東京ゲームショウ 2011レポート
台湾の元気が目立った海外パビリオンレポート
XPECは古代中国ファンタジーMMOとブラウザゲームを出展、台北のアーケードメーカーInjoy Motionも初出展
今年のTGSの海外パビリオンは大きく縮小した。台湾以外は、中国が何社か出展していた程度で、これまで出展していたオランダやカナダといった国からの出展はなかった。東日本大災害の影響などもあるのかもしれないが、世界のさまざまなゲームに触れるということができなかったのは残念なところだ。
本稿ではこういった中でも積極的にアピールしていた台湾の2社を取り上げたい。1つ目はTGSの常連といえるXPEC。台湾で来年の夏サービス予定のMMORPG「Weapons of Mythology」をTGSのための特別バージョンを用意して来場者にアピールしていた。もう1社のInjoy Motionは今年がTGS初出展のアーケードゲームメーカーで大形筐体のタイトルを出展し、会場で人気を博していた。
■ 中国神話とSF要素の融合「Weapons of Mythology」、ソーシャル要素を積極的に取り入れた「精霊王国」、「海賊戦記(仮)」
「Weapons of Mythology」は街中でも巨大な敵と戦える特別バージョンを出展 |
XPECがもっとも力を入れてアピールしていたのが新作MMORPG「Weapons of Mythology」だ。古代中国の神話や伝説をベースにしたファンタジー世界に、謎の動力機関や、光の帯の上を走る列車などSF的ガジェットを盛り込んでいる。冒険とPvPが楽しめるMMORPGとして台湾で2012年夏にサービスを開始すべく開発が進められている。
本作の最大の特徴が「法宝」と呼ばれるアイテム。ヒョウタンや剣をくわえた顔のついた盾、大きな札、青く輝く帯など様々な種類がある。法宝は同時に4つまで持つことが可能で、攻撃に属性をもたらしたり、プレーヤーを回復させたり様々な能力があり、状況に合わせて変えながら冒険を進めていく。
法宝は怪物を“調伏”させたものとして、特定の怪物を倒すと得られる場合がある。他にもクエストや合成などで得られ、法宝のコレクションが本作の大きな楽しみだという。プレーヤーの職業は回復系、魔法系、戦士系、アーチャー系、暗殺者と比較的オーソドックスだ。法宝を使いこなすことでソロプレイも楽しめ、パーティプレイでも法宝の使い方で戦い方が大きく異なってくるという。
もうひとつの特徴がペットだ。最初は命令を聞かないが、えさをあげたり、遊んであげることで親密度を増すと、ドロップアイテムを拾ったり、回復魔法をかけてくれたり、プレーヤーの指示に従うようになる。また体も大きくなったり輝く文様が浮かび上がってきたり強そうになる。ペットは最高まで育つと人間に化ける。狐は女の子に、蜘蛛は妖艶な美女に化けた。今後は男性に化けるペットも開発するという。
試遊バージョンは本作の街の周辺のマップが用意され、街中にいる巨大な敵と戦ったり、法宝やペットを確認できた。さらに来場者が希望すれば巨大ボスとも戦うことができた。巨大ボスは倒すと乗り物にできた。グラフィックスとデザインの美麗さが魅力の作品だと感じた。
【Weapons of Mythology】 |
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背中に付ける「法宝」は多彩な種類が用意される | ||
ペットシステム。狐は女の子に、蜘蛛は美女に化ける | ||
スクリーンショット。巨大ボスやPvP、騎乗システムなど基本的な要素を押さえた作品に |
ターン制の戦闘システムのMMORPG「精霊王国」 |
タワーディフェンスに様々な要素を加えた「海賊戦記(仮)」 |
「精霊王国」はXPECが得意とするブラウザで楽しめるMMORPGでかわらしいキャラクターが活躍する暖かな雰囲気の世界だ。戦闘はエンカウント方式でターン制のオーソドックスな印象を受ける。2011年12月に台湾でのサービスを予定している。
