「FIFA 13」エグゼクティブプロデューサーインタビュー

「我々の目標は、本物のサッカーにいかに近づけるかということ」


4月19日、20日開催

会場:Millbank London



「FIFA 13」Line Producer Nick Channon氏

 「FIFA 13」レポート2本目は、「EA EU Showcase」のプレゼンテーションに登壇した2人のプロデューサーのインタビューをお届けする。インタビューに応じてくれたのは「FIFA 13」のLine Producerを務めるNick Channon氏と、「FIFA 12」まで4年間「FIFA」シリーズのLine Producerを務め、現在「FIFA」シリーズのExecutive Producerに昇格したDavid Rutter氏。

 合同インタビューで時間も限られていたため、各要素についてあまり深く掘り下げることはできなかったが、各コメントを通じて、彼らの「FIFA 13」に対するビジョンやポリシーをくみ取っていただければ幸いだ。


【FIFA 13】
「FIFA」シリーズはサッカーファンには毎年お馴染みのフランチャイズだが、「FIFA 13」も魅力的な新要素をひっさげて手堅い内容に仕上がってきた。メッシをイメージしたアップデートも多く、「FIFA Street」に続いてメッシになりきれる「FIFA」となりそうだ




■ Channon氏「リアルさと楽しさのバランスが大事」

Channon氏にはLine Producerとして、具体的なコンテンツの中身について聞いた

Q:「FIFA 13」はファーストタッチコントロールや倒れた選手の起き上がり方など、非常に細かいところにこだわっている。なぜそこまでこだわるのか?

Channon氏:「FIFA」シリーズはサッカーのシミュレーションゲームなので、できるだけリアルにしたいのと、ゲームなのでできるだけ楽しくしなければならない。我々はこのリアルさと楽しさをうまくバランスを取ることが重要だと考えている。

Q:トラッピングについて、強いパスを出すとトラッピングが難しくなるということだが、これまでは多少強くてもパスが通ったが、それが難しくなるとゲームのリズムが悪くなってしまうことはないのか?

Channon氏:「FIFA 12」はトラッピングがパーフェクトすぎて楽しくなかった。ランダムにするわけではなく、現実世界のトラッピングに基づいた処理を行なうということ。結果として多くの機会を攻撃側もディフェンス側にも与えることになる。我々の狙いはプレーヤーに多くの機会に与えること。プレーヤーが、現実のサッカー選手と同じような考え方でゲームをプレイするようにしたい。たとえば、ディフェンス側だとボールが来たときにタッチするか、クリアするかを選ばなければならないが、判断を誤ると、攻撃側につけいる隙を与えてしまうことになる。トラッピングの変化によってゲームが難しくなったというよりは、攻撃側にもディフェンス側にも多くの機会を与えたことで、よりリアルになったと思う。

Q:1stタッチコントロールの進化は、コアゲーマーにとってはやりがいのある要素だが、これから「FIFA」をプレイしようとするカジュアルなゲームファンにとってはゲームが難しくなりすぎないか?

Channon氏:全部が難しくなるわけではなく、リアルさと楽しさのバランスをとっているつもり。むしろ全体としては前作よりプレイしやすくなっている。たとえば、ドリブルのメカニクスは、これまでボタンを押す必要があったシーンも、自動的でやってくれるようになっている。そして攻撃インテリジェンスの中でも、攻撃する時のオプションが増えた。これはハードコアゲーマーが求めていたことだが、得点の入れ方が増えているわけでもあるので、簡単モードを使って、手軽に楽しむことができる。

Q:リアルさと楽しさのバランスの取り方というのは、どのようなポリシーに基づいているのか?

Channon氏:目指しているのは、プレイしている人が、実際にサッカーをしている気分でプレイできること。そのためにゲームの中の選手達が本物の選手達と同じような反応をすることが重要。ただ、それによって操作が複雑になりすぎるのはよくないので、そこは気をつけている。

Q:まだ具体的な収録クラブが発表されていないが、日本のクラブチームは入るのか?

Channon氏:良い質問。しかし、今日はそこについては言及することができない。

Q:「FIFA 13」の新しいImpact Engineは、「FIFA 12」にあったような細かい表示系のバグは綺麗になくなっていると考えて良いのか?

Channon氏:今朝のプレゼンでも見せたように、新しいアニメーションを用意し、2人の選手が転んだ際に問題が発生しないように改良を加えている。また、選手のスケルトンを一新して、衝突した際の表現をブラッシュアップしている。

Q:今年はオリンピックイヤーだが、これに合わせて「FIFA」で何か動きはあるか?

Channon氏:始めて聞かれた質問(笑)。特に用意するつもりはない。

Q:一流選手のプレイからインスピレーションを受けることはあるのか?

Channon氏:多くの点でインスピレーションを受けている。新しいドリブルはメッシからインスピレーションを受けているし、他のポジションの選手達からもそれぞれインスピレーションを受けている。



■ Rutter氏「初心者を取り込むためにできるだけ操作を簡単に」

Rutter氏にはExecutive Producerとして、戦略的な部分について聞いた

Q:ビギナーに向けてはどのように遊んで貰いたいと考えているか?

Channon氏:「FIFA 13」はサッカーをリアルに表現しているので、楽しく1年中プレイしてもらえれば嬉しい。「FIFA 12」はそういう遊び方をする人が多い。

Rutter氏:「FIFA」シリーズは、かつては初心者はターゲットにしていなかったが、最近は初心者を取り込むためにできるだけ操作を簡単にしようとしている。いわゆるDad Pad Setting、お父さん用のセッティングを選べば、左スティック+ボタン2つだけでプレイできるようになっている。一流選手のスーパープレイが自動的に出てくるようになっている。たとえば、ボタンひとつで簡単に弾丸シュートを打てたりするので初心者でも楽しめる。

Q:「FIFA 13」の新要素で気に入っているモノは何か?

Rutter氏:非常にたくさんの要素があるが、個人的には、2つある。1つはComplete Dribbling、もうひとつはAttacking Intelligence。Complete Dribblingは、誰でも上手にプレイできる。たとえば、リオネル・メッシでドリブルをすれば彼のようにプレイできる。もっとも画期的な変化は、アタッキングAIの進化。これによってゲームが大きく変わっている。

Q:「FIFA」シリーズが注力している“コネクションを広げること”について、もう少し詳しく教えて欲しい。

Rutter氏:1つは友達とのコネクション、自分のプレイと他の友人と比較する。2つ目が、本当の世界で自分が応援しているチームとのコネクション。「FIFA」の世界でどのチームが1番人気か競っていく。3つ目がユーザーとのコネクション。これはたとえば毎週新しいチャレンジを配布したりして、ソフトを買ってくれたユーザーとの繋がりを無くさないようにしていく。チャレンジは「FIFA 12」からある要素だが、これは「FIFA 13」でも継続していく。

Q:「FIFA 13」のもっともアピールしたいポイントはどこか?

Rutter氏:我々の目標は、本物のサッカーにいかに近づけるかということ。本当のサッカーは予測ができない。ゲームプレイで、予測できないところを再現するかが重要だった。1stタッチに失敗してしまっても、結果としてゴールに繋がるかもしれない。現実世界では偶然だが、そういう予測できないところも含めて「FIFA 13」はそこがうまくできたと確信している。

【スクリーンショット】

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(2012年 5月 15日)

[Reported by 中村聖司]