バンダイナムコ、PS3「テイルズ オブ エクシリア」

お台場でプレミアムトークイベントを開催


9月10日 開催

会場:アクアシティお台場(3Fアクアアリーナ)



代永さん(左)と馬場氏(右)がコスチューム姿で登場した
司会のお姉さんの「せっかくだから2人でポーズとりましょう!」というムチャ振りにしっかり応えてくれたおふたり。ありがとうございます! 「あーあー、えらいイベントになっちゃったなー」(馬場氏)

 株式会社バンダイナムコゲームスは、9月8日に発売され、1日で出荷50万本を数えたプレイステーション 3「テイルズ オブ エクシリア」の発売記念イベントのしめくくりとして、9月10日、馬場プロデューサーとジュード役:代永翼さんが登壇する発売記念「プレミアムトークイベント」をアクアシティお台場(3Fアクアアリーナ)にて開催した。

 会場前には熱心なファンが詰めかけ、中には熊本、そして関西圏、北は宮城から足を運んだ熱烈な「テイルズ オブ」ファンに迎えられ、まずは馬場英雄プロデューサーが登壇。プロモーション映像を上映し、トークイベントがスタートした。

 馬場氏は「いつもは緊張しないんですが、今日はPUTUMAYO(プトマヨ)さんの(ローエンの)衣装を着ていて、皆さんの反応が心配で緊張しています」とあいさつ。

 続いて、ジュード役:代永翼さんがジュードの衣装をまとって登場。「皆さん足を運んでいただいてありがとうございます」とあいさつすると、馬場氏が「かっこいいですよね」と代永さんに話を振ると、「何を言ってるんですか、馬場さんも似合ってるでしょ」とすぐさま切り替えした。「楽屋で(馬場氏が)『これを着て会場の反応が何もなかったらどうしよう」って言ってたんですよ」と裏話を早速披露。実際、馬場氏はイベントで衣装を用意されたのは初めてとのことで、「まだドキドキしている」ともらしていた。



■ 「通常のシリーズの2倍の労力をかけて3年間で作っているので、本当に大変でした」

 イベントは、司会の方からの質問に答える形で進行した。

● 無事発売しての感想

代永 「1年間収録させていただいたんですけれども、その間もキャスト同士で皆さん「これ、本当に発売されるのだろうか……」といった話が出て、収録するだけして僕らは飼いならし状態みたいな感じなのかな、と思っていたんですけれども、『テイルズ オブ フェスティバル』で馬場さんが『9月8日に発売します』って発表して(馬場氏『言わされましたね』)……でも、ゲームってよく発売が延期されたりするじゃないですか(馬場氏『やめて、そういうことを言うのやめて』)。『TOX』は本当に延期されないでいくのかな……と思っていたら、ちゃんと9月8日に発売されて、皆さんのプレイしていただいた感想などを読んでいると『ああ、僕はジュードを演っているんだな」という気が改めてしますね。まだ不思議な感じです。うれしいんですが」

馬場 「ゲームの開発は3年ぐらいやってきたんですけれども、3年間本当に大変だったんですよ。それだけのスタッフの思いがつまっているんですね。そういったことを考えると、発売日を迎えてファンの方々が手にとってレジに持って行く姿を見ていると、恥ずかしいから泣かないんですけれど(笑)、(代永「泣いちゃったんじゃないんですか?」)もうね、堪えられないですよね。「ありがとうございます!」って。そういう気持ちが沸いてきましたよね」

● 3年間かかって開発しているってことは、次のタイトルにもう取り掛かっている?

馬場 「大丈夫ですかスタッフ(笑)? あのー、はい、『テイルズ オブ』シリーズは今回15周年記念作品ということで『TOX』をリリースしましたけれども、これから20年、25年と向かって、僕達も1歩1歩歩いていきたいと思っていますので、そういった意味で、また次(のタイトルを)、早い段階で皆さんに遊んでいただけるようにがんばっていきたいなと思っています(会場拍手)」

● 代永さんから見て、「TOX」の魅力はどんなところですか?

代永 「やっぱり15周年ということもあって、僕の勝手な意見ですけれども、(『TOX』には)今までやりたかったことが、『テイルズ オブ』シリーズの1つの集大成が、形として、そのまま入っているんですよね。収録中から感じていたことですけれども……僕も実際にプレイして『ああ、本当だな』っていうか、皆さんに伝たかったこと、メッセージ性が強い作品だなと感じました。今までの中で1番、“近くに感じられる作品”だなと。今を生きている若い人たちに1番近い存在、ということでジュードを馬場さんたちが作られた、ということだったので、僕も収録している最中にジュードとして同じような心境として演じさせていただいたこともあったので。物語の中にスムーズに入りやすいというか、なおかつ作りこまれているというか、世界観が広くて……。隅から隅まで遊んでほしいというか、1つでも見逃してしまうと『そんなことがあったの?』っていうことがあったりしますし。同時に、W主人公ということで、ジュード編はジュード編、ミラ編はミラ編で面白さがあるということもあって。(2つに視点が)分かれているということもあり、2倍、3倍と楽しめる要素があると思いますね」

● 代永さんは「ジュード編」、「ミラ編」を両方やってみて、違うな、と感じることはありましたか?