本作の大きな特徴は白雪姫や長靴を履いた猫、蛙となった王子など様々な童話をモチーフとしたストーリーが展開するところだ。童話に登場するキャラクターを仲間にするという要素もある。また敵を捕まえてペットにすることも可能で、捕まえたペットは同じ種類でもステータスが異なる。ペットは一緒に戦うことで成長する。
さらにSNSの機能があり、ソーシャルゲームの農場システムで友達を助けることも可能だ。農場では武器や防具の原料となるアイテムが収集可能だという。ストーリー要素にも力を入れると言うことで、ブラウザゲームのMMORPGは、SNS、ソーシャルゲームと相性がいいと感じた。トレンドを積極的に取り入れた作品として注目したい。
「海賊戦記(仮)」は中国Hive Studioが開発するオンラインゲームで砲台をを設置し敵の侵入を食い止めるタワーディフェンスに協力プレイ要素やストーリーモード、ソーシャルなどを加えた作品だ。こちらもSNSと連動している。9月に台湾でクローズドβテストを行なう予定だ。
敵を撃退するために設置していく施設は研究開発していくことで様々な機能を強化していける。さらにプレーヤーキャラクターが登場するのが大きな特徴で、ゲームでは移動できる砲台として活躍する。キャラクターはアバター要素があり、アイテムを装備することで強くなる。
また自分の陣地は「トラビアン」の様な感覚で様々な施設を増やして自軍やプレーヤーキャラクターを強化していく。協力プレイや対戦要素もあり盛りだくさんの内容のブラウザゲームだ。ブラウザMMORPGとして高い完成度を感じさせる「精霊王国」。ソーシャル要素も注目したい | ||
「海賊戦記(仮)」はゲーム要素が充実している印象を受ける |
■ 元シミュレーターメーカーInjoy Motionがヨーロッパまで展開するアーケードゲーム達
元々可動式筐体のシミュレーターを作っていたメーカーが、ゲーム制作にも乗り出したという |
Injoy Motionは台北にあるゲームメーカーでショッピングモールなどにアーケードゲームを展開している。香港や米国、ヨーロッパなどにも展開しているとのこと。創業は1989年で最初は画面に合わせて筐体が稼働するシミュレーターを作っている会社だった。2006年からゲームを開発し、現在は多くのタイトルを手掛けている。
最初に作った戦車で戦う「Panzer Elite」は台湾のみならず、アメリカでも好評を博し、いまでも人気のあるヒット作だ。またコミカルなドライブゲーム「DIDO KART」も好評で、キャラクターを増やし、グラフィックスを強化した「DIDO KART2」が最新作で今後積極的に展開するという。
やはり大形筐体のアーケードゲームは筐体を見た瞬間人を惹きつける。プレイをねだる子供に手を引かれてブースに立ち寄る家族連れも多かった。一番人気はドライブゲームの「DIDO KART2」でハイスピードな疾走感と、コミカルなキャラクターそしていかにも台湾的なセンスだと感じさせられるコースの派手な色合いが楽しい。
他のタイトルは、襲いかかってくる怪物と筐体に設置されたマシンガンで戦う「Project X-PHER」は厳しめの見方をすれば演出が平板でゲーム展開が単調だったり、タッチパネル型のリズムアクション「LOVE TOUCH」も画面が地味だったりするが、プレイをしている人の姿が楽しい。ブースは常に人だかりができていて、アーケードゲームが持つ魅力を再確認できた。
色使いが派手で、台湾らしいセンスの「DIDO KART2」 | ||
機銃で敵を撃つ「Top Gunner」と「Project X-PHER」 | ||
ちょっと地味な画面のリズムアクション「LOVE TOUCH」 |
□CESAのホームページ
http://www.cesa.or.jp/
□「東京ゲームショウ 2011」のホームページ
http://tgs.cesa.or.jp/index.html
□XPECのホームページ
http://www.xpec.com/
(2011年 9月 18日)