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「ドラクエ」ならではの掛け算を! 「ドラゴンクエストウォーク」が狙う位置情報ゲームへの戦略

一方、スピードワゴン小沢さんは「こういうデートがしたい!」と叫んだ

2019年 配信予定

価格:無料(アイテム課金制)

 スクウェア・エニックスは6月3日、Android/iOS用位置情報RPG「ドラゴンクエストウォーク」を発表した。2019年配信予定で、6月11日よりβ版の体験会が実施される。β版の募集人数はAndroid、iOSで各10,000人。公式サイトにて、6月3日から5日まで参加者を募集している。

 「ドラゴンクエストウォーク」は、実際の地図情報、位置情報を使って楽しむスマートフォン用の「ドラゴンクエスト」タイトル。自分で目的地を設定し、プレーヤーが歩きながらストーリーを進めていく。歩いている途中ではスライムやドラキーといったおなじみのモンスターと戦うこともでき、経験値を得ればレベルアップもする。

 発表会で明かされた各情報は弊誌でも速報としてお伝えしているが、本稿では6月3日に開催された「ドラゴンクエストウォーク」の発表会の様子を詳しくご紹介していきたい。

【「ドラゴンクエストウォーク」発表PV】
発表会最初に挨拶を行なったスクウェア・エニックス「ドラゴンクエスト」シリーズ エグゼクティブプロデューサーの三宅有氏。「『ドラゴンクエストXII』に繋がる展開を何かしらの形でまとめて発表したい」と近々大きな発表があることを示唆した
総合司会を務めた徳光和夫さん(左)と、アシスタントMCの平井理央さん(右)

位置情報ゲームに「ドラクエ」を掛け算したらどうなるのか?

 発表会では、スクウェア・エニックス プロデューサーの柴貴正氏とゲームデザイナーの堀井雄二氏が登壇し、本作開発の経緯を語った。

ゲームデザイナーの堀井雄二氏
スクウェア・エニックス プロデューサーの柴貴正氏

 開発のきっかけは3年前、位置情報ゲームが多く登場してきた時に、「この位置情報ゲームを『ドラクエ』の世界に上手く当てはめることができたら、面白くなるのでは」と柴氏から堀井氏に提案したところから企画がスタートしたという。

 堀井氏は「これ言っていいのかなあ」と前置きしつつ、当時は「『ポケモンGO』が流行っていた」と正直に述懐。しかし「『ポケモンGO』は『ポケモンGO』で面白いが、一方で位置情報と『ドラクエ』を上手く掛け算したら、いろいろなことができる」(柴氏)と考え、そのことにずっと注力して開発してきたという。

さっそく自ら「ポケモンGO」に触れていく、いつものぶっちゃけスタイルを貫く堀井氏

 位置情報を扱うということで、本作は「コロニーな生活」などで古くから位置情報ゲームを作ってきたコロプラとの共同開発タイトルとなっている。コロプラについて柴氏は「若い方が多く、馬力がすごい。社員は『ドラクエ』をずっとやってきた方ばかりで、良い提案をいただいている。本作ならではの新システムも、コロプラさんと一緒に作ることで生まれた」と説明した。

 また柴氏によれば、「ドラゴンクエストウォーク」の特徴は3つ。1つは「目的地システム」で、自分で目的地を設定してストーリーを進めるシステムのこと。目的地が自動で決まるのではなく、“自分で決める”ことでプレーヤー自身が主人公として冒険している感覚が生まれる。道中にはモンスターが出現してバトルが発生することで、「日常の風景が『ドラゴンクエスト』になる」とした。

 2つ目は「ランドマーク」。本作では、各都道府県にランドマークが設定されており、ゲーム内のマップにも登場する。東京タワーや金閣寺、伊達政宗騎馬像、名古屋城などがランドマークとなっており、「ランドマーク限定クエスト」も登場する。これにより、地方へ行った時の楽しさを生むことを狙っているそうだ。

 そして最後は「自宅システム」。ゲーム内の好きな場所に「自宅」を設置し、内装を様々な家具でカスタマイズできるシステムとなる。他のプレーヤーの自宅は訪問できるほか、冒険へ出発し、「自宅」へ戻ってきた時に歩数などから「おでかけボーナス」が得られる。ボーナスを得て「おでかけランク」を上げると、カスタマイズできる幅が広がるという。

