セガ、3DS「初音ミク and Future Stars Project mirai」店頭体験会を開催
プロデューサー・ディレクターへのミニインタビューもお届け!
会場の12台の試遊台には集中できるようにそれぞれヘッドフォンも用意されており、1回あたり1曲のプレイが可能。参加者たちはそれぞれのペースで体験プレイを楽しんでいた |
株式会社セガは、3月8日に発売を予定しているニンテンドー3DS用3Dリズムアクション「初音ミク and Future Stars Project mirai」(以下、「Project mirai」)の店頭体験会を、2月18日、東京・秋葉原にあるAKIHABARAゲーマーズ本店などの3会場において開催した。
本イベントは、3DS用の完全新作となる「Project mirai」を、発売に先駆けてひと足先に試遊できるというもの。体験プレイ後には、オリジナルデザインの「使い捨てカイロ」と、持っているとイイことがある「参加認定書」という2つの関連グッズがもれなくもらえることもあり、取材で訪れた秋葉原の会場では、13時前には参加整理券の配布が終了するなど、あらためてファンからの人気と期待の高さを感じることができた。
体験会に用意されていたバージョンでは、「LOL -lots of laugh-」(Music by KeN / Lyrics by エンドケイプ)、「PIANO*GIRL」(Music and Lyrics by by OSTER project)、「トリコロール・エア・ライン」(Music and Lyrics by by あつぞうくん)、「私の時間」(Music and Lyrics by by くちばし)の4曲がプレイ可能。特に「トリコロール・エア・ライン」は、キャラクターを変更するとボーカルも変更されるボーカルチェンジに対応しており、初音ミクだけでなく鏡音リン、巡音ルカ、MEIKOの4キャラクターで楽しむことができた。
なお、同様の体験会が2月25日に福岡と北海道で、3月4日には宮城でも開催される予定となっているので、近隣のファンの方は訪れてみてはいかがだろうか。
会場には「Project mirai」のPVが常に流されていたほか、特製タペストリーなども飾られており、体験プレイ待ちの参加者たちの目を楽しませていた | 数量限定版「初音ミク and Future Stars Project mirai ぷちぷくパック」に同梱される、“ねんどろいど ぷち 初音ミク Project mirai Ver.”などのアイテムも展示 |
■ アーケードで培われたこだわりが満載!
開発プロデューサー・ディレクターへのミニインタビュー
セガの「Project mirai」プロデューサーの大崎誠氏 |
秋葉原の会場には「Project mirai」のプロデューサーである、セガの大崎誠氏と、ディレクターの髙部元志氏も訪れており、両氏からは店頭体験会を目の当たりにしての率直な感想や、「Project mirai」を開発するにあたってのこだわりなど、さまざまなお話を伺うことができたので、合わせて紹介していこう。
――「Project mirai」の開発コンセプトはどのようなものですか?
大崎誠氏(以下、大崎氏): 最初は「3DSでミクさんで何かやってみろ!」との指令が下ったのですが、AM2研は技術好きなので、「未来っぽいことやってみない?」ということから始まり、未来ガジェット(がコンセプト)となりました。でもそれだけじゃダメだからゲームを足して「ゲームと未来ガジェットだよね!」というコンセプトになりました。
ドラえもん的未来と言いますか、そういうワクワクする未来的なヤツをミクさんで表現すると言いますか……。ミクさんは技術のフラグシップというイメージもあると思うので、ちょうど合うかな? ということでクリプトンさんとも話をしたところから、企画がスタートしました。
――体験会に多くのお客さんがいらしてますが、率直な感想はいかがですか?
大崎氏: 「Poject mirai」としては完全新作なので、「初音ミク -Project DIVA-」(以下、「Project DIVA」)シリーズがある中で、果たしてどんなものかな? と思っていましたけれども、これだけ来ていただけたことは幸せだと思います。
ある意味私たちが新作のコンシューマータイトルをリリースするのは久しぶりというか……。基本的には普段はアーケードの仕事をしていて、やっても「バーチャファイター」の移植などはありますが……。ですので「俺達、大丈夫かな?」という不安もあったのですが、安心しました。
――これから体験会に参加するお客さんもいらっしゃると思いますが、そういった方たちに「ここを見て欲しい!」という見どころはどのあたりになるでしょうか?
