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【麻雀の日特別企画】「MJ」×「雀龍門」対談&対決!
全面戦争勃発? 会社の名誉をかけて打ったリアル麻雀の結末はいかに
(2013/8/1 00:00)
8月1日は何の日かご存知だろうか。8月1日、8と1……で牌(パイ)にちなんで、麻雀の日だ。夏も盛りで暑いことだし、涼しい屋内でゆっくり麻雀を打つのも頃合いの時期である。
しかしながら今回は、そんなぬるい話をしようというわけではない。セガのアーケード麻雀「MJ5 EVOLUTION」と、エヌシージャパンのPC麻雀「真・雀龍門」の代表者に弊社へお越しいただき、対談をしていただいた上、雀荘で真剣に対戦してもらおうという、おそらく前代未聞の企画になっている。
お越しいただいたのは、「MJ」シリーズでプランリーダーを務める吉野慎一氏と、「雀龍門」シリーズで運営担当を務める有吉雅知氏。アーケードとPCの麻雀ゲームを代表するタイトルを仕切るおふたりが、どんな思いで麻雀と接して来たのか。そしてある意味、麻雀のプロであるおふたりの直接対決はどうなったのか。その行方をぜひお楽しみいただきたい。
最高で連続64時間。麻雀ゲームの代表者は本当に麻雀好きだった
――まずはお互いの人となりを知るためにも、麻雀歴についてお話しいただけますか。
有吉氏: 私が麻雀に出会ったのは小学3年生くらいの頃です。家にあった「ぎゅわんぶらあ自己中心派」という漫画を、内容もわからないまま読んでいました。それから父に麻雀を教わって、中学生の頃には普通に打てるようになっていました。我が家では大みそかに年越し麻雀大会をやるのが恒例で、父と母、妹を加えて4人で卓を囲んでいました。その中で忘れられないのが、父に国士無双を振り込んで、その次の局に妹に国士無双を振り込んだことですね(笑)。
吉野氏: 私は高校の頃、学校でカード型の麻雀をやって覚えました。先生に隠れて遊んでいたんですが、ある時に見つかってしまい、全員丸坊主にさせられたこともあります(笑)。大学では、教室が雀荘に行くための集合場所になっていて、最高で64時間連続で麻雀を打ったことがありました。
食事を買いに行くのも億劫になるんですが、その雀荘では、おばちゃんが定期的にバケツに食パンを入れて出してくれるので、ひたすらそれを食べて麻雀を打ち続けてました(笑)。今考えると、64時間も寝ないで続けられたことは麻雀しかないので、それだけ魅力的なゲームなんだと思います。ちなみにその時には大三元を2回振り込みました。1度振り込んで同じような局面になると、「またやっちゃうんじゃないかな」と思いますよね?
有吉氏: 思いましたね(笑)。役満が出た後はまた役満が出やすいと言いますし。
――最近も麻雀はされていますか?
有吉氏: 最近はほぼゲームだけになりましたね。会社にも麻雀を打てる人はいるんですが、4人集まるのは大変で、回数が減りました。我々の麻雀はリアルから始まっているので、打たなきゃなとは思っているんですが。
吉野氏: 「MJ」チームの中には雀卓があって、牌の動きやモーションを研究したり、シーンを撮影するのに使っているのですが、チームでも集まってよく打っています。
――そんな麻雀好きのおふたりですが、麻雀の面白さはどこにあると思いますか?
有吉氏: 私は観戦してもらいたいですね。5人以上で打つ時は、必ず自分の後ろに座らせて「ここはこうでね……」と講釈するんです。結構ウザいキャラなんですが(笑)。あとは終盤に「コイツから満貫取らないと逆転できないな」という時に、狙って逆転トップを取れた時なんかは最高に気持ちいいですね。
吉野氏: 捨て牌を読んで、相手の当たり牌を止めるのが快感です。1点読みが決まった時には脳汁が出ますね(笑)。あとはピッタリまくれる手を仕上げて、「これはまくられているのか……?」とざわついている中で、「いや、まくれているから」と言うのが快感ですね。全自動卓じゃない時には「アレ? 千点もう1本持ってたの?」という時もあったりもしましたが(笑)。
――おふたりがまるでアスリートみたいに見えてきました(笑)。麻雀を止めたいと思ったことはありますか?
