「RO」の世界大会「Ragnarok World Championship 2012」で日本が優勝!
パブリックビューで沸き上がる祝福の声、グラストへイム新情報公開も
ガンホー・オンライン・エンターテイメントは11月3日、新宿・キリストンカフェ東京にてMMORPG「ラグナロクオンライン(RO)」のワールドトーナメント「Ragnarok World
Championship 2012(RWC 2012)」のパブリックビューイベントを開催した。
「RWC 2012」は今年で7回目となる「RO」の世界大会であり、世界各国の選手達が韓国ソウルで戦いを繰り広げた。ガンホーはこの模様をニコニコ動画で生中継し、パブリックビューイベントは希望者を招き、その映像を見ながら日本代表を応援するというイベントだった。パブリックビュー会場には先着順で、200名のユーザーが訪れた。
今回出場した「Greensleeves」は3年連続の日本代表となったギルドである。昨年は初戦敗退という結果となってしまい、今年は強い意気込みで臨み、見事日本代表選手の座を獲得した。今年の「RWC 2012」は3次職が開放され大きな変化を迎えた。日本でも3次職は実装されているものの、試合のルールは日本の状況と大きく違う環境となってしまっていた。しかし「Greensleeves」はその状況を乗り越えて、世界一の座についたのである。本稿では試合の模様と共に、パブリックビューの様子や、発表された新着情報なども紹介していきたい。
パブリックビューの司会を担当したガンホー執行役員ゲーム事業部オンライン本部長の飯野平氏、ラグナロ娘の七園未梨さん、10周年サポーターの白河優菜さん |
■ 日本とは異なる仕様での戦い、常勝のタイを破り「Greensleeves」優勝
事前登録した200名が試合を観戦した |
トーナメント表。日本は一度勝てば準決勝という好位置に |
優勝が決まった瞬間大きな歓声と拍手が上がった |
「RWC2012」は日本のほか、韓国やタイなど11カ国が参加した。今回の「RWC2012」はこれまでの世界大会と大きな違いがある。7対7のチーム戦というこれまでの形は変わらないのだが、3次職が導入され、今までと戦い方が大きく変わったのだ。3次職は様々な範囲攻撃スキルが追加され、より派手な戦いが展開するようになった。大会用のマップも従来の4倍と、非常に広いものとなっており、これまでの大会とは大きく戦略が変わった。
戦いは3本勝負となり、2勝することで勝ち進むことができる。試合展開で大きく目立ったのはロードナイトの三次職「ルーンナイト」の“ドラゴンブレス”だ。紫色の炎を浴びせる範囲攻撃で、連続してダメージが与えられる。パラディンの三次職「ロイヤルガード」の“イクシードブレイク”も強力で、チャンピオンの三次職「修羅」は複数の遠距離攻撃も獲得した。もっとも、ハイウィザードの三次職「ウォーロック」の“ストームガスト”と、それを防ぐプロフェッサーの三次職「ソーサラー」の“ランドプロテクター”の攻防という基本的な風景はこれまでとは変わらないものの、ここに強力な攻撃スキルの撃ち合いという要素が加わった。
また、各チームが使った戦略としてはホワイトスミスの三次職「メカニック」の編入がある。メカニックは魔導ギアというというロボットに乗って戦うのだが、“セルフディストラクション”というスキルで自爆することで、周囲の敵に大ダメージを与えることができる。もちろん試合中1度しか使えない大技だ。このスキルだけでなく、“コールドスロワー”という状態異常を与えるスキルも強い。そして「いつ自爆するか」という相手へのプレッシャーも有効だ。
今回、日本代表となったギルドは「Greensleeves」は、2010年から3年連続で日本代表となっているギルドだ。RJC2012でも優勝し、その実力は高い。しかし今回のルールは日本のユーザーにとって不慣れなものだった。日本は韓国とは大きく仕様が異なり、今回のメインとなるドラゴンブレスやイクシードブレイクは、日本ではバランスの関係などで制限がかけられており、また、ソーサラーの“精霊”も未実装となっている。日本のプレーヤーの環境と対戦の環境が大きく違うのだ。
このため、ガンホーは試合と同じ環境での特別サーバーを準備し、2週間いくつかの強豪ギルドにも協力を要請し、世界大会に向けた練習を重ねた。各国の傾向なども調べ、他国の構成をシミュレートしての対戦も行なったという。日本運営スタッフによれば、この戦いと研究は「Greensleeves」のみならず、「RO」プレーヤーの対戦実力そのものをアップさせたのではないかということだ。
