Game Developers Conference(GDC) 2010現地レポート

EA、「Need for Speed World Online」など3本の最新タイトルを発表
「Dragon Age:Origins:Awakening」、「Mass Effect 2:Kasumi's Stolen Memory」、


3月10日~12日 開催(現地時間)

会場:The St. Regis Hotel


 米Electronic ArtsはGDCの期間中、会場に近いThe St. Regis Hotelで最新タイトルの説明会を開催した。今回体験できたのは、PS3/Xbox 360/PC向けRPG「Dragon Age:Origins」の拡張パック「Dragon Age:Origins:Awakening」、Xbox 360/PC向けアクションRPG「Mass Effect 2」のダウンロードコンテンツ「Kasumi's Stolen Memory」そして、PC向けオンラインレースゲーム「Need for Speed World Online」の3タイトルだ。

 北米でのリリーススケジュールは「Dragon Age:Origins:Awakening」は3月16日、「Mass Effect 2:Kasumi's Stolen Memory」は4月に発売予定。「Need for Speed World Online」は2010年12月サービス開始予定となっている。日本での展開予定については未定となっている。本稿では各タイトルの概要を紹介していきたい。




■ 前回から6カ月後、さらなる高みを目指す冒険の始まり「Dragon Age:Origins:Awakening」

BioWare 「Dragon Age」Online ProducerのFerno Melo氏

 「Dragon Age:Origins:Awakening」は3月16日発売、価格は39.99ドルだ。「Dragon Age: Origins:Awakening」は北米で2009年に発売された「Dragon Age:Origins」の拡張パックだ。この拡張パックを導入することで、「Dragon Age:Origins」のエンディングから6カ月後のストーリーを体験できるようになる。

 プレーヤーキャラクターのレベルキャップは20から30に引き上げられ、新装備や新スキルが登場する。「Dragon Age:Origins」で人間達を脅かすDarkspawnの力は弱められたように見えたが、今作でプレーヤーは彼らの秘密、そして本当の“動機”を知ることができるという。新モンスターも登場し、プレーヤーに挑戦する。敵のAIにも磨きがかかり、「Dragon Age:Origins」よりも高度な戦術、戦法が求められるという。

 「Dragon Age:Origins」のキャラクターはコンバートされ、引き続き登場する。プレーヤーを助けた仲間達はこの世界ですでに冒険を開始しており、旅先で出会うことになる。仲間とともにより高みを目指す旅を再会できるのだ。今作では5人の新キャラクターも登場し、パーティーを選ぶ楽しさが増している。かつての仲間達と、新しい仲間のドラマも注目だ。また、「ルーン」を作る能力が追加され、このルーンを使ったキャラクター強化も可能になったという。

 「Dragon Age: Origins:Awakening」に挑戦するために、必ずしも「Dragon Age:Origins」をクリアする必要はない。また、キャラクターを拡張パックのために最初から作ってもOKだ。レベルが低いキャラクターで始めた場合、自動的にレベルが18まで引き上げられる。面白いのは、シナリオをクリアしたキャラクターは「Dragon Age: Origins:Awakening」では名前の知られた人物として扱われるが、そうでないキャラクターは「新参者」としてNPCに扱われること。アプローチによって展開するストーリーも変化するという。

 日本では、「Dragon Age:Origins」の発売も未定であるが、重厚なファンタジー世界をさらに冒険できる作品として、「Dragon Age: Origins:Awakening」も注目したい作品である。より深く世界を掘り下げ、キャラクターを育てることができる拡張パックだ。


【スクリーンショット】

戦闘描写が凄惨な「Dragon Age: Origins」。追加パックでは新たなキャラクターが仲間となる。これまでの仲間との掛け合いも楽しみだ




■ 謎めいた忍者女性と007映画のような冒険を「Mass Effect 2:Kasumi's Stolen Memory」

BioWare 「Mass Effect 2」Executive ProducerのCasey Hudson氏

 「Mass Effect 2:Kasumi's Stolen Memory」は北米では4月にダウンロードコンテンツ(DLC)として発売予定、価格は未定だ。タイトルにもなっている「Kasumi」というキャラクターが登場するシナリオが体験できる。このシナリオでは、Kasumiと2人でパーティーを組み、冒険していくこととなる。

 Kasumiという女性キャラクターはフードを深くかぶった謎めいた女性で、主人公に協力を求めてくる。ある惑星の大富豪の元に忍び込みたいというのだ。了解した主人公はKasumiと共にある惑星に降り立つことになる。この時の主人公の姿が面白い。「Mass Effect 2」では主人公は通常は無骨な装甲服を着ているのだが、この時は黒字に白のアクセントの入ったタキシードのようなアレンジの服を着ているのだ。また軌道上からの降下艇もリムジンのような形をしている。「まるで007の映画のような」雰囲気が楽しめるシナリオだという。

