ブロッコリー、PSP「うたの☆プリンスさまっ♪」

制作発表会を開催。テーマソングは宮野真守さん


9月23日 開催

【PSP「うたの☆プリンスさまっ♪」】
2010年 発売予定

価格:未定



制作発表会の会場となったグランドプリンスホテル高輪・貴賓館
会場内にはメインキャラクターの特大ポップが展示されていた

 株式会社ブロッコリーは、2010年発売予定のPSP用アドベンチャー「うたの☆プリンスさまっ♪」の制作発表会を、グランドプリンスホテル高輪・貴賓館にて開催した。

 PSP「うたの☆プリンスさまっ♪」は、同社初となる乙女ゲーム。キャラクターデザイン原案は倉花千夏氏、楽曲プロデュースはElements Garden、ゲーム内イラストはProduction I.G、ゲーム開発は株式会社日本一ソフトウェアがそれぞれ担当している作品で、ジャンルは“キスよりすごい音楽って本当にあるんだよADV”となっている。

 タイトルについては今年の夏のコミックマーケットの時点ですでに発表されていたものの、ゲーム内容についてはほとんど明らかにされていなかった。今回の制作発表会では、ゲーム内容はもちろん、世界設定やキャストなど、かなりの部分が公開されたので紹介する。

 制作発表会は、司会を務めるブロッコリー 営業の川上勇吾氏の挨拶で幕を開けた。川上氏は「“うたぷり”(『うたの☆プリンスさまっ♪』の略)だけに、ここプリンスホテル高輪、つまり“たかぷり”で開催させていただきました」と会場の選択理由について説明した。

 主催者を代表して、ブロッコリー 取締役事業部長の内野秀紀氏は本作について、「当社初となる本格的な女性向け作品となります。ブロッコリーではこれまで『ギャラクシーエンジェル』など、主に男性向けの作品を展開しておりましたので、『本当に女性向けの作品が作れるのか』と思われる方も多いと思います。ですが今回、Elements Gardenの上松さんをはじめ、倉花千夏先生、日本一ソフトウェア様、Production I.G様と、強力なチームを結成することができました。初のチャレンジではありますが、最高の布陣で臨むことができたと考えています」と開発への自信を伺わせた。


■ ゲーム内容紹介

主人公の七海春歌(名前変更可能)
アドベンチャーパートはフルボイス。ミニゲームも音楽要素が盛り込まれている

 続いてゲーム内容の紹介が行なわれた。ゲームの舞台となるのは「早乙女学園」。この学園は、伝説のアイドル「シャイニング早乙女」が運営する芸能専門学校で、歌手、作詞家、作曲家の育成に特化している。最大の特徴は、アイドルコースと音楽家コースがあり、「アイドルと作曲家がタッグを組み、卒業時に行なわれる“新人発掘オーディション”に挑む」という教育方法を採用している。

 主人公は、競争率200倍の狭き門を突破し、この「早乙女学園」にめでたく入学を果たしたヒロイン「七海春歌」(名前変更可能)。彼女はアイドルを目指す男の子と2人1組になって、卒業式に行なわれる「シャイニング事務所新人発掘オーディション」の合格を目指して、1年間の学園生活を過ごす。

 ゲームは主人公が早乙女学園に入学するところから始まる。成績によりクラス分けがされており、プロローグの段階でAクラスかSクラスを選択(1周目のみ強制的にAクラス)。どちらのクラスを選ぶかで、攻略可能キャラクターが変化する。

 ストーリーは1カ月を1章として全12章で構成。各章はアドベンチャーパートと、毎月内容が変化するミニゲームパートで構成され、選択肢やミニゲームの結果に応じて恋愛値、音楽値が変動し、ストーリーも分岐していく。

 音楽と恋愛アドベンチャーゲームの融合が図られており、Elements Gardenの上松範康氏がプロジェクト企画から参加。音楽プロデュースの面からゲーム内容にまで携わっている。歌曲は全10曲が収録される。


【Aクラスのキャラクター】
一十木 音也
(いっとき おとや)
CV:寺島 拓篤
聖川 真斗
(ひじりかわ まさと)
CV:鈴村 健一
四ノ宮 那月
(しのみや なつき)
CV:谷山 紀章

    【登場キャラクターとキャスト】

    ・Sクラス
     一ノ瀬 トキヤ(いちのせ ときや) CV:宮野 真守
     神宮寺 レン(じんぐうじ れん) CV:諏訪部 順一
     来栖 翔(くるす しょう) CV:下野 紘

    ・サブキャラクター
     シャイニング早乙女(学園長) CV:若本 規夫
     月宮 林檎(Aクラス担任教師) CV:中村 悠一
     日向 龍也(Sクラス担任教師) CV:遊佐 浩二
     来栖 薫(来栖翔の双子の弟) CV:梶 裕貴
     愛島 セシル(褐色のミステリアスキャラ) CV:鳥海 浩輔
ライバル関係もストーリー上、重要なポイントとなる

 AクラスとSクラスのキャラクターは、「音也VSトキヤ」、「真斗VSレン」、「那月VS翔」の組み合わせでそれぞれライバルキャラとなっており、シナリオ上も深く関わってくるという。

