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「FFXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー吉田直樹氏インタビュー(後編)

βテスト延期の真相とは? 気になる今後のサービススケジュールを聞く


11月13日収録

スクウェア・エニックス本社



 インタビュー後編では、「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」の気になる今後のサービススケジュールについて集中的に質問を重ねてみた。αテストの今後の展開や、先日のプロデューサーレターLIVEで残念ながら延期が発表されたβテストの内容、そして正式サービスについて。PS3版のβテストの開始時期についても質問してみた。

 吉田氏はこれまで通り、スケジュールよりクオリティを重視する姿勢を崩さなかったものの、今後の大まかな流れは掴めてきた。肝心の正式サービスは来春になるのか、来夏になるのか、まだまだ予断を許さないが、クオリティ的には大船に乗った気分で、βテストを迎えることができそうだ。



■ αテストについて。欧米でもスタート、次いで24時間サービスを実施

「ファイナルファンタジーXIV: 新生エオルゼア」プロデューサー/ディレクターの吉田直樹氏
現在行なわれているαテスト。場所はグリダニアの黒衣森
今年7月に中国上海で御披露目された中国語版「FFXIV: 新生エオルゼア」。運営権を中国盛大に渡すという珍しい形での運営となる。

――続いて今後のスケジュールについてお伺いしていきます。まず、αテストを開始してみての手ごたえを聞かせて下さい。

吉田氏: まず初日のαテストをオープンした日に、僕もインゲームにいましたが、ストレートに「すげー」って声をたくさんいただいたのが率直に嬉しかったです。αフォーラムの投稿で、「正直αだと思って舐めてました」というコメントが、僕の中ではものすごく嬉しかったです。実際にフィードバックいただいている中身は基本βテストでもらうはずの内容のものが多いので。αテストという意味では僕のハードルは正直もう少し高かったので。

――それはつまり、もっと否定的な意見が出てくるかなと思っていたわけですか?

吉田氏: かなあと思っていました。否定的というより、うーん、なんでしょう、不安なだけだったのかもしれません(苦笑)。

――私もさっそくプレイしてみましたが、現行「FFXIV」と比較すると、突っ込みどころがないですよね。初期「FFXIV」のβテストは、どれが仕様でどれが不具合か判別が尽きませんでしたが、ラグもなくなっていますし、バトルも普通にこなせるし、何事も普通にできるわけですよ。「ああ、普通に遊べるなと」と思いました(笑)。

吉田氏: ええ、だから普通だねって感想が、もっと多いかと思ったのです。たぶん。

――もっと評価してくれたってことですか? 素晴らしいじゃないかと。

吉田氏: そうですね。そこは素直に開発もみんな喜んでいました。やっぱり2カ月前のαブランチのときにも単に“新生「FFXIV」サーバーの負荷試験”という名目だけなら、すぐにでも始められたのですが、あの時点で出してたら、どうだったかなと。

――いまはまだ時間限定オープンですが、これが24時間オープンになるのはいつ頃ですか?

吉田氏: フェーズ3のグローバルαテストに切り替えたタイミングにするか、グローバルを数日間見てからにするかはちょっとリードプログラマーと話をします。今そこに向かっての修正作業をやっている途中なので。

――というと、24時間化よりもグローバル展開が先ですか?

吉田氏: まずは距離のあるところから接続していただいて、サーバーへのレイテンシーをみたいです。あとは実際日本のインフラ環境は非常に良く、世界有数のインフラ環境なので、やっぱりそうじゃない地域から接続していただいたときに、ラグの問題が出てきます。

 例えば現行「FFXIV」でも、イフリートのアクションで予告エフェクトを見た状態から逃げても、イフリートの技に当たってしまうというのがヨーロッパで出ていて。実際ヨーロッパからだとレイテンシーが非常に悪いのですが、pingが300msを超えると固有のバグがでるという状況があって。新生「FFXIV」サーバーでそういうものがないかをまずしっかりチェックしたいのです。いつも現行「FFXIV」でも言ってきましたけど、問題の切り分けをしないまま上に物を積み上げた状態で問題が出ると、どこで問題になっているのかわからなくなってしまいます。ですので、新生「FFXIV」にあたっては、本当に1つずつ慎重にやっています。

――グローバルαテストは、北米と欧州は同時スタートですか?

吉田氏: はい、同時です。

――ちなみに北米と欧州に関しては、それぞれに物理的に近い所にサーバーを置くということを公言されていますが、このαテストからそうなりますか?

吉田氏: それはまだです。今そのためのデータセンターを作っている最中なので、αテストは日本につないでいただきます。

――地域別のサーバーが稼働するのはいつ頃からになりますか?

