだ。また、航海士にはスキルがあるとのことで、戦況をひっくり返すスキルも存在するとのこと。なお、船には白兵が有利、砲撃が得意といった種類がもうけられているとのことなので、戦列艦を並べた砲撃戦ができるのか期待したいところだ。

戦闘シーン。どの程度の細かな指示が出せるか気になる点だ
40種類以上の船が造船可能。重ガレオンはぜひ登場してもらいたい!

 そして、本作から新たに登場となるシステム「マルチ・ボルトラーノ」。これは、当時(大航海時代:15世紀中頃~17世紀中頃)を再現するというシステムで、まだ世界の形が明らかになっていない世界の形がプレーヤーの選択によって構築されるというものだ。今回の発表会では、イベリア半島が大陸から切り離され、ブリテン島が陸続きになっていく様子や、イタリア半島が島になっている様子が公開された。構築された地図と実際に航海する際にどのようにかみ合っていくのか詳しくは明かされなかったが、すでに世界地図が決まっていた従来作とは完全に異なる点であることは確かだ。

イベリア半島変化前(左)と、イベリア半島変化後(右)

プレーヤーにより異なる世界が生まれる。明らかに世界地図と異なる世界が!

ナンバリングタイトルだからこそ描かれるストーリーと多彩なキャラクター

 「大航海時代」といえば、史実の歴史を背景に、オリジナルキャラクターたちの物語が描かれていくのも魅力のひとつであろう。本作では、メインとなるキャラクターたちによって描かれる濃厚なメインストーリーが用意されているほか、航海士になりうるキャラクターにも「列伝」というストーリークエストが用意されているとのこと。また、大航海時代後半にカリブ海で活躍した女海賊アン・ボニーや、大航海時代初頭、アルマダ海戦で無敵艦隊を破ったイギリスの提督フランシス・ドレーク、そして、同じく大航海時代初頭、オスマン帝国の大海賊にして大提督バルバロス・ハイレディンの画像が公開された。

 この3人のほかにも、世界一周を成し遂げたフェルディナンド・マゼランなど、歴史上の人物が多数登場するようだ。

メインキャラクター以外にもたくさんのキャラクター、歴史上の人物が登場する

【登場人物】
アン・ボニー
ジュピトル・フェルナンデス

ソニア・デラクルス
バルバロス・ハイレディン
フェルディナンド・マゼラン

 また、シリーズファンのお楽しみのひとつであろう、酒場娘たちも本作にはもちろん登場する。今回公開されたのは4人のみだが、各港でお気に入りの娘を見つけ、宝飾品を携えて通う生活は本作でも堪能することができそうだ。

【酒場娘】

 まだまだ詳しくはベールに包まれている本作だが、事前登録を本日12月18日より開始する。事前登録をすると、「大航海時代 Online」で使用できるレアアイテムがもらえるとのこと。なお、気になる本作のサービス開始時期だが、今冬と発表されてた。しかし、竹田プロデューサーの話では、年明けの早い時期にはサービスを提供したいとのことなので、長く待たされるといったことは無さそうだ。また、オンラインゲームの形態をとっているので、βテストという形で早めに遊ぶことができるかもしれない。

「海賊に襲われた」海洋冒険家・白石康次郎氏も登場。

 竹田プロデューサーによるゲーム紹介の終了後、海洋冒険家・白石康次郎氏が登壇。白石氏はヨットで単独世界一周を三度経験している冒険家で、1994年に史上最年少ヨット単独無寄港世界一周を達成し、その後も世界の海を冒険し続けている。

 「ヨットは大航海時代の船の作りとほぼ変わらない」、「当時は6ノット程度の船足だったが、今の帆船は20ノット近くで走る」、「現在のヨットで帆を張る際の掛け声は、当時海戦で大砲を放つ際の掛け声」など、海洋史を交えながら語る冒険話は「さすが……」と引きこまれてしまう。実際に海賊に襲われ、木刀で撃退した話などは非常に面白く、全ての話を掲載したいが、ゲーム紹介ではなく海洋冒険記事になってしまうので、泣く泣く割愛させていただく。なお、後日発表会の様子は動画にて配信されるとのことなので、興味を持った方は白石氏の冒険譚を動画で確認していただきたい。

 発表会の最後には、コーエーテクモゲームズ執行役員・藤田一巳氏が登壇。本作が配信される「myGAMECITY」の今後の展開を発表した。発表会の冒頭、小林氏の「本作をマルチプラットフォームで展開する」という言葉があったが、12月19日より、「myGAMECITY」スマートフォン版サービスを展開するとのこと。新タイトル「100万人の超ワールドサッカー!」が配信されるほか、様々なキャンペーンも実施していくという。

 最後に、竹田プロデューサーが再び登壇。「ファンの期待に添えるよう、開発陣一同がんばって作っています。年明け間もなくサービスを提供できるようがんばりますので、期待していてください」と挨拶し、発表会の幕は閉じた。

荒波をかき分けて進むヨットの写真とともに、その冒険譚を語る白石氏
執行役員・藤田一巳氏
ゲストも含め、全員で写真を撮影

……さて、ここからはコーエーファンとして話を聞かせてもらおうか!

 というわけで、ここまではGAME Watchの発表会レポートとして記事を書いてきたが、ここからは、いちコーエーブランドファンとしての目線で描かせていただこう。以前、「『三國志12 対戦版』メディア大会」や、「『信長の野望・創造』プロデューサーインタビュー」、「『信長の野望・創造』ゲームレビュー」を担当した筆者は、当然「大航海時代」シリーズも大好物である。もちろん、全作品プレイをしている。発表会を終え、いくつか気になる点があったので、発表会を終えたばかりの竹田プロデューサーを捕まえ、短い時間だがお話をお伺いできたので、その模様をお伝えしよう。

洋上移動イメージ

GAME Watch: 今回、15年ぶりのナンバリングタイトルがブラウザゲームとして出るとの発表だったので正直驚いたのですが、やはり気軽に遊べる形でないということから、ブラウザゲームという形になったのですか?

