SCEA、「BEYOND TWO SOUL.」と「The Last of Us」の限定プレゼンテーションを開催
大型タイトル2つの世界観、ゲームシステムなどを解説
現地時間の6月4日に開催された「PlayStation E3 2012 Press Conference」においてトレーラー、もしくはデモプレイが公開された「BEYOND TWO SOUL.」と「The Last of Us」。SCEAはE3会場にて、この2タイトルについてメディア限定のプレゼンテーションを開催した。
このプレゼンテーションでは、プレスカンファレンスのトップとラストを飾ったそれぞれのデモプレイが上映され、さらに世界観やストーリー、ゲームシステムなどについて説明があったので、ここでご紹介する。
■ 少女と霊、その関係と成長を紡ぐ物語「BEYOND TWO SOUL.」
タイトルロゴ |
Quantic Dreams CEOのDavid Cage氏 |
「HEAVY RAIN -心の軋むとき-」を世に送りだした仏Quantic Dreamsが発表した次の作品「BEYOND TWO SOUL.」。プレスカンファレンスではQuantic Dreams CEOのDavid Cage氏より霊そして死についての物語だという話があったが、プレゼンテーションではさらに詳しい説明がなされた。
この物語は、エレン・ペイジ演じる少女「ジョディ・ホームズ」の15歳から23歳までを描いており、彼女に憑いている霊「アイデン(Aiden)」との関係と成長がメインテーマになる。プレーヤーはジョディ、およびアイデンを操りながら、2人の物語を紡いでいく。
キーとなるのは、アイデンを操作するパートだ。アイデンは不思議な力を備えており、ジョディの周りのある物体や人物に干渉できる。物体や人物に黄色いオーラがまとっていれば、新聞やコップを吹っ飛ばしたり、人物を操ったりもできる。アイデンは幽霊なので普通の人からは見えないし、空中を自由に浮遊でき、障害物もすり抜けられる。ただし、ジョディから離れられる距離も決まっているので、あまり遠くには行けない。
ジョディは、そんなアイデンと交流できる少女だ。1人の少女では無理な状況も、アイデンがいれば打開できる。ジョディは、アイデンと交流できるが故に、特殊能力を持った危険な少女として警官部隊から追われている。
森の中を歩き回るような操作もあれば、緊迫したアクションシーンでは、映画のワンシーンにQTEが随時挿入されていく操作もある。これは「HEAVE RAIN」でも見られたようなスタイルで、警官と戦う、といったような場面では画面にボタンが表示され、その入力の成功か否かでムービーが変わっていく。
デモプレイでの1番の見せ場は、街中で警官部隊にジョディが囲まれたシーンだった。周りから銃口を一斉に向けられ、車の陰にじっと身をひそめたジョディは本来ならば抵抗は無理だ。しかし、ここでアイデンが登場するわけである。
プレーヤーはアイデンとなり、車を吹っ飛ばしたり、警官に取り憑いて操り、同士撃ちをさせたりする。派手なものではガソリンスタンドを爆破し、一気に警官を吹き飛ばすこともできる。警官隊はリアルタイムで行動を続け、ジョディも状況に応じてアイデンを呼んだり移動を試みるので、それらにも対応していく。アイデンを上手く操作した結果、ジョディを救うことに成功した。
アイデンはジョディを守る! |
デモプレイはここまでだったが、Cage氏によれば、これはほんのゲームの一部分に過ぎないという。例えば今のシーンではアイデンはジョディを守ることに終始したが、もっと突き放したような、冷たい行動もでき、場合によってはジョディが警官に捕まるようなことにもなる。
物語は、プレーヤーの行動によってマルチに広がっていく、というわけだ。ゲームの成り行きはプレーヤーに委ねられているため、このゲームではプレーヤーにどんな感情を引き起こさせるかという狙いはないのだという。
また操作するキャラクターはこの2人だけなのかとCage氏に問うと、「これは少女が大人になるまでを描いたもので、その過程では違う人物になっていきます。それはアイデンについても言えることで、アイデンの感情も次第に変化し成長していくのです」と面白い言い回しで答えてくれた。
今回のデモプレイでは、列車の上で警官と戦うシーンや、バイクを奪って銃を構える警官隊に向かって突っ込むシーン(アイデンに守られながら!)など、息を飲むアクションも見られた。ジョディとアイデンの関係はどう変化するのか? そもそも、2人が交流するようになるきっかけは何だったのか? まだまだ謎の多い今作だが、「HEAVE RAIN」以上の期待は十分にできるだろう。
【スクリーンショット】 | ||
