ユービーアイブースレポート、Xbox 360「Child of Eden」
水口哲也氏がKinectによる新感覚操作を披露
水口哲也氏 |
画面上の青いサークルは手の動きに追従する。ターゲットをなぞるように動かしてから、手を払うように動かすとホーミングショットを放つ |
「東京ゲームショウ2010」のビジネスデイ初日となる9月16日、ユービーアイソフト株式会社のブースでは、キューエンタテインメント株式会社の水口哲也氏が手がける新作タイトル「Child of Eden」のデモプレイが行なわれた。Xbox 360のKinectを使った操作で、水口氏本人がステージ上で操作した。
「Child of Eden」は、3D空間にあるターゲットを撃ち落としていくゲーム。Kinectによる操作では、手の動きに追従するサークルを動かして、ホーミングショットとバルカンを使い分けながら戦う。ホーミングショットは、サークルに重なった敵を自動的にロックオンし、手を大きく振るように動かすとショットが出る。バルカンは、サークルのある場所に直線の弾を連射する。基本的なゲームデザインは、シンプルな3Dシューティングと言っていい。
しかし、実際のゲームプレイを見て伝わってくるイメージは、それとは全く異なる。実は同様のデモプレイは、6月に米国で開催されたE3でも1度実施している。しかし今回のデモプレイではE3とは違い、水口氏が観客側を向いてプレイするスタイルをとっており、プレイ中の動きを正面から見られたのが好印象だ。
まずホーミングショットでは、ロックオン時には小さな照準マークと僅かなロックの音が出る。そして手を素早く動かすと、何本もの光の筋が画面に広がってターゲットに向かっていくと同時に、「パキン」という澄んだ音が響く。繰り返し手を振るようにしてショットを連続で放てば、ショットの軌跡がいくつも画面に現われ、そのたびに音が響く。シューティングゲームを遊んでいるだけなのに、まるで静と動を自在に操っているようで、音楽の指揮者を見ているような感覚に陥る。
2種類のショットの切り替えは、手を叩いて行なう(おそらく両手がクロスしたタイミングで切り替えが行なわれる)。これは「手を叩いたら武器が変わる」という操作そのものが面白い。例えば会話の際、別の話題に切り替える時に「そういえばこんな話が」と言って手を叩いたりする。切り替えをイメージする動作として、手を打つというのは非常にわかりやすい。
もう1つの攻撃手段として、画面全体に攻撃するボムがある。これは両手を大きく掲げるようにすると発動する。画面にあったターゲットが一斉に砕け、白く輝いて画面を埋め尽くすと同時に、不思議な音が響き渡る。さまざまな色や形状のオブジェクトが、全て輝いて消えていくという表現は、実に水口氏らしい「音と光の融合」を見せている。
水口氏は以前から、「映像と音楽、ゲームの融合」をテーマにした作品を世に送り出してきた。従来の作品もそれはよく伝わってくるが、Kinectを使った「Child of Eden」は、手を動かすと映像と音が変わるという、実に直感的なインタラクティブ性を実現している。それによって、映像と音楽に対するプレーヤーの一体感も格段に上がっている。本作は、まさにゲームとの融合を果たしたと感じられる。
ただ筆者がこのゲームに最も魅力を感じたのはそれらの要素ではなく、「手をかざす」という操作だ。画面のターゲットに念力を送るような気持ちで手を動かし、ロックオンしたらそれを解き放つがごとく手を横に振る。さらに状況に応じて、手を叩いて武器を切り替え、すぐさま手をかざして攻撃を続ける。まるでSF映画の主人公にでもなったような感覚だ。手に何も持たない、Kinectだからこそ生まれたプレイ感といえる。
今回はKinectでのデモプレイのみとなったこともあり、Kinectでの操作をベタボメする内容になってしまったが、本作はコントローラー操作も可能で、プレイステーション 3での発売も予定されている。水口氏は「いろんなプラットフォームで、いろんなスタイルで遊んで欲しい」と述べている。ユービーアイソフトの担当者も「Kinectだけでなく、色々なことに取り組んでいる」と語り、他のプラットフォームやデバイスに対応する可能性も示唆した。
また本作は会場には出展されておらず、今回のTGSではプレイできない。発売日はまだ未定だが、水口氏は「来年春の発売を目指して鋭意制作中」と語った。
なお本作の開発について、水口氏がいくつかコメントを残している。まず本作のプロジェクトがスタートしたのは、2年前の東京ゲームショウで、ユービーアイソフトの本社である仏Ubisoftのプロデューサー陣と話をした時だという。Ubisoftは「ルミネス」を海外で発売し、日本以上に大ヒットさせている。そういった関係もあって、Ubisoftと水口氏のプロジェクトが実現した。
また水口氏はUbisoftとの協業による海外での開発について、「日本で作っていると、日本向けの感性になってしまう。映像や音楽は世界共通で、みんなが好きなもの。国境や性別に関係なく、多くの人に楽しんでもらいたい。世界各地にスタジオを持つUbisoftはそれができている」と語った。映像と音楽という、言語を必要としない文化を武器にする水口氏にとっても、Ubisoftとの仕事は願ったり叶ったりだったようだ。
(C)2010 Ubisoft Entertainment. All rights Reserved. Child Of Eden, Ubisoft and the Ubisoft logo are trademarks of Ubisoft Entertainment in the US and/or other countries.
(2010年 9月 16日)