東京ゲームショウ 2011レポート

バンダイナムコとDeNAの共同出資会社「BDNA」設立発表会開催

「マクロス」、「ガンダム」、「たまごっち」のスマートフォンアプリを開発


9月15日~9月18日 開催(15日、16日はビジネスデー)

会場:幕張メッセ1~8ホール

入場料:当日1,200円、小学生以下無料



バンダイナムコゲームス代表取締役副社長の鵜之澤伸氏
DeNA代表取締役社長の守安功氏

 「東京ゲームショウ 2011」の初日となる9月15日、株式会社バンダイナムコゲームスと株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)の共同出資による新会社、株式会社BDNA(ビー・ディー・エヌ・エー)の設立記者発表会が開かれた。

 バンダイナムコゲームスブースのステージで開かれた発表会には、BDNAの代表取締役社長に就くバンダイナムコゲームス代表取締役副社長の鵜之澤伸氏と、同じく取締役に就くDeNA代表取締役社長の守安功氏が出席。これまでの両社の取り組みを振り返りながら、BDNA設立の狙いについて語られた。

 両社の関わりが始まったのは、2010年7月。モバゲータウンにバンダイナムコゲームスの年間タイアップコーナーが設置された。これはソーシャルゲームではなく、無料のゲームを置いて、バンダイナムコゲームスの有料サイトへの動員を狙ったものだった。

 それから約5カ月後の12月20日、両社が共同開発したソーシャルゲーム「ガンダムロワイヤル」のサービスが開始された。開始から6日間で登録会員数が100万人を突破し、現在は現在は300万人に達している大ヒットタイトルとなった。鵜之澤氏は「正直驚いた。ソーシャルゲームがすごいとは思っていたが、腰が抜けた。自社タイトルも色々やったが、全部足しても『ガンダムロワイヤル』の1日分にもならない」と、そのインパクトのすごさを語った。守安氏も「半年経っても売上が落ちていない、人気のあるタイトル」と評価した。

 さらにバンダイナムコゲームスは、「ガンダムカードコレクション」、「モバゲーであそぼ!! たまごっち」の2タイトルを9月から10月にかけて配信する予定。中でも鵜之澤氏は「モバゲーであそぼ!! たまごっち」に期待を寄せているそうで、「『たまごっち』の第1次ブームで、当時は女子高生だったのが今はママさんになっている」とターゲット層を示しつつ、内容については「第2弾のオスっちメスっちを再現した。これがえげつない」とユニークな仕掛けがあることをにおわせた。

 続いて守安氏がプレゼンテーションを行なった。DeNAがソーシャルゲームの自社展開を始めたのが2009年10月で、そこからソーシャルゲーム市場が急激に伸びているグラフが示された。「市場が立ち上がってからまだ2年も経っていない。売り上げも止まるんじゃないかと言われたが、止まっているどころか伸びている」と強気に発言。また国内ソーシャルゲーム市場が現在は四半期で500億円から600億円の市場に成長しているというデータを明かしながら、「2011年度は2,000億円市場になる。今後、利用者の端末がスマートフォンに移ることでさらに伸び、2012年、2013年には3,000億円市場になると見ている」という市場予測を示した。

 また世界市場は、2011年度は4,000億円と見ているという。つまり日本市場が世界市場の半分を占めていることになるが、海外ではPCのソーシャルが中心なので、モバイルに限れば8割から9割が日本市場だと分析している。そのデータを示した守安氏は、「これはおかしい。日本と同じ嗜好性を持ったユーザーさんは世界中にいるはず。日本が15%、海外が85%になるような市場にしたい。そうすれば2兆円から3兆円の市場になるはず」と述べた。この割合と市場規模は、2010年度におけるコンシューマーゲームソフトの市場規模とほぼ同等のものだ。

 続いては、BDNA設立の背景について鵜之澤氏が語った。「お互いの持っていないところがあると、少なくとも我々は痛感した。ただ世界に出るというところで一致している」とした。バンダイナムコゲームスの強みとしては、「ナムコというブランド、バンダイの持つキャラクタービジネスのノウハウ。バンダイは世界中でタダでアニメを見ていただいてグッズを売っている。フリーミアムみたいなもので、アイテム課金の原点みたいなものだと思っている」と述べた。

 守安氏のほうは、「ソーシャル性の高いゲームや、リアルタイムにパラメーターをチューニングしていくなど、ソーシャルゲームならではのチューニングやマネタイズはスマートフォンになっても活きてくる」とソーシャルゲームのノウハウを強調。DeNAには社内向けの強力なデータマイニングツールがあるそうだが、BDNAではそれと同じものを使えるようにするという。

 続いてスクリーンには、BDNAのコーポレートロゴが映し出された。BDNAという名前は、「バンダイナムコと読めるのと、DeNAを合わせたもの。名前は1秒くらいで決まった」と鵜之澤氏が笑って答えた。ロゴの下には波線があり、これは「DeNAの“遺伝子”と、流れに乗るという意味を込めた」という。

 なおBDNAへの出資比率が、バンダイナムコゲームスが75%、DeNAが25%といういびつな形になっているのは、モバゲータウンのプラットフォーム利用料を考えた比率だという。50:50だと、プラットフォーム使用料の分だけDeNAの取り分が過大になってしまうという解釈からこの比率になっているようで、 鵜之澤氏が「精神は50:50」と述べると、守安氏も「DeNAとしても50:50の気持ちで本気で取り組む」と答えた。

 そして気になるBDNAで開発されるタイトルは、「マクロス」、「ガンダム」、「たまごっち」の各シリーズの新作。鵜之澤氏は「既に出ているものとは違う。スマートフォンならではのアプリとして作る」と説明しており、オリジナルのタイトルを新たに開発することを明かした。なおBDNAの設立予定日は10月3日で、新作を含めた同社の動きはその後より見られることになりそうだ。


バンダイナムコゲームスとDeNAの関係は約1年前からスタート。それから半年も経たないうちに「ガンダムロワイヤル」を共同開発し大ヒットとなる。今後もさらに新作が投入される
守安氏は市場のデータを示しながら、海外展開の重要性を語った。BDNAでバンダイナムコゲームスと組むことで、互いの強みを生かして海外に打って出る
BDNAのロゴを初披露。開発タイトルとして、「マクロス」、「ガンダム」、「たまごっち」という強力なコンテンツが並んだ

(2011年 9月 16日)

[Reported by 石田賀津男]