吉田氏: βテストの途中からになると思います。物理的にまだ構築中なので。

――現地のIDCの一角を借りるわけではなく、専用のデータセンターを建設中ということですか?

吉田氏: いえ、IDCですよ。そこにスクウェア・エニックスのラックを置いてもらい、ハードウェアを入れて、ハードウェアの専門家とネットワークの専門家がいて、例えば通電チェックもしなくちゃいけないし、例えばIDC自体の電源構築を調査する必要もあります。アメリカにデータセンターを置こうと思った場合、国土が広く自然災害が発生しやすいので、日本に比べると停電の頻度が非常に高いのです。その停電対策はどうなっているのかなど、全部詰めていかなくちゃいけないんです。

 州によって法律も違うので、データセンター自体を貸しているところの出入りさせる業者はその州によって指定があったり。つまり1社とだけ提携すればいいわけじゃなくて、いろんなことをする必要があるため、一口にデータセンターを単純に間借りして作るといったって、半年くらい軽くかかります。日本は逆にいうと甘いくらいで。あとお客様のセーブデータを預かるビジネスなので、そこは特にセキュリティをすごく慎重にやっています。バックアップ対策もそうですが、かなりコストをかけてやっています。

――あともう1つはグローバル対応に関して、多言語対応をさらに進めていくというお話ですが、現時点では日英独仏の4カ国に加えて、中国展開が確定しているので中国語までは見えています。それ以外の言語への対応についてはどのように考えていますか?

吉田氏: 日英仏独、中国に向けての中国語までは確定していますが、それ以外は日英仏独以外のお客様がどれくらい来るかによって、それから対応を決めます。

――なるほど、韓国からのユーザーが多かったら韓国語に対応するとか?

吉田氏: はい。あと例えばロシア語とかですね。今結構フォーラムで要望が多いのはスペイン語ですね。ただ、「FFXIV」の場合は、僕らが単純に言語対応すればいい場合と、提携してそちらに運営権をお渡しするパターンと、大きく2つあるわけで、後者の場合、単純に言語が増えるということとはちょっと違うので、すでにいくつかお話はいただいていますが、新生「FFXIV」の結果がでてからでいいですと言っています。

――ちなみに中国展開については、サービス時期について発表がありませんが、どのような計画になっているのですか?

吉田氏: 一般論になりますが、いまどの国もそうですが、中国にしろ、韓国にしろ、いわゆる北米欧州で発信されるMMOをアジアでローンチするときって、最低でも半年、もしくは1年くらいあけるんですよ。なぜかというとライバルがものすごく多いからです。中村さんもG-STARに行かれたばかりだからおわかりだと思いますが、アジアではパッチの貯蓄が何よりも大切です。グローバルで1年分のパッチを先行してためておいて、これを3カ月くらいで全部出しちゃう。つまりこのゲームすごい勢いでパッチがあたるよ。どんどんゲームがかわるよというのを演出したいから、先にパッチのつくりだめが欲しいのです。

 それを踏まえても、もうしばらく先にはなります、いずれにせよ、まずは新生「FFXIV」を着地させ、それを楽しんでいただくことが何より最優先です。そのお約束が達成できてから、次に取りかかるつもりです。

――αテストに話を戻します。今後、検証を目的に、どのようなコンテンツを実装する予定ですか?

吉田氏: αテストは今のままです。コンテンツを増やすことはないです。

――この間のプロデューサーレターLIVEでFATE(フルアクティブタイムイベント)や、ハウジングとか新規コンテンツについて話がありましたが、これらはαテストではテストされないのですか。

吉田氏: はい、UIが入ってないので、したくてもできないですね。FATEについてはストレステストとして、僕らがイベント的に実施しますのでご参加下さい、というイメージです。

――なるほど、そうなんですね。先日のプロデューサーレターLIVEでの発言から、αテストの終盤でFATEが体験できるのかと思ってました。冷静に考えればαテストなので、コンテンツテストはなくて当然ですが、ちょっと欲が出ちゃいますよね。αクライアントのクオリティが高いので。

吉田氏: それはすごく幸せなことだと思います。普通に遊んでしまってごめんなさいと、フォーラムに書いてあって、いや、楽しんでもらえているならぜんぜんいいですと。

――となると、後はαテストでは、サーバーの稼働時間と展開地域を徐々に増やしていくという流れですか? 

