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CESA、「CEDEC 2010」プレスカンファレンスを開催
様々な新機軸を導入。和田会長「CESAの最重要イベントとして進めていく」

5月28日 開催

会場:コンピュータエンターテインメント協会

 

「CEDEC 2010 プレスカンファレンス」

 社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)は、ゲーム開発者向けカンファレンス「CESA デベロッパーズカンファレンス2010(CEDEC 2010)」についてのプレスカンファレンスを、5月28日、東京都港区にある協会オフィスにて開催した。

 「CEDEC」は、1999年より毎年CESAが開催している国内最大規模のゲーム開発者向けカンファレンス。通算で12回目となる今年の「CEDEC 2010」は8月31日より3日間に渡ってパシフィコ横浜にて開催予定だ。CESAでは過去最大規模のカンファレンスとなることを見込んでおり、150コマに登るセッションのほか、様々な新機軸を準備している。

 「CEDEC」に関する公式なプレス向け説明会が開かれたのは今回がはじめてのことだが、その背景には質・量ともに成長を遂げたカンファレンスの価値をさらに広く伝えていきたいという、CESA側の考えがある。そのことを反映して、今回のプレスカンファレンスではCESA会長の和田洋一氏のほか、CEDEC組織委員会のメンバーが顔を揃え、「CEDEC 2010」に向けての抱負を語った。



■ CESA会長・和田洋一氏談話「CEDECはCESAの最重要イベント」

CESA会長を務める、スクウェア・エニックス・ホールディングス社長の和田洋一氏
「CEDEC」の歴史。今年は「自律」をキーワードに広く講演者を公募した
「CEDEC」の拡大に重要な役割を果たしてきた和田氏とコーエーの松原氏

 プレスカンファレンスの会場では、CESA会長を務めるスクウェア・エニックス・ホールディングス社長和田洋一氏がCESAを代表して挨拶。国内のゲーム業界を牽引する立場から、「CEDEC」に対する思いを語った。

 その中で和田氏は、「CEDEC」をCESAの活動におけるひとつの中核と位置づけ、その存在価値に触れた。「歴史的な経緯としては、日本はコンシューマーゲーム機の王国だったんです。任天堂さんに始まってソニーさん、セガさんも三極の一角を担っていましたし、NECさん、松下さんなどもコンソールゲームに参入し、市場が非常に活発化しました。その結果何が起こったかと言うと、各コンソール毎に市場が違いますから、コンソールメーカーとのやりとりが開発上非常に重要になったんですね」。

 続けて、かつては情報共有の場としての役割をプラットフォーマーが担っていた敬意を指摘している。「コンソールメーカー側としては、開発環境、ツールキット、その他ゲームコンソールの情報を如何にサードパーティと共有するかが重要だったわけです。結果としてゲームコンソールメーカーの開発セクションが、サードパーティの情報のハブになっていたんです」。

 和田氏はそこで、PC、モバイルなどゲームマーケットが分散し、またマイクロソフトのような海外のプラットフォーマーが台頭したこと、ソニーも開発の中心を海外に展開していることなどを挙げて、プラットフォーマーが情報共有のハブとして充分でなくなってきたと現況を分析。

 「それに従い、ゲームクリエイター同士が会話できる具体的な場所というものを別途設置しなければ情報の共有ができなくなってきた、というのが最近の状況だと思います。ですから、CEDECという場所をどう活かしていくかということがCESAとしての課題でした。そこで松原さん(コーエー代表取締役社長・松原健二氏)という開発現場にも居た方がヘッドになっていただけたたこともあり、一気に拡大していこうということで、CESAの最重要イベントとして位置づけて進めてきたきたという経緯です」。

 そして和田氏は「CEDEC」を強化していきたい点として3つを挙げた。ひとつめは「非公式なやりとり」。CEDEC会場を夜中まで開けて、開発者同士が飲食を楽しみながら交流できるような形だ。これは会場の設営の問題などもあって難しいということだが、和田氏が2つめの強化点として挙げた「海外の開発者との交流」は、近年の「CEDEC」で大きく前進している。また、和田氏が3つめに挙げた「他業態とのやりとり」も、映像業界を中心として昨年の「CEDEC 2009」から大幅に拡充されており、今年はさらにWeb業界からGoogleによるセッションも予定されている。

