マイクロソフト、あの矢追純一氏を迎えて「Mass Effect」完成記念パーティを開催
大槻教授も登場したトークの話題は、UFO、宇宙、未来、そして「Mass Effect」へ
会場は、都内にあるイベントルーム「LOUNGE NEO」。20名ほどの報道陣が詰め掛けた |
マイクロソフトは、5月21日の発売を予定しているSFRPG「Mass Effect」完成記念パーティーを、東京渋谷にあるイベントルーム「LOUNGE NEO」で開催した。「Mass Effect」は重厚なSF的設定を持ち、銀河を自由に駆け巡ることができるという新しいタイプのRPG。2007年末に欧米で発売されて数々の賞を受賞したビッグタイトルであり、およそ1年半を経過しての国内版の発売となる。価格は7,140円、CEROレーティングはD(17以上対象)。
小規模なクローズドイベントとなったこの完成記念パーティでは、広大な宇宙を駆け巡り、たくさんの異星人と交流するという「Mass Effect」の魅力をアピールするためか、スペシャルゲストとしてUFO研究家として知られる矢追純一氏が登場し、独自の宇宙観を展開して来場者を楽しませた。
さらには、その矢追氏に対抗する形で、早稲田大学名誉教授で物理学者、あるいはプラズマ博士として知られる名物学者、大槻義彦教授が登場し、「Mass Effect」の世界観に関連する宇宙、地球外知的生命体、そして未来技術に関するトークが繰り広げられた。宇宙だけをネタに延々とトークを繰り広げることのできる2人の話題は、「Mass Effect」の壮大な宇宙観にも通じ、プレイする前に気分を盛り上げてくれた。
■ 「先日、宇宙人に会いました」。のっけからアクセル全開の矢追純一氏
「宇宙人に会いました」と大真面目に語り始める矢追純一氏 |
「そりゃないでしょう~」と、大槻教授が登場。トークセッションが始まる |
30代以上のゲーマーにとって、矢追純一氏といえばUFO、宇宙人といった超常現象、疑似科学を面白く伝えてくれてきたテレビディレクターであり、矢追氏の番組に心を躍らせた人も多いのではないかと思う。筆者もその1人なのだが、今回、まさか「Mass Effect」の完成発表パーティでその矢追氏を生で見ることになるとは思いもしなかった。
「本日は矢追純一さんから重大発表があります」とのナレーションで始まったトークショウでは、会見席風のステージに登場した矢追純一氏が大真面目な顔で「本日は、宇宙の真実についてお話したいと思います。……実は先日、私はUFOにさらわれまして、宇宙人に出会うことができたのです」と、いきなりアクセル全開の超常発言を展開。キョトンとするしかない報道陣ではあったが、ホントかウソかわからない話しぶりの矢追氏の話を聞いていくうちに、それが「Mass Effect」に登場する種族たちの話だとわかり、ひと安心。
しかし話はあくまでも、矢追氏が実際に会った宇宙人達の紹介ということで進んでいく。「私が入手した最新の情報によれば……」と、作中に登場する種族「トゥーリアン」のことを「規律正しく、個人の自由を尊重するという、なかなか真面目な宇宙人」と語り、「アサリ」と呼ばれる種族を「この宇宙人は非常に美人タイプでですね。UFOというのは見たい見たいと思っていても実際は怖いものですから、あまり目の前に出てほしくないものですけど、こういう美人の宇宙人ならちょくちょく会いたいなと」と、会場の笑いを誘った。
ゲーム中に登場する種族の紹介を一通り終えたところで意外なゲストが登場。「矢追さーん、矢追さんコンニチワ!」と現われたのは、個性派の物理学者として有名な大槻義彦教授だ。「矢追さん、宇宙の真実だとか、宇宙人だとか、そりゃないでしょ~~」と、のっけから対決ムードで現われた大槻教授もトークに参加。超常現象の第一人者・矢追純一と、科学者の代表・大槻教授という構図で、宇宙人、そして「Mass Effect」の魅力について語るセッションとなった。
作中には様々な背景を持つ、ユニークな宇宙人たちが登場する |
■ 大槻教授は、科学者として「宇宙人はいます!」と力説。科学的根拠は?
