Electronic Entertainment Expo 2010現地レポート

2K Games、エイリアンから世界を救う「XCOM」はなんとFPS!
ミリタリーTPS「SPEC OPS: THE LINE」もお披露目


6月15~17日開催(現地時間)

会場:Los Angeles Convention Center



 大作「MAFIA II」、「Civilization V」の発売を間近に控える2K Games。E3エキスポ会場に設けられた大型ブースでは来年以降の発売を予定している初出のタイトルも複数を展示していた。

 その中のひとつが「XCOM」。1994年に発売された傑作ターンベースシミュレーション「X-COM: UFO Defence」の系譜を継ぐ作品ということで新作もシミュレーションになるかと思いきや、なんとジャンルはFPS。予想を裏切る驚きのリバイバル作ということになった。

 もうひとつの作品は「SPEC OPS: THE LINE」。ドイツのゲームスタジオYagerによるミリタリー系TPSで、「砂」を活用した新機軸のゲーム性を導入しようとする野心作だ。本稿ではこの2作品のインプレッションをお届けしたい。




■ 9年ぶりのリバイバルは何とFPS! 対エイリアン大作戦「XCOM」

「XCOM」基地。様々な役割のスタッフが忙しく働いている
謎のエイリアンの犠牲になった市民たち。対エイリアンエージェントとしてエイリアンを発見・撃退せねば
巨大な浮遊型エイリアンが登場。物質を蒸発させる強力なビームを撃ってくる

 1994年に発売されたオリジナルの「X-COM: UFO Defence」は、エイリアンに侵略されつつある地球を守るため、基地を作りテクノロジーを研究して、エイリアン撃退チームを組織してターンベースの戦闘を繰り広げるというゲームだった。独特の雰囲気と絶妙なゲーム性が評価され、歴史に残る名作として記憶される作品だ。

 その「X-COM」シリーズとして最後に発売されたタイトルは、2001年の「X-COM: Enforcer」というもの。それから9年の歳月が立ち、2K Gamesの手により新たな「X-COM」が企画されたというのだからビックリ、さらにそれがFPSというのだから2度ビックリだ。

 本作「XCOM」の舞台は1950年代のアメリカ。赤狩り、愛国主義、ロックンロールの嵐が吹き荒れる独特の雰囲気を持つ時代、謎のエイリアンによる侵略が発生。アメリカ各地で奇妙な事件が相次ぎ、社会が混乱の極みに至る。そんな経緯で政府の対エイリアン部門「XCOM」が設立されたというわけだ。

 プーレーヤーは「XCOM」のエージェントとなってエイリアンに対する戦いを展開するわけだが、その内容は非常にユニーク。「XCOM」の基地は3D空間として作りこまれており、レーダー室、作戦室、エイリアンテクノロジーの研究所まで様々な施設がある。武器庫で新兵器を受け取り、作戦室で怪異の発生している場所を特定して、市民の救出作戦を開始するという流れでミッションを開始。

 今回のデモで見ることができたミッションでは、ロサンゼルス郊外、おそらくハリウッドのあたりにある高級住宅街に出動した。おしゃれな家屋が立ち並ぶ街路には謎の黒いシミが連続して残されており、それを追いかけていくとエイリアンに襲われたと思しき被害者が倒れている。まずはその写真をとって「証拠」をゲット。まるで探偵ゲームのようでもある。

 さらに追いかけていくと青黒くスパークする球体状のエイリアンを複数発見。民家に侵入して住民を襲おうとしているところをショットガンで威嚇し、近づいたところをナパームグレネードで撃破。1体1体がかなりタフなので、同時に襲われて不利になることもある。そんなときはエイリアン兵器プラズマガンで一網打尽だ。

 本作のゲームの主題は、ストラテジーゲームである「X-COM」の体験をFPSに持ち込むことにあるようだ。それを反映して本作にはエイリアンテクノロジーを中心とした技術ツリーといったFPSらしからぬ要素が組み込まれている。「XCOM」本部の研究所にエイリアンのパーツを持ち帰ることで新たな武器の研究が可能になるのだ。

 そのほか「X-COM」ならではのストラテジー的要素がどの程度ゲーム中に反映されているか気になるところだが、今回見ることができた範囲だけでも十分に異色のFPSになることは確実だ。すべてのゲームファンにとって見逃せないタイトルになりそうである。本作の発売日は未定、プラットフォームはXbox 360とWindows PCが予定されている。


【XCOM】




■ 砂に埋れた巨大都市、ドバイ。デルタフォースの活躍を描く「SPEC OPS」

砂に埋れたドバイの街が本作の舞台
基本のゲーム性は「GoW」ライク
博物館も砂の中。窓を撃ち抜くと砂がどっと流れ込んでくる

 開発環境の進歩により小さなスタジオでもトップクオリティのゲームを制作できるようになり、多くのスタジオがFPSジャンルで新機軸のゲーム性を打ち出そうとしている。ドイツのデベロッパーYagerが開発する本作「SPEC OPS: THE LINE」もそのようなタイトルのひとつだ。

 本作の部隊は中東の大都市、ドバイ。巨大災害により都市が砂に埋もれ、残るは逃げ惑う市民の群れ。武装勢力が跋扈して治安が崩壊するなか、市民の避難を支援するために特殊部隊デルタフォースが投入されている。主人公は部隊長のひとりとして、作戦中に正気を失って逃亡したJohn Konrad大佐を追跡することになる。

 基本ゲームシステムは「Gears of War」系統のTPS。障害物を盾にして戦闘を展開するカバーリングアクションが軸となっており、身を隠したまま銃だけを出して射撃する、障害物を乗り越える、身をかがめてダッシュするなど、基本の動きには奇をてらった部分が全く見られない。

 大きな違いとなるのは環境要素だ。ゲームフィールドとなるドバイの街は大量の砂によってあらゆる場所が埋め尽くされている。これにより、足場が崩れる、空間が埋もれるといった現象が随所に起きる。また、砂煙に巻かれると視界が奪われるといった要素もあり、工夫次第で戦闘を有利に運ぶために使うことができるようだ。

 本作はゲームエンジンに「Unreal Engine 3」を採用しており、グラフィックスのクオリティは最新作として期待される十分なレベルにある。高層ビルが立ち並ぶドバイというロケーションをいかにゲーム的に面白い形で展開するか、そこが本作の出来を左右するポイントになってきそうだ。

 本作の発売日は現在のところ未定、対応プラットフォームはプレイステーション3、Xbox 360、Windows PCが予定されている。


【SPEC OPS: THE LINE】


(2010年 6月 17日)

[Reported by 佐藤カフジ]