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【BFG 2013】ベセスダ、「Wolfenstein: The New Order」プレビュー

銃二丁持ちやボス戦など、「Wolfenstein 3D」へのリスペクトが随所に感じられるゲーム性

銃二丁持ちやボス戦など、「Wolfenstein 3D」へのリスペクトが随所に感じられるゲーム性

 ナチスの宇宙事業展示場兼軍事拠点の「London Nautica」に攻め込むシーンは、プレゼンのみならず実際に我々もプレイすることができた。まだストーリー中盤のシーンということだが非常にドラマティックで、漫画「ゴルゴ13」の名エピソード「崩壊第四帝国狼の巣」を彷彿とさせる1人で巨大な組織を覆滅させる醍醐味が堪能できる気分爽快なステージだ。

 このステージは、仲間と2人で車に乗り込み、ロンドンの市街地から、検問をくぐり抜けて、橋の向こうにある「London Nautica」を目指すシーンからスタートする。中世の雰囲気を残した美しいロンドンの街並みはナチス支配のせいでボロボロに荒廃しており、車の窓越しに機械化された獰猛な犬が威嚇を繰り返し、検問の担当者の〆の言葉は「ハイルヒトラー!」。仲間は車内で現状に対してひとしきり悪態をつき、「London Nautica」の目の前で主人公を降ろすと、なんと入り口めがけて猛スピードで突っ込み自爆攻撃を敢行してしまう。

 車に爆薬を積んでいたのか、建物の入り口付近で大爆発が起き、入り口付近の石像が倒れるなどの大惨事になる。主人公はがれきの山と化した入り口付近を、機械化された番犬の攻撃から逃げながら、施設内部へ侵入していくことになる。

 デモでは、間一髪のところで何匹かの番犬の攻撃を凌ぎ、すいすい奥に進んでいたが、実際にプレイしてみると、全く逃げ切れず繰り返し噛み殺されてしまった。噛み殺されるのはルート設定が間違っているからなのだが、がれきの山はルートそのものがわかりにくいため、迷ったあげく何度も噛み殺されたのだ。この容赦なく殺しに掛かるポイントはこのステージだけでも何十箇所もあり、ゲームの難易度は非常に高いと感じた。ただ、開発者によれば、この難易度で確定では無く、製品版ではクリアできない場合に備えて難易度の変更も可能になるという。

【London Nautica】
奥に見えるのがLondon Nautica。入り口前には番犬のように犬型のロボットが守りを固めている

 施設内部でも、銃撃戦に次ぐ銃撃戦で、めくるめくバトルに身を投じることになる。銃撃戦で重要なのは、ヒットアンドアウェイとカバーアクションだ。「Wolfenstein The New Order」では武器は基本的に敵から奪うのが基本となっており、1カ所に留まっていると弾薬が足りなくなるため、絶えず移動して武器と弾薬とライフとアーマーを補充しながら戦うのが基本になる。

 もちろん、敵が無数にいる中に身をさらすのは自殺行為となるため、そういう場合は、銃口だけ敵に晒して身を隠して銃撃を行なうカバーアクションがポイントとなる。壁際でLB(Xbox 360の場合)を押しながら方向キーを操作することで覗き込むようなアクションが可能で、この状態から銃撃することでほぼ一方的な攻撃が可能となる。

 ただ、「Wolfenstein」らしさが存分に発揮されるのは、実はこうした1対多のシーンだ。「Wolfenstein 3D」をリスペクトして、アサルトライフル程度の小銃までならハンドガン2丁持ちのような感じで2丁持ちで攻撃が行なえるのだ。それが強いかどうかというと、どうも微妙で、敵の攻撃に身をさらしすぎなような気もしなくもないが、会場がもっとも盛り上がったのがライフル2丁持ちで敵に立ち向かうシーンだ。器用に片方ずつリロードを行ないながら左右の銃で交互に撃ちまくるなど、違和感のない演出で見た目を楽しませてくれる。こういう遊び心も嬉しいところだ。

【London Nautica内部】
倒しても倒しても襲いかかってくる兵士達

 ステージデザインも非常にユニークだった。この世界では、ソ連の代わりに、ナチスドイツが世界初の月面着陸を成功させており、そのモニュメントや偉業を記したパネルなどが施設内部に展示されている。その展示物の奥が、実はロンドン最大規模の軍事研究所に繋がっている。防備を固める兵士を倒しながら階段を使って上に登ったり、エアダクトをレーザーで焼き切って奥に潜入したり、エレベーターの固定具を銃で破壊して、エレベーターの重さを利用して一気に上昇したりなど、細かいギミックを駆使しながら最上階を目指していく。最上階にはレーザー兵器の研究所があり、それを盗み出すのが目的となる。

 ステージの最後は、研究所の奥にあるヘリポート。この世界のナチスドイツは、マシンガンを備えた攻撃ヘリを完成させており、ヘリポート内にずらりと並べられていた。主人公はそこに奪ったばかりの最新鋭の武器を手に単身乗り込んでいくわけだが、敵も必死に機械化兵を波状攻撃的に送り込んできて激しい銃撃戦になる。それを凌ぎきると閉じたシャッターの奥から巨大ロボが登場し、さらなる激しいバトルとなる。こうしたあたりも、明らかに「Wolfenstein 3D」を始めとしたオールドスタイルのFPSに対するリスペクトが感じられる内容になっており、それを最新技術で実現しているところが非常にユニークだ。

 「Wolfenstein The New Order」は、オールドスタイルのFPSの手法を、現代の技術で蘇らせた純粋な娯楽作品という印象を受けた。同様のアプローチを採用したゲームに「Duke Nukem Forever」があるが、こちらは技術的なキャッチアップが十分ではなく、残念ながら消化不良に終わった印象だが、「Wolfenstein The New Order」は“精神的な後継作”という似て非なるアプローチで、id Tech5という最新のゲームエンジンの力も借りながら、見事に現代風のFPSに昇華させている。日本語版の発売も決定しており、ローカライズが非常に楽しみな作品だ。

【敵のレーザー兵器を盗み出せ!】
研究所からレーザー兵器を盗み出し、無茶苦茶に破壊する。このゲームの醍醐味のひとつだ

(中村聖司)