吉田氏: はい。フェーズ3から一気に北米、欧州を全部入れます。グローバルな状況というのは2日もテストすればわかるので、順調にいけばそのタイミングからもう24時間稼働にしちゃうと思います。24時間稼働では、3日3晩もまわせば、おそらく最初はメモリがたまっていく系のバグが出てくると思いますので、そこに修正をかけていく感じです。

 あとはプロデューサーレターLIVEで「2カ月と2週間ほど遅れています」という話をさせていただいたので、その24時間稼動状態になったら、PRもかねて、できるだけ多くの方にαテストをプレイしていただけるようにしたいなと思っています。

 当初はαテストのワールドは2つで十分だと思っていたのですが、ログイン率が非常に高くて、これ以上アカウント配るとパンクするという状態なので、αとしては例外的ですが、もう少しワールド数を増やすかもしれません(笑)。快適に遊んでいただくためにαのワールド増やしますねという、負荷試験の意味がない状態ではありますが。それもご好評いただいているからできることで、機材はすでに全部揃っていますし、αテスト参加希望の方には、できるだけ多くαテストに触れる機会を作った方がいいかなと思っています。


■ 新システム「FATE」と「ハウジング」について

吉田氏によれば、FATE(フルアクティブタイムイベント)はありふれた存在になるという
プロデューサーレターLIVEでFATEについて語る吉田氏
ハウジングのイメージイラスト
イラストを見せながら構想を楽しそうに語る吉田氏

――なるほど、αテストが賑わいそうですね。FATEについてもうちょっとだけ伺いたいのですが、αで実装しないとしたら、なぜこのタイミングで発表したのですか?

吉田氏: 今後、PRで動画も交えて色々出していきたいと思っています。なにしろ通常のレベリングの中でも大きな役割を果たすことになるシステムなので。

 例えば、グリダニアの拠点からゲームをスタートして、グリダニアの町の中からとりあえずクエストを拾いつくせるだけ拾えばレベル3になります。レベル3になってミューヌの所に戻ると、いよいよ外に行きなさいという話になる。外に行くとクエストマークがついているモンスターだらけで、全部倒して町へ戻るとレベル5くらいになるので、ミューヌのところにいくと、修練場に行けといわれて、次の拠点に移るじゃないですか。そして、修練場のクエストが1個だけでていて、そのクエストをクリアすると、クエストが多数発生して、という流れになっています。

 そのクエストに従って走り回っているときに、ゾーンメッセージでレディバグのNMが修練場付近に出現中とアナウンスが流れるので行ってみると、周りにいる人は全員自動的にFATEグループになって、倒せば全員で報酬を分配されて、「お疲れ!」っていって、またクエストに戻るみたいな、FATEってそういう存在なのです。

――そんなに序盤から登場して、なおかつ参加しやすいのなら、報酬って一体どういうものになるんですか?

吉田氏: プロデューサーレターLIVEでは僕がNMという言い方をしたので誤解されたかもしれませんが、報酬といっても、超レアとか凄く強いとか、そこまでのものではないですね。

――ポーション1個もらえるとか?

吉田氏: いや、さすがにもうちょっともらえます(笑)。何か装備品くらいは手に入りますが、ファーミングしてまで欲しいかというと、そんなことはないと思います。どちらかというと、ギルとEXPと装備がもらえるのが美味しいと。

――たまたま近くにいるからじゃあ参加しようかぐらいの存在と言うことですね。

吉田氏: そうですね。要は、世界が生きている感。文字通りアクティブなイベントって感じなので。

――「FFXI」で言えば、ラテーヌ高原に現われる大羊みたいな存在でしょうか。当時みんなレベルが低かったので、絡まれるとみんな死ぬわけですが、そういったイメージを持ちました。

吉田氏: そういったものが突然発生するということですね。突然変異モンスターがでたので、みんなで倒しに行きましょうって。例えばそのプロデューサーレターLIVEの中でワインポートを越えて奥に進んで、沈黙の花壇のほうに行きましたけど、あのすぐ近くに盗賊の集落があるんです。あそこから例えばFATEシステムでエオルゼア時間の午前5時になると、盗賊がいっせいに街に襲ってきたりするので、みんなで防衛してくださいとか、それもFATEです。

――なるほど、ありふれた存在なんですね。

吉田氏: ええ、基本的に身近で発生していたらやるって感じで、あとはFATE専用の告知を出すことも考えているので、世界中のどこでFATEが発生しているかを見て、移動したければテレポなどのファストパスですぐに移動して参加ってことも可能です。ちなみにFATEは必ずレベルシンクが入る予定なので、高レベルプレーヤーが低レベルのFATEを荒らしまくるってことはできないです。

――それは良いですね。

吉田氏: FATEグループに加入したらレベルシンクが掛かります。モンスターの占有もありません。現行「FFXIV」で占有をいれて、いまαにも入っていますが、β以降では外してしまう予定です。

――FATEのお知らせは、この画面のように中央にドカンと出るイメージですか?