大槻教授は「宇宙人の実在性」について、科学者としての立場から話題を展開した |
大槻氏が「宇宙人はいない」と主張していると思われていることが、大きな誤解であり、自身にとってはまったく心外なことであるようだ |
矢追氏は「宇宙人は存在して、しかも既に地球人とコンタクトしている」派の代表だが、この点だけは大槻氏と対立してしまうようだ |
トークセッションに入り、まず話題は「宇宙人の実在性」について展開した。矢追氏は「最近では宇宙飛行士のような信頼性の高い人々が、実際に宇宙人を見た、UFOを見たということを公言しているばかりでなく、映像も発表しています。これは『そろそろ情報を出してもいい』という許可が出てるんだと思います。ですから、近いうちにもっと凄いことがはっきりと公表されるんじゃないかと期待しています」と、近年のNASAを巡る超常的な話題を紹介。
科学者としての視点からトークを展開する大槻氏は「SETI計画」について言及し、宇宙人の実在を科学的に信頼しているということを語った。「科学者がやろうとしているのは、地球外生命体が高い文明を持っているならば、その文明活動にともなって出しているであろう、電波を傍受しようということです。最近では日本でもやろうということになって報道されているわけですが、だけどアメリカではとっくの昔からやってるんです。つまり、その裏に何があるかというと、我々か学者は、宇宙人は居ると思っているんですよ」。
そして、「『大槻は宇宙人なんていないと叫んでる』と、言う人もいますが、これは単なる皆さんの誤解です」と、大槻氏は周りからのイメージを強く否定した。その心は、「我々だって宇宙人です。太陽系なんて銀河の中ではごくごくありふれた惑星系ですから、当然ほかにもゴマンとあるでしょう。地球で我々人類が進化したということは、地球外の星でも同じように進化が行なわれているという証拠でもあるんです」、ということであり、ごくごく冷静な科学者としての視点だ。「だから私は宇宙人の存在を、いちども否定したことなんてないですよ」と、重ねて大槻教授は熱弁をふるう。
大槻教授はさらに、「私が否定するのは、『日常的にそのへんに宇宙人がゴロゴロいて、宇宙人と結婚しただとか、宇宙人にイタズラされた』というようなことであって、そんなことは有り得ないと言っているんです。宇宙というのは地球よりももっともっと広大なんです。だから簡単には来れないんです」と、矢追氏批判ともとれかねない議論を展開し、これには矢追氏も苦い顔。
それでは、「Mass Effect」のように超光速移動が可能になれば、宇宙人と交流することも可能になるのか?という質問に対しては、「それは想像を絶する科学技術ですけどね。しかしまあ、そういった技術が将来発展しないとは断言できません。数百年前の科学者が、原子力発電の発明を予測することができましたか? だから、良心的な科学者は、『Mass Effect』のような世界が数百年、数千年後に実現する可能性を否定しません。まあそれはとても難しいでしょうが……」と、希望的観測を披露。
さらに希望的な色が強い議論として、「ただ、地球外知的生命体の活動を知る、宇宙からの電波の信号は必ずキャッチできます。そういった信号が連続的に受信されるような時代は必ず来ます。だからこそ日本も遅れをとらないようにSETI計画をやるわけです」と、大槻教授が力強く語ったことが印象的だ。
矢追氏はこれを受けて、「SFというのは時代を先取りしていますよね。昔はフィクションであったものが、今では実現している科学技術ものがたくさんあります。ひょっとすると、大槻先生がおっしゃるように、もっとはやく科学が進歩して、そういったことが実現するのかもしれませんね」とまとめて見せた。
■ 「Mass Effect」の魅力は、緻密なキャラクター、自由度、現実味のあるSF設定にあり
最後に作品の魅力について語ったお二方。科学者も納得?の重厚な設定を持つ「Mass Effect」の発売をお楽しみに |
最後に、「Mass Effect」の魅力について問われた矢追氏、大槻氏の両氏。以下のようなコメントでトークショーが締めくくられた。
矢追氏:「非常に驚いたのですが、たくさんのキャラクターが綿密に考えて作ってありまして、それぞれの歴史的、文化的背景を盛り込んで、個性豊かな種族がたくさん出てるんですね。さらにプレイする側は、随時自分の好きな選択ができるということで、非常に楽しめますね。こういう時代が本当に来るのではないかと思わせる、非常に面白いゲームになっていると思います」。大槻氏:「まず映像が極めてきめ細かくて、ウチのテレビで見られるかわからないほどですね。それだけでなく、私が気づいたのは、作品の中で宇宙の姿というのが、非常にまっとうな科学的なアイディアで作られているということですね。一見して『子供だましじゃないか、ばかばかしい』というふうには言えない、しっかりとしたつくりになっています。例えば宇宙船、作中のものはロケットを使わずに推進していますが、実はプラズマの世界ではね、電磁気的な力を使うプラズマ推進というものが本気になって研究されているんです。科学的に、実にありうることが表現されていますので、このゲームの作者というのはよく考えているんでしょうね」。最後は「Mass Effect」のハードSFたる重厚な設定に言及されたトークセッションとなった。本作をプレイする上で、単に作品の表現をそのまま受け入れるだけでなく、現実の科学から応用が可能なのか?現実的に有り得るのか?といった視点で各要素を見ながら楽しんでみるのも、また面白い遊び方といえるだろう。SFファンはもちろん、Xbox 360のRPGファンは5月21日に予定されている本作「Mass Effect」の発売を楽しみに待っていてほしい。
作中に表現される広大な宇宙と、その舞台を駆け巡る宇宙船「ノルマンディー号」。数百年後には本当に実現する風景なのかもしれない、という希望的観測を胸にプレイすれば、さらに深い臨場感で本作を楽しめるかもしれない |
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□Xbox 360のホームページ
http://www.xbox.com/ja-jp/
□「Mass Effect」の公式サイト
http://www.xbox.com/ja-JP/games/splash/m/masseffect/
(2009年 5月 14日)