 上記3点の強化目標を挙げた和田氏は、「最終的にはそういったものも含めた交流の場にしていきたいと思っております」と、CEDECが目指す将来像を提示して談話を締めくくった。

「CEDEC」の規模拡大は毎年進んでおり、今年は3,000人程度の参加者を見込んでいる。


■ 「CEDEC 2010」は過去最大規模での実施へ。効果を高めるため多数の新機軸も

CEDEC組織委員会・委員長 吉岡直人氏
「CEDEC 2010」では様々な新機軸の催しを用意している
「ゲームのお仕事」業界研究フェアを担当するIGDA日本代表の新清士氏は、ビデオメッセージを会場に寄せた

 和田氏の挙げた強化点を含め、今年の「CEDEC 2010」は様々な点で従来を超える内容のカンファレンスを目指している。その概要を網羅的に説明したのはCEDEC組織委員会の委員長を務めるスクウェア・エニックスの吉岡直人氏。

 まず、「CEDEC 2010」では3,000人の参加者数を見込んでおり、これは2,661人の参加を受けた昨年の「CEDEC 2009」を超えて過去最大の規模ということになる。また、今回の実施スローガンとして「自律」を掲げた組織委員会では、従来よりもセッション講演者の公募を強化。その結果400件弱もの公募が集まり、想定採択率は30%。150ほどのセッションの実施が予定されている。

 また、海外開発者との交流を強化点に挙げていることを受けて、「CEDEC 2010」では日本語から英語へ同時通訳するセッションを導入。吉岡氏によれば、「海外から参加した方が期間中を通して退屈しない数」、すなわち並行開催されるセッションのうち少なくともひとつ以上は同時通訳がなされることを目標にしているようだ。

 さらに一部セッションを「ニコニコ動画」を通じてネット配信することを予定し、Twitterとの連動についても検討しているという。その上で「CEDEC 2010」終了後には、講演資料のうち公開可能なものを全てオンライン上で参照できるようにする「CEDEC DIGITAL ARCHIVE(仮称)」の開設を予定。2009年以前の過去資料もオンラインアーカイブ化されるという。

 若手育成支援策としては、昨年開催されて好評を得た「『ゲームのお仕事』業界研究フェア」を今年も実施する。本企画を担当するIGDA日本代表の新清士氏はビデオレターでメッセージを寄せ、「CEDEC 2010」では毎日5セッション、3日間で15コマのスケジュールを予定していることを明らかにした。また、「市場」、「仕事」、「人材」、「国際化」の4点をキーワードとして、昨年以上に効果的な育成支援プログラムを準備しているという。

 その他、「CEDEC 2010」では以下の通り、様々な「新機軸」の催しが予定されている。



・ポスター発表形式の導入

 ポスター発表とは、発表者が壁や掲示板にプレゼン資料を張り出し、関心を持って近づいた聴講者とコミュニケーションしながら議論を進める方式。海外の開発者向けカンファレンス「Game Developers Conference」でも導入されており、一般セッションよりも気さくな形で双方向の議論を発展させやすく、時間の縛りもゆるいという点がメリット。

 吉岡氏はポスター掲示に合わせて実機デモが行なえるようなスペースを用意したいとし、「CEDEC 2010」ではこの方式で30件ほどの発表を準備したいと語った。



・ショートセッション形式の導入

 1時間ほどの通常セッションに代わり、複数の類似テーマを15分、20分ほどづつパックすることで、濃密な議論を可能にするものがショートセッション。複数の講演者がそれぞれの持論を展開することにより、ひとつのテーマにも多様な見方がある、ということを伝えられることがメリットとなる。



