LG、2万円台の高輝度IPSパネル採用液晶モニターを発表
21.5インチと23インチの2機種を11月より順次投入



10月27日発表



 LGエレクトロニクス・ジャパン株式会社は10月27日、新型IPSパネルを採用したPC向けモニター「IP236V」と「IPS226V」の2機種を発表した。「IPS236V」は従来のH-IPSパネルに比べ18%向上した開口率を持つUH-IPSパネルを採用する23インチワイドモニターで、発売時期は11月上旬。「IPS226V」はさらに開口率を11.6%向上させたS-IPS IIパネルを採用する21.5インチワイドモニターで、発売時期は12月上旬となっている。価格はオープンとなっているが、店頭実売価格は「IPS236V」がおよそ24,000円前後、「IPS226V」が20,000円前後としている。




■ 高視野角、色再現性の高いIPSパネル搭載モニターが普及価格帯で登場。ゲーミング製品も視野に

記者発表会場に展示されていた製品。左が「IPS236V」、右が「IPS226V」

 今回LGエレクトロニクスが今回発表した「IPS236V」と「IPS226V」の2機種は、LG製のIPSパネルであるUH-IPSとS-IPS IIを搭載するPC向け液晶モニターだ。「IPS236V」は23インチワイドの16:9フルHD解像度対応製品で、消費電力は36W、本体重量は3.95kg。「IPS226V」は21.5インチワイド16:9で同じくフルHD対応、消費電力は33W、本体重量は3.49kgとなっている。

 両機種ともLEDバックライトを採用し、輝度250cd/m2、ネイティブコントラスト比1,000:1、ダイナミックコントラスト比5,000,000:1を実現しているほか、モニター本体の厚さ19.7mmと薄型の筐体デザインとなっている。また、視野角は垂直・水平ともに178度と、IPSパネルならではの高視野角を実現。応答速度は中間色→中間職で平均14ミリ秒(偏差4.4ms)、中間色→白/黒で6msとなっている。表面加工はどちらともノングレアタイプ。

 映像インターフェイスとしては両機種ともに共通してD-sub 15ピン、DVI-D、HDMI端子を装備。オーディオ機能は持たない。標準のスタンド機構は上15度、下5度のチルト調整が可能。75mm角のVESAマウントにも対応しており、壁掛けやアームでの利用が可能だ。

IPSパネル、LEDバックライト搭載2機種を11月、12月に投入。いずれもLG Display製の新しいパネルが搭載されている

LG Displayのチョウ・ヒョン氏がIPSパネルの利点を解説
手前から順番に、VA、IPS、TN、VA方式のモニター。VA方式は高視野角時に白っぽく変色し、TNは全体が赤みがかっている。IPSパネルが最も正しい色に近い

 特に今回の発表で目を引くのは、両機種ともIPSパネルを採用しながら低価格を実現したことだ。従来のIPSパネル採用モニターの価格帯から考えれば破格と呼べる水準だ。東京・赤坂にあるLGエレクトロニクス・ジャパンのオフィスにて行なわれた発表会では、LGエレクトロニクス・ジャパンの和田恵一郎氏と韓国LG Displayのチョウ・ヒョン氏がスピーチし、今回の製品そのものというよりは、IPSパネル自体のアドバンテージを幅広い視点で語った。

 まず、従来の普及価格帯にあるPCモニターで採用されているTNパネルに比べ、IPSパネルは圧倒的に視野角が広く、TNパネルの弱点を補ったVA方式のパネルに比べても視野角変化による諧調変化が少ない。また、TNパネルに比べて劣っていると言われる応答性についても、TNやVA方式のパネルが特定の諧調で応答速度が格段に下がる一方、IPSパネルは全ての諧調において安定した応答性があり、動画再生にも強いという。色再現性においてもIPS方式は全諧調にわたって安定した再現率を持ち、チョウ・ヒョン氏によれば米国の写真家団体もIPS方式の液晶モニターを推奨しているとのことだ。

 ちなみに「IPS236V」に採用されているUH-IPSパネルはワークステーション向けの業務用モニターにも採用実績があるパネルで、従来のLG製H-IPSパネルに比べて液晶素子の開口率を18%向上させ、高輝度・高コントラストを実現。また、「IPS226V」に採用されているS-IPS IIパネルは、UH-IPSに比べてさらに開口率を11.6%向上させたタイプで、より鮮明な映像表示が可能となったモデルとなっている。

 LGエレクトロニクスでは、今回の2製品の型番に「IPS」の型番をつけたことにも現われているとおり、今後IPSパネル搭載のモニターを主力に位置づけていく模様だ。また、継続的に新モデルを発売しているゲーミングモニター製品にもIPSパネルを採用することを視野に入れているとのことで、ゲームファンとしてはそちらの続報にも期待したいところである。


視野角の高さ、色再現性の高さ、動画性能の高さと、高水準の表示性能を持つIPSパネル。従来はやや高価格のモニター製品にのみ搭載されていた方式のパネルだが、今回LGエレクトロニクスが低価格製品を発表したことで、より身近な存在になっていきそうだ


(2010年 10月 27日)

[Reported by 佐藤カフジ]