代永 「ジュード編はジュードの視点で物語が進んでいくんですけれども、ミラ編はミラの視点を通してジュードを見ているので、こっちとしては違う雰囲気を味わえるというか……。『僕がこうやっているときって、ミラってこういうことを思っていたんだ』っていう返しがきていたりするので、『なるほどね、沢城さん、やりやがったな(笑)』っていうところがあったりしますね。『僕の知らないところでこんなことをやっていたのか』っていうところもありますね。

● それはプロデューサー的にかなり意識して分けていた部分ですか?

馬場 「そうですね。ジュードはこれから大人になっていく過程をのぼる若い男の子という設定で、感受性豊かで、物事に対してすごく過敏というか、言葉1つでもすごく心に染みたりとか、『どういうことだろう』と考え込んだりとか。そういった男の子がどう成長していくのだろう?(という視点で描いている) 逆にミラは、大人になり始めている過程の女性ですよね、女の子ではなく女性といった形で描いています。同じ物語ではあるんですが、それぞれ違った視点で描くことによって、受け取り方の違いが見えてくると思うんですよ。同じものを表と裏から見ると、見えないところは想像するしかないし、それぞれ見えなかったところを相手がどう見ているか、というところも見ていただきたい。そういった意味では、通常の『テイルズ オブ』シリーズの2倍の労力をかけて3年間で作っているので、本当に大変でした」

● プロデューサーとして“最もこだわったところ”とすればそこに行き着きますか?

馬場 「『テイルズ オブ』として名前がつく限りは、『テイルズ オブ』シリーズでなければダメなんですよ。今回、キャラクターの等身を上げたり、世界観や雰囲気をちょっと変えたりしていますけれども、それでも皆さんが遊んでいただいたときに“これは『テイルズ オブ』だやっぱり”っていう要素をきちっと押さえていくことで、“シリーズの集大成だ”と感じてもらえるような作品にしなければいけない、ということが最低限、という意識が僕の中にはありました」

● 馬場さんが魂を込められて作られているのがわかりました。そうなると、声優さんへのオーダーも厳しかったんじゃないですか?

代永 「沢城さんも言っていましたけれども、本当に“千本ノック”ですよね(笑)。例えば『あっ』ていうセリフに対して、『今の視点だとちょっと違うんです』って言われて。『何がどこがどう違うんですか? さっきのとはどこがどう違うんですか?』(って質問すると馬場さんが)、『もうちょっと下向き加減で言ってほしいんですよね』って……その微妙な馬場さんの観点に“カチッ”って合わせるのにものすご~く時間がかかるわけですよ(馬場『すいませんでした』)。時間をかけてもいい作品を作ろうっていう、僕らとしても役者として、“そこに絶対に行ってやろう”っていうやりがいがあるわけです。そういう部分でもみんな『やりがいのある仕事だね』って話をしていましたし、馬場さんやほかのスタッフさんたちの熱い思いは全部こちらにも伝わっていたので、それに負けないように僕らも収録しなければならないと思いましたし、15周年ということも大きな要素だったので、“それを皆さんに伝えるためにはどうしたらいいだろう”ていうところがあったので……。ある意味、スタッフもキャストも団結力がありましたね」

● 「テイルズ オブ」シリーズの魅力をおふたりに伺いたいんですが、お話を聞いていると、人と人の温かさみたいなものが作品に表われていると思いますが、おふたりはどうですか?

代永 「『テイルズ オブ』シリーズは、それぞれテーマが決められていると思うんですけれども、それに沿ったストーリーになっているので、最後の最後までやりこんだときに、『ああ、なるほどね、そういうタイトルがついた答えがそこに行き着くんだ』っていうのがわかるんですよね。納得してしまうというか。今回も『エクシリア』というタイトルがなぜついたのか、という答えが、クリアしていただけるとわかると思うんですけれども。あとは人と人との関わりが作品に出ているというお話がありましたけれど、キャストも1年通して演じていくので、それがそのままキャラクターに反映したりしていくんですよね。僕らも今回この作品を通して、沢城さんとラジオを一緒にやらせていただいたりして、チームワークがよくなっていくっていうのが、歴代のキャストの方々を見ていると、そういう風に思えますね」

馬場 「『テイルズ オブ』の良さって本当に“テーマ”だと思うんですよね。シリーズをプレイしていただいている方々は、感受性豊かな若い方が多いので、ゲームって遊びなんですけれども、その中にメッセージ性を含めて、皆さんにエンディングまで遊んでもらった後に、そういったものを感じ取ってもらえれば、それが『テイルズ オブ』の大きな特徴になるのではないかな、と思いますね」。



■ 「15周年の思いが詰まっているな、と感じられる作品に仕上がっている」

馬場氏がつっこまれるシチュエーションも多数あった
イベント後は試遊会が行なわれた

● 代永さんから、改めてジュードに関して紹介していただけますか?