 メディアミックス展開としては、11月21日発売の「シルフ Vol.10」(アスキー・メディアワークス刊)よりコミックスの連載が決定。キャラクターソングは11月26日より毎月1枚のペースで全4枚のCDが発売される。また、12月と2010年2月にドラマCDの発売も予定されている。


■ 宮野真守さんと上松範康氏のトークショウ

宮野さんの大ファンという上松範康氏(右)に、相思相愛と返した宮野真守さん

 後半は、Elements Gardenの上松範康氏と、テーマソングを歌う宮野真守さんが登場し、ゲーム開発の舞台裏などのトークを展開した。

 まず宮野さんが歌うテーマソング「蒼ノ翼」について、上松氏は「最高の力作です」と話し、続けて「宮野さんってバラードをすごく綺麗に歌われるっていうイメージがあって、でもアップテンポの曲もやってみたらどうなんだろうかと思って作曲しました。僕はほんとに宮野さんの大ファンなんですよ。『Discovery』とかすごく大好きで、ずっと歌を作りたかった」と宮野さん本人を目の前に興奮気味に語った。さらに宮野さんが「僕が主題歌ってなったときに、上松さんが『主題歌(の作曲)が僕じゃなくてもいいんで、歌うのはぜひ宮野さんでお願いします』と言っていて(笑)」と上松氏の話を裏付けるエピソードを披露した。

 そしてゲームについて上松氏は「原作の最初の立ち上げから関わらせていただいています。トキヤというキャラクターを見たときに、僕は最初から宮野さんしかいないと言っていて、こういうふうに1本の基軸があると物語も作りやすいんだなというのがありました」という。「宮野さんのイメージをとにかく大事にしたいというのが強くあって、でもゲームサイドでもあるので、それを融合させる接点っていうのをすごく模索し、プロデューサーや宮野さんとも何度もディスカッションを重ねました」と作曲での苦労を語った。

 本作のジャンル“キスよりすごい音楽って本当にあるんだよADV”を考えた上松氏は、「“キスよりすごい”ってなんだろうと思ったんですよ。恋愛でもゲームでも、その1番大事な部分っていうのに、音楽っていう表現で勝ってみたいと思ったんです。それを自分に課してみようと。まだ半分くらいしか作ってないときに『キスよりすごい音楽ってあるんだよ』って言っちゃったら反響がすごくて(笑)。キスってすごい大事なんじゃないかって思うんですよ。そういった気持ちと音楽の気持ちってすごい近いものがあるんじゃないかっていうのが出発点になっています」とこのフレーズを生み出した経緯を解説した。

 キャラクターについて、上松氏が「(宮野さんが演じる)トキヤのイメージは最初の段階から宮野さんのイメージで固まっていたので、実はプロフィールを見ると誕生日は8月6日」(宮野さんの誕生日は月日を入れ替えた6月8日)と言ったところで、宮野さんが「さっき、入口のところで『宮野さん、誕生日見てください』なんて言われてビックリしちゃいました」と驚いたという。「(キャラクタープロフィールの)『ピッチもリズムも完璧』っていうのは、(宮野さんに)プレッシャーをかけているわけではなくて、思っているイメージですよ」と上松氏が話すと、「かなりハードル高いキャラになったなぁ」と苦笑していた。

 まだ収録前ということで、宮野さんからどういう風に演じたらいいか聞かれた上松氏は「すごくクールな一面があるんですよ。完璧主義なところがあるんですね。その中に憧れがあります。(歌う上で重要な)ハートに憧れがあるので、ライバルはハートで歌う音也なんです。そういうコンプレックスを乗り越えていく物語がおもしろいので、歌に苦悩する姿なども物語の中に出てきます。そういったところを演じていただけると嬉しいです」と答えた。

 最後に本作への意気込みをそれぞれ語った。

 「作詞をすることもあるんですけど、物語を作る段階から関わることはすごくやってみたかったことなんですよ。こういうキャラクターだったら音楽はこういうふうに作れるんじゃないかなとか、そういったことが提案できるのはすごく嬉しいし、そこから作れることで音楽とのシンクロがすごくおもしろいものになっているんじゃないかなと思います。声優さんの業界で、歌というものをピックアップした作品を、乙女ゲームと呼ばれるジャンルでも絶対やってみたいなと思っていたので、すごく気持ちが入った作品になると思います。『きゃっ』って言って欲しいです(笑)」(上松氏)。

 「僕が1番嬉しいと思ったのは、すごく今回の作品に対して、制作チームのすごい愛情とチャレンジ精神、情熱がこもった企画だったので、そういった感情とクリエイティブに1つのものに向かっていく熱意がすごくいいなって思ったんですよ。しかもその場所に、そういう意欲のある場所に入るっていうのはすごく気持ちよくて、僕もそれに応えたいと思うし、参加させてもらった以上は一緒のチームとして素晴らしい作品を作っていきたいという思いが燃え上がってきました。今後もこの熱をもっともっと燃やして、キャラクターに命を吹き込んで、キスよりもすごい歌をどんどんと歌って、皆さんの記憶に残る作品にしていきたいなと思っています」(宮野さん)。


(C)BROCCOLI

(2009年 10月 2日)

[Reported by 滝沢修]