バンダイナムコ、PS3「ドットハック セカイの向こうに+Versus Hybrid Pack」

発売前先行体験会&スペシャルトークショーに松山洋氏が登場


6月23日 開催

会場:ヤマダ電機LABI1モバイルドリーム館(池袋) 6F

【ドットハック セカイの向こうに+Versus Hybrid Pack】
6月28日 発売予定

価格:7,140円(通常版)
   10,500円(初回限定生産版)

CEROレーティング:B(12歳以上対象)



プロモーションビデオの上映やデモプレイを交えながら、松山 洋氏のトークショーが展開した

 株式会社バンダイナムコゲームスは6月23日、発売間近となったプレイステーション 3用「ドットハック セカイの向こうに+Versus Hybrid Pack ハイブリッドパック」の先行体験会を開催した。また、体験会と合わせて行なわれたスペシャルトークショーには、株式会社サイバーコネクトツーの松山 洋氏や開発陣が登場し、開発秘話などについて語った。

 「ドットハック セカイの向こうに+Versus Hybrid Pack ハイブリッドパック」は、劇場用3Dアニメーション「ドットハック セカイの向こうに」と、PS3用対戦アクション「.hack//Versus」を1枚のBlu-rayディスクに収めたもの。PS3にディスクをセットすることで、映画の鑑賞はもちろんゲームも遊ぶことができる。

 「.hack//Versus」は、「セカイの向こうに」の主人公“そら”をはじめ、「.hack//Roots」、「.hack//G.U.」の“ハセヲ”、「.hack//SIGN」の“司”など、「.hack」シリーズで活躍した歴代キャラクター達が一堂に会し、戦うこととなる。物語を楽しむことができるストーリーモードでは、架空のオンライン対戦ゲーム「VERSUS:The World」を舞台にした戦いが繰り広げられる。

 基本操作は、アナログスティックでキャラクターを操作し、□ボタンでアタック、□ボタン連打でコンボ攻撃となり、アナログスティックの入力方向によって発生する攻撃が変化する。△ボタンはヒットすると敵を打ち上げるストライクアッタク(吹き飛ばし攻撃)。タメ押しでガード不能になる。簡単操作で誰でも気軽にコンボが決まるシステムとなっており、爽快なアクションが楽しめる。

 イベントは、松山氏らしい楽しい展開となった。まずは「ドットハック セカイの向こうに」のプロモーションビデオが流されたが、途中から「みんな、何回も見てんねやろ? 話そうや!」と展開を無視してのトークショーに流れ込み、映画についての話題に触れた。


【イベント出席者】
相変わらず、冴え渡るトークを展開した松山 洋氏「ドットハック セカイの向こうに」のディレクター、二塚万佳氏。映画制作の秘話などを披露「.hack//Versus」を担当した中舎健永ディレクターが登場。デモプレイなどを行なった

「ドットハック セカイの向こうに」

 松山氏は「4年ほど掛けて監督していましたが、東京に作ったスタジオで最終仕上げを行ないました」と話し、ディレクターの二塚万佳氏を呼び込んだ。松山氏は「これだけのフルCGアニメを仕上げるためには、外部や海外のクリエイターなどとやらなければ物量的にも無理。そういったいろいろなとりまとめを全部やったのが二塚ディレクター」と紹介。一方、二塚氏は松山氏を「進行無視で本当にひどい(笑)」と言いながらも「立体視と言うことでチェックが頻発。ここまででいいだろうと思っていても、『そこまでやるんか?』といったダメ出しが入った。でも完成したものを見たらすごくイイものに仕上がっていて、(松山氏に)叩いてもらって良かった」と打ち明けた。

 また、制作秘話として、脚本家の伊藤和典氏と一緒に柳川市をロケハンをし舞台を決め、福岡県のフィルムコミッショナーや柳川市の観光課に直接出向き、協力を要請。結果、実在する学校で写真を撮影し映画の制作に役立て、ついにはヒロインの有城そらに特別住民票まで交付された話題を披露した。


会場は多くのファンで埋め尽くされた

 そしてここで話題はゲーム「.hack//Versus」に移った。松山氏は対戦アクションに仕上げたことについて、「10年の集大成ということで、(シリーズ作品のように)RPGに組み立てるより、キャラクターを表現しようと。プレイアブルキャラクターとして操作できることが1番の魅力だと思った」ということから対戦アクションというジャンルを選択。松山氏はテーマの1つとして「マニアックになりすぎない。対戦格闘は突き詰めると勝てない」と語り、自分がゲームが上手くないと言う逸話を挙げ、「上手くなくても遊べる」ことを心がけたという。

 ここでゲームのディレクションを担当した中舎健永ディレクターが登場。ゲームはワンボタンワンアクションでわかりやすくなっている。また、松山氏は「NARUTO-ナルト-」シリーズとの違いとして「背景のものを壊すことができアイテムが出てきたりする。背景を使った遊びもある」と紹介。