代永 「ジュードくんは、たぶんシリーズで最も、“超”が付くぐらいまじめな男の子ですね。何に対しても一直線というか、彼の中で誰が悪くて何が悪い、ということがない、皆答えを持っているし、考えを持っている、ということを前提に持っている子なので、ジュードくん自身がこれから自分の考えを発見していくというか。困っている人がいたら放っておけないし。ガイアスってキャラクターがいたらガイアスに接していくうちに、自分の意見だったりとか、15歳ならではの視点で考えられる意見というものを言えるっていうことはすごいことだな、という。今はなかなか自分の意見を言えない世の中だったりする中での、自分はどう思われるかわからないけれども、“自分はこう思っている”という意見を持ち始めて成長していく話だったりもします。最終的には男の子から男になっていく、っていう……」

馬場 「頭が非常に良くて、いろんなことに対して、若い男の子ではあるけれども、年上の人たちと接触することによって、良いところも悪いところも見ていくんですが、自分がやるべきことは何なのかをちゃんと考えていくんですよね。要は、時間に流されていかない。ジュードの良さはそんなところにあると思います」

● 代永さんはジュード以外で好きなキャラクターは誰ですか?

代永 「レイアが好きです。レイアはある意味でジュードに似ているんですよね。彼の幼馴染みなんですけれども、すごく天真爛漫な女の子で、自分のやったことが裏目裏目に出てしまうという。がんばってはいるんですが。ジュードのため、仲間のためを思ってやったことが失敗してしまうという。男性としては守ってあげたくなるというね。きっとね。レイアはパーティメンバーの中でも明るい存在であったりもするので。会場にいらしている男性の中には、ミラみたいに大人の女性に守ってもらいたい、ということもあるかもしれませんし、エリーゼみたいにおとなしい女の子を守ってあげたい、ということもあるかもしれませんねー。でも皆好きですね」

馬場 「自分達で作っておいてなんですけれども、ジュードとレイアを見ていると、『気づいてやれよジュード』ってね(笑)」

代永 「本当にそうですね」

● 馬場さんから見て、ジュードとミラの魅力はどのあたりにありますか?

馬場 「ジュードは代永さんが言ったとおりなんですが、ミラのほうは自分の考えをガチッと持っていて、『私がこう決めたら、それに迷わず進む。仮に間違っていたとしても、自分を信じて結果はどうあれ進むんだ』っていうものすごく強い、揺るぎなき信念を持っている女性ですね。がゆえに、ジュードに対しても、彼がちょっとでも迷っているようだったら、『ジュード、迷っているんだったら、自分の考えにまっすぐにやってみなさいよ』という言葉をかけたりするんですよね。そういうミラとガイアスを見ながらジュードは成長していくんですけれども。ミラは女性から見たらかっこいいと思ってもらえるようなキャラクターになっていると思います」

● 今回、テーマソングは浜崎あゆみさんですよね? これはどういった経緯で?

馬場 「浜崎さんは基本的にご自身で詩を書いていらっしゃいますが、『僕』とか『君』といった言葉を使われるんですよね。それと、言葉の中に込められている若い人達へのメッセージがすごく感じられるんですよ。『テイルズ オブ』もメッセージを込めて作っている作品なので、アーティストの方々にも、『テイルズ オブ』のためにメッセージを込めた作品を作っていただいてきたんですね。今回もとにかく粘り強くプレゼンテーションさせていただいて、ようやく『やりましょうよ』ということで、曲作りから『こういう言葉、メッセージなんです』と繰り返しお話させていただいて、この曲ができ上がってきたときは感慨深かったですね。1番最初にお話をさせていただいてから、でき上がるまでに1年以上かかっています」

● 代永さんはPVの後ろなどで浜崎さんの曲がかかっているのを聞いて、どう思われました?

