「すぎやまこういちと東京メトロポリタン・ブラス・クインテット」開催

「『ドラクエX』の楽曲はかなりできあがっている」


10月7日 開催

会場:第一生命ホール



 スギヤマ工房有限会社は東京のトリトン スクエアの第一生命ホールにて「すぎやまこういちと東京メトロポリタン・ブラス・クインテット 東京都交響楽団ブラスセクションの精鋭たち」の振り替え公演を開催した。当初4月4日の開催が予定されていたが、事情により延期されていたもの。

 今回開催された「すぎやまこういちと東京メトロポリタン・ブラス・クインテット」は2部構成となっていた。第1部では「すぎやまこういち ポップス&ソングス」と題し「ザ・ヒットパレードのテーマ」、「亜麻色の髪の乙女」、ビージーズの「ステイン・アライヴ」などを演奏。第2部では「金管五重奏によるドラゴンクエスト」として、「ドラゴンクエスト VII」の「大神殿」や、「ドラゴンクエストモンスターズ2」の「天空の世界」などが演奏された。

【プログラム】

【第1部】
・ザ・ヒットパレードのテーマ曲 
・亜麻色の髪の乙女 
・ヒア・ゼア・アンド・エヴリホエア(ビートルズ) 
・雨にぬれても(バカラック)
・ステイン・アライヴ(ビージーズ) 
・私は泣かない

【第2部】
・大神殿(ドラゴンクエストVII)
・ドラゴンクエストコンサートセレクション(元編曲・真島俊夫)
・箱舟に乗って~野を越え山を越え(ドラゴンクエストIX) 
・エーゲ海に船出して(ドラゴンクエストVI)
・天空の世界(ドラゴンクエストモンスターズ2)
・Gビットにて(ドラゴンクエストモンスターズ・ジョーカー)
・時の子守唄(ドラゴンクエストVI)


 今回もコンサート開始直前に共同インタビューが行なわれた。「いろんなゲームがあるが、『ドラゴンクエスト』」は25年。コンサートの回数は1番だと思う」と話を始めたすぎやま氏。オーケストラとブラス・クインテッドの2本柱でコンサートを開催しているが、「ドラゴンクエストの音楽は室内楽にも向いていると思う。ファミコン時代は3トラックでスタートし、今は多数のトラックが使えるようになったが、簡明直截なな音を目指しており、骨組みは十分表現できる」と室内楽での「ドラクエ」の楽曲の魅力について触れた。

 10月5日に東京都交響楽団による 交響組曲「ドラゴンクエスト」I~IXの267曲を場面別に構成し、CD10枚に収めた5,000セット限定生産の「交響組曲『ドラゴンクエスト』すぎやまこういち 場面別I~IX(東京都交響楽団版) CD-BOX」が15,750円で発売されている。このCD-BOXについて、「ただ歴代の楽曲を並べただけでは面白くないし、場面別に並べることで、城なら城の楽曲をシリーズ別に聴き比べてもらえる。このCDは『ドラゴンクエスト』の歴史であり、CDを聴いていただいた人の『ドラゴンクエスト』の思い出を呼び起こす心のタイムマシンでもある」と表現した。

 また、「最新作である『ドラゴンクエストX 目覚めし五つの種族 オンライン(ドラゴンクエストX)』の作曲にも『今までのどれとも違う曲を作ろう』と、このCD-BOXが刺激になった」と、自ら「X」に関して話題を振り、「『X』の作曲はかなりできあがっており、それぞれ納得できる曲になった」と現在の状況を語った。

 「X」の楽曲は、種族別の曲が用意されているということで、「(章立てで主人公が変わった)『IV』のときを思い出して作った」という。続けて、「オーガの曲は強そう、プクリポはかわいらしい曲になった」と述べた。記者団の「『X』はシリーズ初のオンラインゲームになるが、堀井雄二氏や開発陣から特に注文はなかったか?」という質問を投げかけられると、すぎやま氏は「堀井さんからは『すぎやまさんの音楽を貫いてくれれば』と言われた。ありがたいことです」と、特にこれまでとは変えていないことを明らかにした。

 2012年2月6日には、東京都交響楽団のメンバーを中心に集められたアンサンブルで構成される「すぎやまこういちプロデュース ストラヴィンスキーのゆうべ」が第一生命ホールで開催される。作曲とコンサート、クラシックとポップス、そしてゲームミュージックと、すぎやま氏の活動はこれからもますます広がりをみせていくことだろう。


(2011年 10月 8日)

[Reported by 佐伯憲司]