東京ゲームショウ2010レポート
WebMoneyステージイベント「FPS甲子園」開催
FPSの有力選手達が“クジで選ばれたタイトル”で決戦!
進行と解説は「STING」プロデューサーのHac氏が担当 |
「東京ゲームショウ2010」の3日目となる9月18日、株式会社ウェブマネーのブースでは、「FPS甲子園」と題されたイベントが開催された。
このイベントには、「Another Day」、「Alliance of Valiant Arms」、「WarRock」、「クロスファイア」、「サドンアタック」、「STING」、「スペシャルフォース」の7タイトルが参加。各タイトルで大会優勝者などを集めた精鋭5人によるチームが作られ(「サドンアタック」のみ、女性チームが加わり2組が参加)、トーナメント形式で対戦が行なわれた。
ここで問題になるのが「何のゲームで対戦するか?」である。一口にFPSと言っても、キャラクターや武器の挙動、ルール、マップなど異なる部分は多く、特定のタイトルで対戦すれば、そのゲームの経験の差で優劣が出る。そこで今回のイベントでは、前述の7タイトルの中から、対戦に使うタイトルをその都度、抽選で選んだ。勝敗が得意なタイトルが出るかどうか、という運に左右されることになるが、あらゆるFPSに対応できる総合力を問うと考えれば、なるほど「FPS甲子園」と呼ぶにふさわしい大会である。
といったレギュレーションは抜きにしても、日本のFPSトッププレーヤーが勢ぞろいして、タイトルを超えて対戦するというイベントそのものが前代未聞だ。Ustreamの生中継は開始早々から1,000人以上が閲覧していたそうで、FPSプレーヤーには1戦たりとも見逃せない好カードが続いた。
■ 実力派チームが順当な勝ち上がりを見せた1回戦
試合前には、選手が自らの出場タイトルの見所などを語った。写真は「サドンアタック」を解説する「KeNNy」選手 |
1回戦第1試合は「Another Day」より「Another Day代表選抜チーム」対、「クロスファイア」より「Vault」。「Another Day代表選抜チーム」は、「Another Day」プロデューサーの富永寛之氏が、大会での優勝者など4人を集めて参加。対する「Vault」は「クロスファイア」の国内大会で優勝、アジア大会でも準優勝を収めている。
対戦種目は「スペシャルフォース」。ミサイルマップの爆破モードで5ラウンド勝負という設定で行なわれた。サービスが長いタイトルだけに経験者も多かったようだが、試合を優位に進めたのは「Another Day代表選抜チーム」。「Another Day」はサービス開始から間もないタイトルだけに、そこで序盤から優秀な選手は、自然と他のタイトルでのプレイ経験が豊富な選手ということになるのが、本大会での強みのようだ。
試合ではアジア大会で使われた英語版の特別なクライアントを使用。「クロスファイア」優勝チームの「Vault」を抑え「Another Day代表選抜チーム」が勝利した |
第2試合は、「サドンアタック」より「NabD」対、「STING」より「STING☆チーム」。「NabD」は先日の「サドンアタック」の大会で3連覇を果たした国内最強チームで、FPS界ではベテランの「KeNNy」選手も所属する、今大会の優勝候補筆頭チームである。これに「STING☆チーム」がどこまで食らいついていくかという勝負になった。
種目は「クロスファイア」。100ポイント先取のチームデスマッチで行なわれた。試合は序盤から実力を見せ付けた「NabD」が優勢に進め、最後はほぼダブルスコアで勝利した。
エイミングの上手さもさることながら、地形に対してどこを注意してどう見るべきかという視点移動でもお手本のようなプレイを見せた「NabD」の選手 |
第3試合は「Alliance of Valiant Arms」より「アヴァレンジャイ」対、「サドンアタック」の女性チーム「Lots*of*love*」。「Lots*of*love*」は男性プレーヤーが多いFPSの中、「サドンアタック」で女性限定にこだわっているクラン。「アヴァレンジャイ」は「うたたね」選手を始め「Alliance of Valiant Arms」の有力選手を集めてきている。
対戦種目は「STING」で、マップは城壁、50キル先取のチームデスマッチルール。こちらは経験者が少なかった上、他のFPSではあまり見られないタイプの屋外マップだったため、互いにマップの把握から恐る恐る展開するという内容に。早く順応したのは「アヴァレンジャイ」で、後半はリードをどんどん広げて、ダブルスコアでの勝利を決めた。
女性だけの「Lots*of*love*」は健闘を見せたものの、後半は「アヴァレンジャイ」の攻撃を抑えきれなかった |
第4試合は「WarRock」より「特攻やろう Warrockチーム」対、「スペシャルフォース」より「彼女募集中」。チーム名がユニークな「彼女募集中」だが、選手は「スペシャルフォース」の世界大会で準優勝経験がある、国内では指折りの経歴を持つ実力者だ。
対戦種目は「サドンアタック」。マップはウェアハウス、100ポイント先取のチームデスマッチで行なわれた。定番タイトルの「サドンアタック」だけに、どちらの選手達も勝手のわかった動きをしていたが、徐々に「彼女募集中」チームがリードを広げ勝利した。
「サドンアタック」でも遺憾なく実力を発揮した「彼女募集中」が、安定したプレイングで「特攻やろう Warrockチーム」に勝利した |
■ 対戦種目が勝敗を左右した波乱の準決勝
