ニュース

傑作の予感! 発売直前「シムシティ」インプレッション

地域全体で目指す一大チャレンジ。「偉業」実現を目指して

地域全体で目指す一大チャレンジ。「偉業」実現を目指して

都市間にある「偉業」建設予定地。着工だけでも莫大な原資が必要だ
「プロセッサー工場」を建てるも原料がなく操業停止中
次の産業を発展させるため鉱業都市の開発を急ぐ

 特化型都市をつくれるようになったら、いよいよ本作における一大チャレンジである「偉業」の実現が視野に入ってくる。RPGでレベルが上がり、あらかたのボスを撃破し、いよいよラスボスに挑戦できるようになるようなものだ。

 「偉業」というのは、これまで英語版表記で「Great Work」とお伝えしていたもので、複数都市の中間地点にある敷地に建設する巨大プロジェクトのことだ。「メガソーラーファーム」、「国際空港」、「宇宙センター」、「アルコロジー」などがあり、それぞれが単体で、特定品目の膨大な供給力を持つ存在だ。例えば「メガソーラー」を作れば周辺都市内に発電所がいらなくなる。

 そのかわり、「偉業」を建設するためには膨大な資金と、膨大な資源が必要になってくる。資金というのは建設をスタートさせるための頭金だ。これは時間さえかければ貯めることができる。難関となるのは必要資源の収集である。

 必要資源というのは「偉業」の種類によって異なるが、いずれにしても「テレビ」とか「プロセッサー」など、高度な製品が大量に必要になる。いずれも、高度に発達した特化型都市でしか生産できないものだ。

 例えば「プロセッサー」。この生産には都市に特化型施設の一種、「プロセッサー工場」が必要だ。その建設はお金だけあれば可能なのでたやすいが、工場を稼働させるためには、「合金」と「プラスチック」を安定的に供給する必要があり、ここがかなり難易度が高い。

 「合金」、「プラスチック」は、それぞれ採鉱・油田特化型都市でのみ建設可能な本部施設を、さらに取引量を増やしてアップグレードすることが必要となる。それを「半導体チップ工場」のある都市へ回送するため「流通センター」を必要とし、これだけでかなりの敷地を専有するので複数都市の連携がほぼ必須となる。

 さらに、これらのハイテク工場を動かすには教育程度が最高レベルのシム市民も必要だ。そのためには「大学」を建設した上で「工学部」を創設しなければならないが、そのためには地域全体の「小学校」、「高校」、「パブリックスクール」の総学生数を一定数以上にする必要があるので、これもまた複数都市の連携が必要となる。

高度な産業を動かすために必須の「大学」。広い敷地が必要だが、学部を増設することで様々な恩恵を得ることができる
キャンパスの周囲にハイテク工場が立ち並ぶ
高度施設を充実させると維持費が激増。経済のバランスをとらなければ

 というわけで、「偉業」を完成させるためにはとても多くの条件をクリアする必要があることがおわかりいただけるだろう。たいていは3つか4つの、それぞれ適切な特化型都市が必要になるあんばいなので、マルチプレイで分担してプレイする場合は特に、きちんとした計画を立ててから都市を作っていく必要がでてくる。さもなくば、なんとなく作った都市をあとから大改造するハメになりそうだ。

 といった一種の攻略要素も含め、本作は実にやりがいのありそうな作品だ。あらかじめ用意されている10種類あまりの「地域」は、地形や各地域の特性、高速道路網による地域間の接続具合などにより、それぞれ異なる戦略で遊べるようデザインされているという。特定の目標を達成するのにやさしい地域もあれば、難しい地域もあるだろう。そこに多彩な体験と膨大な遊びが待っていそうだ。

 今回体験できた1日の試遊では、“碁盤の目シティ”で効率優先したものの、大学を作ってプロセッサー工場を稼働させる寸前で、残念ながら時間切れとなった。「偉業」着手には至らず、本作の入り口をわずかに垣間見たという感じだ。それだけに、ますます時間をかけてプレイしたいという感触を得ることができた。これは「シムシティ」だから特別視しているわけではなく、純粋に面白いゲームとしての確かな手応えがあるのだ。

 製品版をたっぷりプレイする前に結論を出すのは早計かもしれないが、現状、傑作の予感である。

「エキスポセンター」を開設すると都市収入に大きなプラス。空港も建設して観光客を呼び込みたい
都市の成長限界を考える上で重視したいのが上下水道。キャパを超えればすぐ発展に影響するうえ、コストも高い
自然災害も悩みのタネ。今回のプレイではゾンビに襲われ、隕石の雨が降り注いだ。警察、病院、消防署の充実が傷口を浅くする
Amazonで購入

(佐藤カフジ)