Gamania Digital Entertainment本社訪問レポート
新作MMORPG「ドリームドロップス」の最新情報を入手! スマホアプリも開発中!


2月収録

会場:Gamania本社



 今や台湾でもトップランクのゲームメーカーとなった台湾のGamania Digital Entertainment。2011年9月には、同社が現在開発している最新オンラインゲームを集めた展示会「2011 Gamania Game Show(GGS)」が開催され、新作のオンラインゲームやソーシャルゲームを発表した。

 このレポートでは、その時に発表された期待作Windows用MMORPG「ドリームドロップス」の最新情報をお届けしたい。「ドリームドロップス」は「ルーセントハート」や「DIVINA」を開発した、ガマニアの開発子会社PlayCooの最新作。サービス開始時期は未定ながら、すでに日本でのサービスも発表されている。今回は、PlayCooのプロジェクト・マネジメント・デパートメントのマネージャーKen Cheng氏が、自らデモプレイをして新要素を紹介してくれた。

 また、今回の取材ではMMORPG以外にも、プロモーション用に同時開発されているiOS版の「ドリームドロップス」についての情報も聞くことができた。同時にGamaniaのCROオフィス、チーフR&DオフィサーのAlan Kuo氏から、台湾Gamaniaのスマートフォンアプリ戦略や、日本と台湾のソーシャルゲーム市場の違いなど非常に興味深い話も聞くことができた。

【「ドリームドロップス」プロモーショントレーラー】




■ 完成間近の童話系MMO「ドリームドロップ」。インスタンスダンジョンにチャレンジ!

PlayCooのプロジェクト・マネジメント・デパートメントのマネージャーKen Cheng氏

 「ドリームドロップス」は、おとぎ話の世界を舞台に、このゲーム独自の解釈でキャラクター付けされた白雪姫やハートの女王などが登場するMMORPG。プレーヤーは「パティシエ」、「くるみ割り人形の兵士」、「青い鳥の魔法絵師」、「インディアンの勇士」という4つの職業を使える。今回は「GGS」からの変更点や、未発表の新エリア、インスタンスダンジョンなどを見ながら、PlayCooのプロジェクト・マネジメント・デパートメントのマネージャーKen Cheng氏に説明してもらった。

 開発は佳境を迎えているということで、今回見せてもらったものはほぼ完成形に近いという。GGSからの大きな変化として目立っていたのはユーザーインターフェイスで、街のNPCと話をする時に、アップになった3Dキャラクターが画面手前に表示されるようになった。これで、裸の王様のヘソがぶんぶん揺れているところなど、斜め見下しの画面では見え辛かったキャラクターもしっかりと見えるようになった。

 システム部分では、ストーリーやゲーム進行を記録する「童話ノート」が新たに用意された。これはストーリーに関わるクエストやゲーム上でポイントとなるイベントをクリアした時に、その結果が絵本のように記録されるというもの。「一味違うおとぎ話が楽しめます」とCheng氏。

 また、本作にはモンスターやNPCをパペットにして使役する「童話の操り人形」という機能があるが、パペットにしたモンスターをコレクションする図鑑も作られた。キャラクターに使うポリゴンも「DIVINA」より増えており、全体になめらかになった。


ハト時計のようなキャラクター選択画面クエストが記録される「童話ノート」手に入れたパペットのスキルなどを確認できるビジュアルコレクション
NPCに話しかけると、そのNPCがアップになり、普段は見えにくい部分もしっかり見ることができる


 今回見ることができたマップは「ピノキオの悪夢工場」。これまで発表されているマップに比べてダークな雰囲気で、建物の上には巨大ロボットのようなピノキオが目を光らせている。「汚染されたマップというイメージで、エコや環境の大切さを訴えたい」という意図があるそうだ。

 「ドリームドロップス」には手軽なソロ用と難易度の高いパーティー用のインスタンスダンジョンがある。今回見せてもらったダンジョンボスとの戦闘は、「ワニの遺跡」というマップにある巨大ワニの体内にあるパーティー用の高難易度インスタンスダンジョン。このワニのモチーフは「ピーターパン」に出てくる時計を飲み込んだワニなので、コチコチと秒針の音が響いている。ボスは当然フック船長だが、なぜかトラの姿をしている。中国語でフック船長は“虎克船長”と書くためこの姿になったというダジャレだ。

 船長のそばには人魚姫がいる。彼女はフック船長に恋しているという設定で、戦闘中は回復魔法で船長を回復するため、動きを封じる必要がある。フック船長は近接攻撃を使うので遠距離からの攻撃が有効だが、時折前方にいる敵を自分のそばに引き寄せるため位置取りを考えつつ戦う必要がある。

 「ドリームドロップ」の最大のライバルになりそうなのは、同社が手がけた「DIVINA」だろう。同じ会社のスタッフが作っただけにキャラクターデザインやゲームシステムは良く似通っている点は否めない。率直に本作と「DIVINA」の違いをたずねたところ、「見た目は似ていても、ストーリーで差別化していきたいです。漫画は似たような絵でも、ストーリーでユーザーが満足していくので、それを参考にしたい」と語ってくれた。

 今は30あまりの童話が盛り込まれており、今後もアップデートでストーリーとキャラクターを追加していく。最後はCheng氏「子どもだった時代の童話に抱いた憧れを探せるようなゲームになります。よろしくお願いします」とコメントしてくれた。

 「ドリームドロップス」のサービスは、今年5月に香港で最初にサービスが始まり、日本でのサービスについては、日本のユーザーの趣向に合わせたチューニングを行なって、2番目のスタートになる予定だ。