大崎氏: 見どころはたくさんありすぎるんですが、体験版のスペックを考えると、やっぱり3Dでゲームは当然遊びやすくしました。今の「Project DIVA」と全然違うゲームシステムも用意しています。あと、1つ1つボタンを押した際の音とか……実は3DSって音がいいんですよ。ボタンを押したらいい音が返ってくるとか、いい音がアクションをしたら返ってこないとゲームはダメだと思っているので、元はアーケード屋ですから、そういうところには妙にこだわっています。
髙部元志氏(以下、髙部氏): 今回、長押しして離すときにもヒット音みたいな音がしますが、それを見越して譜面を作っているので、非常にロングトーンが頻発してくる譜面で、ハマってくるとちょっと今までにない快感みたいなものが感じられるようになっています。
あとはキャラクターの可愛さですね。何かというと僕達は「マルっと可愛い!」というキャッチフレーズを使わせてもらっているのですが、実際に見ていただくと「マルっとというのはこういうことなんだな」みたいなのが立体感として直接見られるので、これは実機で実際に見ていただきたいです。
大崎氏: シェーディングから、揺れモノ……髪の固さなども、最初はミクさんのツインテールがぐにゃぐにゃしていて「ねんどろいどじゃないな。なんだこれ」みたいな感じからスタートして、調整していって今の形に落ち着いたのですが、そういうところの表現などもこだわっています。
AM2研は昔からリアルじゃなくてリアルっぽいなんですよ。たとえば「バーチャファイター」は、リアルで蹴られても普通あんなにキリモミしながら飛んで行ったりしませんが、「ああいう風にしたら気持ちいいよね!」というところですね。「ねんどろいどが動いたらこうなるんじゃないか感」というところを追求した結果が今の形です。そこは見ていただきたいですね。
――今回、「GUMI」(株式会社インターネットのボーカロイドソフト“メグッポイド”のキャラクター)が初めて出てくるということですが、その経緯をお話いただけますか?
髙部氏: 総合プロデューサーである「1号」の、「みんなが聴きたいものをやっぱり入れたいよね!」という単純な理由からでしたね。
大崎氏: 曲のコンセプトは、まず「明るくてポップなものを入れようぜ!」だったので、確か最初に決まったのは「ハッピーシンセサイザ」(Music and Lyrics by EasyPop)だったかな。そこで関係各所にいろいろと調整したところ、「できるんじゃない?」ということで入るようになりました。1番は「マトリョシカ」(Music, Lyrics and PV created by ハチ)もそうだし「ハッピーシンセサイザ」もそうだけど、「みんな聴きたいでしょ?」、「これで遊んでみたいよね」というのを素直に実現するために、調整を努力しました。
――「逆さまレインボー」(Music and Lyrics by すんzりヴぇr)についてなのですが、以前1号さんがすごく好きな曲だと挙げられていたのですが、これってやはり1号さんのリクエストで収録されたのですか?
大崎氏: そうです。キリッ(笑)。ただ、「Project DIVA」の家庭用とアーケードで曲のラインナップが全然違うんですよ。若干かぶっているところもありますが。「Project mirai」なんですが、この人(髙部氏)が渋谷系好きだったりというのもあって、「オシャレ的な感じにしたいよね」というのもあって、曲的にもああいうキラキラしたのが入りました。
髙部氏: ただ、好きなだけじゃなくてちゃんと計算もあって、デュエットをいくつか入れたいなという中の1つで、いいものがあればという話での「逆さまレインボー」だと思うんですよ。
大崎氏: あと(デュエット曲)は「on the rocks」(Music and Lyrics by by OSTER project)とかしかないか。そうですね、ちゃんとしたデュエットは「on the rocks」と「逆さまレインボー」しかなくて、あとはバックダンサーなので。
――「Project DIVA」から変わった点として、キャラクターを変えたら声も変わるボーカルチェンジがあると思うのですが、実現するにあたって苦労した点などはありますか?
大崎氏: ウチらは何にも苦労してないのですが、楽曲Pの皆さんが苦労されたんじゃないですかね(一同、笑)。ただ当然、楽曲Pの皆さんにはいろいろとポリシーを持たれている方もいらっしゃるので……。Re:nGさんみたいに「お祭りだからやります!」とか全キャラクター作ってくださる方もいらっしゃったりという一方で、ポリシーがある方は「これはリンちゃんだけで」ということもあったり。その交渉は大変ですよね。
髙部氏: それぞれ使い慣れているボーカロイドとそうでないボーカロイドがあると思うので、無理強いはできないんですよ。「どうでしょうか?」というお伺いベースからなんですけれどね。
大崎氏: 同じvsqというボーカロイドのファイルを再生すれば、とりあえずリンの歌をミクでも歌わせることはできるんですよ。でも、ちゃんと調整し直さないとそのキャラクターの1番いい状況にはならない。特にミクからリンとかミクからルカはかなり大変らしいので、二の足を踏まれる方がいるし、それはすごくわかるし。
あとはボーカルチェンジをやるんだったら、ちゃんとコスチュームもないと、ということでコスチュームをお願いしたり……。「コスチュームを作ったからボーカルチェンジお願いします!」もあったようななかったような(笑)。今回、コスチュームも曲によって複数あったりするのですが、そこのデザインと元の音源の一致というのは「Project DIVA」にはないので、そこはなかなか(見どころ)です。そこは絵師の皆さんも悩みますよね、どうキャラクターごとで差別化しようとか。「ボーカルチェンジをやる!」といった瞬間から、そういったやりとりが発生しましたね。
