JC Global、オンラインFPS「Another Day」オープンβテストレポート
FPSの常識を覆す“空中戦”が楽しい! 独自のアクション性を実現したオンラインFPS
JC Global株式会社は、オンラインFPS「Another Day」の正式サービスを8月25日より開始した。本作は韓国Queen's Softが開発する基本プレイ無料のタイトル。基本アクションからカスタマイズ要素にいたるまで、従来のオンラインFPSには見られないような様々な新規軸を実現したことが特徴だ。
8月19日にオープンβがスタートして早速マッチングロビーが活況を呈している本作だが、多数の新要素により全容が掴みにくい部分もあるようだ。そこで本稿ではインプレッションを中心に、「未来のFPS」を標榜する「Another Day」の各要素をご紹介しよう。
■ 舞台は近未来。SF設定を生かした痛快アクション
プレイ中のワンシーン |
「インパクトブースター」を利用して上空から射撃 |
「クローキング」を利用して相手の背後へ移動する |
ヘッドショットを受けた瞬間。次に食らえば命はない |
「Another Day」の世界設定は近未来。21世紀の中盤に差し掛かる年代であり、パワードスーツやレールガンなど、未来的な装備が登場するSF世界だ。地球環境悪化のために治安崩壊を起こしてしまった世界で、秩序をもたらすために結成された精鋭先頭集団「Safe Guard」、別名「Another Day(明るい未来)」が主人公となる。
SFといってもSF過ぎないのがポイントでもある。本作に登場する武器類は、現行のAK-47やM4といったアサルトライフルやスナイパーライフルの後継機という位置づけで、ダッシュしながらでも遠距離からヘッドショットが狙えるくらいには精度が高い。しかし連射すればそれなりに銃口がブレて、止まって撃てば精度が向上するなどミリタリー系FPSの趣向も取り入れており、この点、どっちとも付かない独特の感触である。
そして、FPSのプレイ感覚を支配する「打撃感」は、非常に優れた水準にあると言っていい。相手に弾が命中すると甲高いSEが鳴り、確実な手ごたえを感じられる。またヘッドショットを受けると「パリン!」という破砕音と共に、プレーヤーのかぶっているヘルメットが割れる演出。映像とサウンド両面の演出で「何が起きたのか」がわかりやすく伝えられ、撃ち合いそのものが楽しいという基本がしっかりとできている印象だ。
その上で本作のゲーム性を印象深いものにしている様々な特殊アクションもご紹介しよう。まず基本となる特殊アクションは、左右の平行移動をすばやく2回タップすることで発動する「ダッジジャンプ」。キャラクターがヒュッとサイドステップを行ない、素早い動きが可能になる。さらにジャンプ後壁に接触してもう1度ジャンプすることで発動する「ウォールジャンプ」は、ちょっとした障害物を乗り越えるのに多用する特殊アクションだ。
さらに凄いのは、パワードスーツのエネルギーを利用して跳躍を行なう「インパクトブースター」。空中からでも発動でき、爆発的な加速で数十メートルをひとっ飛びだ。他のタイプのスーツでは、キャラクターの姿を透明にする「クローキング」というアクションも利用できる。姿を消しつつ相手の思わぬ位置に移動すれば、従来のFPS的な駆け引きに違った作戦が組み込める。
「ダッジジャンプ」や「ウォールジャンプ」といった肉体的なアクションはプレーヤーの「スタミナ」を消費し、パワードスーツのエネルギーを利用して行なう「インパクトブースター」や「クローキング」は、使用するたびにスーツの「エナジー」を消費するという仕組み。特殊アクションの使いどころを考えることは、本作における立ち回りを楽しくする大要素となっている。
これらのアクションを組み合わせた操作感覚はカッチリとまとまっていて好感触。使いこなすには結構な練習が必要な点もあるが、ひとまず撃ち合いの最中に「インパクトブースター」を組み合わせられるようになれば、本作ならではの痛快なプレイ感覚を理解できる。相手が予想しないようなタイミングで「ドーン!」と空中に舞い、すばやく照準して頭上から射撃。逆にジャンプ中を狙い撃ちにされることもあるなど、これまでのFPSにない「空中戦」は実に刺激的だ。
チュートリアルミッションで本作のアクションや武器システムをひととおり学ぶことができる | ||
映像とサウンドの両面でしっかりとした「打撃感」を表現。プレイそのものの楽しさ、気持ちよさというものがしっかりと作りこまれている |
■ 3つのクラス、自分流の武器セットも作れるカスタマイズ要素
装備画面。ここで武器や装備スロットなどのカスタマイズができる |
高い防御力を持つスーツは移動速度が犠牲に。どのような戦い方を目指すか? |
スコープを装着すれば、即席スナイパーライフルに! |
もうひとつ、本作の基本的なプレイ内容を違ったものにしているのがクラスシステムだ。本作には「アサルト」、「スナイパー」、「サプライヤー」という3つのクラスがあり、それぞれに装備可能な武装が異なるほか、スーツの能力も違い、戦い方の幅を広げている。
「アサルト」アサルトライフルを装備できる突撃型の兵種。高速移動が可能な「インパクトブースター」はこのクラスのみ使用でき、重量級のスーツによる高い防御力も特徴のひとつだ。「スナイパー」は文字通り、スナイパーライフルを装備する狙撃型の兵種。このクラスだけの特色として「クローキング」を使うことができるものの、防御力が低いため賢い立ち回りが要求される。「サプライヤー」は味方の体力とエナジーを回復させるエナジーキャノンを装備した支援型の兵種。サブマシンガンを装備して火力はないが、足が速い。チームの裏方として戦場中を駆け回るタイプだ。