有吉氏: それはないですね。むしろ学生時代は友達4人とお金を出し合って麻雀卓を買ったくらいですし。タバコやお酒と違って悪いものだと思っていないですから、止めようと思ったことはないですね。
吉野氏: 徹夜で打った時に、もう終わりたいという人がいるものですが、私はそれはなかったですね。どうするかという話になった時には、「もちろん続行です」と言うタイプでした。
――そういう麻雀好きなおふたりが今はゲーム会社にいらっしゃるわけですが、入社時から麻雀ゲームと関係があったのですか?
有吉氏: 弊社は他にもオンラインゲームがあって、元々はその中の1つの「リネージュ2」のユーザーでした。このゲームをこう変えてみたいという気持ちがあって、他のお客様にもっと楽しさを提供したいと思って入社しました。
吉野氏: 私はアーケード向けの体感ゲームを作りたくて、セガに入社しました。その時は麻雀のことは全く考えていなくて、入った部署も「アウトラン」や「スペースハリアー」などを作った第二研究開発本部(AM2研)でした。
――そこから麻雀ゲームに携わることになった経緯は?
有吉氏: 弊社はもともとMMORPGを運営していたのですが、もう少しカジュアルな、セカンドゲームも出そうということになり、いくつか出てきた中の1つが「雀龍門」です。私がコアな麻雀好きだというのは社内でも知られていて、「雀龍門」の担当をどうするという話になった時に指名されて、私もふたつ返事で受けました。
吉野氏: 「MJ」のプロジェクトが始まる少し前、「バーチャファイター4」でネットワークを使ったサービスを開始していまして、その流れでネットワークを使った面白いアーケードゲームができないかという企画が検討されていました。「バーチャファイター」のようなゲームでネットワーク対戦はラグの問題もあって難しかったので、どういうタイプのゲームならいいのかということを考えた結果、上がってきたのが「麻雀」でした。その開発チームに、麻雀好きだということもあって誘われました。
派手だがウザがられない。さじ加減が難しい「アガり演出」
――そろそろゲームの話に移りたいと思います。まず、ご自分のタイトルで大事にしているところやこだわっている部分を教えていただけますか。
有吉氏: 「真・雀龍門」では、「リアル」、「スリル」、「楽しめる」という3つのコンセプトを掲げています。「リアル」は本物さながらのグラフィックスを使っていることで、オンライン麻雀では初めて3D物理エンジンを搭載しています。手の動きもプロ雀士の方をモーションキャプチャしています。リアルさではオンラインゲーム業界の中ではトップを目指したいと思っています。
「スリル」は、この牌を打ったら段位が降格する、といったような怖さを感じていただきたいと思っています。演出もそうで、振り込んだ時に派手な稲妻が落ちたり、役満をアガると派手な演出が出たりという風になっています。最後の「楽しめる」というのは、猫の手など、普通ではありえないもので、こういうことができたらいいなということを実現しています。声も有名な声優さんを起用して選べるようにもなっていますし、手に爪や刻印、腕時計などを付けられる装飾品もあります。そういうところで楽しさを追求しています。
吉野氏: 「MJ」はグラフィックスと臨場感にこだわっています。グラフィックスでは、本当に麻雀を打っているような感じを出したいので、牌や卓にはこだわっています。それにプラスして演出面ですね。アガった時には喜んでいただきたいですから、そういう気持ちにお答えできるようにバリエーションを用意しています。その上で、真剣勝負の中で強くなったと感じていただけるような部分にはこだわっています。
――リアリティ、という部分は共通しているようですね。ただプレーヤーの中には、コンピューター麻雀にリアルさを求めていない、打てればいいという人もいます。それでもリアリティは重要だと思われますか?
有吉氏: 私は重要だと思っています。例えば飲食店だと、お腹が空いたならどこで食べてもいいというわけではなく、味や接客、清潔さなどで選ぶはずです。ウチは売りの1つとして、他にはないリアルさがありますのでぜひお越しください、ということです。
吉野氏: 今はグラフィックスの綺麗なゲームがたくさんありますから、その中で一定のステータスを保つためには、グラフィックスは一定の水準に達していなければならないと思っています。
――やはり麻雀ゲームでは他より質が高いこと、他にはないものの重要性が高いということですね。ではおふたりに伺いますが、相手のタイトルを見て、ここがいいと思うところ、またはここはこうなっていたらいいのにと思うところはありますか?