 Kasumiが狙っているのは大富豪の宝物庫にある。この時主人公達はおとりとして美術品を届けるのだが、この美術品が前作の宿敵サレンの黄金の立像なのだ。この宝物を運んで宝物庫に進入しようとするのだが、手強そうな警護役に止められ、緊張感のある会話シーンが展開したり、スパイ映画的演出が楽しい。

 Kasumiは姿を消す「クローキング」の能力を持っており、姿を消して主人公をサポートする。プレーヤーはパーティーが行なわれている会場から秘密の入口を捜していく。今回は宝物庫のシーンも見ることができた。この大富豪は古美術の収集家で、地球の太古のアイテムも飾られている。なんといっても驚かされるのはニューヨークの「自由の女神」の首がそのまま展示してあるところ。どのくらいの時を経てこの宝物庫に入れられる運命になったのだろうか。

 戦闘シーンでは、主人公はタキシード型装備を脱ぎ捨て、装甲服で大富豪の護衛役と戦いを繰り広げる。Kasumiはクローキングから格闘攻撃を仕掛ける「シャドウストライク」というスキルを持っている。Kasumiという日本人風の名前と言うこともあって、“忍者”を意識していると感じるキャラクターだ。彼女の攻撃は強力だが、敵に近づかなくては発動できないため、戦闘時にはKasumiが前に出すぎて集中攻撃されないように注意が必要だ。

 このDLCのシナリオは1時間半ほどでクリアできるものだという。シナリオの後はKasumiは宇宙船で待機し、パーティープレーヤーとして使えるようになる。また、敵の目をくらませる「フラッシュバン」など新しい装備も登場するという。日本では前作「Mass Effect 」はマイクロソフトから発売されたが、「Mass Effect 2」の発売はまだ未定となっている。「Mass Effect 2」の日本語版の発売と、このDLCの日本展開も期待したいところだ。


【スクリーンショット】
謎めいた女性Kasumi。エキセントリックなメイクや、フードをかぶった姿、浅黒い肌など日本人の我々から見ると、ちょっと日本人ぽくない印象も。「忍者」スタイルで敵と戦う




■ 10万人のプレーヤーと250平方キロメートルでレースを! 「Need for Speed World Online」

Electronic Artsで本作のSenior producerを務めるJohn Doyle氏

 「Need for Speed World Online」は、北米で2010年12月よりサービス開始予定のオンラインレースゲーム。プレーヤーは250平方キロメートルの広大なマップを走りながら、他プレーヤーとレースを繰り広げる。1サーバーに10万人のプレーヤーを収容する予定だという。サービス方式などはまだ未定だ。

 フィールドはMMO空間になっており、レースではMOで行なわれる。チェックポイントで待機することで他プレーヤーの挑戦を受け付けることができる。レースは最大8人まで可能で、今回は周回プレイを体験できた。マウスとキーボードでプレイ可能で、W、A、S、Dキーか、カーソルキーで車を操作できる。スペースキーでハンドブレーキ、数字キーで「スキル」を使用可能だ。

 現在はまだ開発中ということで、会場ではコースを走り、レースに参加できるというシンプルなプレイが楽しめた。スキルには急加速するもの、ショートカットを探すものの他、先頭の車両に“呪い”をかけるというユニークなものがあった。この呪いにかかると、対向車などNPCの車が呪いのかかった車につっこんでくるのだ。よけなければ正面衝突して大幅に順位を落としてしまう。体験プレイではこの呪いによる足の引っ張り合いが楽しかった。

 スキルはクールタイムがあり連続使用はできない。たくさんのスキルが用意される予定だ。MMOフィールドから離脱するガレージメニューでは、「レース用」、「フィールド探索用」など用途にわけたスキルセットを設定可能だ。レースも様々なルールが盛り込まれる予定で、効率のいいスキルを考えていくことになりそうだ。

 プレーヤーはレースを繰り返すことで経験値を得る。またレース終了時にはランダムでアイテムやゲーム内マネーをもらうことができる。経験値を得てレベルを上げスキルを習得し、ゲーム内マネーを貯めてより強力な装備や車を購入する。RPG風の成長システムとなっているとのこと。今後クエストシステムも実装していくとのことで、ストーリーやキャラクター性もプラスしていくと、面白い味が出てきそうだ。  今回のバージョンはまだまだ開発中という印象だが、かなりカジュアルなバランスのゲームだと感じた。EAのオンラインゲームは韓国をはじめとしたアジアで人気だが、本作もアジアユーザーを意識している印象を受けた。オンラインレースゲームもいくつかタイトルが出ているが、「Need for Speed World Online」で走る街はオブジェクトがアメリカ風で作りも細かく、街をドライブしている感触も楽しい。今後さらにブラッシュアップされていきそうで楽しみだ。
【スクリーンショット】
正式サービス時には10万人ものプレーヤーが1つのサーバーに集まれるという「Need for Speed World Online」

(C)2010 EA INTERNATIONAL(STUDIO AND PUBLISHING)LTD,ALL RIGHTS RESERVED.

(2010年 3月 16日)

[Reported by 勝田哲也]