ゲームオン、「A.V.Aれ祭 2009 春の陣」を開催

第1回グローバルチャンピオンシップ日本代表予選は「comet」が優勝!
開発者を招いたユーザーミーティングも盛況


4月25日 開催

会場:ライブパークインアキバ



 株式会社ゲームオンは25日、東京・秋葉原のライブパークインアキバにて、同社が運営するWindows用オンラインFPS「Alliance of Valliant Arms(以下 A.V.A)」のオフラインイベント、「A.V.Aれ祭 2009 春の陣」を開催した。

 「A.V.Aれ祭 2009 春の陣」では、同タイトルの日韓対抗戦である、「A.V.A」第1回グローバルチャンピオンシップ日本代表予選が行なわれ、オンライン大会で全48クランを勝ち抜いた3クランと、ネットカフェ枠を勝ち抜いた1クランによる計4クランによる総当りの決勝リーグ戦が行なわれた。優勝クランには5月末に韓国で行なわれる日韓対抗戦への参戦権が与えられた。

 会場は1Fが試遊台と実況ステージとスポンサーブースが並んだ。試合は静粛な2F部分で行なわれ、選手の画面や表情を1Fでモニタリングしながら実況・解説を行なう方式が取られた。選手の話し声はマイクから拾って会場に流され、選手の歓声や交わされる作戦を逐一楽しみながら観戦できた。

 当日はあいにくの大雨の中だったが、会場には非常に多くのユーザーが詰め掛けた。決勝後には、「A.V.A」の開発者ク・ジョンジン氏とゲームオンの「A.V.A」プロデューサー井上洋一郎氏によるユーザーカンファレンスが開催され、開発秘話やアップデート情報が語られた。さっそく当日の模様をご紹介したい。




■ 全6試合の決勝リーグ戦!特色ある4チームが登場!

会場となったライブパークインアキバ。旧サトームセンビル1Fにあり、イベントスペースとして例日パフォーマーが出演している

 試合は総当たりのリーグ戦で計6試合が行なわれた。勝ち点方式で、各試合で勝利すると勝ち点3、引き分けは双方に1点。負けは0点が付与される。試合形式は爆破マップの攻守によるラウンド制で、最初にコイントスで先攻後攻を決め、3ラウンド先取の最大5ラウンドで攻守を交代し、全体で6ラウンドを先取することで勝利となる。

 使用されたマップは「DUAL SIGHT」。航空機やレーダーなどを備えた管制施設がモチーフとされており、薄暗く狭い地下基地部分と地上部分の2カ所に爆破ポイントが設定されている。狭いマップのため1点突破を狙うような戦い方は難しく、陽動して敵をうまく誘いながらスキを狙っていく戦いが主流になる。

 当日の様子では、攻撃側が爆破ポイントを制圧してもいきなり爆弾を設置するばかりでなく、制圧エリアの穴を作らないように敢えて索敵と撃破を狙うなど、お互いの戦術の読み合いが非常に面白い戦いが多かった。

 第1試合は「痛かったら言って」対「comet」。「痛かったら言って」は同ジャンルの「サドンアタック」でも世界大会出場経験のある実力派クランで、短期集中でこの大会のために練習を重ねて参加したという。「comet」は爆破マップを中心に「A.V.A」のサービス開始から1,000回以上クラン戦を重ねているという。

 第1試合は「痛かったら言って」が先攻で、積極的に爆弾を設置していき、一方の爆破ポイントに全員で向かうなどオーソドックスな戦いを仕掛けていった。対する「comet」は「ロング」と呼ばれる長い直線距離を「ゴーグル」を使って見渡し、壁越しに相手チームの動きを読むことを忘れない。1R、2Rと「痛かったら言って」が獲得するが、以降の攻めのセオリーをことごとく「comet」の陽動で潰され2-3で前半を折り返した。

 攻めに回った「comet」は、スナイパー1、ライフルマン2、ポイントマン2といったオーソドックスなメンバー配分から、スナイパーをライフルマンに配分して削り合いに強い構成にするなどラウンドごとに役割を次々に変えていきながら戦っていた。「comet」は毎回C4爆弾をcordyline選手、ゴーグルをUltrays選手が所持し、ロングや「キャット」と呼ばれる2F通路を挟んだ陽動を通じて、ラウンド序盤に飛び出してきた相手サイドを正確に叩き、各個撃破を狙った。

 1人1人の射撃のウデという点では「痛かったら言って」に分があったが、とにかくマップを知り尽くした「comet」は読み合いや初動が非常にうまい。「comet」が合計4-6のシーソーゲームを制して第1試合を取った。


会場1Fのステージでは、モニターに選手のモニターを写しながら、ライターの松崎マーク氏による実況と、「A.V.A」プロデューサーの井上氏による解説が行なわれた。選手のマイクの音声が会場全体に響き渡り臨場感は最高!
会場2Fで試合が進行し、試合の合間にはクラン代表者のインタビューが1Fに中継された



■ 守りに強いチームが勝つ!倒れた仲間の穴をすばやく埋めろ!

