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「ADC MEETUP ROUND4」セッションレポート
“バハムート”がブラウザで飛翔するスクエニの実験、「Angry Birds Facebook」など、注目セッションを紹介


2月28日開催

会場:THE GRAND HALL

入場料:無料


 アドビ システムズ株式会社は2月28日、アドビ製品を利用する開発者向けイベント「ADC MEETUP ROUND4」を開催した。本稿では、各セッションについて紹介したい。

 特に注目なのは、ブラウザ上でPS2並のゲーム環境を提供しようという「コンソールゲームクオリティのStage3D研究開発」だ。フリーのFlashプログラマーと協力することで、「ファイナルファンタジーXII」に出てきた巨大モンスター達がブラウザ上で快適で動くデモに加え、キャラクターを操作し、そのモンスターにNPCと共に立ち向かうというゲームデモも実演され、会場から驚きの声が上がった。他にも、「世界的ヒットゲーム Angry Birds Facebook」では、制作秘話や、今後の展開などがユーモアたっぷりに語られた。



■ ブラウザ上で「ファイナルファンタジー」のモンスターが動く衝撃。「コンソールゲームクオリティのStage3D研究開発」

スクウェア・エニックスオンライン事業部テクニカルプランナーの月岡伸博氏
フリーのゲーム開発者でありFlashプログラマーの尾野政樹氏
セッション終了後、タブレット端末で、3Dモデルを動かせた

 「コンソールゲームクオリティのStage3D研究開発」というセッションでは、スクウェア・エニックスのブラウザゲーム向けの技術的チャレンジが語られた。登壇したのはスクウェア・エニックス オンライン事業部テクニカルプランナーの月岡伸博氏と、フリーのゲーム開発者でありFlashプログラマーの尾野政樹氏。月岡氏のチームは尾野氏達フリーの開発者チームと協力して、PS2レベルの3Dゲーム環境を実現すべく、研究を続けているという。

 この研究の目的は、これまでスクウェア・エニックスがコンソール機で利用してきたリソースを使い、ブラウザ上でどこまでクオリティを維持できるか、そしてゲームとしてプレイできるかを検証するというものだ。スクウェア・エニックスが目指すものは、mixiやFacebookなどのSNSでブラウザゲームに慣れ親しんだユーザーに向け、スクウェア・エニックスが得意とする、優れたグラフィックスのブラウザゲームを、提供していくことにある。

 検証の結果選択したのがAdobeの「Stage3D」。「Adobe Flash Player 11」に搭載されている、3Dグラフィックスに関するプログラミングを簡潔にするためのインターフェイスだ。「Adobe Flash Player 11」は普及率が高く、3D表示能力に優れているというのが選択の決め手になったという。そして、検証用のプログラムを作るにあたり、PS2「ファイナルファンタジーXII」と、Wii「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー」から、キャラクターとフィールドマップの3Dモデルを利用することにした。

 ここで月岡氏がデモとして見せたのが、ブラウザ上で再現された「ファイナルファンタジーXII」の闘技場ステージ。ここに「ファイナルファンタジーXII」と「ファイナルファンタジー・クリスタルクロニクル クリスタルベアラー」の様々なキャラクターを配置していた。クリスタルドラゴンや、モルボル、トンベリの他、召喚獣のバハムートなども確認できた。キャラクターは細部まで描き込まれ、アクションをさせても処理落ちなどをしない。さらにフォグや光源処理を加えても快適に描画できている。

 この技術を実現させたのがFlashプログラマーだ。月岡氏のチームは尾野氏を始めとしたフリーの開発チームと共同で研究を進めていった。尾野氏達のチームは最初は既存の技術を使っていたが、ファイルが大きくなったり、処理に時間がかかるなど、3Dモデルからブラウザ表示までの“時間のかかる部分”に注目し、無駄を省く作業を進めていった。そして最終的なゲーム表示の前に、独自ファイルを作ることで、高速の表示を可能にしたという。このためには、様々なライブラリの内部構造まで踏み込んで理解した上での、独自形式でのファイル制作が必要となる。