「RWC2012」はトーナメント形式で行なわれ、前日のくじ引きで試合の組み合わせが決まった。日本はくじ運がよく、1度勝てばベスト4になるという今回最も試合数が少ない場所を引き当てた。1回戦の対戦相手はロシアとなった。
1回戦の戦いは、自由に移動できる範囲が大きなマップでの戦いとなった。中央とその周辺に障害物があり、どう進んで相手に接近するかが鍵となる。「Greensleeves」はロシアに対して“攻めのスピード”が印象的な戦いを展開した。1戦目は準備をしてから一気に突っ込み、ドラゴンブレスの連打でロシアを圧倒した。2戦目はお互いが相手の場所を探りながら移動する展開になった。ロシアは引きながら誘い込もうとする中、日本はその作戦に乗る形で突っ込んだ。ドラゴンブレスの撃ち合いの中、日本は攻撃に耐えきり、ロシアチームのメンバーを倒していって、勝利した。
準決勝の前に、日本はくじ運が良くてパスできたが、2回戦も行なわれた。2回戦は水辺にいくつかの島があり、細いルートでぶつかりあうというマップだった。準決勝で当たることになったフィリピンは、2回戦ではアメリカとぶつかったが、フィリピンは徹底的な“待ち”の戦いに徹した。相手を細い場所で迎え撃つ作戦で、回り込もうとされた場合はそれを察知し対岸に渡ってしまうというところも見せた。アメリカは攻め込んで敗れるという形になった。インドネシアも待ち作戦で勝ち、このマップはとにかく待ちが有利という印象を持ったが、唯一タイだけは果敢に攻め、一気に勝ちをもぎ取っていた。
ちなみに、フィリピンは1回戦では韓国と戦った。韓国も粘りを見せる部分はあったが、それをねじ伏せて勝利した。韓国を破る実力、そしてアメリカとの戦いで冷静さを見せたフィリピンとの戦いは、会場にもかなりの緊張感をもたらした。準決勝のマップは雪原地帯で、いくつかのルートが設定されている。1戦目、フィリピンは待ちかまえる作戦をとった。日本がそこに近付こうとしたとき、フィリピンが攻め込んみカウンターされた形になった。ドラゴンブレスの撃ち合いになったが、その合間で日本のメンバー数名がストームガストで凍らされてしまった。この隙が大きなピンチを呼び、倒されてしまった。
2戦目は日本はスピードを活かした攻めの作戦に出た。今回の戦いでは日本が押し勝ち、応援チームも元気を取り戻した。そして3戦目、近づこうとしたフィリピンが日本のストームガストの範囲ギリギリに踏み込んでしまい、凍ってしまった。これはフィリピンチームには全く予想外だったらしく、このチャンスを逃さず日本チームは一気に攻めた。フィリピンの残ったメンバーは固まることも忘れて逃走、これまでの試合とは全く異なる風景になった。日本は圧倒的に有利な形で試合を進め、フィリピンを各個撃破していき、決勝戦進出を決めた。
日本対ロシア戦は、「Greensleeves」の速攻で相手を攻め落とした | ||
日本対フィリピン戦、1戦目は奪われるものの、そこから日本は攻めの姿勢で勝つ |
最終戦では、ガンホースタッフは肩を組み応援 |
決勝では、2010年、2011年とRWC連覇を成し遂げているタイとの戦いとなった。タイは日本と全く別のブロックであり、決勝までこのチームと当たらなかったというところでも、日本のくじ運は良かったと言えるだろう。タイも日本と同じように積極的な攻めの姿勢を見せ、マレーシア、台湾、インドネシアを破ってきた。タイと日本がどのようにぶつかるか、パブリックビューイベントに参加者は真剣な面持ちで中継画面を見つめていた。
決勝戦のステージは、南国の景色と雪国の世界が左右にあるという“異世界”をイメージしたマップだ。細い場所も数カ所あり、どこでぶつかるかが鍵となる。戦いは5本勝負となり、3本先取したチームが優勝となる。1戦目は、お互いが待ちの姿勢を見せるという意外な展開となった。タイはあくまで待ち続け、日本が突っ込んだところを迎撃されてしまった。日本は一度引き体制の立て直しを図るものの、攻め込まれ倒されてしまった。
ここで日本チームはメカニックをメンバーにいれた。待ち続けるタイに対して日本が攻めるという同じような形になる。ぶつかったときに日本はメンバーが凍らされる事態になるが、セルフディストラクションで複数の敵を自爆に巻き込み有利な形となった。ここからタイは逃げながら立て直しを図り、お互いを削り合う形になるが、日本が押し切った。
3戦目もメカニックの活躍が目立った。いきなり日本がセルフディストラクションを決め、タイはものすごい勢いで後退する。最初の衝突で日本のメカニックは倒されてしまったが、タイのアークビショップとロイヤルガードの2人を倒し、数で有利になる。ここから逃げるタイを探し日本の追撃戦になり、相手をじりじりと削り勝利となった。