 またバスのような乗り物については、柴氏は「ちょっとした制限を設けるが、ある程度はできるような形にする」という。また都市部と地方でなるべく格差が生まれないような配慮をすると共に、「日本全国に行ったら楽しいことが生まれるかも。出張が多い方はぜひ楽しんでほしい」とした。

「ドラゴンクエストウォーク」のファーストルック。「自宅」が見えるなど、画面の中に様々なヒントが隠されている

「こういうデートがしたい!」スピードワゴン小沢さんが実機プレイで叫ぶ

 発表会では、スピードワゴンの小沢一敬さんと発表会のアシスタントMCを務めた平井理央さんが、実際に外へ出て「ドラゴンクエストウォーク」をプレイする場面もあった。

「ドラゴンクエスト」は1作目からプレイしているスピードワゴンの小沢一敬さん。「ドラクエ」への造詣の深さを褒められると「サマルトリアの王子と呼んでください」、平井さんと一緒に実機プレイする流れになった時には「僕のビアンカになってください」、茶々を入れられた時には「俺を貶める発言、マホトーン!」など、折を見ては「ドラクエ」ネタを差し込んでいた

 会場は東京タワーのふもとにあったため、ゲーム内のマップには東京タワーが登場。ストーリークエストを開始し、目的地を設定する画面になると、マップの中から2人は近くの「TOKYO TOWER HIGHBALL GARDEN」を選択した。

会場と中継を結び、小沢さんと平井さんが実機プレイ
クエストを開始すると、会話シーンが展開する
その後、目的地を設定する

 そこからは2人が実際に歩いて移動。移動中は小沢さんが「『ドラクエ』らしく縦に並んで歩く?」、「心の中で『ドラクエ』の曲が鳴ってる」と実に楽しそうに平井さんと会話していた。

 目的地に到着すると、今度はボスのゴーストとの戦闘がスタート。戦闘はターン制のコマンド式で、小沢さんはスキルの「かえん斬り」も駆使しながらゴーストを見事に撃破。クエストクリアを平井さんと一緒に喜ぶと、「こういうデートがしたい!」と心の叫びが聞こえてきた。

 これで実機デモは終了したが、小沢さんは「城(会場)に戻るよりもほこらを探しに行きたい」とかなり後ろ髪を引かれた様子だった。「最近は医者からも歩けと言われるが、これなら楽しみながら歩ける。いい機会をありがとうございます!」とも柴氏と堀井氏に感謝しており、本作の配信を楽しみにしている気持ちが伝わってきた。

移動中はモンスターがポコポコ出現する。また「つぼ」をタップすると、HPやMPが回復したり、アイテムを獲得したりする
縦に並んで歩く2人
コマンドバトル形式の戦闘
クエストクリア時の報酬

 小沢さんは「ドラゴンクエストウォーク」について、「最初のナンバリングから『ドラクエ』を遊んできているが、最近はプレイするたびに『子供の頃は勇者だったんだな』と思い出す。『ドラゴンクエストウォーク』は自分が勇者になって、動いて、敵を倒せるから、『これだよね』って思えた。みんながプレイして、みんなが勇者になったら、平和になるのかな」と話した。

 柴氏は「いろいろな人の思いが集まって、今日本作を発表できた。来週のテストでさらに情報を集めることになるが、きっと新しい体験になると思う。もしかしたら何か問題が起こるかもしれないが、上手く乗り越えて面白いゲームにしていきたいと思う」と述べた。

 最後に堀井氏は、「やっと大っぴらに言えるようになった。プレイした感想を早く聞きたい。今度はスマホを持って実際の街を冒険することになるが、散歩するだけでも楽しいはず。来週は体験版のプレイが始まるが、そうそう遠くない未来にみんなに遊んでもらえるようになると思う」と語った。

 サンドボックスゲームをアレンジした「ドラゴンクエストビルダーズ」シリーズなど、昨今の「ドラクエ」シリーズの展開は流行のゲームジャンルを取り入れるものが多い。ただし「ドラクエ」ならではのエッセンスを入れ込むことで、わかりやすく、さらに遊びやすいゲームへと昇華させるのが非常に上手いと感じている。

 位置情報ゲームとしては後発となる「ドラゴンクエストウォーク」は一体どのような展開を見せるのか。6月11日に迫るβ版の出来栄えも含め、ぜひ注目していきたい1作だ。