代永 「やはり感慨深かったですね。『テイルズ オブ フェスティバル』で初めてプロモーションビデオを見させていただいたんですが、今までこの作品に関わってきたことが一気にこみ上げてきました。『TOX』のストーリーにリンクしている歌として、本当にいい曲だし……。仕事に出かけるときなどに聞いているんですけれども、前向きになれるんですよね。前向きにさせるというところが、浜崎さんだからできるというところですよね。
馬場 「ゲームにできなくて、歌にできることってあると思うんですよね。ゲームはプレイしてもらって楽しんでもらって思い出に残ると思うんですけれど、歌は何歳になっても、耳にしたときにその瞬間に聞いていた当時のことを思い出せる。自分の人生の1つの地点をもう1度思い出せるという力はすごいなと感じていて、今回の浜崎さんの曲が、皆さんの中で2年後、3年後、10年後に流れたときに、『ああ、あのときの僕、私』という風に思い出してもらえるとうれしいな、と思いますね」

● 馬場さんが「TOX」で1番気に入っているシーンはどこですか?

馬場 「いっぱいありますけれども、詳細はいいませんが、ジュードがものすごく落ち込むシーンがあるんですよ。そのとき、アルヴィンとレイアの駆け引きというか、あまりいえませんが、レイアが一生懸命ジュードのために行動するんですよ。それに対してアルヴィンがすごい勢いでいくんですよ。そのシーンがものすごく泥臭い人間ドラマになっていて……そこは皆さん是非見ていただいて、エンディングを見ていただくと、『ああ……』って思っていただけると思いますね。ここはものすごく感じるところはあると思います」
代永 「僕としても、そこのシーンは杉田(智和)さんとガチで演らせていただいたというか、僕自身が『ジュードのバカ! レイアがこんなにがんばっているのにジュードのバカぁ!』って思いながら(笑)演じていたシーンなんで。見る人からしてみると、どっちの意見もあるし、どっちも正しく行動しているというシーンでもあるので、ちょっとうるっとしてしまうかもしれません。レイアのけなげさに「本当にいい娘だな」って救われるシーンです。がんばってたどりついてください」

● 「TOX」を楽しめるポイントを教えてください。

代永 「1回プレイすると、すごくその中にのめりこんでしまうというか、仕事をしていても、『早く(TOXを)遊びたい』と思ってしまうほど、作りこまれているストーリーですし、セーブしても、PS3が軽かったら持って行きたい、と思うぐらい続きが気になる作品になっているので、友達と一緒に、ご家族で見ていただいても楽しめると思いますし、人間関係について考えさせられるストーリーになっていますので、そういう部分でも、改めて自分と向き合う、子供と向き合う、職場の人間関係に向き合う、という意味で考えさせられる、という部分が皆さんに伝わればいいなと思いますし、絶対に伝わると胸を張っていえる作品になっていると思いますので、是非。初めて『テイルズ オブ』に触れる方にもすぐにストーリーに入っていける、隅から隅まで楽しめる作品になっていますので、この先も応援よろしくお願いいたします」。

馬場 「まず、今、こうして皆さんと、同じ時間を共有して、楽しい時間を過ごせるということがすごくうれしいです。なぜかというと、こうして集まっていただける方々も、全国のファンの方々も含めて、皆さんの支えがないと、僕らは『テイルズ オブ』を作れない。まず僕らが皆さんに『楽しかったです。また次を楽しみにしています』というゲームを作らなければならない。それを皆さんに遊んでいただいて『楽しかった、また楽しみにしています』というアンケートなどで意見をもらうことで、それが僕を含めてスタッフの励みになりますし。さらには15年間の歴史の集大成としてこの3年間やってきて、なかなか皆さんにはゲームという遊びの形でしか出てこないかもしれませんが、70~80人のスタッフたちが、本当に小さなことからこつこつ積み重ねて作り上げてきた大切な作品なんですね。そうした小さなところも、遊んでいただいた方々に伝わればいいなと思いつつ、お礼を申し上げたいと思っていますし、また次に向けて、気合を入れてがんばっていきたいなと思っていますので、これからもよろしくお願いいたします」

● 最後にメッセージをお願いいたします。

代永 「本日は足を運んでいただいてありがとうございます。こうして皆さんにお会いできたのも『TOX』にかかわらせていただいたおかげだと思っていますし、これからも『TOX』は広がっていくと思いますし、僕ら自身も皆さんといろんなところでお会いしたいなと思いますし、ラジオも始まったりしましたので、そちらも応援していただければなと思います。『TOX』は15周年の思いが詰まっているな、と感じられる作品に仕上がっていると思いますので、僕らもがんばっていきますし、皆さんも飽きずに付き合っていってくださいね」

馬場 「15周年という集大成で、とにかくやり尽くしました。その思いでやりました。『ゲームなのにすごいな」っていうところを感じてもらえればなと思います。スタッフたちが歯を食いしばりながらがんばって完成させてくれた作品ですので、皆さんにもその思いを感じてもらいたいなと思います。まず『TOX』を楽しんでいただいて、また次に進んでいきますので、今後とも『テイルズ オブ』をよろしくお願いいたします」


(C) いのまたむつみ (C)藤島康介 (C)2011 NAMCO BANDAI Games Inc.

(2011年 9月 10日)

[Reported by 佐伯憲司]