吉田氏: FATEは画面全体にでます。緊急事態の発生を知らせるかのように、ドンって中央に大きく表示されたあとはマップの中に表示されていて、終了したら消えるって感じです。近くに行くとFATEの目的リストが出現して、何をすれば良いかわかるようになります。FATEが完了したら、また元の目的リストに戻ります。

――FATEはすべてパブリックエリアで発生し、誰でも参加できるコンテンツですか?

吉田氏: 誰でも参加できます。しかし、それをクリアするのがクエストフラグになっているクエストもあります。例えばチョコボに関連したFATEが発生していて、それをクリアするとチョコボに関連する報酬がもらえるとか。各ゾーンに5から10用意するつもりで進めていますので、これを避けてプレイすることは不可能だと思います。

――“「FFXIV」版ビシージ”という意見がありますが、ビジージよりかなり多様性のあるシステムですね。都市防衛だけ見れば、ビシージ的ですが、あらゆるエリアで発生し、パターンが多様な点で、あらゆる場面で活用可能ですね。

吉田氏: そうですね。例えばベントブランチからグリダニアの間をチョコボのキャラバンが移動するので、モンスターからみんなで守ってくださいとか。近くにいる人同士で勝手に近づけば参加という形になります。

――あともう1つ、新規コンテンツに関して、毎回プロデューサーレターLIVEで発表している要素の1つにハウジングがありますが、これは吉田さんのこだわりですか。

吉田氏: こだわっているというよりも、単純に事前の質問募集の際に、プレーヤーの「いいね」の数が多いからです。今回も400〜500ぐらいついていましたね。

――ユーザーの期待度がそれだけ高いのですか?

吉田氏: そうですね。特に日本のプレーヤーのニーズが高いです。

――和田さんも毎回ハウジングに言及しますよね。

吉田氏: 某掲示板に“ハウジングのおじさん”って書かれていましたね(笑)。

――(スライドを見ながら)これがこの前プロデューサーレターLIVEで見せたやつですね。

吉田氏: はい、荒野ゾーンの大風車ですね。荒野ゾーンの家のMサイズです。これがグリダニアゾーンのMサイズ。

――ハウジングは個人的にもかなり楽しみですが、テストはいつからやるんですか?

吉田氏: テスト自体は多分βテストの1番最後に、ちょっとやるんじゃないかなと。「ドラゴンクエストX」と同じようなイメージですね。ハウジングは最初のパッチで実装することを考えていたコンテンツなので、だからまさしく「ドラゴンクエストX」と同じような出方をするんじゃないでしょうか。

――仕様的にも「ドラゴンクエストX」と近いものがあるのですか?

吉田氏: ほとんど同じですよ。「ドラゴンクエストX」には僕も関わっていましたし、ハウジングの基礎も僕がいた頃に設計したので。もっとも、一般的なMMOのハウジングってそんなに変わらないと思いますよ。

――これ家を建てるエリアはパブリックエリアで、ハウスの中がインスタンスですか?

吉田氏: いえ、そもそもハウジングゾーン自体がインスタンスです。普通のゾーンと同じなので、別に何人でも。1,000人ぐらいまでは入れるんじゃないでしょうか。

――このハウジングゾーンは、地形がこっていますね。

吉田氏: 「FF」ってことで、やっぱり雰囲気があるところに住みたいだろうと思って。僕からのオーダーで、ハウジングエリアを、綺麗に区画されたような、宅地造成地には絶対にしないでくれという話をしています。ただでさえ、そうは言っても似たような家が建つはずです。それがほんとに区画整理した状態で建つと、コピーに見えてしまって。

――これ全体がハウジングのインスタンスで、この傾斜のあるエリアにも家が建てられるわけですか?

吉田氏: そうです。ハウジングのダミーを置いてありますけど、こういう風に土地が売られているので、買うと建てられる。だから土地は最初から決められています。これは僕らが景観をデザインした上でそこに建ててもらうように。

――これは建てた後のトレードは可能なんですか?

吉田氏: ダメです。権利書を戻さないとできません。

――なるほど、そこは結構ゲーム的な処理なんですね。維持費は発生しますか?

吉田氏: うーん、今の所は考えてないです。いや、議論は今もしていますが、その考え方はもう古くないかって話をしている最中です。「Ultima Online」の頃は、確かに家のリフレッシュするためだけにログインしていたのですが、今の時代、ゲームを辞める人は、そんな理由だけで防止になるとは思えないのです。むしろ、その縛られてる感覚の方が、重たいのかなあと。それよりは3カ月中断していたけど、戻ってきたらちゃんと家があったという方が、気が楽でいいのかなと。

――ちなみにこのハウジングはいつから利用可能になりますか?

