東京ゲームショウ2010レポート

WeMade、ウェブマネーブースにてオンラインFPS「Quake Wars Online」を発表
伝説的FPS「Enemy Territory」のDNAを受け継ぎ、待望のオンライン化


9月16日~19日 開催(16日、17日はビジネスデイ)

会場:幕張メッセ

入場料:1,000円(一般/前売り)、1,200円(一般/当日)、小学生以下は入場無料


 東京ゲームショウ2010の会期2日目、オンラインゲームパブリッシャーのWeMade Onlineは新作オンラインFPS「Quake Wars Online」の発表会をウェブマネーブースにて行なった。発表会では韓国のプロゲーマーチーム「WeMade FOX」がデモプレイを披露。戦術性の高いゲームルールが紹介された。また、会期中のRazerブースには本作の試遊台が設置され、そのゲーム性を実際に確かめることもできた。本稿ではその内容をお届けしよう。




■ あの傑作「Enemy Territory」のDNAを受け継ぐオンラインFPSが登場!

ウェブマネーブース、発表会の様子
WeMade FOXの面々がプレイ中、Hac氏が解説を行なった
各陣営に5つのクラスがある。ちなみにStrogg軍は死体を使って回復できるなどオーバーテクノロジーも所有
全体マップ。いくつかのテリトリーに分割されており、各地点で個別のミッション目標がある

 オンラインゲーム各社が協賛して出展しているウェブマネーのブースでは様々なFPS関連イベントが開催されていた。オンラインFPS「STING」をサービス中のオンラインゲームパブリッシャーWeMade Online(旧YNK Japan)によるイベントは、新作「Quake Wars Online」の発表だ。

 発表会には、以前「STING」の国内サービスをディレクションしてきたFPSスペシャリストのHac氏(康 詩温)氏をはじめ、韓国トップのプロゲーマーチームであるWeMade FOXのメンバーが登場し、「Quake Wars Online(以下『QWO』)の紹介を行なった。

 「QWO」は、FPSの本家として知られるデベロッパー、米id SoftwareによるPCゲーム「Enemy Territory: Quake Wars(ETQW)」を、韓国WeMadeが基本プレイ無料のオンラインゲーム化したものだ。その「ETQW」のオリジナルは、id Softwareと関係の深い米Splash DamageによるPC用フリーFPS「Wolfenstein: Enemy Territory」(2003年)というゲームに基づいており、その独特の対戦ゲームルールを継承。つまり「QWO」は、「Enemy Territory」というゲームルールを基盤に据えるオンラインFPSとなっているのだ。(参考情報:PCゲームレビュー「Enemy Territory: Quake Wars」

 「Enemy Territory」の基本ルールは、一般的なFPSに比べて非常に戦術性が高いものになっている。ゲーム世界には地球軍とStrogg(宇宙からの侵略者)軍という2つの陣営があり、マップによって各陣営が攻撃・防御の役割を与えられる。マップ上にはいくつかの目標地点が設定されており、攻撃側チームが地点を確保するためには「爆破する」、「ハッキングする」、「移動指揮車を移動・展開する」、「オブジェクトを運びこむ」といった個別のミッション目標を達成する必要があるのだ。

 この中でキモとなるのは、それぞれの目標を達成するためには対応するプレーヤークラスによる活動が必要となる、という点。例えば「爆破する」ためにはC4爆弾を装備したソルジャークラスが必要だし、マップ上に橋や施設を建設することがミッションならばエンジニアクラスが必要になる。端末のハッキングを行なうミッションならコバートオプスクラスの役割だ。

 適切なクラスの活躍により各目標地点を制圧すれば、次の目標地点へ戦場が移るという形で、本作の戦場は常に移り変わる仕組みとなっている。このため非常に広大な戦場を用意したゲームであるにもかかわらず、戦いの地点は1点に集中するという特徴があり、常にスピーディで激しいバトルが展開するのだ。

 「QWO」ではオンライン化にあたって、本作に新ルール「タイムアタックモード」というものを実装している。このモードは少人数でも楽しめるように工夫されたもので、マップ上の目標地点をいかに素早く達成するかが焦点となるモードだ。クリアタイムに応じて金・銀・銅のメダルが与えられる仕組みで、最低2人からプレイすることができる。

 韓国では既にオープンベータテストが進行中の「QWO」だが、国内サービスのスケジュールは現在のところ未定となっている。とはいえ、今回の発表会が行われたことで、いずれ国内サービスがスタートすることを期待できるようになった。最近のオンラインFPSのファンのみならず、古くから「Enemy Territory」を楽しんできたオールドファンまで、楽しみなオンラインFPSがひとつ増えたということになるだろう。


【スクリーンショット】




■ Razerブースで試遊台を設置。マルチプレイで感触を確認

Razerブース。ビジネスデイに撮影。一般日は大変な混雑で中が全く見えないほどとなった
並べられたPCのほとんどで「QWO」をプレイできる
目標地点付近では激しい戦闘が!

 WeMade Onlineによる発表会では、WeMade FOXによるデモプレイを見ることができたが、なにぶん少々複雑なゲームルールを持つ作品であるだけに、それだけではよくわからない、という人が多いのも事実。そこでTGS2010の会場では、ゲームデバイスメーカーのRazerブースにて、本作「QWO」の試遊台が設置されており、実際にそのプレイ感触を確かめることができた。

 設置されている試遊台は、現在韓国で実施されているオープンベータテストを日本国内から利用できるようにしたものだ。このためゲーム内は完全にハングル表記となっており、ハングルを読めない筆者としては何が書いてあるのか全くわからないので少々混乱してしまったが、ゲーム内容はまさに「Enemy Terriory: Quake Wars」そのものだ。

 今回の試遊では、筆者は地球軍チームをプレイした。マップは沿岸要塞をモチーフとする中規模のステージ。ゲームがスタートすると、まずはクラスの選択だ。5種類用意されているクラスから好きなものを選択すると、地球軍のベースキャンプ上にパラシュート降下で出撃。武器類は現在デフォルトのものしか使えないようだが、地球軍側はアサルトライフルやマシンガン、スナイパーライフルなどの実弾系で、宇宙人であるStrogg側はブラスターやレールガンなどのエネルギー系武器となっており、陣営によってプレイ感覚が非常に異なるのが特徴的だ。

 キャラクターのスピーディな動きや、弾が命中すると「カン」と効果音がなる独特の打撃感は、まさに「Quake」の系譜を次ぐ本作ならではのものだ。グラフィックスに関しては、2007年に発売されたPC版「ETQW」のものよりもやや詳細感が抑えめになっている印象で、低スペックのPCでも動作するよう考えられているようだ。

 それ以上に、「ETQW」と大きく異なるようになっているように見えるのがインターフェイス。「ETQW」のインターフェイスではクラス選択などの表示がスクリーン全体を占有するようになっていたが、そのデザインがガラリと変わって、画面の一部だけを占有するシンプルなものに切り替わっている。これは、オンライン化にあたって「タイムアタック」といったモードをが追加されたため、流れの激しいゲーム性を考慮したものといえそうだ。

 そのゲームルールは確かに「Enemy Territory」。そしてそのプレイフィールは確かに「ETQW」。その上にオンライン版として、追加ルールや武器類といったオリジナル要素が色濃く付け加えられることは確実で、果たしてどういった仕上がりになるか、今後とも気になるところだ。まずはWeMade Onlineによるサービススケジュールの発表等を待ちたい。


(2010年 9月 19日)

[Reported by 佐藤カフジ]