この3つの兵種はプレイ中いつでも切り替えることが可能だ。さらに、兵種ごとに武器スロットの構成や装備類をカスタマイズできるという要素が、各クラスにおけるプレーヤーの個性を引き出してくれる。
まず本作では最大10個の武器スロットに、装備可能であればどんな武器でも割り当てることができる。「アサルト」クラスであれば、武器スロット1番から3番まで全部アサルトライフル、なんていう構成も可能だ。通常のFPSではアサルトライフルの弾が切れたらハンドガンに切り替えて応戦というシーンによくなるところ、本作では弾切れを起こしたら次のアサルトライフル、そして次もアサルトライフルという凄まじい武器マネジメントが可能であるわけだ。
また、各武器そのものもカスタマイズが可能という点にも注目したい。例えば上記のアサルトライフルには、アクセサリパーツとしてスコープ、ランチャーをオプションとして取り付けることができる。複数のアクセサリをひとつの武器にいっぺんに取り付けることは(今のところ)できないが、例えばメインで使うライフルにはグレネードランチャーを装備し、もう1本のアサルトライフルにはスコープを取り付けて、遠近両用の武器セットを構築するといった遊びが可能だ。
また、装備カスタムの要素としてスーツとヘルメットというものも用意されている。スーツは各クラス向けに特化した機能を持ち、その防御力と重量に応じてプレーヤーの移動速度に影響する。中には移動速度を増加させてくれるものもある。ということは、「アサルト」クラスでも、軽量装備でスピードに特化した斥候タイプと、防御力を最大化した重戦車タイプと、少なくとも2系統のカスタマイズ方向性が考えられるわけだ。さあ、どんなキャラクターを構築しようか?
オープンβ時点の現在ではゲーム内マネーで購入できる武器・アクセサリ類のみがラインナップされているものの、ゲーム内ショップには有料アイテムが陳列されるタブもあるため、正式サービスに向けて多彩なアイテムと、カスタマイズの可能性が用意されることだろう。この点非常に楽しみである。
武器の選択やカスタマイズにより、戦い方を幅広く考えることができる。まずは得意なクラスからいろいろと試してみよう |
■ しっかりとした基本の上に、多彩なゲームルールを実装。今後の拡張にも高いポテンシャルを感じる
「CTF1」。オーソドックスなCTFルールだが、「インパクトブースター」を前提とした立体的なマップが特徴的 |
協力モードでは、大量のクリーチャーを相手に戦闘 |
本部との通信を成功させることが目的。殺到する敵にどう対象するかがカギ |
本作はゲームモードも多彩だ。オープンβ時点であるにも関わらず、対戦形式(PvP)で6種類、COOP形式(協力プレイ)1種類の計7つのモードを実装。ちなみにこれに加えて訓練モードという独立したゲームモードも搭載しており、初心者がBOTを相手に練習できる環境も用意されている。
対戦形式のゲームモードは伝統的な「チームデスマッチ」、「爆破」に加えて、旗取り合戦で対戦する「CTF1」、その簡易版「CTF2」、近接武器縛りの「ブラスター戦」、スナイパーライフル縛りの「スナイパー戦」という構成になっている。各ゲームモードの最大参加人数は16名。この人数に最適化されたマップがそれぞれのモードに複数用意されている。
現時点で最も人気があるのはやはり「チームデスマッチ」と「爆破」だが、プレーヤーがゲームの特殊アクションにまだまだ慣れていない段階では無理もないことだろう。多くのプレーヤーが本作に慣れてくれば、「CTF」系のルールにも人気が出てきそうだ。なにしろ「インパクトブースター」を使っての高速移動や、「クローキング」による隠密行動などは、まさに「CTF」向きのアクションだからだ。
一方、COOP形式のゲームモードは、AI制御の大量のクリーチャーを相手に戦い抜くという内容だ。現時点で用意されているマップ「VIPER VALLEY」」では、トカゲ型のクリーチャー「ヴァイパー」が主要な敵となる。プレーヤーは最大3人で協力しながら、進路を阻む壁を破壊し、通信機を見つけて、本部への連絡を試みるというのが大まかな流れとなっている。
ここで提供されている遊びでは、特定の場所を安全にするために敢えて敵をひきつけるようなプレイも要求される。スーツのエナジーやプレーヤーの体力は、倒した敵が落とすアイテムによって回復可能だが、単に考えなしに敵を倒しまくるだけではクリアが難しい内容。その場の連携内容はもちろん、各プレーヤーのクラス選択や装備カスタマイズにも工夫の余地がありそうだ。
現時点で提供されているコンテンツは、地球と宇宙に広がるストーリーの設定のうち、地球上の戦いを描く「プラネット」サーバーのもの。「Another Day」では今後、宇宙を舞台とする「ユニバース」サーバーを実装することが予定されている。それにより本作のマップ、ゲームルール、カスタマイズ要素がどのように広がっていくか、非常に楽しみだ。
カッチリとした基本に、多彩なアクション、ボリュームたっぷりのコンテンツを備える「Another Day」。多くのFPSファンに安心してオススメできる作品である。
TDM、爆破、CTF、各種武器縛りから協力モードまで、オープンβ時点から多数の遊びが提供されている本作。個性的なカスタマイズ要素も含めて、今後のアップデートでさらに幅を広げていきそうだ |
(2010年 8月 27日)