 さらにファイルの処理だけではダメで、細かい簡略表示や、グラフィックス表現を下げてもクオリティを維持させるための工夫などは、熟練のグラフィッカーのセンスが必要となり、それにはゲーム会社の力が不可欠になる。Flashの専門家と、様々なアイデアとテクニックを持ったゲーム会社と協力してこそ、優れたブラウザゲームが可能になると尾野氏は語った。こう言ったゲームを作るためには「異種業種の協力」が不可欠であると、尾野氏は強調した。

 尾野氏の説明の後に実演されたのが巨大なモンスターと戦うゲームデモ。月岡氏がプレーヤーキャラクターを操作し、巨大なモンスターと戦うゲームで、NPCも同時にモンスターと戦っている。実際のゲーム画面そのもので、リッチな3D空間がブラウザ上で動いているのには驚かされた。セッション終了後は、タブレット端末でモンスターを動かすデモも見ることができた。


月岡氏のチームが目指した目標は、ブラウザ上で動くリッチな3Dコンテンツ
実現できたデモ。コンシューマゲームと同じ3Dモデルが、30fpsで動く
尾野氏のチームと共同で進めていったプロジェクト。Flashプログラマーの知識と経験だけでなく、リソースとセンスがなければ実現できない。異なる業種の協力が必要だ
ゲームとして実現。NPCと協力して、敵モンスターに戦いが挑める。見ているだけでプレイしたくなるコンテンツだった



■ 何故ブタが敵だったのか? 今後の展開も明らかになった「世界的ヒットゲーム Angry Birds Facebook」

Rovio EntertainmentのBusiness Development日本担当のAntti Sonninen氏
日本風の要素のある「CHERRY BLOSSOM」。詳細情報が楽しみだ

 「世界的ヒットゲーム Angry Birds Facebook」というセッションでは、開発元のRovio EntertainmentのBusiness Development日本担当のAntti Sonninen氏が登壇した。Rovio Entertainmentはフィンランドの会社で、Sonninen氏もフィンランド人だが、留学で日本語を学んだとのことで、日本語でユーモアたっぷりに「Angry Birds」のFacebookを始めとした、今後の展開を語った。

 Rovio Entertainmentはモバイルゲームを作る会社として2005年にスタートし、その後PCゲームや、スマートフォンゲームを作っていった。「Angry Birds」は2009年に62本目のタイトルとして開発されたという。「Angry Birds」はiOS向けに発売された後、PDA のPalm版、Android版など様々なハード向けに発売され、2011年には、PC版やMAC版、Flash版なども開発された。

 Rovio Entertainmentはあらゆるハードに向けてサービスする方針であり、Sonninen氏は、「もし自動販売機のパネルでゲームが遊べたら、それ向けにも『Angry Birds』」は作られるでしょう」と語った。

 よく知られているように「Angry Birds」は世界的な大ヒットとなった。合計で7億ダウンロード以上、世界中でイベントが行なわれたり、グッズが販売され、アニメ「シンプソンズ」にも登場した。プロモーションの一環として、宇宙にまでキャラクターのぬいぐるみを持って行ったりもした。

 ちなみに「Angry Birds」はパチンコでトリを打ち出し、ブタのキャラクターを倒すゲームだが、なぜトリとブタが戦っているのかと言えば、ブタはタマゴが大好きで、トリ達から盗んで食べてしまうからだ。ブタを敵にした理由は、開発時「豚インフルエンザ」が世界中で猛威を振るっていたからだという。

 次にSonninen氏は「Angry Birds」のFacebook版を紹介した。Facebook版はFlashで作られており、2012年2月14日に登場したばかり。これまでの「Angry Birds」にはない機能を搭載しているのが最大の特徴だ。新たな機能の1つは「ソーシャル要素」。ゲーム画面では友達のスコアが表示されており、競うことが可能だ。さらに、面をセレクトする画面では面ごとのスコアをフレンドと競うことができ、1番だったら金の王冠、2番だったら銀の王冠が表示される。総合で勝てなくても、面単位で1番を目指すと言うことも可能なのだ。

 もう1つがパワーアップ機能である。ゲーム内で支給される他、課金でも購入可能で、トリが大きくなる「SUPER SEEDS」やパチンコが強力になる「KING SLING」などゲームが有利になるアイテムが販売されている。さらに新しいストーリーも追加され、よりやり応えを増している。