有吉氏: 「MJ」さんをプレイしていてやられたと思ったのは、手の動きですね。イーシャンテンとツモった時の演出は、これだけでも「MJ」をプレイする価値があると思っています。最近だと、パチスロなどで使われている「フリーズ演出」を取り入れていて、画面がブラックアウトして、そこから手が現われる演出なんかはいいですね。あとはやはり実況です。1人で打っていて牌を切る音がしているだけではなくて、「対面からリーチが入った!」とかいう実況を聞いていると、テレビで大会に出ているような感覚にしてくれます。そういうプレイの熱さ、やる気を出させてくれる部分はすごいなと思います。
吉野氏: 「真・雀龍門」さんは、チャイナ服の女性キャラクターなど、中国の世界観に統一されているのがいいですね。またチュートリアルが充実していて、麻雀を始めたての人にやさしい機能がたくさんあるなと思います。それとツモったりした時に、ちょっとした一言を言いますよね。そういうのがユーザーの気持ちを高揚させるのにつながっていると思います。あとはやはり演出ですね。「真・雀龍門」さんの演出は派手で、ボイスも込みでトータルのバランスはさすがだなと思います。
有吉氏: 演出に関しては、正直なところ「MJ」さんを意識しています。ただ、派手過ぎず、地味過ぎずというところを狙っています。説明しづらいのですが、「MJ」さんほど派手ではないですが、他ほど地味ではなく、どちらかというと「MJ」さん寄りで……というところです。
吉野氏: 演出は本当に難しいんですよ。人によって、ウザいと思う演出が結構あるんです。そこのさじ加減がとても難しく、こちらがいいと思った演出も受け入れられないということがありまして、結局、演出のオンオフ機能を付けたりしました。麻雀はアガった人は嬉しくて見せつけたいんですが、アガられた人はさっさと次に行きたいんですね(笑)。理想としては、アガった人をすごく褒めて、アガられた人はすぐに次に行かせたいのですが、通信対戦をしている以上は待たなくてはいけないので、演出の時間的な尺もバランスが難しいところです。
有吉氏: 4人のうち1人が勝つゲームですから、残り3人の方は、言ってしまえばお金を払って不快な思いをするわけですよ。でも我々が考えるべきことは、3人の方に、もう1回プレイするぞと思っていただくためにはどうするかなんだと思います。演出のバランスはとても共感できるところですね。
吉野氏: あとアガった時に気持ちよくアガれるのも重要で、「MJ」では「アガりボタン」を用意しています。実際に大きなボタンをバンと押すのが爽快だという声も多くいただいています。こういうのもアーケードならではの要素ですね。
――ちなみに不評だった演出というのは?
有吉氏: 「くノ一の手」というものがありまして、それを装備した人がロンアガりすると、ロンの文字が出る前にアガり牌にくないが刺さるという演出がありました。これにビクッとさせられるのでやめてくれというお声をいただいたことがあります(笑)。そこまで驚かせるつもりはなかったので、申し訳なかったですね。
吉野氏: 大げさで過剰な演出は敬遠する人が多いですね。あとはやはり尺の長い演出も嫌われます。アガられた方はすぐに次に行きたいのに、悔しい時間が長くなりますから。役満ぐらいすごい役だと、相手にも納得してもらえますが、例えば平和で「どうだ平和だ!」というすごい演出を出したら間違いなく嫌がられますね(笑)。
――しかしそこは、バージョンアップを続けていくタイトルとしては難しいですよね。新しいバージョンでは、演出も綺麗になっていて欲しいというのがプレーヤーの心理としてありますし。
吉野氏: 結局、お客様が求めているのは、しっかりした環境で他の人と麻雀を打てることです。「MJ」には演出完全オフというボタンもあって、その分サクサクと自分のペースで打てるというのもありますから、一律では考えにくいですね。作り手としては、いい演出を作ったら見て欲しいのですが、お客様の立場では必ずしもそうではないですから。