髙部氏: くちばしさんみたいに、テンション高く歌詞まで変えてきちゃうような方もいたり。別にこちらからお願いしたわけではないのですが、「歌詞も変えたいのですが」とか「音源もちょっといじりたいのですが」みたいな感じで、テンション高く対応してくれる方もいらっしゃいましたね。
――未来ガジェットの部分で、特にARカードが今回魅力の1つだと思いますが、開発スタッフさんの間で流行っている使い方などがありましたらお願いします。
大崎氏: カードを手のひらに乗せて、手乗りはまずやりますね。
髙部氏: あとはジオラマを作りたいな、という話はしていましたが、そうこうしているうちにネットの動画で、もうすでに「作ってみた」をやってらっしゃる方も出てきて、「これは負けてられないぞ!」みたいなところはありますね。あと手製のペーパークラフトとかを作ると、より楽しめるんじゃないかと思いますね。
大崎氏: あとはポーズをさせて撮るものだとか。一応Miiも呼べるので、横に並べて記念撮影をしたりできます。
髙部氏: 僕達は「エクストリームミク」と呼んでいるんですけれど、すごく極限な状況とかに持って行って、自分のMiiと一緒に記念写真を撮っていただくと、何か嬉しいなという(笑)。
大崎氏: 最初企画書に、雪山の頂上に行って「ミクと記念撮影もできます!」みたいなのもありました(笑)。ねんどろいどをいろいろなところに持って行って撮影する方もいるので、そんな感じになればと思っています。
髙部氏: ARってのは背景があってナンボなんで、いかに面白い背景で撮るかというところが、AR職人さんの見せどころなのかなと思います。
――すれ違い通信でコメントの受け渡しができる機能がついていると思うのですが、実装しようと思った経緯をお聞かせください
髙部氏: まず、3DSの機能のショウケースのようなソフトにしたかったので、「ある機能は全部使ってしまえ!」みたいなところがありました。最初は写真の交換がとか、普通かな?というのを考えていたのですが……。
ただ、せっかくああいう動画のテンションの世界から勃興したカルチャーなので、それを生かさない手はないなというのと、あとはすれ違い通信ができるので、そういったところでソーシャル性を出せればいいかなと。何かしらのソーシャル性は入れたかったので、それがコメントというものとかみ合うんじゃないか? と、「ピン!」と思いついた後は、ダーッと加速度的に仕様が決まっていった感じです。
大崎氏: なかなか経験ないかもしれませんが、自分でアップロードした動画にコメントがつくと嬉しいんですよ。お忍びでつまんない動画をアップしたことがあるんですが(笑)、コメントがつくと嬉しい。
だから例えばみんな同じ「私の時間」なんだけれども「こういうコメントが入った!」、「じゃあ、俺もこういう風にコメントを返して誰かに渡してあげたいな」。それも妙にいろいろデコレーションとか凝っていて、ポイントを使って買うみたいなシステムがあって、ニコニコ動画的なアスキーアートのコメントをつけるのとはちょっと違うけど、デコレーションをつけたりとか凝ったことができる。そういった、ミクさんが生まれて流行った場所へのオマージュ的な部分も当然あります。
髙部氏: ただ、今回携帯ゲーム機ということで、動画サイトのように技術的な意味でも倫理的な意味でも、自由度が高いわけではないので、そういった制限の中で楽しめるために、いろいろな補助機能、フィルターであったりコピー機能や削除機能だったりを用意しています。そういった機能を活用してもらって、自分なりに1番気持ちいい弾幕を最終的に作り上げるところまでも、ゲーム性として楽しんでいただければと思っています。
――最後にユーザーに向けてのメッセージをお願いします
大崎氏: そうですね……、初めてiPodとかiPhoneとか買ったときって嬉しくなかったですか? ああいう感じで、これを持っていると時間も教えてくれるし、遊べるし、いろいろなアクションをするし、いろいろイースターエッグが入っているし……と、3DSを開いてドックに置いて見ているだけでも楽しい、というアイテムなので、そういった「Project mirai」が表わした未来をぜひ味わっていただきたいと思います。
ゲームも先ほど申した通り、アーケード屋っぽくこだわったところがあり、遊びの幅も難易度の幅も結構あるので、遊んでも楽しいし、置いても楽しいというツールです。そんな未来ガジェットなゲームなので、よろしくお願いします!
髙部氏: 好きなミュージシャンのビデオクリップって、皆さん買うと「いつでも家で見られるぞ!」という満足感があると思うのですが、今回はフル尺で全部入れていることにもこだわりがあるし、PVのクオリティ的にもこだわりにこだわって作っているので、所持するだけで満足できるというのは、もちろんあると思います。
あともう1つは、まだ発表されていないギミックとかもいろいろと満載ですので、実際お手にとっていただいて、「何だ、こんなモノも仕込んでやがったのか!」という斜め上っぷり(笑)を堪能していただければ、とほくそ笑んでますので、お楽しみいただければと思います。
――ありがとうございました
(C) SEGA / (C) Crypton Future Media, Inc.
デザイン協力 : ねんどろいど
□セガのホームページ
http://sega.jp/
□「初音ミク and Future Stars Project mirai」のページ
http://miku.sega.jp/mirai/
(2012年 2月 18日)