続く準決勝のカードは、「Another Day代表選抜チーム」対「NabD」。対戦相手が強豪の「NabD」ということで、やや意気消沈気味にも見えた「Another Day代表選抜チーム」だったが、対戦種目が「WarRock」と発表されると顔色が一変した。「Another Day代表選抜チーム」の1人「StanSmith」選手は「WarRock」で大会優勝経験を持っており、本作のことを知り尽くしていた。
ルールは爆破マップのマリエンで7ラウンド先取。障害物が少なく極端に開けた独特なマップに慣れない他の選手を尻目に、「StanSmith」選手は建物をうまく使って次々にキルを奪っていった。1度、開始直後に「StanSmith」選手が倒されたこともあったが、他のメンバーも「NabD」と互角に渡り合い見事にカバー。結果、7対1という圧倒的な大差をつけて「Another Day代表選抜チーム」が勝利した。ランダム種目というレギュレーションが最も面白く影響した1戦だ。
「WarRock」を得意とする「StanSmith」選手が獅子奮迅の働きで、優勝候補の「NabD」を圧倒。予想を超える一方的な展開となった |
準決勝第2試合は、「アヴァレンジャイ」対「彼女募集中」。1回戦では地力を見せて勝ち上がった両チームだが、その対戦種目は「Another Day」。本作は未来世界を舞台にしたFPSで、高速移動で一瞬で間合いを詰める「インパクトブースター」や、姿を消す「クローキング」など、他では見られない独自要素の色が濃いタイトルである。
マップはKnocking Downで、120キル先取のチームデスマッチ。ゲームが特殊な上にサービス開始から間もないタイトルだけあって、ゲームの特性をきっちり把握している選手は少ない様子だった。試合は序盤、「彼女募集中」がやや優勢に進めたものの、「インパクトブースター」による急襲を使いこなし始めた「アヴァレンジャイ」が試合中盤で逆転。そこからはどんどん差を広げていき、「アヴァレンジャイ」が決勝進出を決めた。
他のタイトルとはかなり毛色の異なる「Another Day」。不慣れな中でも独自要素にすばやく対応できた「アヴァレンジャイ」が勝利した |
決勝の前に行なわれた3位決定戦では、「NabD」と「彼女募集中」という実力派の2チームが対戦した。種目は「Alliance of Valiant Arms」。ルールは殲滅ミッションマップのCOLD CASEで「傭兵モード」を使い、150ポイント先取で行なわれた。「傭兵モード」とは、プレーヤーが8対8に足りない場合、自動的にAIキャラクターで穴を埋めるというもの。つまりお互いのチームに3人のAIが加わるという形だ。
試合の鍵を握るのはAIキャラクターだ。「Alliance of Valiant Arms」は比較的ベーシックなFPSで、選手も対応はさほど難しくないはずだが、AIキャラクターはそんな選手達に比べるとかなり腕が劣る。AIキャラクターを倒しても1ポイントとなるため、勝利するには彼らを守ったり、うまく連携する必要がある。試合は狭いマップでの8対8の撃ち合いとなり、スコアがぐんぐん伸びていく展開だったが、有利に進めたのは「彼女募集中」。あっという間に150ポイントを獲得し、3位を確定させた。
序盤は接戦だったが、後半はAIキャラクターの動きに上手く対応できたのか、「彼女募集中」が一気にポイントを伸ばした |
■ 「FPS甲子園」優勝チームが決定。WeMade Foxと「Quake Wars Online」で対戦!
決勝戦は「Another Day代表選抜チーム」対「アヴァレンジャイ」というカードになった。種目は「サドンアタック」に決定。ルールはウェアハウスでのチームデスマッチ、80キル先取。最後は最もベーシックと言えるレギュレーションでの対戦になった。
試合は両チームがほぼ同時に20キルに到達するという、この日の対戦では初めての接戦で進んだ。しかし中盤からは「Another Day代表選抜チーム」が数キルのリードを確保し、最後は焼く10キル差をつけて勝利。「FPS甲子園」優勝チームは「Another Day代表選抜チーム」となった。
7タイトルの中では最も新しいタイトルながら、他タイトルのトッププレーヤーを相手に優勝を決めたのは見事だった。チームを率いたプロデューサーの富永氏は、「『Another Day』を遊ぶとFPSがうまくなることが証明できた」と笑顔で語った。優勝した「Another Day代表選抜チーム」チームには、20万ポイントのWebMoneyなどが贈られた。
序盤は一進一退の展開だったが、中盤から抜け出した「Another Day代表選抜チーム」が勝利した | ||
優勝した「Another Day代表選抜チーム」には、20万ポイント分のWebMoneyが手渡された。選手として参加したプロデューサーの富永氏も満面の笑み |
しかし、イベントはまだ続く。ここでゲストとして、韓国から招かれた「Counter Strike」のプロチームであるWeMade Foxが登場し、「Another Day代表選抜チーム」とエキシビジョンマッチを行なうことになった。対戦種目は、何と発表されたばかりの「Quake Wars Online」。
「Another Day代表選抜チーム」の選手は当然本作に触れたことはない。しかもクライアントは韓国語版で、WeMade Foxの選手だけに自前のデバイスの使用が認められてしまうという、圧倒的不利な状況での対戦となった。結局、WeMade Foxの前になす術なく敗れてしまった「Another Day代表選抜チーム」だったが、選手達は困惑した表情を見せつつも、「発表されたばかりのゲームを真っ先に触る貴重な機会が得られて嬉しい」と語っていた。
(2010年 9月 19日)