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PS3「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」

期間ギリギリまで調整された珠玉のアクション

期間ギリギリまで調整された珠玉のアクション

――BOOT CAMPで製品版をプレイさせていただいて、体験版からさらにアクションが洗練されていると実感しました。“斬奪”がより気持ちよく遊べるようになっていたり……このあたり、相当ご苦労されたんじゃないでしょうか?

是角氏:体験版からさらに調整を加えています。やはり“さわり心地”を最後の最後まで詰めていたので……各部分を取捨選択してやっていってましたね。“斬奪”に関しても、体験版に入っていなかった連続斬奪、あれも最後の最後に(入れました)。

――そんな開発の土壇場でいれて大丈夫なものだったんですか!?

稲葉氏:大丈夫かどうか……ギリギリみたいな(笑)。

――連続斬奪は、凄く気持ちよかったです!

是角氏:でしょ!

――できるようになると、さらに狙いたくなるんですよね。アクションに対する欲求をちゃんと誘導して拾ってくれるのが、凄く気持ちいいです。

齋藤氏:気持ちよさも取捨選択して、ようやく入れられた部分ではあります。

稲葉氏:体験版は面白いと思いますけど、正直(今は)ちょっと見たくない。ゲームの開発というのは、最後の最後で色々と詰め込んで品質が急激にあがるんです。最後の一歩というところがあるので、逆にそこをあきらめるかどうかが分かれ道だと思うんですよね。100点とれるか、80点で終わってしまうのか。80点から90点にはなんとかあげられても、91点まで上げるのって凄く大変。スタッフが疲弊しているところに、先ほどの連続斬奪とかもそうですけど、「92点、93点いけない?」というのを粘り強く繰り返して、ギリギリまで考える。体験版よりも今のほうが面白いから、毎回複雑な気持ちになります。

――体験版をプレイしたユーザーからの意見で、特に気になるものはありましたか?

齋藤氏:1番は“難易度”ですね。「これくらいをノーマルとしよう」っていうのが、ぼくのなかではだいぶ緩くしたつもりだったんです。でも「まだ難しい! という意見が多くあった。そこから難易度の見直しをかけて、新たに調整をしています。

――同じイージーでも、体験版と製品版であまりにも違うので驚きました。

稲葉氏:もう、まったくの別物ですよね。

――物凄く気持ちよく大暴れできる一方、「VANQUISH(ヴァンキッシュ)」などを作られてきたプラチナゲームズさんとしては、実はもう少しゴリゴリに作りたかったとか?

稲葉氏:いや、今回のイージーは「BAYONETTA(ベヨネッタ)」のイージーオートマチックみたいなもので、前向きにはっちゃけて遊べるモードを入れたいな、という考え方なんです。単に簡単にしてるとかではなく、「METAL GEAR RISING REVENGEANCE」の楽しさを別の角度から味わってもらって、そこから(アクションゲームとしてのステップを)上がっていって欲しいなと思います。

齋藤氏:楽しさをスポイルしているわけではなく、斬る気持ちよさもイージーのなかに残しています。攻防も基本的にちょっとゆるくなっていますけど、少しだけできるようにはしてある。アクションゲームとしての面白さは、イージーのなかでも全部生きています。

是角氏:「ストーリーや世界観を堪能したいけど、アクションゲームなので私たちにはできないんじゃないか?」という不安の声が、昔からの「METAL GEAR」シリーズのファンの方々からあがっていたんですね。でも製品版のイージーとイージーアシストは、「METAL GEAR」シリーズのイージーがクリアできる人なら、恐らく最後までプレイできる。そこは安心して遊んでいただけると思います。

齋藤氏:プラチナゲームズとしてはアクションを推していきたいところがあるので、難しいモードはもっと難しいです!(笑)。

稲葉氏:そこは何の歯止めもかけていない。好きなようにやりなさいと。

玉利氏:だんだん挑戦したくなってくるんですよ。ぼくもイージーとイージーアシストは心配していた部分があるんです。特にイージーアシストは「ゲーム性がなくなっちゃうんじゃないか?」と思ったんですけど、やってみたら面白いし、やっているとだんだん自分が上手くなってくるので「これだったらノーマルもできそうだな」とやりたくなってくる。初心者が上級者になっていくまで楽しめる。

――イージーアシストの大胆さはびっくりしました。システムとしては、かなりクリティカルな要素だと思うのですが……。

稲葉氏:(入れたのは)締め切りの2~3週間前くらい。やっぱりコレ入れようって。メインプログラマと齋藤と3人で話し合いながら数日間で入れたんですけど、結果的に良かったと思います。

齋藤氏:何をどういうふうにイージーアシストする? というところからのスタート。基本的に「シノギが難しい」というのがあったので、そこを簡単にしつつ何かできないか? と試行錯誤して、本当に短い期間で濃い実験をしていました。

玉利氏:最初、是角から「これ、たぶんゲームとしては面白くなくなるから、なにか言い訳の文章を考えておいて」といわれたんですけど(笑)。

是角氏:そこはステップであって(笑)。イージーアシストは最後の保険くらいで考えていたんですけど、作っていただいたものは、アクションゲームに不慣れな人が最初にやるときに最適なアシストになっていた。デメリットじゃなくて、ユーザーさんに誇りをもって「これで遊んでください」といえるものになりました。

稲葉氏:最終的に実装するかどうかは悩みましたよ。1日悩みました。プロジェクトをスタートするときより悩みました(一同笑)。

【BOOT CAMPプレイムービー その4】
※この動画は、GAME Watch編集部によるプレイ映像です

ボスキャラは「モンスーン」が高評価 ~影のヒーローはコゲッコー(仔月光)!~

――最初にチャプター1ではなく0(ゼロ)から始まりますよね。最初に導入部かと思ってプレイし始めたら、物凄いボリュームで驚きました。動機付けをあそこまでしっかり描くというのは最初から決めていたのでしょうか?