 このFacebook版を作るにあたり、Rovio Entertainmentは2011年からプロトタイプを開発した。最初は「Adobe Flash Player 10」向けに作ったのだが、フレームレートなどで納得ができなかった。新たに「Adobe Flash Player 11」がリリースされ、これ向けにもう一度作ったところ、納得できるフレームレート、ハードウェアの制約が少ない点、スクリーンのサイズがフレームレートに影響を与えないことなど、開発側の満足のいくゲーム性が発揮できたため、リリースに踏み切ったという。

 さらにこのセッションでは「Angry Birds」の今後の展開が明らかになった。1つは「Angry Birds SPACE」デモムービーでは月面とおぼしき場所にスリングが刺さっているのが確認できた。3月22日に登場予定で、3月8日に何らかの発表があるとのこと。

 

もう1つ、「Angry Birds」に日本の春をイメージした「CHERRY BLOSSOM」という面が追加されるという。こちらは3月7日に公開予定とのことだ。イメージイラストでは、トリがチョンマゲや日本髪のカツラをつけていて、独特のセンスがとても楽しそうだった。どのように日本要素が活かされるか、注目したい。


世界的な大ヒットとなった「Angry Birds」。様々なプラットフォーム向けに作られている
Flashで作られているFacebook版。ソーシャル要素と、パワーアップ要素が新しい
「Adobe Flash Player 11」で実現できたFacebook版。目標となっている動作が可能に
ジョークムービーで告知が行なわれた「Angry Birds SPACE」。さらに「CHERRY BLOSSOM」もアナウンスされた



【Mobage open platform and Mobage SDK for Adobe AIR】
「Mobage open platform and Mobage SDK for Adobe AIR」では、DeNA CTO室ソフトウェアエンジニアの藤吾郎氏により、「Mobageオープンプラットフォーム」の特性が語られた。特にこのオープンプラットフォームを使うことで、プレーヤーのアバターや、フレンドとのデータ比較や、ランキングなど、ソーシャルゲームで求められる繋がりが呼び出しやすいこと。また、課金システムなど、基本的なシステムが用意されているため、開発者はゲームコンテンツにリソースを注力できるという点がアピールされた

【Developing Smartphone Native Social Apps with Adobe AIR 3】
「Developing Smartphone Native Social Apps with Adobe AIR 3」では、グリー取締役執行役員CTO開発本部長の藤本真樹氏が、デスクトップ環境でもFlashが使えるようになる「Adobe AIR 3」を使った開発での、実際のノウハウを紹介した。「サーバーとの密接な繋がりを想定した開発」、「メモリ管理の大変さ」、「処理分散の工夫」など、藤本氏の実際の経験が語られた。スライドでプログラムコードをそのまま提示するような、最も専門的なセッションだった

【Facebook、mixi アプリ制作TIPS大公開!】
「Facebook、mixi アプリ制作TIPS大公開!」で登壇したのはmixiアプリなどを開発するバスキュールのテクニカルディレクター北島ハリー氏。「お宝ほりっく」、「ヨバゲー」など、アクション性とソーシャル要素を融合させたゲームを紹介し、特にクリスマスまでの限定された期間で友達と協力して自分の靴下を飾り立てていく「mixi Xmas」を細かく解説した。「恣意的なものを、いやみじゃない形で表現する広告」。「日々の営みで触れ合っていく楽しさ」といった、北島氏のコンテンツ制作への想いも語られた

【あらかじめ知っておきたい幾つかのコト - Flash ひとつでスマホアプリ制作】
「あらかじめ知っておきたい幾つかのコト - Flash ひとつでスマホアプリ制作」ではフリーランスのFlashデベロッパ/ゲーム作家の中野亘氏が、自身の作品である「きょうのしかく」、「ワクチンケース」、「スリラーマンション」を紹介。365日分のswfファイルを1つにまとめた「きょうのしかく」、グリッド表示ではないため、指の認識に苦労した「ワクチンケース」といった形で、実際のアプリ制作に関するノウハウを語った

(2012年 2月 29日)

[Reported by 勝田哲也]