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【GDC 2013】モバイルソーシャルゲームのイベントデザイン手法
DeNAが開発した「Blood Brothers」の成功からポイントを探る
(2013/3/27 17:01)
現地時間の3月25日、アメリカのサンフランシスコでゲーム開発者向けカンファレンスGame Developer Conference(GDC)が開幕した。会期2日目の本日も昨日から引き続き、いくつかテーマについて深く掘り下げるチュートリアルセッションとサミットセッションが行なわれている。
ここではFree to Playサミットのセッションの中から、「Blood Brothers How a Japanese Mobile RPG Made It to the Top of the American Charts」というセッションのレポートをお送りする。
このセッションはDeNAが開発した日本生まれのモバイルソーシャルRPG「Blood Brothers」というタイトルが、いかにして米国を含めた世界33ヶ国でGoogle Playの売り上げ上位を維持しているかを、本作のプロデューサーのShimizu Yuji氏が解説するというセッションだ。
売り上げを伸ばす秘訣は「イベント」にあり。イベントについて
Shimizu氏は「Blood Brothers」が成功を収めた理由は「イベントにある」と話す。イベントを行なうことで、ARPU(客単価)が2倍近くに跳ね上がったのだという。
ここで言うイベントとはゲーム内で「ある一定期間だけ、通常時は出現しないモンスターや、レアアイテムが入手できる」といったものだ。このようなイベントを行なうことで多くのプレーヤーがゲームに参加し、その結果売り上げに繋がるという。
成功するイベントを作るコツとして、イベント期間は1週間くらいで、月に3~4回行なうのが良い。またプレーヤー同士で協力する要素や、競い合う要素など、いくつかの要素を組み合わせたイベントを作る事が重要だという。
「Blood Brothers」では、他のプレーヤーと協力して強大なボスを倒す「レイドボスイベント」や、「期間限定のスペシャルダンジョン」、「PvPイベント」などを行なっているという。
今回はその中でも特にプレーヤーに人気があるというPvPイベントのゲームデザインについて深く掘り下げて解説が行なわれた。
売り上げに繋げるためのイベントデザイン
Shimizu氏はソーシャルゲームのイベントデザインを行なう上で重要になるポイントを、「Blood Brothers」のPvPイベントを例に挙げ紹介した。
「Blood Brothers」には「士気」というパラメータがあり、他のプレーヤーと対戦する際はこの士気を1以上消費する。士気の最大値は3で、最大の3消費して攻撃すると、ステータスが1.5倍になるというボーナスがある。
当然プレーヤーは士気を3使って攻撃したいが、士気を1回復するには現実の時間で15分間かかるので基本的には短時間に何度も行なう事はできない。だがゲーム内課金を利用すると即時に回復できる。
PvPイベントでは、プレーヤーに「もっと戦いたい」というモチベーションを発生させる事が重要だ。その結果プレーヤーは士気を回復し売り上げに繋がる。
その為に「Blood Brothers」のイベントでは工夫している点がいくつかある。
1つが上位プレーヤーに褒章を用意すること。褒章があることにより目標が生まれ、プレーヤーのモチベーションに繋がっていくという。同様にプレーヤーをレベルごとにいくつかのグループに分けるのも1つの手法だという。こうする事でランキングが細分化され、目標が身近になる。そして細分化したグループは毎日組み替えるのもポイントだという。
これらの手法によりプレーヤーの目標を明確化し、モチベーションを誘発する。そうすると売り上げに繋がっていくのだという。
最後に改めて「Blood Brothers」が成功した理由として「イベントが大きな要素だった」と話す。多くのプレーヤーが参加することがゲームの売り上げに直結する、初心者から上級者まで全てのプレーヤーが楽しめるようにゲームデザインを行なう必要があると締めくくった。