アルケミスト、ファミリーコーナーをジワジワ侵食中!?

3DS「nicola監修 モデル☆おしゃれオーディション プラチナ」


開催期間:9月20日~9月23日 開催(20日、21日はビジネスデー)

11月22日 発売予定

会場:幕張メッセ1~8ホール



 いきなりで恐縮だが、読者諸兄は「株式会社アルケミスト」ときいて、まず最初に何を思い浮かべるだろうか。恐らくゲーム暦が長い男性ほど「恋愛ゲーム」、「ギャルゲー」をすぐに連想されると思う。

 そんなアルケミストのTGS出展エピソードといえば、一昨年の「日替わりブース」や2011年の「それゆけ! ぶるにゃんマン Portable」をテーマとした飲食ブースにスクール水着とブルマ姿のコスプレ店員さんなど“恐れを知らぬ発想と行動力”でファンと会場のボルテージを常に上昇させてきた。

 そんなアルケミストだが、今年は一般ブースの出展はなし。「今年は出ないんだ? 残念だなぁ」と思われたゲームファンも少なくなさそうだが、実は同社、TGS2012出展社に名を連ねている。関係者やプレスをのぞく独身男性は気づかないかもしれないが、子供連れしか入場できない「ファミリーコーナー」に2タイトルを出展しているのだ。

「nicola監修 モデル☆おしゃれオーディション プラチナ」
「ちび☆デビ!」

 アルケミストは、3年前の2010年から“とあるジャンル”に注力している。それは“女児向け”ゲームソフト。新潮社の中学生向けファッション誌「ニコラ」の全面監修によるモデルシミュレーションゲーム「nicola監修 モデル☆おしゃれオーディション(2010年4月1日発売)」 は、当時ファミリーコーナーで来場者から高い関心が寄せられた。自ら陣頭でグッズを配布する代表取締役の浦野重信氏と同社スタッフが真剣に子供たちと対峙する姿が印象的で、かねてより子供向けホビーに注目し続けてきた筆者としては、これはもう絶対に見逃せないものだった。

 今回出展された2タイトルは、3DS「nicola監修 モデル☆おしゃれオーディション プラチナ」と3DS「ちび☆デビ!」の2タイトル。前者はファッション誌「nicola」のトップモデルを目指すゲームで、最新作はファッションだけでなく“恋愛”要素を追加。最大7人のボーイフレンドが登場し、さまざまな恋愛イベントが楽しめる。浦野氏におうかがいしたところ、コミュニケーション次第でエンディングも幅広く変化していくという。今作より3DS本体を“縦持ち”スタイルでプレイするため、より視認性が高く遊びやすいものになっている。11月8日発売予定で、価格は5,980円。

 3DS「ちび☆デビ!」は、NHK・Eテレ「大! 天才てれびくん(毎週月曜・18時20分~)」内で放映中のアニメや少女漫画誌「ちゃお」連載中の同名作品をモチーフにしたアクションアドベンチャー。ちびデビ保育園のペット「ペペ」が行方不明になり困っている園長先生を、悪魔の男の子「まおちゃん」がお手伝い。ミニゲームで作れる着ぐるみは100体以上。ゲーム化は今回が初になるという。9月27日発売予定で、価格は5,040円。

 両ブースでは、体験会に参加した子供たちに限定グッズがプレゼントされていた。「nicola監修 モデル☆おしゃれオーディション プラチナ」が限定缶バッジ(2種類)、「ちび☆デビ!」が限定シール(1種類)で、両方に参加すると「コーデ&プロフカード」+「まおちゃんフィギュアストラップ くまモンVer.」がさらにプレゼント。スタンプカードを集めた抽選会など、力の入った展示が行なわれていた。


他ブースでもプレゼントは行われていたが、アルケミストのそれは「子供たちに興味を持って欲しい、喜んで欲しい」という、かつてのイベントで主流だったもの。「損して得(徳)とれ」ではないが、こうした姿勢は無意識のうちに子供たちにも伝わるものだと思う

 一昔前のファミリーコーナーでは、子供たちを喜ばせるために各社さまざまな工夫をこらしていたものだが、近年は長引く不況で同コーナーの出展も「仕方がないとはいえ、ちょっと世知辛いというか、即物的ではあるなぁ」といった出展形態が少なくない。だが、アルケミストはそうした世情に背を向け、子供たちを惹きつけることに成功しつつある。パステルカラーのテーブルで新作をプレイする女児たちの表情は明るく、そして真剣そのもの。まだ3年という短い月日ではあるが、未来に希望を抱かせるに十分な手ごたえが感じられる。

 浦野氏によれば、同社は来年もファミリーコーナーへの出展を予定しているという。本年の会期は終了してしまったが、もし興味を抱かれた親御さんがおられたのなら、来年はぜひ東京ゲームショウのファミリーコーナーへ足をお運びいただきたい。


(個人情報保護でモザイクをかけているため伝わらないのが残念だが)真剣かつ楽しそうにゲームに興じている子供たちの姿が印象的だった

(C)2012 Alchemist
(C)篠塚ひろむ/小学館・ShoPro (C)Alchemist

(2012年 9月 24日)

[Reported by 豊臣和孝]