会場1Fでは試遊台が16台おかれ、来場したユーザーで護衛ミッションがプレイされていた

 第2試合は「EmoT1oN」対「真仁義組」。「EmoT1oN」は主に1on1のFPSタイトルでさまざまな世界大会に参加しているfumio選手や、「サドンアタック」で世界大会出場経験のあるdelpiero選手を要するクランで、ポイントマンのfumio選手の一騎駆けが戦場の華となった。

 「真・仁義組」はネットカフェ枠からの出場で、本作では「護衛」を主にプレイしているクランからサブクランとしてエントリーした。開会では本日を最後に解散することを名言していたが、「護衛」メインのクランがどこまで健闘するか期待された。

 本作では移動する戦車を護衛する「護衛」マップを主にプレイする「護衛クラン」と、オーソドックスな「爆破」マップを中心にプレイしている「爆破クラン」と呼ばれる2種類のクランにコミュニティが大別されている。ざっくりとしたわけ方がではあるが、他のタイトルとも共通要素の多い「爆破クラン」には他のタイトルも平行してプレイしているユーザーが多く、「護衛クラン」はオンラインFPSでは本作独特の要素をプレイするため、プレーヤー層も本作に対してコアなユーザーが多い印象がある。アクティブに変化する戦場を支配する戦いとはまったく異なる試合形式に挑んだ「真仁義組」にエールを送るとともに、今後は「護衛」形式によるイベントの開催にも期待したいところだ。

 「真仁義組」の先攻で始まった第2試合、守る「EmoT1oN」はfumio選手を中心に積極的に討って出た。クリアリングもそこそこにガンガン突っ込んでいく同選手に対して、なかなかゲームを作らせてもらえない。前半はストレートで「EmoT1oN」の勝利で0-3で折り返し、後半も勢いが止まらない「EmoT1oN」が取り、勝利となった。

 第3試合は「EmoT1oN」と「痛かったら言って」の対決だ。この日の「痛かったら言って」は本当に接戦を演出した。「痛かったら言って」の先攻で始まり、見せ場になったのは第4ラウンド。互いに初動で体力を削りあった後、地上の設置ポイントに突入。この日の「痛かったら言って」はセオリー通り爆弾を持って設置場所に到着したらすぐに設置する動きを見せていたが、このラウンドでは違った。設置場所の小屋に達した時点で残り人数1対2の展開になったため、敢えてC4を拾わずに索敵。向きを変えて別の場所に向かおうとした「EmoT1oN」の2選手を撃破し逆転した。

 この第3試合は両クラン共オフライン大会に慣れている者同士の戦いで、両クランとも声が出ていて非常ににぎやかな戦いだった。後半戦の第1ラウンドは攻める「EmoT1oN」がC4をわざと落として持久戦に持ち込んだ。2番の爆破ポイント付近で総力戦となり2人対2人の状態で爆弾を設置、お互いに譲らず「痛かったら言って」が時間ぎりぎりで解除に成功した。1Fの会場には2対2の状況でジリジリといらだつ選手の様子から、解除成功後「ボンバーマンだ!」と選手の大歓声が響き、1Fの会場も大きく沸いた。とにかく「やった」という選手達の気迫が会場を包みこみ、筆者がこれまで観戦してきた数々の大会の中でも1番熱くなった瞬間だった。この試合はラウンド6対4で緩急の作戦を織り交ぜた「EmoT1oN」の勝利。「痛かったら言って」は接戦をものにできなかったが、素晴らしい対戦だった。


スポンサーブースでは「Razer」、「Artisan」、「steelseries」、「DARMA POINT」の各ゲーミングデバイスブランドがブースを構え、ゲームに特化したデバイスを出展し即売展示が行なわれた



■ 優勝は「comet」。韓国での世界戦へ!

リーグ戦のポイント表。「comet」が全勝優勝! おめでとう

 第4試合、第5試合では「痛かったら言って」と「comet」がそれぞれ「真仁義組」を下し、第6試合は勝ち点6同士の「comet」と「EmoT1oN」による決勝対決となった。

 井上氏の言葉を借りれば、「いかに空いた穴をすばやく埋めるか」が問われた試合で、単騎で突入していくfumio選手が倒されることで逆に戦線の穴になってしまう試合運びが多かった。単独で強い選手が多い「EmoT1oN」に比べると、「comet」の戦い方は非常に基本に忠実で、陽動して誘い出して相手の頭数が減ったところでしめにかかるという流れを正確に行なっていた。

 リーダーのKujiila選手は臨機応変な対応で戦線の穴を埋めていき、危なげない試合運びを演出した。彼らの中には勝利の方程式のようなものができており、徐々に徐々に戦線を上げていって相手チームの残存プレーヤーを左下の通路付近に追い込んでいく様子は、さながらシャチが集団で狩りをしていくような光景だった。