吉田氏: 正式サービス後の1回目の大型アップデートで入れます。現在、作ってはいるのですが、デバッグが追いつかないかなと思います。ハウジングに引きずられて、新生「FFXIV」のリリースが遅れても本末転倒かなと。

――だからβテストで、1度テストするわけですね。

吉田氏: そうですね。例えばですけど新生「FFXIV」ローンチの2カ月後くらいに、最初の大きなアップデートが入って、ハウジングがオープンしました! だと、プレーヤーの方ももうレベルそれなりに上がっていて、財産も持ち始めている頃なので、買おうかという話が現実的になってくると思うのです。最初からあっても、最初は誰も手が出せないわけです。現行の方で、豊富に財産のある方は別として。

――正式サービス開始から、1回目の大型アップデートまでだいたいどれくらいのスパンを考えていますか?

吉田氏: ぜんぜんわからないです。それこそ僕は計画魔なので、すでに計画はしていますが、新生「FFXIV」αテストを遊んでいただければわかるように、本当にゼロから作っているので、やっぱり何が起こるかわからない所があります。僕としては想像以上の数のお客様に来ていただけたらとてお嬉しいと思っています。ですが、そうなった時に、今想定している以上に、物理的にサーバーを増設することを考えなければいけないですし、それにどれくらいコストを割かれるかが、正直わからないというところがあります。こればっかりはどのMMOも最初は絶対そうだと思うので。


■ βテストについて。吉田氏「もう少しポリッシュに時間をかけたい」

βテストの延期の理由について再び熱く語る吉田氏
吉田氏は、まだαテストの仕様には満足していない部分が多いようだ

――続くβテストでは、どういったことをテストしようと考えていますか?

吉田氏: βテストでやらなければいけないのは、引き続きの負荷試験の続行、続行というかちょっと毛色の違う負荷試験です。具体的にはPCサーチ系とマーケット。βフェーズ1ではこの2つが大きな目標になっています。大量の人が同時に膨大な量のアイテムに対して、ソートや検索キーを入れた状態で検索を同時にまわした時に、サーバーストレスってどのくらいなのかとか。検索エンジンって検索のプログラム用はサーバーの中で動いているプログラムのループが1個多いだけで、尋常じゃないサーバー負荷になるので。

 今αテストのメインプログラムの中で、今週やっているのはそういったソースの最適化です。クリティカルな負荷バグはとれたので、今は「バトルのソースコードのこのループ1個外せるんじゃない?」というレベルの話をしています。それだけで今よりも200くらいバトルを同時に立ち上げても安定するようになるので、すでにそういうレベルですね。

 βテストでは、それと同じことを検索でやろうと思っています。全プレーヤー同時に、「今お願いしまーす」だったり、あとは僕らがダミーアイテムをいれておくので、検索キー好きな風に入れてまわしてくださいとか。β初期はそこから始めます。実はそこが1番でかいですね。

――なるほど、それではβテストでは、ユーザーが楽しみにしている競売を含むマーケットシステムが一通り入って、かつ自由にサーチして利用しまくれる?

吉田氏: はい。それが目標です。

――ちなみに今回は2013年の1月下旬から2月と、若干の遅れを告知しながらβテストの実施時期を発表しましたが、遅れの理由は何なんでしょうか?

吉田氏: 僕がやたらとスタッフに注文を出すからです(苦笑)。

――それはわかっています(笑)。私は吉田さんが今何に引っかかってて、どういう注文を開発者に出しているのか、そこが聞きたかったのです。

吉田氏: そうですね、中村さんだとわかってもらえるかもしれないですが、僕はあれだけ計画するタイプですし、エンジン作ってもらう時にも橋本(善久氏、スクウェア・エニックスCTO兼新生「FFXIV」テクニカルディレクター)に「MMOだから、こうしてほしい!」というところは僕から細かくお願いを出しています。

 とにかくキャラクター数がたくさん描画できて、かつストレスのないエンジン。もちろんそんな簡単にではなく、もっと数字的に細かく言っていますが、同時並行で全開発に対しても、色々な要素について、同じように細かく言っているわけです。それから1年半が経過して、ちょうど2カ月くらい前に、当初想定していたαの基礎実装は終わったのです。「よーし、じゃあ、俺ここから一気に全部見るぞ!」って言ってやり始めて3時間後くらいには「もう、めちゃめちゃ修正要望出すぞ」って。

――何があったのですか?

