ニュース
日本はMSにとって「ファーストチョイス」ではなくなったのか?
フィル スペンサー氏が答えるXbox Oneの日本市場への取り組み
(2013/9/17 21:04)
日本マイクロソフトが9月17日に開催したXboxプレスラウンドテーブルでは、東京ゲームショウに先がけてXbox Oneのデモンストレーションが行なわれ、Xbox Oneのビジョンが語られた。本稿ではメディアとの質疑応答の内容をお届けしたい。
出席者はマイクロソフト コーポレーション Microsoft Game Studios担当コーポレートバイスプレジデントのフィル・スペンサー氏。Xbox プロダクトプランニング シニアディレクターのアルバート・ネロ氏、@Xbox インディペンデント デベロッパー ディレクターのクリス・チャーラー氏、そして日本マイクロソフト執行役員インタラクティブ・エンターテイメント・ビジネスゼネラルマネージャーの泉水敬氏の4人となっている。
Xbox Oneは、充実した日本語への音声対応と、ローカルサービスの拡充が実現してから展開
――Xbox OneはBlu-rayディスクを採用していますが、独自のディスク規格を採用しなかったのはどうしてですか?
フィル・スペンサー氏: Xbox Oneではより精密なグラフィックス表現が可能となり、容量の大きなフォーマットのディスクが必要となりました。そしてBlu-rayで映画を見る人も多いという現状で、「オールインワンのエンターテイメントボックス」を目指す上で、Blu-rayディスクの搭載を決断しました。大容量のデータを使ったゲーム、Blu-rayのビデオ、オンラインでのXbox ビデオ、サードパーティのビデオストアもありますので、Blu-ray規格を選択しました。
――Xbox Oneの音声認識に関して日本語での対応は完全になるのでしょうか。また、北米ではケーブルテレビのセットトップボックスをHDMI端子で連動させるといったことも発表されましたが、日本ではどうなるでしょうか。
スペンサー氏: 音声認識はXbox Oneで重要な機能であり、主要な地域でのデータをXbox Oneに取り入れるべく検証しています。簡単なものではなくきちんとするものが重要なためこの音声認識を実現させるために販売地域を分割したという側面もあります。地域によってはデータを検証するのに時間がかかります。
Xbox Oneは、HDMIのポートを入力と出力両方持っています。これを使うことで友達とおしゃべりをしたり、ゲームをしながらTVを録画したりできるようになるのですが、各国のTVとも連動しなくてはならない。「フットボール 見る」と命令するだけでフットボールの番組がやっているチャンネルに変わらなくてはいけない。各国の対応は市場規模などを考えてのものになります。
TVに関しては、Xbox Oneを起動すれば友人が何を見ているかわかる。大きなユーザー層を対象にしたトレンドもわかる。Liveコミュニティの中での人気番組なども見ることができます。これまでゲームではできてていたものがTVでもできるようになり、ヒット予測などもできるようになります。
泉水氏: 日本でも対応すべく検討していますが、まずわかりやすい展開としては、ハードディスクレコーダーや、ケーブルテレビからHDMI出力を行ないXbox Oneを中継してTVに出力することは可能で、この中でどんなことができるかを検討しています。
――インディーズゲームも含め、全てのゲームは平等であるとのことでしたが、現状ではZ指定のタイトルはデジタルでの販売ができない状態ですが、この点に関してはどうなるでしょうか。
チャーラ氏: レーティングに関してはインディペンス、メジャーにかかわらず同一の扱いを受けます。そういう意味で平等です。レーティングに関してはリリースマネージャーがいて、各タイトルはワールドワイドでチェックしています。ただインディペンデンスのデベロッパーにもレーティングをわかりやすくするために、こちらの方からもサポートをしていきます。
スペンサー氏: レーティングの評価に関してはより短い時間でできるように、ある程度自動化できないか北米のエンターテイメントソフトウェア協会と検討しています。レーティングのラインを簡潔化し、より早く市場に出せるようにしています。この大作はできるだけ早くできればと思っています。
泉水氏: 日本でもできるだけスムーズにコンテンツがユーザーに届くようにしていきたいですし、他のハードウェアメーカーとも話し合い、これから協会全体として定めていきたいと思います。
――クラウドに関して、もう少し具体的な機能を教えてください。
スペンサー氏: クラウドに関しては、マルチプレーヤーゲームのホストが挙げられます。サーバー上にユーザーデータが保存されるためフェアな戦いができます。「Call of Duty: Ghosts」での対応がすでにアナウンスされています。2つめとしては「Forza Motorsport 5」で友人の走りをサーバーに記録しているため、友人が操作しているかのような走りを再現でき、友人が走っていなくても一緒に走っていらるかのようにできます。
3つめがオンラインで自分のデータをアップロードしておくことで様々な場所から、様々なデバイスでアクセスできるところです。クラウドの機能を活用したゲーム開発をしていくこともできます。
――Xbox 360では他の場所からユーザーデータを呼び出すのには時間がかかりました。これは改良されるのでしょうか。またスマートグラスの機能はXbox Oneではどのようになりますか。
ペネロ氏:氏: Xbox Oneのユーザーデータはクラウドにより活用されているので、Xbox 360と違いどんな場所でも瞬時に使えます。スマートグラスはより拡張されます。アーキテクチャも一新し常にスマートグラスが使え、ショッピングや友人との通信、ゲームの活用ができます。「デッドライジング3」ではスマートグラスで電話ができるようになっています。より興味深い存在になっています。
―― Xbox 360は世界ではヒットしましたが、日本では苦戦した印象があります。「Fable」シリーズや、「Kinect:ディズニーランド・アドベンチャーズ」などとてもいいゲームは出ているのに、日本では実売に繋がっていません。このままXbox Oneも同じになってしまうのではないかという懸念もある中で、どのようにしていきますか?
泉水氏: 今回ご紹介した最高のゲームと、それ以外のサービス、これまで以上のローカルのコンテンツ・サービスが重要になってくると考えています。日本の皆さんに充分に楽しんでいただけるラインナップを用意していきます。2つめは様々な場面で使われるデバイスになりますのでユーザーの生活の中に取り込まれるようにアピールしていきます。これまで以上にローカルでの展開を重要視していきます。事業部の垣根を越えた展開をしていきます。
――Xbox Oneの発売に関して、日本は北米より遅くなると言うことは、日本は「ファーストチョイス」ではなくなったということでしょうか。
スペンサー氏: 日本の市場はXbox、マイクロソフトでも重要だと考えていますが、音声認識や、オールインワンのサービス形態を考え、ローカライズに時間がかかっています。日本の市場で成功していきたいと考えているからこそ適切な時期、ユーザーによりよい体験をして貰うために発売時期が遅くなってしまっているのです。