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■ 記憶力を持ち、所持する武器を判断するAI。緊迫感が連続し続ける「The Last of Us」
「The Last of Us」のJoelとEllie |
米Naughty DogのNeil Druckmann氏 |
プレスカンファレンスの大トリを務めた「The Last of Us」。そのデモプレイデビューは鮮烈で、「メタルギアソリッド」シリーズの小島秀夫監督をしてさえ「嫉妬を通り越して嬉しくなった」と絶賛するほどの期待作だ。
では何が衝撃だったのか。それを振り返りつつ、米Naughty DogのNeil Druckmann氏によるプレゼンテーションの内容をご紹介したい。
開発を担当するのは、「アンチャーテッド」シリーズの米Naughty Dog。今回の「The Last of Us」は「アンチャーテッド」と同じ第3者視点を採用しており、パッと見は同じような感じを受けるかもしれないが、まず違う点として、主人公Joelの後ろを追いかけてくる少女Ellieの存在がある。そしてJoelは、決して「ネイサン・ドレイク」のようにスイスイと壁を登ったり長い距離を飛んだりせず、あくまでリアルな人間として描かれている。
そして何より、敵と遭遇した時の緊張感がこれまでのTPSとは一線を画している。プレスカンファレンスで鳴り響いた歓声は、このことによる要因が大きいだろう。
今回のデモプレイでは、敵の動きをさらにじっくりと見ることができた。まず屋内に覗く敵を外から発見するとJoelは身を隠す。静かに近づき、空き瓶を拾って中に投げ入れ、物音を立てて敵の注意を逸らしている隙に室内に潜入する。帰ってくる敵との出会い頭を襲うと、首を後ろから締めて絞殺を試みる。この時画面にはJoelと敵の顔がアップにされ、敵がもがき、苦しみ、段々と力が抜けていく様が表情ごと描写される。
敵から銃と数発の弾を奪うと、再び屋外に出てその上の階から室内に潜入する。室内の棚は物色してアイテムを取れる場合もある。通路の角に差し掛かると、先ほどの仲間が「こっちの部屋を探せ」と言って自分を捜索している所に遭遇する。Joelはレンガを拾って物陰に隠れ、1人でやってきた男との出会い頭を再び襲って頭をレンガで殴って、殴って、殴り、鈍い音を響かせながら男を殺す。
すると敵に見つかってしまい、銃撃戦となる。敵は「あそこにいるぞ!」と連携をして、こちらを狙ってくる。中にはひっそりと近づいて、後ろから襲ってくる敵もいる。Joelは傷を負いながらも敵を倒していき、敵は残り1人となるが、その敵は自分の不利な状況を感じ取って、その場から逃げてしまう。Joelも追いかけるが、見失う。通路を慎重に探索していると、背後から物音がして、先ほどの敵が火炎瓶を投げつけて襲ってくる。燃え広がる炎のダメージを受けながら、狙いを定めて射殺に成功する……。
敵のAIによって、いつ襲われるともわからない緊迫感を生み出すことに成功している |
ここで何が起きているかというと、敵はそれぞれAIを搭載しており、記憶の保持、連携、有利不利の状況判断などができるようになっているという。典型的なAIであればその場に留まってただ弾を撃ってくるだけだが、「The Last of Us」の敵はJoelの装備状況を分析した上で行動を決める。そのため、Joelが弾切れだと思えば自信満々に近づいてくるし、自分が丸腰であれば一旦身を引く。その状況状況で判断していく賢いAIが敵に備わっているからこそ、いつ襲われるか本当にわからない、過酷なゲームデザインに仕上がっていたのだ。
しかし、そんな過酷な世界の中で、大きな主題はJoelとEllieの絆だという。今回のデモプレイではEllieの活躍はなかったが、最後にJoelが射殺した死体を見て驚き戸惑う彼女の様子が映し出されていた。Ellieにも記憶するAIが搭載されており、Joelの行動を見て記憶を蓄積し、サバイバルする方法を学んでいくようになるのだという。14歳のEllieと40代後半のJoelは時に喧嘩もしながら、他に得難い絆を育んでいく。
なおそもそものストーリーだが、病原菌がもし人間の間で拡大感染を引き起こしたら? というものになっている。JoelとEllieが出会うのはその20年後の世界で、ある地点へ向かうために旅をしているのだという。ある病原菌とは冬虫夏草をモデルにしており、なかなかグロテスクな描写も登場するようだ。
今後少しずつ明らかにされていくだろう「The Last of Us」にぜひとも注目していきたい。
【スクリーンショット】 | ||
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(2012年 6月 8日)