吉田氏: 要は当時はまだ“ゲームとして”デコボコだったのです。例えばですけど、NPCとの会話シーン1つとっても、NPCとトークする際に、NPCキャラクターが振り向く瞬間に、まずは顔から振り向いてほしい訳です。でも、バコッて体ごと振り向くんです。「これはないんじゃない?」という話で。もちろん、それが製品状態なわけはなく、最低基礎要件が実装されていて、βテストに向かって、現行「FFXIV」と同じように細かく実装が積まれていく。それはわかってるのです。でもスタッフの「αテストだからです」というセリフには「NGだよ」って。αテストとはいえ、お客様にご覧に入れるわけだから、「これは、そういう次元じゃない。だってこれって基礎システムだよね?」って。「今やらなかったら、じゃあいつやるの?」というのをひとつひとつやりとりしつつ。

 もちろん、現状公開させて頂いているαテストでも、このNPCの首追従や振り向きは、まだ途中段階です。それでもこれ以下ではお見せできない、と。細かいと思うかもしれないのですが、この1つ1つの積み上げがゲームの品質なわけで。

――まったく、そのとおりですね。

吉田氏: MMORPGのような世界に住むことを前提としたゲームの場合、ものすごく気になるんです。例えばテキスト1つとってもそうです。今回大量のクエストを作って、導線に従って進めていくと、次第にやれるクエストが少なくなっていくんですよ。「あれ、ぜんぜんクエストなくなってきた?」となってきたところで、最後の1個を受けて次の街に行くと、ドバッと広がるという設計になっている。この「こっちを終わったら次にこっちか。次どこにいくんだろう?」という感覚は、新納(一哉氏、新生「FFXIV」アシスタントディレクター)と話して、彼が他のMMOも研究してくれて、しっかり当初の設計通り作ってくれているんです。でも、とにかく長かったんですよテキストが(笑)。

 今回NPCのメッセージは、メッセージログではなくてメッセージウィンドウにしました。日本のRPGとしてわかりやすくしたくて。ボイスに関しては、フルボイスはMMOのアップデート速度の妨げになるので、やらないって以前もいったと思いますし、だからこれでいいと。でも、テキストが長い。当時いくつかのサブクエスト受託の際に、メッセージウィンドウ8枚とか。「連射パッド使わせる気か!」って(笑)。

――なるほど、長いのは読まないよと?

吉田氏: 「普通に考えたら、クラスクエストは別として、サブクエストでウィンドウ5〜6枚も使ったらもう負けだよ?」って。ライターがたくさんいるので、ルール化しすぎるのも面白くなくなる。じゃあ3枚以内にしようっていったら、本当に3枚以内にして必要な情報が抜けてしまいそうだし。

 これだけ大規模な平行開発では、やっぱりそのリスクが高いのです。スタッフは全力でやってくれていて、短い時間で信じられないぐらい、本当によくやってくれています。だからこそ、いったんここで「手本」や「基準」を示す必要があるなと。新生「FFIV」を作る時にすべての項目に対して、400セル以上もシートを作って、全スタッフに2週間以上かけて、プレゼンしたのですが、もっと細かいレベルで、同じ事を今回またやってやろうかなと。すべての修正項目に対してリストを作って、処理やテキストを書いてるスタッフに、なぜそうしなきゃ行けないのかっていうのを書き出して。

 アニメーションもそうです。仕様では、ダメージを受けた割合で、アニメーションが3段階に分かれているんです。クリティカルにでかいダメージ食らった場合、ミドルダメージ、ローダメージですね。今のαテスト中は、モーションブレンドの最終的な実装がされてない状態なのですが、ヒットバックが入ってて。いや、それはないよねと。

――あのヒットバックのデカさは、私もちょっと違和感を感じましたね。

吉田氏: ゲーム序盤で雑魚からそんなにでかいダメージ食らわないよって(笑)。ただ、スタッフが悪いわけじゃなくて、誰もやったことがないことを今やっているわけだから、こっちなんだよという話をしていない僕が悪い。

 とにかく2週間かけてひたすら僕が項目を洗い出して説明して、それを開発が対応していくという、つまり最終的なゲームにするという部分ですね。それにもう少し時間を掛けたいのです。もちろん、βテスト向けに全部実装までやるのではなくて、その中のいくつかの項目はもっとコストをかけてやった方がいいねというのもあります。

――なるほど、もうちょっとポリッシュに時間を掛けたいと?

