Ubisoftブースレポートその2
より危険な存在となってサムが帰ってきた「Tom Clancy’s Splinter Cell Blacklist」、Wii Uを万能ツールとする「Zombi U」、南海の島での炎の戦い「Far Cry 3」
本稿では、Ubisoftブースレポートその2として、「Tom Clancy’s Splinter Cell Blacklist」、「Far Cry 3」、「Zombi U」を取り上げていきたい。「Tom Clancy’s Splinter Cell Blacklist」はステルスアクションシリーズの最新作で、プレイステーション 3/Xbox 360/Windows版を2013年春発売する。
「Far Cry 3」はこちらも人気シーリズのFPS。プレイステーション 3/Xbox 360/Windows版を9月4日に発売する。「Zombi U」はWii U専用タイトルで、Wii U GamePadならではのゲーム性を盛り込んだ作品である。各作品の特色を紹介していきたい。
■ 複数の敵を瞬時に倒す、戦闘機械のような戦い「Tom Clancy’s Splinter Cell Blacklist」
「Xbox 360 E312 Media Briefing」ではシアターのダイジェストが |
オープンなブースの映像も来場者の目を引き付けていた |
「Tom Clancy’s Splinter Cell Blacklist」はシアターでデモプレイを行なっていた。展開そのものは「Xbox 360 E312 Media Briefing」と同じものだったが、より細かいゲーム要素が紹介された。「Tom Clancy’s Splinter Cell Blacklist」はストーリーの時間軸的にも最新のものになる。今作でサムは新たに作られた諜報チームを率い、テロリストに戦いを挑むのだ。
最初の場面は中東地域の戦場。1人の男が、傷ついた仲間を担いで医療テントに入ってくる。中にいたスタッフは、けが人をベッドに横たえるが、ふと仲間を運んできた男に不信の目を向ける。男に近付く瞬間、男は拳銃を抜き、奥のスタッフを射殺した後、近づいてきたスタッフを捕まえ、一気に腕を折る。彼こそがサム・フィッシャーだ。
今作はずいぶん戦闘重視のバランスのようで、様々な超人的な能力でテロリストを倒していく場面が展開した。サムは「生体レーダー」の様な能力を持っていて、能力を発動すると、周囲の建物の中の敵まで正確に把握できる。そして複数の敵をあらかじめロックオンすることで、瞬時に撃ち倒すことができる。これらの能力は、前作「スプリンターセル コンビクション」から取り入れられたが、今作はさらに強化されていると感じた。
室内に飛びこむ瞬間はもちろん、目の前の敵を羽交い締めにするというアクションも行ないながらも、もう一方の手で敵を撃ち抜いたりもできる。この能力は強力な上に応用も利き、一旦建物の中の人間をロックした後、入口に爆弾を仕掛け、そこから屋根を伝って窓まで行き、爆弾を爆発させると同時に窓から突入、中の人間を撃ち倒すという、高度なアクションも見ることができた。
また、「拷問」の要素も確認できた。今作では敵を羽交い締めにした状態から、ナイフを突き立て、ナイフの刃を回転させることで敵に苦痛を与えられる。しかし口はサムが塞いでるので、犠牲者は悲鳴を上げることもできない。強情な敵も、この拷問を行なうと、口を割ってしまう。拷問するサムの迫力はかなりなものだった。
この他、オペレーターと連携することで、人にの場所にミサイルによる爆撃するという要素が紹介された。さらに上空から地上を走査し、ミサイルや機銃で攻撃するシーンもあった。これまでのシリーズ以上に“攻撃”に注力している作品だと感じた。謎めくストーリーもまだまだ意外な展開を見せそうで、楽しみだ。
「Xbox 360 E312 Media Briefing」での撮影。サムは敵を探し出し、的確に仕留めていく | ||
スクリーンショット。激しい戦いを予感させる |
■ 謎たっぷりのシングルに、アイデアの詰まったCo-opもある「Far Cry 3」
4人でのCo-opが体験できた |
「Far Cry 3」は狂信者に支配された島で生き残りの戦いをするFPSだ。シリーズを受け継ぐ青い空と海、白い雲、鮮やかな緑という楽園のような世界で、炎と血しぶきが上がる地獄の戦いが展開する。
Ubisoftブースでは、「Far Cry 3」はシングルプレイと、マルチプレイをそれぞれ体験できた。シングルプレイはジャングルの中から1人の男を追い掛けるという展開だった。ストーリーは細かく紹介されなかったが、主人公が追う男は、は狂信者達を味方につけており、狂信者は武装し、島の住人を虐殺している。彼らと戦いながら、主人公は敵を追い詰めていく。
「Far Cry 3」で驚かされるのは、その鮮やかなグラフィックスだ。「Far Cry」シリーズは、美しい南国の自然を作品イメージにしており、今作ではさらに磨きがかかってる。冒頭の崖から近くの島を眺めるシーンなどは、これから戦いがあることなど信じられない美しさだ。海に飛びこみ、隣島を目指すときでも、少し海に潜ると綺麗な珊瑚礁が見え、ダイビングをしている気分だ。