 「comet」は前半を3-1で折り返し、トータルでも6対2で見事勝利し優勝をつかんだ。試合結果は1位「comet」、2位「EmoT1oN」、3位「痛かったら言って」、4位「真仁義組」となった。「comet」の選手たちは韓国での試合は完全にアウェイの環境で勝負していくことになるが、卓越したマップや戦術の研究成果をブレずにアウトプットし、勝利をつかんで欲しい。


「A.V.Aれ祭 2009 春の陣」のポスター優勝した「comet」には賞金20万円とゲーミングデバイスが贈られた。韓国での試合に向けて練習を重ねていきたいという。クラン戦は午後10時から午前1時頃をメインに募集しているそうだ



■ 試合後のユーザーカンファレンスでは今後のアップデート内容を公開

ユーザーの質問に答えるク・ジョンジン氏。リプレイ機能を盛り込んで欲しいという日本のユーザーからの要望には、「A.V.A」のゲーム自体がかなりのPCスペックを必要としているため、今後ユーザーの使用するPCスペックが上がってきた時期を見計らって導入を検討したいという

 試合後に行なわれた「A.V.Aユーザーカンファレンス」では、「A.V.A」の開発チームからク・ジョンジン氏と井上氏の両名が登壇し、日韓の今後のアップデート予定の発表や、事前に集められたユーザーからの質問に対するQ&Aが行なわれた。

 アップデート計画は、現在の日韓でのコンテンツの実装状況を照らしあわせながら、今後の展望を交えて発表された。日本サーバーでは2009年度中に武器11種類、8マップが新たに投入されるという。日韓の人気マップの比較では、韓国で先行された護衛マップ「BURNING TEMPLE」の実装直後から、護衛ミッションに関する人気が非常に高くなったそうで、日本でも護衛マップに対する人気などを見極めながら実装していきたいという。「BURINING TEMPLE」は修道院を中心とした戦いが繰り広げられ、偵察機で索敵するなど、このマップにしかない要素も盛り込まれている。

 ク氏によると護衛ミッションの制作には4~5カ月ほどかかるそうで、本作を代表する人気コンテンツとして重要視していることをうかがわせた。また、本作のゲーム性に対する位置づけを「『BattleField』より小さく、『Counter-Strike』より大きな市街地戦闘」とし、護衛マップは「『Wolfenstein: Enemy Territory』における戦車の護衛戦よりはルールの複雑さの点でハードルを下げた」という。戦況が動的に変わる面白さを楽しんで欲しいそうだ。

 「ポイントマン、ライフルマン、スナイパーによる3種類の兵科を増やす予定はあるか」という質問には、「兵科を増やすことは考えていない」とした。ただその代わりに、「3つの兵科を軸として、メディックや工兵のような役割をアイテムなどを通じて持たせていきたい」と語った。3兵科にした理由については、「『StarCraft』の種族のような関係をイメージして、オンラインFPSに落とし込んだ際に3種類に統合した」という。

 8対8以上の大規模戦闘の実装予定についての質問には、「12対12といったコンディションでのテストを重ねてはいるが、迫力がある反面、ゲームが大雑把になってしまう傾向にあるため実装するかどうかについては悩んでいる」という。

 日本国内のサービスについては、マッチングやバランスなど機能面での質問が多かった。強力なスナイパーのライフル「TRG」が強すぎるのではないかということについて、「防具の組み合わせによっては一撃では倒されにくくなっていることや、強力とはいえ再装填に時間がかかることなどを踏まえると、持っているだけでは本当に使いこなすのは難しいバランスにはなっている」とし、一撃で倒されないために防具などをアップデートで充実させていくとしている。

 マッチングやオートバランス機能に関する見直しについては、「現在はクラン戦に特化した形でマッチングシステムが開発されているが、とりわけ護衛ミッションなどでは勝手の分からないプレーヤーがうっかり紛れ込んでしまうとワンサイドゲームになってしまうという問題があるので、一般ユーザー向けにも導入し、マッチングを活性化していきたい」とした。

 時間の都合で、当初予定されていた会場のユーザーからの質問が受け付けられなかったのが残念だったが、開発者がどういった思いで「A.V.A」の開発に取り組んだかがわかるセッションで、非常に興味深かった。次回のイベントは護衛戦での大会など、本作の独自性を前面に出した企画にも期待したいところだ。


ゲームオン「A.V.A」プロデューサーの井上洋一郎氏。2009年度末頃までには現在の韓国のアップデート状況に追いつけるという見通しを示した今年も武器やマップが逐次アップデートされる予定だ
日韓の現在の実装状況や人気マップの比較など興味深いカンファレンスだった

(2009年 4月 27日)

[Reported by 三浦尋一]