吉田氏: そうですね。ここは正直に言うと誰も分からないし、最終的に僕も予測がつかないくらい。これがスタンドアローンゲームだったらまだ良くて。範囲の全部やりきったら終わるし、それで完成になります。でもこれはMMORPGで、広大な範囲に、ポリッシュの指示を出していかなければならない。もちろん信用できるスタッフはたくさんいます。ただ、「やるのか」、「やらないのか」、「後にするのか」のジャッジはしなきゃいけない。

 今回僕が特に重要だと思っているのは新生「FFXIV」のクオリティ基準をどこに持っていくかです。導線的にはレベル1から10、そしてレベル10以降の少数の導線と、最初のインスタンスダンジョンのバランス、レベルの広さ、敵の強さ、あとはクエストがどう導線上にひろがっていくか。あとはエリアの広さ、モンスターの密度、あらゆるものがクオリティのベースになる訳です。新生「FFXIV」の全部のエリアで「このクオリティ」でゲームのプレイ体験を提供したい。そこの意識をスタッフ全員で共有できたのがでかいし、それをするために、ポリッシュに時間かけているということです。数百人で意識を合わせる、というのはとても難しいので。

――それでは、スタッフの脳内には、βテストのイメージは完成しているわけですね。

吉田氏: そうですね。みんなの頭の中には「ああ、βテストではこういう品質が求められるんだな」というイメージがあると思います。「ここまでやらなきゃだめなんだ」というポイントと、「ああ、これでいいんだ」というポイントができたと思っています。コアスタッフとの話し合いの中で、今の時期に、みんなの頭の中にこの感覚を馴染ませないと、このまま平行開発続けて行っても破綻するねって。それは現行「FFXIV」の初期の向かっている先が、バラバラなイメージだったのに近いなと。

 素晴らしい部分は「パーフェクトだ」と言ってあげるべきだし、全然駄目で話にならんところは「全然駄目だ」と言わなきゃいけないし。ただ、話にならんだけじゃなくて、こうしたら話になるからこうしようぜとか、その時に取りうる方法はAパターンとBパターンがあるけど、今回はBパターンでいってみようとか、ここはAまでやりきらないとだめだよとか。これはやっぱりディレクターとしてゲームを完成させる時には、どのタイトルでも同じことです。ただ、MMOの場合、それがあまりにも範囲が広いだけです。

 しかし、今回それをスタッフ皆で追い込んだからこそ、僕はαテストを評価していただけたと思っていますし、スタッフもその評価を見てやっぱりここまでやらなきゃだめなんだな。ここまでやったから、褒めて貰えるんだと、すごく喜んでいるので、今のテンションを維持しながら、僕らがこれで大丈夫だと思えるようなβテストを実施していきたいと思っています。βテストの中で出たお客様からの意見も、これは絶対に対応しない限りは前に進めないと思ったら、それはスケジュールに関わりなく、妥協なくそうしていくと思います。


■ βテスト以降のスケジュールについて。正式サービス前に「アーリーアクセス」実施か?

吉田氏はαテストの終了時期について、まだ迷っているようだ
多くのユーザーが待ち望むPS3版。βのフェーズ3からのスタートとなる

――最後に今後のスケジュールについてですが、βが1月下旬以降ということは、年末年始はαテストのままですか?

吉田氏: 年末年始までαテストはさすがに長過ぎると思いますので、年末までには閉めるつもりでいます。

――ということは、何も実施しない空白の期間が生まれることになるわけですね。

吉田氏: そうですね。でもちょっと迷いはあります。今のαテストって、ギャザラー/クラフターも入れると7クラスあって、普通に遊んでたら20〜30時間くらい遊べると思うんですよ。

――ええ、そう思いますし、サーバーを開けてくれれば、遊びたい人はたくさん居ると思いますよ。

吉田氏: うーん、どうなんでしょうね。でも、やれることは限られてるので、いい加減飽きると思うんですよね……(笑)。皆さんには、既存のLSの方たちと、αテストでも再会したいという思いも多分にあると思うんですけど、やっぱり僕はアップデートされないものをダラダラあけておくというのは、どうしてもサービスをしていない気持ちになっちゃうんですよね。

――なるほど。

吉田氏: もともと12月上旬くらいでもう終わる気でいましたが、今回ご好評いただいているのと、もっとたくさんの人とαテストをやってみたいというご意見をいただいているのもあるので、少し延長してワールドを増やして、もうこれはαテストじゃないような気もするんですが、なんとなく新生「FFXIV」が遊べるよというので、さらに2週間くらいは延長してもいいのかなとざっくりと思っている所です。

――その場合でも、αテストは長くても年内いっぱいまでと。

吉田氏: そうですね。やっぱりMMOってお正月ってものすごく稼働率落ちますし。なんだかんだいって皆さんご家族と過ごしたり、ご旅行にいったり、特にあと北米なんか全く稼働しないですし。

――わかりました。次に、新しいロードマップを年内に発表すると告知していますが、これはどのような内容になる予定ですか?