そして4戦目、ガンホースタッフは観客席の後ろで肩を組んで整列、大きな声を上げ、日本チームを応援した。タイは日本と同じようにメカニックをメンバーに入れての戦い臨んだ。慎重な出だしからタイは下がり気味、日本は攻め気味で試合を進め、お互いのセルフディストラクションが発動。結果タイの方が多くのメンバーを失ってしまった。日本はここから狭いところで待ち受ける作戦に出た。タイがしかけるが日本の修羅の“阿修羅覇凰拳”によりメンバーを減らされてしまった。タイはその後も驚異の粘りを見せるが、日本が勝利をもぎ取り、見事世界一となった。
世界一が決まった瞬間、パブリックビュー会場は大きな歓声に包まれた。中継で写る「Greensleeves」に会場から拍手と「おめでとう」の声が上がった。会場では、選手が着ていた「頂点」と書かれたユニフォームを急遽プレゼントすることが決定し、「じゃんけんポリン」は大きく盛り上がった。日本チームの優勝を記念し、今後「RO」では経験値2倍、ドロップ率2倍のキャンペーンが行なわれるという。
日本対タイ。日本はメカニックを出す作戦で、受け身のタイに大ダメージを与える作戦が当たり見事優勝を飾った |
■ エンドレスタワーの仕様や、グラストへイムの謎に迫る新ストーリーが明らかに
コスプレコーナーも盛り上がった |
ゲーム内をイメージした料理が楽しめ、ウェイトレスもゲーム内の「カプラ」の衣装で登場 |
パブリックビューイベントでは、有料の観客席と無料の立ち見席の2つが設定され、予約した人のみが入ることができた。有料側では、ゲームをイメージした食事を楽しむことができた。また、会場後方ではコスプレスペースが用意され、撮影会も行なわれた。
試合の合間のイベントとしては、「ROクッキング」としてゲーム内のアイテム「イチゴ味のおにぎり」を現実に作るということで、電気釜の中に、米やイチゴ、レモンや大葉、辛い「デスソース」等を入れ、トンデモ料理を作る、といったイベントも行わなれた。
また、「プランナー先出し情報」として、今後のゲーム内イベント、実装予定のコンテンツの紹介と言った情報が発表された。攻略要素の強い「蜃気楼の塔」のイベントが開催されることとなった。塔内では「蜃気楼ポイント」がゲットでき、消費することで新しいアイテムがゲットできるという。また、ユーザーやメディアなど協賛社からアイディアを募った102層の「アドベンチャーズタワー」が実装される。5層ごとにボスモンスターが登場し、新頭装備が入手できるほか、戦わなくても各階層を見ることができるシステムも導入される。
さらに「グラストへイムメモリアル」というストーリーの追加も明らかになった。モンスターがひしめく廃墟となった城グラストへイムの過去を調査するシナリオで、様々なNPCも登場し、謎に迫っていく。現在のモンスター達の過去の姿も明らかになっていくという。今回の情報はほんの少しであり、本格的な発表は、12月1日に秋葉原UDXギャラリーで開催される「ラグナロクオンライン・10thアニバーサリー・フェスタ」で行なわれるとのことだ。
世界各国のプレーヤーが1つのゲームをとことんやり込み、戦略を練ってぶつかりあう。日本においてここまで熱い戦いを計億滴に続け、メーカーとユーザーが一丸となって盛り上がげているタイトルは他にはないのではないだろうか。試合を中継するだけでなく、パブリックビューを企画し、ユーザーに楽しんでもらおうというガンホースタッフの思いを強く感じた。
一方で、間に歌やダンスを入れるという番組形式できちんと進行していく韓国の中継を見ていると、韓国ではオンラインゲームの大会がメジャーなテレビ番組として定着している事が改めて確認できた。韓国ではオンラインゲームの世界大会を実施できるだけの設備が整えらて実感できた。韓国では、今後も様々なイベントが開催され、中継されていくだろう。振り返ってみると、日本では残念ながら、ビジネスとして成立しない側面があると感じた。日本と韓国のオンラインゲームの“メジャー感”の違いを大きく感じた。
とはいえ、世界一を成し遂げた「Greensleeves」と、彼らの努力を支える「RO」へのユーザーの熱意は大きく賞賛したい。プレーヤーの熱意と日々の努力が大きな世界大会で発揮され、そしてたくさんの“仲間達”から賞賛される。10年続く「RO」だからこそ生まれる風景だと強く感じた。「Greensleeves」はもちろん、日本の「RO」ユーザー全てに「おめでとう」の言葉を贈りたい。
(C)Gravity Co., Ltd. & Lee MyoungJin(studio DTDS). All Rights Reserve.
(C)GungHo Online Entertainment, Inc. All Rights Reserved.
(2012年 11月 5日)