・CEDEC CHALLENGE

 通常セッションよりもショウとしての性格が強い企画を「CEDEC CHALLENGE」として3種類用意している。ひとつは、「超速碁九路盤AI対決」。1手1秒の超早碁ルールにてAI同士を対決させるというもので、一般の人、開発者、研究者など、誰でもエントリーできるという。コンピュータ囲碁フォーラムと連携した催しとなっており、「CEDECの場で産学連携を具体的に提示したい」(吉岡氏)ということが狙い。

 「Photoshopペイントマイスター」という企画では、日ごろ表に出ることのないゲーム企業のトップアーティストが、公の場でその高度なテクニックを実演する。また、「三日でゲームを作ってみる」という企画では、ソーシャルゲーム開発者の参加を募り、短期間でのゲーム開発力を競う。



・CEDEC書房

 出版各社の協力を得て、ゲーム開発に有用な書籍をひとまとめに集めた書店を「CEDEC 2010」の会場内に設営するという催し。「世の中に多くの技術書がありますけれども、残念ながらゲーム開発に関連したものを一箇所にまとめるというのは難しい状況」(吉岡氏)という問題意識から出発した企画であるようだ。

【プレスカンファレンス登壇者】
CEDEC 2010 組織委員会 副委員長 斉藤直宏氏(バンダイナムコゲームス) CEDEC 2010 プログラム委員会 ビジュアルアーツ部門担当 水谷崇氏(ソニー・コンピュータエンタテインメント)
CEDEC 2010 プログラム委員会 ゲームデザイン部門担当 遠藤雅伸氏(モバイル&ゲームスタジオ) CEDEC 2010 プログラム委員会 プロデュース部門担当 田代昭博氏(マイクロソフト)
CEDEC 2010 プログラム委員会 ビジネス&マネジメント部門担当 庄司卓氏(セガ) CEDEC 2010 プログラム委員会 アカデミック部門担当 稲見昌彦氏(慶応義塾大学大学院)


■ 当日受付1,500円で会場に参加できる「エキスポパス」を用意

チケット価格表

 「CEDEC 2010」のセッション参加チケット価格は従来と同じ体系となっており、3日間全てのセッションに参加できるレギュラーパスが通常申込でCESA会員・学生が25,000円、4名以上の団体割引が30,000円、一般向けが40,000円。1日のみのデイリーパスが通常申込で15,000円、当日受付で20,000円となっている。また、それぞれに7月31日までの申し込みで早期割引が適用される。

 それらに加えて今回、ポスターセッションや「CEDEC CHALLENGE」、「CEDEC書房」といった催しも目玉になっているということで、通常セッションには参加できないものの、その他のオープンイベントには参加できる「エキスポパス」という枠を設置した。エキスポパスは1日のみ有効なチケットで、通常申込で1,000円、当日受付でも1,500円と非常に安価で提供される。

 いずれのチケットも、受講申し込みが開始される7月1日からの販売受付となっている。詳しくは「CEDEC 2010」の公式サイト(http://cedec.cesa.or.jp/2010/application/)を参照していただきたい。



 なお、現在公開されている「CEDEC 2010」の予定セッションは以下の通り。多業種・多国籍に講演者が集まっており、「CEDEC」が目指す多業態の交流の場という方向性を具体的に打ち出していることが印象的だ。

・プラットフォームの未来(仮題)(南場智子 / ディー・エヌ・エー)

・最新ゲームエンジン詳解(Julien Merceron/スクウェア・エニックス)

・多様化するアニメーション製作環境について考える(金久保哲也/バンダイナムコゲームス)

・音が映像作品の「でき」を決める─音と映像の相乗効果─(岩宮眞一郎/九州大学)

・ゲーム企業の資金調達に関して(逸見圭朗/みずほ銀行)

・次なる高みへ。ゲームビジネスの近未来像(細川敦/メディアクリエイト)

・産学連携の明日〜ゲーム会社担当者パネル〜

・演題未定(Mark Deloura / Google)



(2010年 5月 28日)

[Reported by 佐藤カフジ ]