竹田: 気軽にというところはもちろんあったんですが、「大航海時代 Online」のプレーヤーから、「やっぱり、シリーズ作を遊びたい」という声がたくさんあったんです。オンラインではなく、シリーズ作を遊びたいという声が。その神髄ってなんなのかと考えたところ、「気軽に誰かと一緒」というスタイルではなく、プレーヤーが思ったときに思ったように遊びたいというニーズがあるんですね。

GAME Watch: 僕も「信長の野望」シリーズもそうですけど、「大航海時代」シリーズもゆっくりとプレイしたいです。

竹田: 自分の遊び方に他の人の介入が無い状態で、昔のプレイ感覚で遊びたいという声ですよね。

GAME Watch: 「大航海時代 Online」で、海賊ギルドに入ったはいいけど、地中海近辺で他のプレーヤーに逆に襲われ続けた経験があります(笑)。

竹田: そういうプレイはそれでおもしろいんですけどね(笑)。

GAME Watch: もともと、シリーズ作品では海賊プレイを楽しんで各国の艦隊に追いかけまわされていたんですけど、本作でもそういった遊び方はできるんですか?

竹田: できますよ。たとえば、自分がイングランドに肩入れしているときにスペイン船を襲ってこいと言われたりとか、気ままに出会った船団を襲うこともできます。そのせいで、国家間の関係が悪くなってしまったりします。

GAME Watch: ということは、遠洋航海に出かけて、「水がないや」と他の船団を襲って補給するという手段は、本作でもできるわけですね!

竹田: 当然その報いは受けると思いますけど(笑)。

GAME Watch: よかったです(笑)。とはいえ、ぶっちゃけシリーズファンとして今回の発表を聞いた時、最新作が出るという喜びもあったんですが、ブラウザゲームという形で出るという点に少しがっかりしたんです。ブラウザゲームか……、みたいな。今までのように濃密に楽しむことができるのかな? という不安があるというか、「放置ゲーム」になっちゃうんじゃないかという不安がるというか。

竹田: アップデートでどんどん追加されていきますので、ボリュームは心配なさることは無いと思います。確かにブラウザゲームなので最新のゲーム機のような表現はできません。ですが、ブラウザで快適に遊んでいただけるレベルにしてあります。ただ、プレイのボリュームはまったく落としていません。ブラウザゲームでここまでやるのと思う仕様も入れこんであります。今回、表現の手段としてブラウザを選らんだのですが、ナンバリングの最新作というものを大事にして作っています。社内でも、ナンバリングなんだからこの要素を、と話ながら開発方針を決めています。

 「放置ゲーム」には絶対になりませんよ。モニターの前で操作をずっとしていただく感じになると思います。

GAME Watch: 船団を出発させて放置で待つゲームではないんですね! シリーズ作を大事に思って作られたという話をお聞きしてすごく安心しました。ところで、本作で描かれる物語の時代はどれくらいの時期になるんですか?

竹田: お話としては、大航海時代の中ごろを背景としています。登場するキャラクターは時代を通して活躍した人を登場させてますので、大航海時代と呼ばれる時代に活躍した人物が出てくる形ですね。

GAME Watch: 今回、スタンドアローンでプレイしたいというニーズに合わせてとのお話でしたが、ブラウザゲームという形上、他のプレーヤーとの関わり合いは外せないと思います。どんな形で他プレーヤーとの関わりを表現されるんですか?

竹田: 船の売買ができるというのがあるんですが、そのほかの部分ですと船を貸し借りできる、というのがあります。自分の船を他プレーヤーが使用する、でも、使われたからといって自分が使えなくなるという不便な点はありませんよ。フレンドになっていれば気軽に借りられるという形ですね。ですので、自分の苦手としている部分を他プレーヤーの船で補ったり、先行しているプレーヤーの船で助けてもらうという形で楽しむことができます。

GAME Watch: 本作で初となるシステム「マルチ・ボルトラーノ」ですが、「Neo ATLAS」(世界地図を完成させることを目的としたゲーム。ゲームの各所で「信じる」、「信じない」の選択肢が表示され、「信じる」を選べばその話は真実となり、世界地図が形成されていく)っぽい感じかな、と印象を受けました。

竹田: 大航海時代という時代背景を反映させるシステムなんだなと思います。「Neo ATLAS」はランダムで選択肢が決まったと思うのですが、本作では架空の地図ひとつひとつにコンセプトがあって、たとえば交易に適した地図や、発見物に適した地図など特化して考えていくものになっています。それがストーリーの流れで出てきたりなど、構成された中で出てくるようにしています。コンテンツとしての矛盾が生まれないように作りこんでいます。

GAME Watch: まだ発表段階なのにお話をお伺いさせていただいてありがとうございます。シリーズの正統作品だということが解り、楽しみになりました!ちなみに、エンディングは用意されいるんですか?

竹田: メインストーリーの区切りはありますけど、終わりというのはないです。

GAME Watch: アップデートもされますしね。いきなり、エンディングの話を聞いてすいません(笑)。プレイできるのを楽しみにしています。ありがとうございました。

 発表会終了後のバタバタした時間ということもあり、短いインタビューになってしまったが、著者の気になった点が晴れ、不安感が無くなり期待感が膨らむお話をお伺いすることができた。今冬の早い時期にはぜひ、プレイできるよう期待したい。

(たて りょうた)