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【ホビー特別企画】ミニ四駆、小さなボディに込められた技術と理論

よりスムーズな走りを目指して。たどり着けたスタート地点

よりスムーズな走りを目指して。たどり着けたスタート地点

ローラーの位置を修正し、ようやくマシンのセッティングが納得できるものに
レギュレーション確認用のボックスもきちんと通過する

 もっと積み重ねていれば、少なくともまともに走れていたのに……。メディアレースは終わってしまったがせめてきちんとしたマシンにしたいと思った。そこで、平日もう1度タミヤ プラモデルファクトリー 新橋店にいってみた。

 お店ではちょうど「ミニ四駆フェア」をやっており、連日様々なイベントが開催されていた。このため、平日にもかかわらず多くの人がセッティングとコースを走らせている。僕も改めてマシンをきちんとセッティングしてみた。

 コースは奇しくもメディア対抗レースと同じものだ。このコースを走るためには、パーツそのものはこれまで購入したものでいいはずだ。問題はマシンの幅にある。ミニ四駆では車幅はレギュレーションで決められており、それをはかるための小型の器具も用意されている。この箱を通ったらレギュレーションクリア、ということだ。今回はきちんとこのレギュレーションを意識し、器具の中を通れるようにセッティングし直した。ねじは特に意識してしっかり締めた。

 走らせた。安定している。きちんと走っている。ジャンプ台も低い軌道できちんと着地する。以前はそのまま安定せずに着地してしまっていたのだが、キチンと接地しそしてしっかりした走りで次のカーブに向かっている。S字カーブのようなカーブが連続するところでは壁にしっかりローラーが当たり、スムーズに車を送り出していく。バーニングブリッジ通過時は思わず緊張したが、こちらもきれいに通過した時は強い爽快感を感じた。うれしい、思わず拳を握りしめてしまった。

 そしてレースの規定である5周走っても、コースアウトしなかった。やった! ようやくコースをまともに走れるマシンができたのだ。この達成感は大きかった。対抗レースには間に合わなかったが、自分が最初に求めていた“バランス”を実現できたと感じた。ミニ四駆の楽しさを“体験”できたと思った。

 ミニ四駆は“理屈”の固まりなのが面白い。タイヤの大小は、ほんの数ミリの違いだ。それで大きく加速と最高性能が違う。モーターの出力を変えれば単純にスピードをもっと上げることも可能だが、コースから飛び出しやすくなる。走行姿勢を安定させるためローラーがとても重要で、車体を安定させるには“重さ”が大事だ。重りが上下するダンパーの機構も面白かった。

 「こんなに小さい部品が、そんなに影響を与えるのか」という疑問は、パーツの追加がダイレクトに影響する“走り”の感動にかき消される。改造が如実に反応となって返ってくるのは、とても興味深い。

 また、今回色々面白い話も聞けた。ファンの間では6月から行なわれる「ジャパンカップ 2013」が昨年以上の難関コースとなっており、話題となっている。どんなセッティングを行なうのか会場でたまたまセッティング台で隣になった人に聞いてみた。返ってきた答えは優秀な人の改造を“盗む”ということだった。昨年の優勝マシンは様々な媒体で取り上げられている。これをコピーし、そこから機能やギミックを読み取り、そして改めて自分の理想に組み込んでいくという。「盗み合いですよ」という言葉はミニ四駆競技への気合いも感じられた。

 そして上級者は、電池残量とモーターの組み合わせが重要となるという。セッティングそのものはある程度方向性として同じようなものになる。微調整は電池残量で行なうというのだ。電池残量でどのくらいのパフォーマンスが出るか、どのくらいのタイムが出せるかを把握しておき、テスターを使って電池残量の異なるものを数パターン用意して、そのときのコンディションに合わせて投入していくという。充電型の電池の中には、充電量を決めることのできるものもある。

 また、メディア対抗レースの時には、「自分の愛車への思い入れこそが大事だ」という意見も聞けた。セッティングや走りの追求の前に“これだ!”と思うキットを買い、走っている姿をイメージし、その走りを実現させるために改造を行なっていく、それこそが初心者として、ミニ四駆ファンとしてのスタートじゃないかというのだ。この意見もまた納得できるところがある。

 メディア対抗戦で優勝した「ねんどろいどミニ四駆」はまさに“マシンに対する思い”を結晶化したようなマシンだろう。ボディに乗った巴マミをいかに速く走らせるかにこだわって作ったマシンだ。外見だけでなく、早さと安定性を持ったマシン。ジャパンカップなどのレギュレーションには合わないが、ミニ四駆の楽しさと奥の深さを教えてくれるマシンだったと思う。

 僕のマシンは手を加えようとすればまだまだ余地がある。今でも、きちんとねじを締めても後ろのローラーが外れやすいのだ。これは走行中どれだけ車体に衝撃が加わっているかの証でもある。部品数を少なく、より強固にローラーをつけるパーツもあるという。この改造にも手を出してみたい。

 もう一歩踏み込むなら、モーターの回転を上げた上で、さらなるパーツ追加でコース完走を目指したい。また、新たなミニ四駆で対照的なマシンを組むのも楽しそうだ。気がつくともう少し先に進むことを考えてしまっている。のめり込むほどに拡がっていく世界なのだ。

春休みと言うこともあって平日でもたくさんの人がミニ四駆を走らせに来ていた
安定した走りを見せる僕のマシン。通過できなかったバーニングブリッジもきちんとパスする

(勝田哲也)