おどろおどろしい雰囲気の「ピノキオの悪夢工場」「ワニの遺跡」。後ろに見えているワニの中がインスタンスダンジョンになっているワニの体内にいる敵は、どれも非常に強いのでパーティーで進まなければすぐにやられてしまう
ボスとの戦闘は、「くるみ割り人形の兵士」が敵をひきつけ、誰かが人魚姫を足止めしている間に、遠距離から攻撃、と役割分担が必要になる
インスタンスダンジョンのボス、「フック船長」と「人魚姫」。この姿はフック船長の変身後で普段は人間の姿をしているらしい




■ スマホ版「ドリームドロップス」はタップ操作の縦シューに

GamaniaのCROオフィス、チーフR&DオフィサーのAlan Kuo氏

 Gamaniaは内部にモバイル向けのゲームを開発する専門の部署を作り、モバイルコンテンツの開発にも乗り出している。昨年のGGSには内部と外部が開発した4本のPC用Facebookアプリと、2本のスマートフォンアプリを発表した。

 さらに昨年11月には、可愛いヒヨコが登場するテトリス風のパズルゲーム「Gu Moring」をiOSとAndroid、PCブラウザ向けに、今年の1月中旬には可愛い猫が船長の潜水艦からタップで魚を捕まえるミニゲーム「SUBCAT」をiOS向けにリリースした。「SUBCAT」はスタートから5日間の無料ダウンロードキャンペーンを行ない、2週間で15万以上のダウンロードを記録、台湾のAppStoreダウンロードランキングで1位を獲得した。現在は無料期間が終わって0.99ドル(日本では85円)で販売されている。

【「Gu Moring」プロモーショントレーラー】

【「SUBCAT」プロモーショントレーラー】


「ドリームドロップス」と同じ世界観のiOS用縦シューティング

 また、今回画像は紹介できないが、「ドリームドロップス」と連動するiOSアプリも見せてもらった。本作は「ドリームドロップ」の世界観やキャラクターを使った縦シューティング。社内のモバイルチームがPlayCooとノウハウをシェアしあいながら開発している。

 MMORPG版にも登場するハートの女王や白雪姫が敵として登場する。操作は傾きセンサーで自機を左右に動かしながら、タップで弾を発射するという単純なものだが、ステージがブロック崩しのようになっていたりとシンプルさの中にもゲーム性を盛り込んでいる。

 なぜシューティングゲームにしたのかKuo氏に聞いてみたところ「ドリームドロップスは童話の世界を背景にした遊園地のようなRPGなので、遊園地にあるミニゲームのイメージでモバイルコンテンツ化しました」だそうだ。単純な操作方法については「モバイルユーザーにはライトゲーマーが多いので、簡単な操作で遊べるようにしました」という理由らしい。

 このアプリはMMORPG版のプロモーションの一環としてMMORPG版と同時期に無料でリリースされる予定。今回のゲームには「ドリームドロップス」というゲームを知ってもらうことが主目的で、MMORPG版とデータを連動させたり、MMORPG版へ誘導を図るような仕組みは入っていない。

 Kuo氏によれば「今後はSNS系のコンテンツを中心に、PCとモバイルの両方でやっていきたい」とのこと。現在はAppStoreやAndroidマーケットに提供しているが、今後は独自のゲームポータル「beanfun!」を通じてもリリースしていきたいと考えている。現在は外部のデベロッパーと2つのゲームの開発が進行している。そのうち1本は「HERO:108」の新たなスマートフォンアプリで、もう1本はまだ明かせないが、西洋の開発会社によるものらしい。

 モバイルで狙うのは、欧米市場と、「中東は潜在能力の高い市場だと思います」(Kuo氏)。昨年リリースした「HERO:108」のアプリは中東のダウンロード成績が良かったが、それがゲームの人気なのか同じIPをつかったアニメの影響なのかを今は見極めているところだという。

 Facebookへのゲーム展開については、今のところ本腰を入れる予定はないようだ。「Facebookは競争がますます激しくなってきていて、去年の下半期あたりから大手でも売り上げが落ちているという現状もあります。Gamaniaでは今後マルチプラットフォームでプレイできて、コミュニケーション機能があるようなコンテンツをサービスしていきたい」。

 日本ではグリーやモバゲーのフィーチャーフォン向けソーシャルゲームが流行っているが、台湾では同じような盛り上がりが今のところ起こっていない。台湾では、スマートフォンはDSやPSPと同じ携帯ゲーム機ととらえられており、時間を使ってしっかりとしたゲームで遊びたいという傾向があるそうだ。また台湾ユーザーには、モバイルゲームは無料で遊ぶものという認識があるため有料アプリは売れにくい。

 どうしてガチャのようなシステムを入れたゲームが出てこないのか不思議に思って訪ねてみたところ、台湾ではまだモバイルゲームから収益を上げるためのシステムが確立しておらず、ビジネスとしての魅力に欠けるため積極的に取り組む企業が少ないことと、「日本では電車で通勤する人が多くその間は指1本で遊べるゲームが流行るのではないでしょうか」と日本独自の習慣についても指摘した。ただ、モバイルのマーケットは重視しており、今後もテストを重ねながらPCのオンラインゲームで培ったアイテム課金のノウハウを生かしていきたいと語った。


【Gu Morning】
テトリスのようなパズルで道を作って、ヒヨコをニワトリのお父さんまで誘導する
【SUBCAT】
タッチだけで遊べる単純なゲーム。猫のキャラがかわいいと台湾で人気なのだそうだ

(2012年 2月 17日)

[Reported by 石井聡]