Sony Computer Entertainment Americaブースレポート

「ALL-STARS」、「GoW:A」、「SOUL SACRIFICE」などを体験


6月5日~7日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center


 現地時間の6月4日に開催されたSCEAのプレスカンファレンスで改めて発表されたプレイステーション 3とPlayStation Vitaのcross platform。新ハードウェアの発表こそなかったものの、据え置き機と携帯ゲーム機で同じゲームを同時にプレイできるというコンセプトは、新しい遊び方を提供することになるだろう。

 SCEAのブースでは、上記のプレスカンファレンスで発表されたcross platformタイトルがいくつか体験できた。なおプレスカンファレンスでも発表のあった「BEYOND TWO SOUL.」、「The Last of US」、「Book of Spells」についての詳細は別項を参照にしていただきたい。

 この記事では、「PLAYSTATION ALL-STARS BATTLE ROYALE」をはじめとした自社タイトルを中心に、その他の新規タイトルについてご紹介したい。


ブース画面には初音ミクも登場PlayStation Mobile対応の機種
PS Vita用アプリ「niconico」によって生中継もされていたPS Vitaでプレイステーションタイトルが遊べる「PSone Classics」


■ パーティ向けだがゲーマー心はばっちり掴む「PLAYSTATION ALL-STARS BATTLE ROYALE」

ブースの中でも人気の高かったタイトル

 「パラッパ」、「ぽっちゃりプリンセス」などなど、プレイステーションの数々のスターたちが一堂に会して乱闘する「PLAYSTATION ALL-STARS BATTLE ROYALE」は、ブースでも大きく取り上げられていた。プラットフォームはPS3とPS Vitaで、クロスプレイに対応。

 本作はバトルロイヤルの格闘対戦ゲームだが、コマンド操作は必要なく、弱中強の攻撃ボタンと方向キーの組み合わせでそれぞれ違う攻撃を出していく。選んだキャラクターの特徴を活かした攻撃スタイルはどれも独特で、例えば「パラッパ」は身軽なタイプ、「ビッグ・ダディ」はパワータイプとなる。

 触った感触だが、やはり誰しもが1度は思うようにSCE版「大乱闘スマッシュブラザーズ」というのが正直なところ。ゲージを溜めて必殺技を出す、というオリジナルの要素もあるが、既視感はどうしても拭えない。

 ただし、プレイステーションのコンテンツが豊かな証拠にキャラクターの顔ぶれが多岐にわたっており、ペラペラの「パラッパ」とデカくてコワい「ビッグ・ダディ」が同じステージ上にいる事態は、あまりに滑稽で感動的ですらある。また日本ではあまり知られていない「Twisted Metal」シリーズの「Sweet Tooth」がこっそりといるあたりも、ゲーマー心をくすぐられる。

 乱闘アクションのゲームシステムはパーティ向きのカジュアルな印象だが、キャラクターの顔ぶれはコアゲーマーにもしっかりリーチしてくるという奥深いタイトルになるかもしれない。SCEAスタッフに聞いたところ、北米での発売予定日は2012年の冬。まだまだ目玉キャラクターやステージを用意しているということなので、続報を楽しみに待ちたい。


「スマブラ」でも十分混沌としていたのに、ゲームレーティングがバラバラのキャラクターたちが揃うという事態に戸惑いすら覚える(もちろんいい意味で)。個人的には「ムームー星人」辺りが登場してくると熱い


■ 初のマルチプレイでも残酷アクション「God of War: Ascension」

ブースには「クレイトス」も登場

 ブース中で次に大きく取り上げられていたのは、PS3用アクション「God of War: Ascension」。こちらではソロプレイモードに加え、マルチプレイも体験できた。

 マルチプレイモードは、最大8人での協力戦や、チーム戦などが楽しめるというもの。「God of War」のシリーズとほぼ同じ操作方法となっており、中には相手を倒してナイフを刺したり、肉を深く抉るようなアクションなど、「God of War」らしい残酷アクションも見られた。

 今回体験できたのはチーム戦で、ステージ内で乱闘が繰り広げられる中、超巨大なサイクロプスに止めを刺したチームが勝利する、というもの。プレイ中は何度死んでもいいが、フィールドには床から無数の刺が出てきて即死する罠など、慣れが必要そうなギミックも多数見受けられた。

 このマルチプレイモードは自動マッチングとなっているが、その地域のなるべく近い人から優先的にマッチングされるようになっているという。またグラフィックスについては同じゲームエンジンを使っているものの、ソロプレイ時よりもやや劣るものになる。とはいえサイクロプスの下顎が裂けてビラビラとなる様子などは日本でのレーティングが心配になるほどに精細なので、全く問題ないとお伝えしておこう。北米での発売予定日は2013年3月12日。


【スクリーンショット】
マルチプレイでは、太陽の光が気持ちよく射し込む砦で容赦ない試合が繰り広げられる。激しい描写もある


■ PS3×PS Vitaのcross platformタイトルを3作品、さらに「SOUL SACRIFICE」も紹介

 上記に挙げた「PLAYSTATION ALL-STARS BATTLE ROYALE」もクロスプレイタイトルだったが、ブースではこれ以外に3タイトルがcross platform feature対応として出展されていたので、ダイジェスト的にご紹介する。またこれ以外に出展されていた要注目のPS3/PS Vitaタイトルについても併せてご紹介したい。