吉田氏: 時期もありますが、むしろβテストの中身の話をしていこうかなと思っています。βテストはフェーズをまた4つに区切っています。βテストのフェーズ1は告知した時期から始められるように頑張っていますが、βテストのフィードバックは全部に対応していたらスケジュール通りになんかいかないですし。そもそもβテストでどんなフィードバック来るかわからないのに、スケジュールだけ出すのは、論理的に破綻してるかなと。

――だいたいβの実施期間についてはどの程度のスパンを考えていますか?

吉田氏: フィードバック次第です。数カ月は確実にやるでしょうね。

――βテストの最初の段階、フェーズ1から、PS3版も公開しますか?

吉田氏: いえ、フェーズ3からの予定です。PS3のお客様こそ、βテストを体験版だと思うはずなので、フェーズ1からやるのはさすがにないなと思っています。

――なるほど、1月下旬から2月からフェーズ1ですが、PS3版の実質的なスタートとなるフェーズ3はいつ頃を考えていますか? PS3版を待っているユーザーはそこが知りたいところですよね。

吉田氏: うーん、でも今のαテストくらいβテストも最初が安定していてくれれば、フェーズ3までサクサク進めていけると思います。

――それこそ2013年3月とかですか?

吉田氏: そうですね。その可能性がないとは言いません。僕らはもうPS3版を動かしていますが、プレーヤーの皆さんに軽々しく出すのはやめておいた方がいいと思っています。PS3固有のバグもありますし、同じサーバーを使うことになるので、まずはPC側でどんどんバグを潰したものをPS3側にコードコンバートした状態で、PS3のβテストを始めた方がいいと思っています。やっぱり、PS3版のβテストは体験版なので。

――慎重ですね。

吉田氏: βテストではもうとにかくフィードバックを全部直すつもりでやります。2年前、あれだけ何も聞き入れずサービスを強行したので、極端な例ですが、今回は「全部直す気かよ、いつ出すんだよ」っていわれるくらいβテストをやりたい。ユーザーの皆さんに「もういいってって、もうこれ以上フィードバックするの止めようぜ」っていわれるくらいまで、やってもいいかなって思っています(笑)。

 βテストを開始すれば、事実上、新生「FFXIV」が遊べているに等しいと思っています。フリーカンパニーのテストを始めれば、ゲームの中でフリーカンパニーも組めますし、だから、僕はまず早めにその状況を作ってあげたいと思っています。僕自身はもうβテストをあげた時点で、製品を公開するぐらいの覚悟でいます。だからこそαテストもこれだけこだわって作っているわけで、「もういいだろ早くサービススタートしろよ」って言われたいですね(笑)。

――オープンβテスト(OBT)についてはまったく言及がないですけど、予定はありますか?

吉田氏: オープンの定義によります。

――一般的には、希望すれば、誰でもクライアントをダウンロードできて、遊べる状態をOBTと言いますよね。

吉田氏: データのワイプは?

――CBTはワイプあり、OBTはワイプ無しが一般的でしょうね。

吉田氏: そっちのオープンなんですね。それだと、僕らの言うところの「アーリーアクセス」ですね。僕はどっちかいうと、オープンでβテストをやるよりも、アーリーアクセスの方を重視したいほうではありますね。

――OBTはやらずに、CBTから一気にアーリーアクセスという流れですか?

吉田氏: OBTをやるにしても、基本、ワイプをしないとまずいと思います。例えばOBTを2週間やって、さらに発売の1週間前は全ワールドが閉じている状態で、既に購入していただいた方だけアーリーアクセスで入れます、という流れなら可能性はあります。

――OBTやアーリーアクセスは、時期的にはいつ頃を期待していいですか?

吉田氏: ホントに突っ込んできますね、中村さん(笑)。それはもうホントにβテストのフィードバック次第です。

――最後にユーザーさんに向けてメッセージをお願いします。

吉田氏: ついにαテストも始められて、守秘義務があるはずなのに、ボロボロとスクリーンショットが出ていたり、そういうのも含めてご好評いただいてまずはホッとしています。フィードバックに関しても、もうβテスト並みのフィードバックをいただいていて、きっちりβテストに向けて反映させていきたいと思います。

 この後、海外のお客様からは、特にマウス・キーボードあたりに関してまた違った意見も出てくると思うので、それをきっちり対応して、これ以上ものが複雑怪奇に積み重なる前にきっちりと基礎システムを安定させて、スムーズにβテストに行きたいと思いますので、それを次はお楽しみにしてください。お待たせしている分、しっかりとしたものを提供させていただくつもりです!

――βテスト期待しています。ありがとうございました。


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(2012年 11月 23日)

[Reported by 中村聖司]