しかし、島に近付くと雰囲気は変わる。周囲を監視している銃を持った男の足下には無造作に死体が積み上げられており、こちらを見るとためらうことなく発砲してくる。プレーヤーの耐久力は他のFPSと比べ少なめで、隠れて戦うことが望ましい。背後を取り接近戦をする場合は、ナイフで敵の身体を突き刺したり、喉を掻ききったり、一撃で仕留めることができた。
また、「炎の美しさ」も強調したいところだ。オブジェクトを破壊したときの爆発はもちろん、メラメラと燃え上がる炎の形の美しさは戦闘中にも関わらず思わず見とれてしまう。巨大なたいまつをモヤしている場所や、主人公を罠に掛ける火のトラップなど、火を使った演出が多めだ。体験版のボスも、火炎放射器で主人公を攻撃してくる。
そして、試遊台でのラストでは、男を追い詰めたと思ったその時、一瞬の隙を突かれてナイフを突き立てられ、主人公の視界が暗くなっていく。そして煙の中のようなな幻想的な光景の中で、様々な人物が主人公の前に現われる。そしてある男のアップで、試遊は終了する。最後の人物は、主人公の大きなトラウマになっているようだ。
一方、マルチプレイにはキャンペーンのCo-opモードが用意されており、プレーヤーは4人で協力して、狂信者と戦っていく。会場でも4人でプレイすることができた。4人のキャラクターはあらかじめ設定されているが、どの人物も一癖も二癖もありそうな人物だ。
マルチプレイは「展開の多彩さ」に興味が惹かれた。最初は狂信者が待ち受ける場所を襲撃し、次はトンネルを塞いでいる列車を動かすのだが、狂信者が波状攻撃をしてくるため、プレーヤー達は列車を守らなければならなくなる。この時、プレーヤーの何人かは、武器を工具に持ちかえて修理を行なわなくてはならないのだ。
そして洞窟から高台に出たときは、全員でスナイパーライフルを持ち、合図と共に一定時間的を狙撃する「狙撃大会」になる。いきなり違うゲームが始まったかのような展開に、思わず最初は戸惑ってしまった。「Co-opの楽しさ」に関して、ユニークなアプローチを行なっている作品だと感じた。
海や自然の美しさと、炎の激しさが体験できたシングルプレイ | ||
マルチプレイは、めまぐるしく状況が変わる | ||
スクリーンショットも、「美しい」という言葉がぴったりだ |
■ 地図にソナーにスコープに……Wii U GamePadが万能ツールになる「Zombi U」
Wii U GamePadが様々なデバイスに変わる |
Ubisoftは「Rayman Legends」、「Sports Connection」や「JUST DANCE4」など、サードパーティとしては1番Wii Uタイトルを出展しているメーカーだ。その中でも「Zombi U」はWii Uならではの機能を積極的にゲームに活かしたタイトルだと感じた。
「Zombi U」の舞台はロンドン。人々がゾンビに変わっていくという絶望的な状況の中で生き残っていく人々を描く。会場のデモムービーではイギリス国歌に合わせ、ゾンビと絶望的な戦いを繰り広げられるシーンが展開した。2階建てバスや、赤い制服に大きな帽子を被った兵隊など、イギリスならではの要素が散りばめられているところが面白いムービーだった。
ブースで「Zombi U」は、プレイアブルの試遊コーナーが設置されていた。人気は高く、常にプレイ待ちの行列ができていた。「Zombi U」はロンドンの街を探索し、ゾンビから逃げながら生き残りの道を模索するサバイバルアドベンチャーだ。本作が他の作品と大きく違うのは、BOB(Bug-Out Bag)と呼ばれる、究極のサバイバルツールを持っていること。「Zombi U」では、「Wii U GamePad」がBoBとなり、プレーヤーを支えてくれる。
Wii U GamePadは様々な場面で活躍する。画面を地面と平行に置いているとき、Wii U GamePadのモニターは地図を写し出す。「Zombi U」の視点は1人称視点だが、マップを活用することで、複雑なロンドンの街を自在に歩くことができる。また、武器を構えてコントローラーの背面をテレビに向けると、Wii U GamePadはスコープに。望遠機能を活かして、ゾンビの弱点である頭に銃弾を撃ち込むことができる。
また、探索のスキャナーとしても、テレビに向かってコントローラーの背面を向けることで様々なものを探し出せる。また、鍵穴があるところではWii U GamePadのモニターで鍵開けが、暗証番号式の鍵ではキーパッドに早変わりする。この他にも医療機器になったり、敵につかまれそうなときコントローラーを前に押し出せば、敵を押すこともできる。他にも様々な機能があるという。
「Zombi U」はWii Uでしかなしえないゲーム要素を取り入れていると感じた。ボタンやレバーが突き出したWii U GamePadはタブレット端末とはひと味違う、“ガジェット”としてのイメージがあるように感じた。Wii U GamePadを“様々な機能を内蔵した万能デバイス”に見立てるアイデアはとても面白い。どのような機能を発揮するのか、ゲームをたっぷり遊んでみたいと感じた。
激しいゾンビとの戦いを生き残るためにはコントローラーを活用しなければならない | ||
コントローラーの機能も紹介するスクリーンショット |
(2012年 6月 7日)