 ゲームはシリーズ同様、ゲーム内ゲームにアクセスするところからスタート。名前を入力してゲームにアクセスして始めることとなる。プレイしているゲームは、他のプレーヤーも“観戦機能”を通じて見ており、見ている試合に対してコメント(バトルコメント)を書き込んでいるという設定になっている。


「バトルコメント」に関する話題について松山氏は「4年間作っていたので、作り込むことができた」とコメント。ただ、あまりに良くできているため「下手なプレイをすると本当に落ち込む」ほどだとか

 このバトルコメントは、対戦内容によってリアルタイムに変化していく。実際にプレイしている最中にコメントが表示されると画面が見づらくなるためプレイ中は表示されないが、ゲームが終了しリプライ画面を見ると、コメントが表示される。たとえばミスをすると「へたくそ!」といったコメントが見られたり、逆に上手いプレイをすると「さすが神!」といったコメントが流れるのだという。

 ちなみに会場でのデモプレイでは、コンボを相手に叩き込んでいるシーンで「もっとコンボが続けられるのに」と、プレイ内容を内部で判断したコメントがリアルタイムに表示されていた。このコメントはかなり豊富に用意されており、松山氏は「(ゲームを作っていた)4年間コツコツと積み上げてきた」と苦労の程を語り、自分でもコメントを作っていたことを明かした。

 また、松山氏は「戦って勝てない人は、キャラクターの装備をカスタマイズパーツで変更することで攻撃力を強化する事ができるので、コツコツやれば勝てるようになる」とコメント。松山氏は自身がプレイする時もこの機能を使いこなすことで「かなり助けられた」と語っていた。


「YOMOYAMA RECORDS」でリアルワールドの物語も知ることができる

 そして、これまでのシリーズがそうであったように、今作でも、ゲームとは別にリアルワールドでの物語進行も並行して進んでいき、「.hack//Versus」では「YOMOYAMA RECORDS」という今で言うSNSのようなネットサービスで舞台となる2025年の様子を知ることができる。

 このほかにもアクションゲームという事もあって、シリーズ初のモデルビューワーが搭載されていたり、ゲームを進めることで壁紙が増えていき設定することができるなど、機能が充実している点を強調。

 「.hack//Versus」は10時間以上プレイできる濃いものに仕上がっており、このゲームをクリアすることで、シリーズ全体のテーマである“ネットワーク・クライシス”の謎にまつわる真実が解き明かされる20分ほどのアニメーション「タナトスレポート」を見ることができる。映画が収録され、さらに映画の1年後の2025年を舞台にしたゲームをクリアすることで、すべての謎を解き明かすともいえる収録アニメーションを見ることもできるという、まさに映画とゲーム、そして新作映像作品が融合した商品となっており、松山氏は「超豪華でしょ?」と胸を張った。

 イベントの最後に来場者からの質問に答えるコーナーでお勧めのキャラクターを聞かれた松山氏は「僕は、“ハセヲ”。1番最初に作ったキャラクターで、標準的なキャラクター。手数が多い」と説明し、続けて「使いにくいのはオーヴァン。とにかく足が遅い。走っていても歩いているくらい(笑)。でも覚醒後は非常にえげつない。ピーキーな感じ」とコメントした。

 一方で中舎ディレクターは「使いやすいのはカイト。基本的な技がそろっている。それに、ほんのちょっとだけ判定が強いんです」と暴露すると、松山氏に「こんなところで言うな!」とおしかりの言葉が飛んだ。逆に使いにくいキャラクターについては「司ですね。飛び道具をばらまいて敵を追い詰めれば、ほぼノーダメージで勝てます。バトルとして成り立つギリギリで作り上げました。使いこなすと強くなります」とアドバイスした。

 松山氏は最後に、「6月20日でシリーズが10年周年を迎え一区切りつきましたが、10年間もオリジナル作品を作ってこられたのは(来場者のような)ファンの皆様のおかげ。サードシーズンはこれで一区切りとなりますが、これからも望まれるものを作り続けていきますのでよろしくお願いします」とコメントし、締めくくった。


「通常版」のほか、同時に発売されるがすでに入手困難となっているという「初回限定生産版」について、実際の商品を手に商品構成を説明する松山氏。かなり豪華な内容のため、ため息の出る来場者もいた。この日限定で10本の予約が可能となったが、ほぼ瞬殺で予約完売となってしまった
体験会にもズラリと行列ができた。同シリーズのファンの熱心さを改めて感じた体験会だった予約した人には限定で松山氏と開発陣のサインポスターがプレゼントされると言うことで多くの人が予約していた

(C)2012 .hack Conglomerate
(C)2012 NBGI
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(2012年 6月 23日)

[Reported by 船津稔]