是角氏:まず、雷電がなぜあの姿になったかを描きたかったので、その動機づけを簡単に済ませるワケにはいかないんですよね。どういうふうにするかを玉利とガッツリ相談しました。

齋藤氏:「4」のあとの話ということで、ユーザーさんからは「幸せになった雷電を、なんでもう1回戦いに向かわせるねん。お前ら鬼か!」みたいなお便りをたくさんいただきまして(一同笑)。

玉利氏:でも「4」をちゃんと見ると、そんなに(事後は)甘くなさそうだとにおわせるところは色々あるんですよ。リアルに考えたら「悪が滅びて皆幸せに暮らしましたとさ」で終わる世の中なんて、現実には考えづらいじゃないですか。雷電が生身になったと勘違いされている方もいらっしゃいますけど、よく見ると肌に継ぎ目があってもう元には戻れない描写があったりとか。今まで戦うことしかしてこなかった人間が、何で妻子を養っていくの? というのもあるじゃないですか。愛国者たちを倒したけど、それですべての悪が滅びて幸せになるのかといえば、そんなことがありえるわけがない。元々ぼくのなかで考えていた部分もあって、それをやりたいというモチベーションもあったんです。

――現状公開されている範囲で、1番お気に入りの敵キャラをあげていただけますか? 私はサンダウナーが特に印象的なのですが……。

是角氏:あいつは本当に憎らしい奴ですよね!(笑)。

玉利氏:「どれだけ憎らしくできるか」で書いてましたからね。人を倒してニヤニヤしてますから。最初に齋藤さんから「信念をぶつけあうようなバトル」というのをいただいていたというのもあるんですけど、色々痛いところを突かれながらも、それでもプレーヤーに信念を捨てず戦って欲しいなという気持ちが凄くあります。

是角氏:キャラクターにも「自分が思っていること」があると思うんですよ。そのキャラクターが、何を思ってそう行動しているか。ただ単に悪の道に走りたいわけじゃない。「この人は、どういうことを思って戦っているか」というのが欲しいので、それは話し合っていましたね。

――言動はもちろん、外見や行動のはしばしからも、そのキャラクターの意識とか情念が伝わってくると思います。そういう意味では、なかなかピンポイントで名前はあげづらいでしょうか?

是角氏:あ、ぼくはありますよ。「ミストラル」。唯一の女性の敵キャラ(笑)。単に1本ストーリーをプレイされるだけではわかりづらいところが、無線でだいぶフォローが入るんですけど。そういったなかで「ミストラル」は色々な面を持っていて、後々「ミストラル」のよさを語りたいと思うくらい魅力的です。

玉利氏:チャプター3までだと……難しいですねぇ。サンダウナーもサムも好きだし、モンスーンも色々いいこと……嫌なことなんですけど言ってくれるし。モンスーンのセリフはぼくの考えの入っている部分もあって。ぼくは敵としてはモンスーンが大好きですね。

稲葉氏:モンスーン、いいよねぇ。

――なにやら皆さんモンスーンの評価が高いようですが。

稲葉氏:関節の塊ですから。そういえば先ほども雑談をしていたんですけど、隠れたヒーローが「コゲッコー(仔月光)」。存在感がでかい(笑)。

是角氏:色々なところで出てくるので、キャラ的にかわいいけど、合体すると強い! みたいなところもありつつ。

稲葉氏:ミストラルにしいたげられまくり(笑)。

是角氏:デザイン的に色々なところに入っていたり。チャプター3までであれば、恐竜みたいなラプターにも仔月光がついてますし、空を飛んでいるスライダーという無人機の真ん中にもこっそりついているんですよ。ラプターを倒したあと仔月光だけが襲ってきて、気づくと取り付かれているっていう(笑)。

稲葉氏:全編通してプレイした後、1番愛されているかもしれませんよ(笑)。

――そろそろお時間がきてしまったようです。最後に、期待感ではちきれんばかりのユーザーの方々にメッセージをお願いします。

齋藤氏:「METAL GEAR」の世界で自由斬撃が楽しめるアクションができたので、それを楽しみにしてください。キャラクターの個性も楽しんでください!

稲葉氏:自信を持っておすすめできますので、ぜひ楽しみにして欲しいなと。なかなか業界でもないコラボレーションの成果を存分にお楽しみいただきたいと思います。

是角氏:みんなで「お前もプレイした?」と言い合いたくなるようなゲームになっていると思います。興味を持たれた方は、ぜひともプレイしてみんなで盛り上がっていただけたらなぁと思います。

玉利氏:プラチナゲームズさんならではのアクションの楽しさが凄く出ていますし、その一方で「METAL GEAR」シリーズの世界観をキッチリ受け継ぎながら考えさせられるストーリーになっておりますので、そこを楽しんでいただけたらと思います。

――本日はお忙しいところを本当にありがとうございました。

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(豊臣和孝)