・「リトルビッグプラネット2」 

大画面と小さな画面で違うプレイをさせる。これからのゲーム体験だ

 小さな布製の人形「リビッツ」たちが活躍するアクションゲームがCross-Controllerに対応予定。Cross-PlayがPS3とPS Vitaで同じ画面を共有して遊ぶのに対し、Cross-Controllerは、PS3側とPS Vita側で違う画面を見ながら遊ぶというもの。

 「リトルビッグプラネット2」では、例えばPS Vitaで宇宙を進むロケットを操り、PS3側ではそのロケット内部をステージとして「リビッツ」たちを操る、というようなものになる。宇宙では隕石が降ってきたりや弾を撃ってくる宇宙船がいるのでロケットはそれらを避けつつ進まなければならないが、ロケットを左右に動かすとPS3側のステージもグルグルと回転するので、お互いにどっちへ進みたい、今はダメ、などの声を掛け合わなければならない。

 今回のCross-Controllerのような状況では、プレイ人数はPS3に4人、PS Vitaに1人、つまり合計5人で遊べることになる。このロケットのステージの場合はPS Vita側が責任重大になっており、そのアンバランスさも多人数プレイでは楽しいだろう。北米は11月22日に対応予定。

・「Sly Cooper: Thieves in Time」

「Sly Cooper: Thieves in Time」

 日本では「怪盗スライ・クーパー」として発売されているアクションゲームシリーズの4作品目「Sly Cooper: Thieves in Time」。プレーヤーは主人公の「スライ・クーパー」をはじめとしたキャラクターを操りながら、それぞれの持つ得意アクションを活かし、数々の障害物超えながら、敵を倒したり、目的の品を敵の背後から忍び寄って盗んだりしていく。PS3とPS VitaのCross-Play対応で、北米での発売は11月22日を予定。

【スクリーンショット】
「PLAYSTATION ALL-STARS BATTLE ROYALE」にも参戦の決まった「スライ・クーパー」。日本での知名度はイマイチだが、相手の裏をかくステルスアクションの要素もあり、知的な印象も伴うタイトルだ

・「When Vikings Attack!」

 「When Vikings Attack!」は、フィールドに落ちている車やバリケードなどを拾って相手チームに投げつけ、全ての相手チームを崩壊させることを目的としたアクションゲーム。

 チームは何人かのキャラクターで構成されており、投げられたオブジェクトがチームのキャラクターに当たると、その分だけチームが削られて、小さくなってしまう。操作は物を拾う、投げる、ダッシュなどと至ってシンプルで、ダッシュをすると物をよけやすくなるだけでなく、相手から物が奪えたり投げられた物をキャッチできる。

 チームは街を走り回る人をキャッチすれば増やせ、特殊なロケットを相手に当てればキャラクターを奪える。チームの人数は無限に増やせ、多いほど重いオブジェクトを持てるようになる。シンプルながら駆け引きとアクションが面白い作品。PS3とPS VitaのCross-Play対応で、PSNでの販売。北米ではクリスマスに配信予定。


【スクリーンショット】
狭いフィールドでのガチンコファイトになるので、決着まで素早いのがいい。ルールはシンプルだが、パーティプレイではついつい何度もやってしまそうでクセになる

・「SOUL SACRIFICE」

「落ち着け、俺はあんたの味方だ」と言う“本”。あからさまに怪しい

 稲船敬ニ氏がコンセプターを務めているPS Vita用「SOUL SACRIFICE」がプレイアブル出展されていたので、ここで紹介したい。これまでには“犠牲”や“生贄”という言葉がコンセプトとなっていることや、魔法使いの奴隷となった主人公が記述された内容を実際に体験できる“本”との出会いによって、数々のクエストに出発する、というストーリーが明かされていた。

 今回の出展では、不気味な意志を持った“本”が喋る様子や、主人公が本の世界に入り込んで戦う様子が体験できた。

 主人公は、本の中だけは魔法を使って自由に行動ができる。物語の最終的な目的は、本の中で魔法を学びつつ、捕まった場所からの脱出を試みることになるという。このゲームの特徴は、モンスターを倒した時に出現する。というのも、プレーヤーはモンスターを倒すたびに“救助”か“生贄”を選ばなくてはならなくなっており、この選択がストーリーやキャラクターの成長要素に大きく関わっているそうだ。

 今回の体験プレイではその全貌はわからなかったが、生贄を捧げれば、それと引き換えに魔法の力を得て強くなれる一方で、その犠牲も伴う。また救助ばかりを続けていては、キャラクターは成長できない可能性もある。この板挟みの状況を、プレーヤー自身がどう打開していくかがゲームの鍵になるようだ。日本では今冬発売予定。北米では2013年春の発売を予定している。


【スクリーンショット】
犠牲を払いつつも魔法の力を選ぶか、それとも慎重な選択を望むかはプレーヤー次第。単なるファンタジーアクションとはまた一線を画すタイトルになるだろう

(2012年 6月 9日)

[Reported by 安田俊亮]